カテゴリー「ダイエット」の記事

2019年3月27日 (水)

間欠的断食は、カロリー制限ダイエットより中性脂肪が下がる

ライフログ・オーガナイザー:屋台ブルー

 今日の話題は、夜はちみつダイエット のフォロー記事にもなり、ダイエット指導に取り入れて検証していこうと思ってます。夜はちみつダイエット (115ページ/4行) に「ひとつの食事療法が全員にあてはまらないことを覚えておいてください。」の考え方からです。ある意味、今日の記事から、私の食事療法が変わるきっかけになりました。

 実は、今日のニュースもDiabetes UK Professional Conference (DUPC)2019 という、英国の糖尿病カンファレンスで発表されたプレゼンテーションの内容なので、まだエビデンスと言えないけど、タイトルの結果より私の興味を惹く内容が含まれていたので紹介しよう。

 英国、サリー大学(University of Surrey)のRona Antoni博士の発表によると、間欠的断食(以下IF)は、カロリー制限(以下CR)ダイエットより、食後の中性脂肪が約40%低下しました。

 IF というのは、週に2日間、630kcalに制限して、週の残り5日間はカロリー制限無しの健康的な食習慣をするパターンを 「間欠的 5:2 ダイエット」といいます。CRダイエットは、1日必要摂取量から600kcal制限した食事療法で、毎日続けるというもの。

 BMI値が30(30.1±1.0kg/m2)の健常者、27名を2つのグループに割り振っています。数が少ないので、この結果を検証する研究も、今後、必要になるでしょう。

 どちらのグループも、研究開始時の体重から5%減量、という目標を達成させています。減量という因子を交絡因子にしないためです。5%減量というのは、80kgなら4kgの減量、60kgなら3kgの減量になります。

 そして、プレゼンターの彼女が強調していたポイントを1つあげると、食事療法を比較する場合、今までの報告では、ほとんどの場合、空腹時の代謝因子しか評価していなかったのですが、普通に食生活を送っている人なら、1日の3/4は、食後の状態を送っているため、食後の評価をすべきだという考えで、食後の糖代謝と脂質代謝に注目しています。

 食後高血糖や食後脂質異常が、心血管疾患にたいして、独立したリスクファクターとして考えられるようになっていることを鑑みれば、当然の方向性だと思います。

 この2つのグループにおいて、実は、空腹時血糖や脂質のパラメーターに差は、みられなかったんです。しかし、食後の中性脂肪(トリグリセライド)値は、IFグループで、40%低下したという報告でした。

 私が注目した点は、ここじゃないんです。興味を惹いたのは、目的の5%減量値に達する時間が両グループ間で異なる点です。間欠的 5:2 ダイエット で、中央値59日、であったのに対して、カロリー制限ダイエットでは、中央値73日かかっていて、間欠的 5:2ダイエットが短かったんです!

 この、結果をみて、先日、私が紹介した インターバルトレーニング、やっぱり脂肪燃焼に いいね!」と似通った部分を感じました。

 短時間の運動でも、強度が高く、代謝系に刺激を加えると効果的であるように、食事療法でも絶食という過度なストレスを短時間でも与えれば、代謝経路の活性化は促されるんだろうと感じました。

 夜はちみつダイエット で説明している、「反応性低血糖」による空腹感の増長ですが、個人差が大きいんです。血糖が低値になっても、脂肪燃焼が即座に活性化してケトン産生が生じで空腹感を起こさない人もいれば、しばらく低血糖が続いてフラフラになる人もいます。低血糖でフラフラになる人は、脂肪燃焼が活性化しにくいのだと思います。活性化させるために鍛えないといけないんです。鍛えるというのは、極度の低炭水化物制限を続けるということで、鍛えていると脂肪燃焼が進みやすくなり、反応性低血糖を起こさず、空腹感を感じにくくなります。夜はちみつダイエット  (123ページ/5行目) に、「実は脂肪燃焼が活性化すると、お腹がグーグー鳴らなく鳴ります。」と書いている理由ですね。

 この脂肪燃焼系を鍛えるために、極度の炭水化物制限としての IFダイエット というのは、理にかなっています。

 私が勧めていた サウス・ビーチ・ダイエットは、2週間という制限のきつい低炭水化物制限をする時期があり、ある意味、IFダイエットに基づく考え方です。実際の報告をみれば、3日ほど絶食にすると脂肪燃焼がかなり活性化されるので、夜はちみつダイエット (116ページ/13行)に「一度に大量の炭水化物を摂ると、34日経たないと脂肪のエネルギー利用がはじまりません」と書きました。しかし、厳密にいうと、脂肪燃焼が活性化しはじめるのは、16時間ぐらいの空腹が続いたら生じるのですが[Obesity. 2018 February ; 26(2): 254–268. doi:10.1002/oby.22065. ]、しっかり燃え始めるのは、2日ぐらい経ってからです。

 脂肪活性化の観点からみれば、2週間の炭水化物制限期を設けるのもいいけど、間欠的 5:2 ダイエットを続けるのも効果的ではないかと感じました。今後のダイエット指導で、できそうな人に実践してもらい効果を検証してみます

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2016年5月27日 (金)

食事の記録をつけると減量の助けになる

文:屋台ブルー & ライフログ・オーガナイザー

ちょっと昔にレコーディングダイエットが流行りました。私も「ライティングダイエット」を広めようとしたことがありました。

「食事の記録をつける」というアプローチは、今ではダイエットの基本です。記録をつけることで、自分のダイエットに向かう姿勢も認識できます。本当にダイエットに取り組むつもりなのかどうか気づきが生まれるんです。そして、毎日の食事の内容を事細かく記録する人ほどダイエットが上手くいくという報告があります。

Burke LE, Wang J, Sevick MA. Self-monitoring in weight loss: a systematic review of the literature. J Am Diet Assoc. 2011;111:92-102.

食事の記録をつけることは、毎日の食事量や摂取カロリーを知るだけでなく、どういう時にどんな食べ物を口にしているのか、今まで気がつかなかった食事パターンが見えてくることがあります。

食事の記録に必ず飲み物の記録も加える必要があります。摂取カロリーに含まれる飲み物の占める割合は意外に多いからです。欧米のデータによると、清涼飲料水{ソフトドリンク}なら1日の全摂取カロリーの5.4%、ミルクは4.5%、アルコールは3.7%を占めているという報告があります。

Huth PJ, Fulgoni VL, Keast DR, Park K, Auestad N. Major food sources of calories, added sugars, and saturated fat and their contribution to essential nutrient intakes in the US diet: data from the National Health and Nutrition Examination Survey (2003-2006). Nutr J. 2013;12:116.

自分の食事パターンが明らかになりダイエットに取り組むことで変化が見えれば減量の助けになります。

私の食事指導を受けている患者様はFacebookの秘密グループ「TMCダイエットサポート」で食事の写真をポストして頂いていますが、実はこういう理由からです。

今日はこれだけ。

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2016年5月26日 (木)

退屈になったらジャンクフードの量が増える

文:屋台ブルー & ライフログ・オーガナイザー

禁煙をして半年で体重が5kg増えて怠いから再喫煙したいという患者様が昨日受診されました。ダイエット指導希望という訳で無く他の慢性疾患の管理をしている人なんですが話を伺いました。

禁煙をしたら甘いものが欲しくなって止められなくなりました。でも、仕事もハードなんで運動は絶対したくないです。朝起きるのが辛くて朝食は摂らず昼食と夕食はしっかり食べていて、禁煙を始めてから夕食に一品おかずが増えました。趣味はDVD鑑賞で、休みの日はお菓子を食べながらDVDを観てリラックスしています。痩せたいけど、今の生活は変わらないです。

こういう人は周りに沢山いると思います。皆さんもそうかもしれませんね。実は「甘いもの{ポテチのようなジャンクフードも含まれます}を止める気は無い!」と断言するほど、ジャンクフードに依存していると言えます。

「ジャンクフードに依存?」と疑問に思われる人もいると思いますが、高炭水化物で高脂質な食材{ジャンクフード}を摂取することで脳内報酬システムにおいてドーパミン分泌を高め満足感を感じるため、自分の欲求だけで行動するとジャンクフードを止めることはできません。この依存性は薬物依存で形成される依存性の強さと変わらないため「甘いものを止める気は無い!」と強い意思表示をしてしまうわけです。

彼女にアドバイスした内容に関して類似の内容をタイムリーに今朝読んだので紹介します。

If You're Craving Cookies, You Might Just Be Bored/クッキーが滅茶苦茶欲しくなったら、たんに退屈なだけかもしれない

文献のデータではなく、British Psychological Societyの2016年次総会での発表内容です。

2つの研究報告の結果を紹介していました。1つ目は52人の被験者に同じ文字を繰り返し写させる単調な作業をさせた後にどういう食事を好むか質問票に応えてもらうというもので、彼らはポテトチップ、スイーツ、そしてファーストフードなど不健康な食事を好むことが結果で示されました。

2つめの報告は、45人の被験者に退屈なビデオと面白いビデオどちらかを観てもらい、その間、不健康{ポテトチップなど}から健康{ナッツなど}な多種のスナックを提供した場合、退屈なビデオを観る人は不健康なスナックを選ぶ方が多いという結果が示されました。

これらの結果は今までの報告で示されている結果に一致するもので、退屈な状況に陥ると、脳内のドーパミン放出量が低下してしまい、それを代償するために高炭水化物で高脂質な食材を食べてドーパミン値を維持させようとしているのではないかと主要研究者のUniversity of Central LancashireのSandi Mann先生は説明しています。

そうです。もっと面白いビデオを観た方がいいというアドバイスです。お菓子をムシャムシャ食べている人は、退屈だと自分の脳が感じているのかもしれません。あらゆる生理的な反応を使ってあなたの脳はジャンクフードを食べさせようとします。上手に自分の脳を騙して負けないようにしましょう。

今日はこれだけ。

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2016年5月25日 (水)

ブロッコリーに含まれるコリン

文:屋台ブルー & ライフログ・オーガナイザー

毎日少しずつ知らないことを調べて書き溜めていく方法でブログを更新します。そのため情報がまとまらず中途半端になってしまうかもしれませんがご了承願います。

朝のニュースでブロッコリーの話題が出て気になったのでブロッコリーに関して少し調べました。ブロッコリーは私も毎日食するお気に入りの食材です。あの日野原先生もお勧めで葉酸の多い食材として知られています。

しかし、とある先生がブロッコリーはコリン(Choline)の豊富な食材なので取り過ぎると体臭の原因になるので注意が必要ですと仰っておりました。

さて、このコリンですが、米国では必須栄養素に位置づけられているんで私は欠乏しやすいんじゃないかと考えました。

少し古い情報ですが、以下の文献から、成人女性の推奨量が425mg/dayで、男性は550mg/dayになったようです。

Int J Food Sci Nutr. 2011 Mar;62(2):171-4.dos:10.3109/09637486.2010.523417. 
Use of canonical variate analysis biplot in examination of choline content data of some foods.
Alkan B, Atakan C.

コリンを食べ過ぎて、臭くなるという摂取量がどの程度かという事を考える前にコリンの生体での役割を調べてみます。こういうときはウィキペディアが役に立ちます

  1. 細胞膜の構造の保全と細胞シグナリングの役割
  2. アセチルコリンに合成され神経伝達物質としての役割
  3. 代謝経路(メチル基産生)への関与

生体機能維持のために非常に重要な役割を担っています。しかし、それ以上に摂取をすると身体はコリン自体を代謝してしまうようです。その代謝産物がトリメチルアミンで体臭の原因(魚臭)になるようです。しかも、その量が半端なく多いようです。10g/dayないし16g/dayのようです。

ではブロッコリーに含まれるコリンの量を調べてみました。ブロッコリーは19.0-40.0mg/100gという記載がありました。これが正しいのかどうか分かりませんが、30.0mg/100gとして考えると、ブロッコリーを1kg食べてもコリンの摂取量は300mgです。推奨量にも届かないレベルです。

結論として、ブロッコリーを食べ過ぎて体臭が悪化するなんてあり得ないということです。コリン摂取過多を心配する食材は他にあります。

今日はこれだけ。

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2016年5月24日 (火)

グレープフルーツで食欲を抑える

文:屋台ブルー & ライフログ・オーガナイザー

皆さん、お久しぶりです。

昨年の総括で今年はブログを再開させると宣言してて記事が無い状態でした。

当院での食事療法外来も細々ではありながらコンスタントに患者さんが来るようになっています。ここのブログを見て地元の人が来るようになったので、これからもブログは続けていきます。

多忙な毎日のため以前のようにじっくりと腰を据えて記事を書くことができないのでその日に気になった話題を簡単に紹介していきます。

さっそく、グレープフルーツの話題ですが、食欲を減退させるという話があったので出典を探してみました。

Auton Neurosci. 2014 Oct;185:29-35. doi: 10.1016/j.autneu.2014.06.005. Epub 2014 Jun 25. Olfactory stimulatory with grapefruit and lavender oils change autonomic nerve activity and physiological function. Nagai K1, Niijima A2, Horii Y3, Shen J4, Tanida M5.

このレビュー記事にグレープフルーツで食欲減退の可能性の話が説明されていました。実はグレープフルーツを食べて食欲減退ではありません。グレープフルーツの「香り」がキーワードでした。

アブストラクトしか読んでいませんが、グレープフルーツのフレーバー(Grapefruit Oil:GFO)が嗅神経を刺激して、交感神経系を賦活化することで白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、そして副腎と腎臓を活性化させるようです。逆に胃の迷走神経を抑えるということが、マウスとラットの実験から示されました。その結果、脂肪分解、熱産生、血圧上昇がみられ、食事摂取が抑えられるそうです。

しかし、あくまでも動物実験です。人で同じ事が言えるかどうか不明です。GFOの調整に視交叉上核とヒスタミンの関係性も示唆されていて、アレルギー薬を服用したらGFOの食欲減退がブロックされるかもしれませんね。

まあ、話半分ネタとして知っているといいでしょう。

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2013年3月27日 (水)

気が散った状態で食べると食事量は増える

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

少し古いニュースになりますが3月15日のロイターヘルスの記事を取り挙げよう。

テレビを見ながら、ゲームをしながら、それとも、本を読みながら食事をすると、ちゃんと食卓に座って食事をしている人より摂取カロリーが増えるようで、特に遅い時間帯の食事でその差は顕著になることが新しいメタアナリシスの結果から示された。

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2012年5月13日 (日)

睡眠時間と体重...と遺伝子

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

2012年5月1日付けで Medical News Today に " Plenty Of Sleep Helps Keep You Slimという記事が載りました。タイトルは読んで字のごとく「たくさん寝ればスリムを維持できる」という、何のヒネリも無いそのものズバリです。

そして記事の冒頭はこんな書き出しです。曰く、

睡眠時間が増えれば、遺伝子は体重を検知することが減るし、睡眠時間が減ると、遺伝子の影響が強まる。言い換えると、睡眠時間が減ると体重が増えるし、たくさん寝ればスリムを維持できる。

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2011年10月26日 (水)

ファーストフード店の利便性と摂取量の関係

文:屋台ブルー <ライフログオーガナイザー>

今日は小ネタを小々、ライフログの古い記事をフォローする。2008年の1月23日に紹介した「ファーストフード vs フルサービスレストラン:どちらがまし?」で、ファーストフード店の比率が高い地区に住んでいると肥満傾向になるという内容を紹介した。しかし、近所にファーストフード店があっても本当にファーストフードの摂取量が増えるのかどうかは分かっていなかった。今年の10月の雑誌BMC Public Healthでこの関係を調べた報告(BMC Public Health. 2011;11(543) © 2011 BioMed Central, Ltd.)が載っていた。

National Longitudinal Study of Adolescent Healthに登録されている若者(18-28歳)13,150名の2001-2002年のデータを使って、近所にあるファーストフード店への利便性と個々のファーストフードの消費量の関連を、人口の密集(都市)レベルを階層化して調べた結果、ファーストフード店の利便性は、非都市部、低密集都市部、もしくは高密度都市部においても、一週間の消費量と関連性が見いだされなかった。

この結果から、若者のファーストフードの摂取量を減らす目的のためにファーストフード店のロケーションによる利便性を悪くする方策は成功しない可能性があるという。もう少し特定の条件、学校や職場に近いファーストフード店のあり方や、都市部や非都市部に特異的なファクター、それに個々のライフスタイルや嗜好性を今後考えていかなければならないでしょう。

近くにファーストフード店があるから食べる量が増えているという単純な話じゃ無いってこと。近くにあるモノだから食べるほと若者は馬鹿じゃ無いけど、遠く離れていてもファーストフードを食べている若者の実体がみえる。ファーストフードに毒されて中毒になれば、どこにでも買い求めていくのだろうか... 恐ろしい。

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2011年9月25日 (日)

減量維持の鍵はタンパク質

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

香川を元気にするクリエイター集団で構成される超10プロジェクトに参加してはや2年、今月から月一で記事を投稿することになった。基本的にライフログとかぶるトピックを扱うので、同じ記事をここでとり挙げるよ。

最初の記事は、ダイエットを維持させるためのポイント。減量をするために炭水化物をコントロールすると効果的ではあるが、減量した体重を維持、リバウンドさせないために鍵になるのがタンパク質だ。この考えをサポートする報告があったので紹介しよう。

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2011年8月 8日 (月)

噛む回数と摂取カロリーの関係

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

この記事を読んで以来、食事の度に実践しようとしているのですが、かなり意識して食卓に臨まないと、「あっ、いけない、つい、うっかり・・・」ということがしばしばです。

でも、うまくいったときは、「うん、なんとなく、そんな気がするよなあ・・・」と感じることもあります。

何のことかというと・・・

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