カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2008年7月 5日 (土)

ここがおかしい 日本人の栄養の常識

こんな所でぶっちゃけて話す必要はないけど、私は本を読むのが遅い。全然自慢にならないから、ここここ、そして有名なここを読む度に。溜息しか出ないって感じだ。

「あんなに読むのは無理だ。」とネガティブな気持ちにならないで、多読できる人がいるんだから私もいずれ出来る気がしている(笑)。そんなわけで本を持って歩くようになった(笑)。

私の読書の話はさておき、ネットで偶然巡り会うことができた松本先生に紹介してもらった本、桜美林大学の柴田博教授の書いた「ここがおかしい日本人の栄養の常識」を紹介しよう。

東京都老人医療センターの老人研で行われた100歳検診のデーターによると、少々小太りの人のほうが長生きであると報告されています。今日の少々メタボの人のことです。」と、松本先生はブログでおっしゃっていたので、その根拠をお尋ねしたところ、この本を紹介していただけました。

読んでみると、興味深い視点(国民健康栄養調査のデータ)から今の日本人の栄養状態を論じているから、欧米のデータを紹介している私のような人間には、いい戒めになりました。

それでも、柴田先生の論法に納得できない部分はある。ざっと取りあげて自分の知識の整理もする。

これだけは納得できないという点を1つ挙げる。「太っている人ほど早死にする?」のセクションにはやっぱり問題があるだろう。

メタボリックシンドローム(以下メタボ)の定義は新しい(概念は古いけど)。メタボっていうのは内臓脂肪の過多な状態(内臓脂肪面積100平方センチメートル以上)であり、BMI値と関係はない。どうもBMI値とメタボを混同してしまう人が多いようだ。

この定義は新しいので、メタボは長生きできるかどうか今の時点で答えは無い。これからの前向きな研究で明らかにされていくだろう。したがって、今は断定的なモノの言い方はできないはずだ。

内臓脂肪を多少つけて長生きするよりも、ガリガリにやせて早死にする方がよいと考えるのは、特殊な美意識の持ち主か、タコツボ的専門家のみであろう。

柴田先生のこの発言は極端すぎるんじゃないかな。説明している柴田先生自身が内臓脂肪過多とBMI値を混同しているように見受けられる。というのも先生が根拠にしている国民健康栄養調査には、内臓脂肪に関するデータ(腹囲)は全く含まれないからだ。

先生は、「太っている=BMI値高値」という考えを持たれているから、日本人のデータを見て、「BMI値低下=太っていない」という結論になっている。

しかし、日本人にとって、そもそも「太っている=BMI値高値」という考えが当てはまらないんじゃないかな。日本人の肥満は白人や黒人の多い欧米の肥満と異なる(まだ確証は無い)。人種差で説明もされている。インスリン分泌能が弱いんじゃないかとか、節約遺伝子の発現に差があるんじゃないかとか、色々な理由が挙げられていて、明らかに肥満状態に差がありそうだ。

日本人は、健康的な肥満者は少なく、少し肥満が進めば病気を発症させてしまう特徴がありそうだ。腹囲(メタボのスクリーニング検査)が85センチの男性で、平均BMI値22(2年前の坂出市民病院の健診データより)というデータがある。そもそも腹囲85センチで内臓脂肪を評価する点に問題はあるけど、BMI値で肥満かどうかの判断はできないだろう。

まだまだ腹囲を含めて検証の余地はあるし、日本人の肥満の定義がハッキリしない今、BMI値で健康かどうか論議すること自体無駄だろう。ゆえに柴田先生のように断定したモノの言い方をされると抵抗を覚えてしまうのは私だけ?

その他の気になるところを挙げると、女性ホルモンのエストロゲンは脂肪組織から分泌されるって話も知らなかった。コンセンサスの得られている情報なのだろうか?もしそうなら私の勉強不足になるだろう。少し調べる必要がありそうだ。

「糖尿病が激増している?」のセクションで、柴田先生達が調査している群馬県の40〜79歳のT村の住民のヘモグロビンA1c(糖尿病マーカー)の10年間のトレンドを示している次の図を見てください。

Hba1c

このデータでみても、糖尿病が一貫して増えているとする根拠はまったく見当たらないことがわかる。

差があるように見えるのは私だけなんだろうか。確かに空腹時血糖の推移のグラフ(示さないけど)は年次的な変化が見られなかった。しかし、血糖値とは異なり、ヘモグロビンA1cの場合、0.1の変化に大きな意味があるんじゃないだろうか? 確かに糖尿病の増加の説明になっていないだろう。しかし、将来、耐糖能異常の問題が出てくると示唆しているように見えるんですけど...

最後にもう一つ、「良い食品、悪い食品がある?」のセクションで、「良い食品と悪い食品に分ける発想は、食と栄養のバランスに対して最も有害なものといえよう。」と書かれているけれど、この考えには同意できない。栄養素偏重主義に反対して食品を食べようという考えには同感できるけど、加工食品の問題に触れていないところが不十分だと思う。同じ油でもトランス脂肪酸のような人工物の問題にも触れて欲しかった。

健康科学の世界もいまだ ”植民地” である。日本に多い病気の専門家より、欧米に多い病気の専門家の方が多い状態であるからだ。

柴田先生のこの言葉には考えさせられる。本当にまだまだ分かっていない事だらけだ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年5月16日 (金)

夜中にラーメンを食べても太らない

最近、本の紹介をしていないな。どうも私は読むスピードが遅くて1日1冊のペースなんてできやしない。

そんなわけで、「できる人間」からほど遠い私のやれることは、このブログ。最新のダイエットニュースを紹介している所は少ないから、ちょっとユニークじゃないかな。

さて無駄話はやめて、今日紹介するのは、私の相方が買って読んだ本、いつも私が言っていることと同じ事を書いてあるというから、ちょっと読んでみた。

著者の伊達友美(ダテユミ)さん、1967年生まれ。おっと似てるじゃん。自身の20kgのダイエット経験から、ストイックな食事制限ではなく、「食べて痩せる」ダイエット。これも私と同じじゃん。

ここまではほとんど同じだけど、ちょっと違ってくる。彼女は多くの女性から支持を受けている。あれ、私は、自分の患者さんからしか支持を受けてないよ。アンチエイジングクリニックのカウンセラーとして3000人以上の食事を指導する、んー、私は50人ぐらいしか指導してないな。

読んでみたらわかるけど、伊達さんの言うとおり「ポジティブシンキング」は重要な事だろう。身体に悪いものを避けていくと何も食べられなくなりストレスを感じる。でも、身体に良いものを食べて浄化させると思えば、楽にダイエットに取り組める。

それから、ダイエットと言っているけど、ライフスタイルの改善が根本にあるところも同じ。やはりというか、伊達さん、管理栄養士なんで、栄養学の知識を取り入れた無理のない話の展開だ。

本当に良くまとまった内容だと思う。

でも最近、ダイエットに関して何にでも懐疑的になっているので、「これ本当か?」「どこにそんな根拠があるのか?」「説明が足りないんじゃない?」など、疑問符が次から次へと生まれた。

まあ新書版サイズなんで言いたいことを全部書くのは不可能なんだろう。でも一般的に受けいられていない事象を話す場合、根拠となるデータが示されていないと納得できない。

医者の本ならリファレンスが付いていることは多いけど、管理栄養士さんは付けないのかな?

ある程度強引に読者を引っ張らないとカリスマ的な支持は受けられないから、本を売るための戦略なんだろうか?

私が一番気になるのは、副題についている「男のための食べやせ革命」。ダイエットに男と女で違うのか?男はクオリティーの高い肉食をしろというのも納得できない。

私も同じだけど、彼女もニュートリショニズム(まだ説明してないけど今後説明するから)に囚われているようだ。できるだけ栄養素に対して客観的に見る立場をとらないといけない。

私の食生活の基本は「フレッシュな果物と生野菜」だけ。加工食品は無し。添加物と農薬も無し。汚染されていない肉と魚を少し入れてやるのが理想。

はっきり言ってこんな食生活を現代社会ではできない。妥協しなければならない。だから、妥協の仕方が重要になる。その妥協法をできるだけ多くの人に伝えたいと私は思っている。

Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年4月16日 (水)

チキンに付いた嘘のラベルに騙されているでしょう?

Newlogoちょっとだけ訪問者が増えているような気がする。リピーターからのコメントは嬉しいですね。参考になっていると思っていいかな。他にも定期的に読んでいる人がいらっしゃればコメントをください。

さて、今日のDiet Blogは加工食品のラベルの話。日本でも低カロリーで人気のあるチキン、肉食の国アメリカでは加工食品の種類も量も多いことだろう。日本で言えばハムやソーセージが匹敵するだろう。

ラベルの嘘というかトリックは日本でも同じ事。私がここで紹介する安部司氏の「食品の裏側」にも同様な話題が出てくる「プリンハム」だけど:

ハムの原料はもちろん豚肉ですが、たとえば100キロの豚肉のかたまりから120〜130キロのハムをつくるのです。では、増えた20キロは何か?もちろん「つなぎ」で増量させているのです。増量させるために一番安くて便利なのは「水」です。しかし水をそのまま入れ込んだのでは、肉がグチャグチャになってどうしようもない。そこで加熱すると固まる「ゼリー」を使用するのです。

スーパーで売られているハムに貼ってあるラベルの原材料表示を見てみたらいいでしょう。ハムなのに、「大豆タンパク」「卵白」「乳たんぱく」なんて表示があると、これがつなぎの「ゼリー」だ。

ファーストフードのチキンに関する話はまた別の機会にしよう。

Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "チキンに付いた嘘のラベルに騙されているでしょう?"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月27日 (木)

Good Calories, Bad Caloriesの良いとところと悪いところ

Logo_dietblog昨日は午後から忙しく、記事のアップができず申し訳ない。今日のdiet-blogの話題は、以前に紹介したGood Calories, Bad Calories、話題になっているこの本に対する批評だ。私も既に購入しているけれど、まだ読めていない。本が分厚いし英語なのでちょっと時間がかかるだろう。しかし、今日の記事を読んでアウトラインがつかめたので読みやすくなった。

続きを読む "Good Calories, Bad Caloriesの良いとところと悪いところ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月30日 (水)

グッド・カロリー、バッド・カロリー

Logo_dietblog最近になってアメリカで話題になっている本がある。今日紹介するGary Taubes氏の書いた「Good Calories, Bad Calories: Challenging the Conventional Wisdom on Diet, Weight Control, and Disease」がそれだ。豊富な研究データを紹介し、現存するダイエット法を科学的に検証している。早速、彼の本をAmazon.comで注文した。今日の和訳はかなり意訳しているので悪しからず。

続きを読む "グッド・カロリー、バッド・カロリー"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月21日 (月)

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

岡田斗司夫氏って誰?何者なのか知らなかったけど、本屋に並べられていた本の帯に写る強大なパンツに身を入れた細身なおじさんの絵柄にはインパクトがあった。「1年で50キロの減量に成功!」のふれ込みも人を惹きつける。そう、私も本書を手にしていた。

レコーディング・ダイエット、食事記録を詳細につけることで自分の食生活の行動パターンを認識し、改善させるという伝統的なダイエット法の説明であるが、なぜ、この本が売れているのだろう?

続きを読む "いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 8日 (火)

医師がすすめるウオーキング (集英社新書)

予防医学の話をしておこう。どうも最近ランニングの話題ばかりなので、走らない人には飽きられているみたい。正月休みに帰省していた弟の嫁さんからつまらなそうに言われた。

私はあんまり本を読まない。というか遅読なんで読む本が少ない。なんとか今年は多読しようと思っている。ちょっとずつだけど読んだ本の紹介。

メタボリックシンドローム対策の二本柱、食事療法と運動療法、どちらが重要かと訊ねられたら、食事療法だといつも答える私だけど、今回は運動療法の話題。まあ、どちらにしても習慣化させるのに苦労が伴う。

結局、実行しやすい方から始めるスタンスでいいと思う。しかし、どちらから入っても、いずれ両方の改善に取り組まなければ、迫り来るメタボな状態から逃れられないだろう。

今日は泉嗣彦(イズミツグヒコ)著の『医師がすすめるウーオキング』(集英社新書)の話。

続きを読む "医師がすすめるウオーキング (集英社新書)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)