カテゴリー「健康」の記事

2012年9月22日 (土)

ビールで筋肉老化防止?

文;屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

フラボノイド、馴染みのある栄養素で身体に良さそうですよね。

しかし、フラボノイドって何ですか?と訊ねてみても的確な答えは返ってこないことが多い。医療の専門家でもフラボノイドを正確に説明できる人は少ないのかも。

じゃあフラボノイドって何なんでしょう。9月20日の日本経済新聞「ビールが筋肉老化抑制 毎日83リットル飲めば」と9月21日の朝日新聞「ビール、筋肉の老化防止」で紹介されたニュースが少し話題になっているんで、オリジナル文献の記載を使ってフラボノイドの説明をしていこう。

エクササイズ・ピル」の記事を書いた頃に読んだ文献の抄読会風とはいかなけいど、イントロダクションを中心に話をする。イントロダクションに最近の話題が書かれているからね。

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2012年3月28日 (水)

介護施設入所者のビタミンDが下がると死亡率は上がる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

皆さん、更新が遅くなって申し訳ありませんでした。忙しい時期でも定期的に記事を書いていく習慣を身につけないといけませんね。健康生活も同じようなもの、毎日のちょっとした積み重ねが重要なのは分かっているんですけどね。

実は先日、一般向けにビタミンDの講演をしてきました。そこで今回はビタミンDの話題をとり挙げましょう。

ビタミンDの健康に対する考え方はここ5年で様変わりしている。 くる病の治療薬から始まり、身体のミネラルバランスや骨の代謝に関わることから、骨粗鬆症のような骨の代謝疾患の予防効果が注目されていた。しかしながら、最近は骨以外の作用に関心が向いている。

一般的な癌、高血圧症、心血管疾患の発症、脳神経の成長などに関わるという報告から始まり、骨以外のビタミンDの作用が今まさにホットな話題で、日増しにその重要性が注目されている。さらに、欧米ではビタミンDの不足状態もまん延していることが明らかになり、米国では昨年、2011年にビタミンD欠乏の治療ガイドラインが改訂されました。詳しい内容は次のエントリーを見て下さい。

ビタミンD欠乏症に関する治療ガイドライン

概略を書けば、乳幼児から高齢者までのビタミンDの推奨摂取量が15μg、上限量は8歳以上で100μgになっている。日本ではどうでしょう。厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年阪)が出ています。この基準は2009年(平成21年)に、次の5年間の使用目的のために公表されたもので平成26年、この先2年間我々が基準にしていく値です。詳しい内容は厚生労働省のホームページに掲載されているのでみてください。

厚生労働省 > 日本人の食事摂取基準(2010年版) > ビタミン(表)

この中のビタミンDの摂取基準をみると、ビタミンDの摂取目安量は5μgで上限量は50μgである。これは単純にみても推奨量で3倍の開きがある。

欧米でまん延しているビタミンD欠乏のまん延が日本で見られないからでしょうか?

日本でも小規模ながらビタミンDレベルの調査がされた。2010年の7月に長寿医療研の報告をみると、愛知県内の介護施設に入所している寝たきりになっていない女性435名を対象にビタミンDレベルを調べたところ、8割がビタミンD不足という結果だった。これは欧米の結果と変わらない。実は日本でもビタミンD不足は問題になっていることがわかった。

最近、初めてビタミンDと死亡率の関連性が報告されたので紹介しよう。

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2012年3月27日 (火)

ハンガリーのポテチ税

文:人見訓嘉 <info@coneri.co.jp>

私のような医学的専門知識を持たないものが健康を論じるとき、医学的裏付けの必要な話よりも、社会的、経済的な話に注目してしまう傾向があります。昨年9月からずっときになっていた、ハンガリーで、塩分や糖分の高い食品に課税する、通称「ポテトチップス税」が施行されたニュースはその一つです。

以下AFP BBニュースより引用しつつ。

「新税導入を推進した議員はAFPの取材に対し、『不健康で高価な食品は食べないように、という消費者に向けたメッセージであると同時に、メーカーに食塩・砂糖の使用量を削減するよう促す意図もある』と説明した」そうです。

これはまあ、健康の話。こうやって健康を気づかうと、結果、行政が負担する医療費が下がっていくのだろうと思います。それは、税を負担する現役世代ウエルカムです。

ニュースは、続きます。

「課税対象は袋入りスナック菓子、クッキー、炭酸飲料、栄養ドリンクなどで、国内メーカーと輸入業者が納税義務を負う。国民の食習慣の改善と肥満対策が目的だが、厳しい経済情勢の中で歳出削減に取り組む同国政府としては、年7400万ユーロ(約81億2300万円)相当の税収アップへの期待も伺える。」

課税をして、歳入増にもつながる、と。

そして、今度は食品業界からの視点です。

「ハンガリー食品生産者協会は、『業界への相談もなく早急に導入された法律で、中小生産者を苦しめるだけだ。外国企業を撤退に追い込み、闇市場をはびこらせることになる』と憤りを見せている。地元紙によると既に、ポップコーン工場の建設を計画していた独メーカーが「ポテトチップス税」の導入を受けてハンガリー進出を断念している。」

以上を総括すると、健康を気づかう国の規制・課税は、歳入増と健康関連の歳出の抑制につながるものの、食品会社の操業を圧迫すると、今度は法人税などが落ち込んでしまいます。そこに雇用されている人たちからの税金も見込めなくなるかもしれません。

健康にいい施策を国が実施するということは、生活者からすると歓迎ですが、短期的な利害と長期的な利害が錯綜し、それはなかなか難しい問題です。消費者の購買意識から食品業界を変えていくというのが、もっとも自然なのかもしれませんね。

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2012年2月16日 (木)

太りすぎの医者からダイエットやエクササイズのアドバイスは得られにくい

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

先月面白い報告を見つけた。太っている医者からダイエットやエクササイズのアドバイスは得られにくいという内容だ。実は私も2000年の頃は太っていて、身長172cmで84kgだったから、肥満の指標になっているBMI値は28を越えていた。この頃、患者さんにダイエットやエクササイズの話をしたことが無い。自分の体重をコントロールする方法を知らなかったから患者さんに勧めることができなかったからだ。

今日の報告の中で、太った医者が減量や肥満に関して患者さんと話し合わない理由として、「身体を動かせ」や「食べる量を減らせ」なんてアドバイスに効果が無いからしないという説明があったけど、太った医者は肥満を軽視して減量しないのか、減量をしようとしてもやり方が分からないからだろう。もし前者の理由なら悲しい事だ。メタボ対策の中心にいなければならないのに、「私もメタボですから」と笑って話すようじゃやりきれませんよ。

私の周りで減量に取り組んでいる先生方は増えている。自ら実践して成功した方法には説得力がありますよね。予防的なスタンスに立っている医者は少ないけど、医療費抑制のために重要な役割があると思っている。少なくとも私の所にいらっしゃる人には利益になる知識を提供しています。皆さん、健康的に生きていきましょう。

今日は、既に「超10ブログ」に投稿した内容を紹介する。

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2012年1月16日 (月)

マラソンで右心室機能不全に陥るかも

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

読者の皆さま、寒中お見舞い申し上げます。新年の挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。今年もよろしくお願い致します。

昨年から私自身のクリニックに変化が始まっており今年も続く予定です。皆さんに報告できる時期がきたらここでもお知らせしますが、当面はブログの定期的な更新を心がけます。

Life-LOG(ライフログ)ではゲストライターとしてfumixieさんとctomさんに記事を投稿していただいていますが私の記事が少なかったので助かりました。この場をかりてお二人に感謝を申し上げます。昨年は本当にありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。実は、昨年から超10プロジェクトの代表の人見さんにも記事投稿をお願いしていたのですが、「地域も学校」というプロジェクトで忙しく、なかなか投稿していただけません。今年は「地域も学校」絡みの内容でもお知らせしていただければと思います。人見さん> よろしくお願いしますね。

さて、その超10プロジェクトですが、私も彼のブログに記事を投稿しています。今年の記事を先日アップしましたが、その内容をここにも掲載します。

では、皆さん、今年も健康生活を邁進しましょう!
2012年1月16日 田井祐爾

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2011年10月21日 (金)

ビタミン・サプリメントで死亡リスク上昇?

文:屋台ブルー < ライフログオーガナイザー >

とある学会に参加した時、発表スライドでご自分の服用サプリメントを紹介されていた演者の先生がいらして。その種類と数に驚いた事がある。

サプリメントを服用している一般人は多いけど、医療関係者でも多いんだと感じた瞬間だった。

私はサプリメント否定派で、サプリメント無しで健康的な生活を送るための情報提供をしているつもり。私が好きな「内科開業医のお勉強日記」の先生も同意見のようだ。

サプリメントというのは栄養補給食であり、栄養状態の良い人への投与というのはベネフィットよりリスクの方が大きくなる。そして、野菜果物などに代替できるるようなものではない。
サプリメントはあくまでも不足している栄養素を補充するものであり、足りない栄養素があるってことは、食習慣の改善余地があることを意味する。特殊な状況でないかぎり安易にサプリメントに頼らないほうがいいと思う。

私は今日のニュースをみて嬉しくなりました。安易にサプリメントを服用すると死亡リスクが上昇するかもしれないってことだ。

ライフログでサプリメントの弊害報告をあまりしてなかったけど、これからとり挙げていこうと思う。サプリメントの弊害をとり挙げて説明しているのが「内科開業医のお勉強日記」である。興味がある人は読んでください。

マルチビタミンやいわゆるサプリメントの有害性

しかしながら、2つの重要な事を頭に置いてください。

まず、何度も繰り返して説明しているけど、今回の報告は疫学調査、そう観察研究だってこと。因果関係はわからないから、サプリメントの服用が原因で死亡リスクが上昇したかどうかはわからない。あくまでもサプリメント服用と死亡リスク上昇に関連性が示されただけ。だから今日の記事タイトルに「?」を入れている。考えようによっては、調子が悪いからサプリメントを服用しているかもしれない。まあどちらにしても調子が悪くて服用していても効果がないってことにはなりそうだ。

そして、次に重要なことは、サプリメントを服用していても実際は何を摂取しているのかわからないってことだ。サプリメント愛好者は次のライフログのエントリーを必ず読むように。

Life-LOG:あなたの飲んでいるビタミン剤は安全?

要するにビタミンを摂っていても有害な物質を摂っている可能性が大いにあるってこと。

私はビタミン剤を長期服用する気は無いですね。食材でも汚染を考えなければならないのにサプリメントの安全性を考えるなんてしたくないね。やっぱり野菜や果物をしっかり食べる方が好きだな。

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2011年10月14日 (金)

コーヒーでうつ病の予防?

文:屋台ブルー < ライフログオーガナイザー >

バタバタしているとあっという間に時間が過ぎます。10月ももう中旬!あれ?そういえば、超10医療のコラムを書いていなかった!!!!

ライフログの記事と重なっていいから投稿して欲しいと代表の人見さんに頼まれて、先月から寄稿を始めたのですが、締め切り日の毎月10日がいつのまにか過ぎてしまっていた(^_^;)

そのうえ、前回の寄稿内容をライフログに紹介することも忘れてました...

前回の内容は、「リバウンドしない減量維持の秘訣はタンパク質」というタイトルで新しい知見を紹介しているので、ダイエットをされている人は是非目を通しておきましょう。

めざせ、超10! > 超10医療 〜田井祐爾医師の寄稿〜 > リバウンドしない減量維持の秘訣はタンパク質

さて、今月の超10医療の内容は、私の大好きなコーヒー。大量摂取者としてコーヒーを擁護する報告ばかり紹介しているので、コーヒー好きのあなたも是非一読してください。

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2011年7月19日 (火)

葉酸摂取の多いスウェーデンのティーンエイジャーは成績がいい

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

久々に葉酸関連の報告をしよう。今日もMedscapeからニュースを紹介するからリンクはできない。勝手気ままな意訳になっているんで、正確な情報を知りたければ、今日のニュースの元ネタになっている雑誌Pediatricsの7月11日号に掲載された「High Folate Intake Is Related to Better Academic Achievement in Swedish Adolescents/スウェーデンの思春期における葉酸の高摂取は成績の良さに関連がある」を確認してくれ。

子供を持つ親として今日の報告は興味深い。まあ、私がいつも言っているバランスの取れた食事をができていれば葉酸摂取不足にはならないと思うけど、子供の食事の責任は親にあるからね。いい加減な食事しか与えず子供の成績が悪くても文句を言わないように(^_-)

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2011年1月13日 (木)

就学前の子供の高血圧因子 - 親の喫煙の影響

ブログの大先輩で、お手本にしようとしている内科開業医のお勉強日記で、子供の前でタバコを吸う親のことをアホ呼ばわりしていて嬉しかった(^^;)

ここでとり挙げられている文献、 「Determinants of Blood Pressure in Preschool Children The Role of Parental Smoking(就学前の子供の高血圧因子 - 親の喫煙の影響)」は、ドイツの疫学調査であり、高血圧のリスク因子になりえる、BMI値、成熟度、出生時低体重、両親高血圧などの交絡因子で補正した後でも、親の喫煙は、単独で子供の収縮期血圧を1mmHg上昇させる因子になっているというもの。

平均年齢5.7歳の就学前の子供達4236名を調査していて、彼らの父親の喫煙率は28.5%、母親は20.7%、両親は11.9%だった。

日本の喫煙率はどうなのか、 ウィキペディアで調べてみると、2002年の明治大学国際日本学部が調査した主要先進国の喫煙率が紹介されていた。これを見ると日本の喫煙率は33.1%で、ドイツが35.0%だった。なるほどドイツは日本より喫煙率が高いから問題は深刻なのだろう、と早とちりしてしまいそうですが、このデータは2002年... もうかれこれ10年前のデータになる。状況はガラリと変わっているだろう。

そこで推測してみる。このドイツの報告、今のところサマリーだけしか手に入らないので親の年齢が分からないけど、就学前の子供のいる親だったら30歳代だろうね。

すると、JTの2009年の調査を見れば、30歳代の男性喫煙率は46.9%、女性は16.8%になる。子供の有無による喫煙率の変化が分からないため、ドイツの結果と直接比較できないけど、日本の男性喫煙率の高さが気になってしまう。

さらに驚いてしまったのが、 2007年の日本禁煙学会の報告。男性の都道府県別喫煙率ワースト1位がなんと、香川県... 悲しいね。

禁煙外来をしているので、香川県の男性諸君、禁煙をしましょう...

文:屋台ブルー

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2011年1月 5日 (水)

ビタミンD不足で子供達は太る

CartmanbeefcakeNewlogo

以前の記事に書いたけど、脂溶性物質に注目してて、最も注目しているのがビタミンDかもしれない。脂溶性物質をリガンドにする核内レセプターが存在するってことは、遺伝子の転写制御をしている事になり、生体内の代謝にかなり影響を与えているだろう。

こういう物質を「ビタミン」の範疇においておくと、単なる補酵素のように考えてしまいがちだけど、実体は、もっと高レベルな働きをしていて、生体においてかなり重要な物質なんじゃないかな。だから、不足にならないために生体は皮膚で合成する能力を持っていると考えてもいいかもしれない。しかし、昨今の紫外線予防の行き過ぎた啓蒙、野外活動性の低下が著しい先進国では、ビタミンD不足に陥っている人が多いという話らしい。

実は、日本におけるビタミンDの疫学調査の報告もされている。記憶に新しいのが、昨年7月に報告された長寿医療研の調査。愛知県内の特養や介護老人保健施設、認知量グループホーム計46施設に入所している寝たきりになっていない女性435人、平均年齢は86歳の被験者の血中ビタミンDレベルが調べられた。ビタミンDが不足とされる20ナノグラム未満だった人が8割近くいたそうだ。自宅で生活する70〜80代女性はもう少し高値ではあるが、自宅生活をしていでも外に出ない人はビタミンD不足が懸念されるって内容でした。

実は多忙な生活を送っている病院勤務の医師もビタミンD不足になっているという報告もある。日に当たる機会が極端に少なければ、年齢に関係無いのがこのビタミンD不足問題だろう。

私のクリニックに通院されている患者さんの中にも当然ビタミンDが不足している人がいる。彼らに対して、日光浴の指導をしますが、積極的にビタミンD製剤を処方してますね。当然、日中クリニックに籠もりっぱなしの私もビタミンD不足の危険性がありますが、野外を走っている御陰かどうかわかりませんが、今のところ不足にはなっていませんでした。

ちょっと注意しておかなければならないのが、ビタミンDの合成は、日光の影響を受けているため、北半球に住んでいる我々は、ビタミンDの「北緯35度線」問題に引っかかってくるんだ。冬場になると合成のための十分な日照時間が得られにくいんだ。ビタミンD不足の確認も冬場にする必要があるでしょう。

さて、今日のDiet Blog(ダイエットブログ)の話題はビタミンDと子供達。この研究も疫学調査なので、ビタミンD不足と肥満に直接関連性があるとは言えない。屋内に籠もる子供の消費カロリーは少ないから肥満傾向になりやすいし、外に出ないとビタミンDのレベルは低いからね、文献を読んでいないので交絡因子をどこまで考えているのか分からないけど、ビタミンDと肥満の関連性はあると思うよ。

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