カテゴリー「ニュース」の記事

2009年11月10日 (火)

食事量を減らしたいなら、ゆっくり食べる必要があるだろう

糖尿病治療のため、私のような町医者にも新たな武器が加わる。インクレチンと呼ばれる消化管ホルモンをターゲットにした新薬、万有製薬と小野薬品から「ジャヌビア錠」「グラクティブ錠」とう商品名でジダグリプチン(DPP-IV阻害薬)が発売されるからだ。

腸管と膵島の関連性(the enteroinsular axis:腸管膵島軸)に絡む消化管ホルモンをインクレチンと呼ぶけど、小腸に流入した糖質刺激により分泌され、膵島からのインスリン分泌を促進させる。その他、生理活性は色々あるけど、この活性化したインクレチンは、数分で分解されて失活してしまうという。その分解に関わっているのがジペプチジルペプチターゼIV(DPP-IV)という蛋白分解酵素。この酵素を阻害することでインクレチンの活性を保つ事ができるから、DPP-IV阻害薬はインクレチン・エンハンサーと呼ぶ糖尿病薬に分類される。

このインクレチン・エンハンサーによるインスリンの分泌様式は、今までのインスリン分泌促進薬であるSU剤のとは決定的に異なっており、生理的なインスリン分泌を促し、血糖が低いとインスリン分泌は起こらず、低血糖を起こさないという。これこそが、糖尿病薬として非常に重要な側面であり、医療関係者が最も注目しているところだろう。しかし、このインクレチン、他にも色々な作用を持っている。たぶん、すべて分かっているわけじゃないよ。中枢性食欲抑制作用ってのもあって、これは糖尿病患者さんに限らず、肥満の患者さんにも好ましい作用なんじゃないかな。

実は、このインクレチン、薬に頼らなくたって、自分の身体が本来分泌しているホルモンだ。

今日のロイターの記事はそんなインクレチンに関する話題だよ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "食事量を減らしたいなら、ゆっくり食べる必要があるだろう"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年11月 4日 (水)

コーヒーは子宮体癌のリスクを低下させるかも

ここのフリクエント・リーダーなら私が無類のコーヒー好きって知っているよね。

お酒は好きでも毎日飲まない。しかし、コーヒーは毎日欠かさず飲んでいる。目覚めの1杯から夕食後の1杯まで、時には寝る前に飲んで寝る。もはやカフェインは私の睡眠にさえ影響を与えていないようだ。

コーヒーだけは、節度を持って食事をするという理念から外れてしまっていて、患者さんからもよく咎められる。

「まあ、誰にだって弱点はあるさ。少なくともコーヒーの飲み過ぎて身体に悪いって言い切れないしね」、とお茶を濁してごまかしているよ(^_^;)

そんな訳で、コーヒーの話題があれば紹介してる。ある意味、理論武装してコーヒー擁護者になっているんだよ。今日もコーヒー好きには嬉しくなるニュースなんで紹介しよう。

これを機会に、「コーヒー」というカテゴリーを作ったから、コーヒー好きの人はチェックしてね。

その他コーヒーに関するエビデンスを知っていれば教えて下さい。吟味します(^^;)

さあ、コーヒーを飲み過ぎの私を責めることのできるエビデンスはあるかな?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "コーヒーは子宮体癌のリスクを低下させるかも"

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年10月30日 (金)

健康的なライフスタイルは糖尿病によい

皆さん、世界糖尿病デーを知ってますか?糖尿病は全世界の人々を脅かす疾患という認識から、2006年12月20日の国連総会議で11月14日を「世界糖尿病デー」として指定しました。今や世界で10秒に1人の命を奪っている糖尿病は、日本国内でも脅威になっています。40歳以上の3人に1人が糖尿病予備軍という状況の中、四国四県の糖尿病による死亡率は高く、県内の先生方は頭を抱えている状況ですよ。

11月14日になれば、今年で3度目になるけど東京タワーがブルーに染まるよ。青色の美しさに感動するんじゃなく、糖尿病デーのイメージカラーであるブルーを見て、自分たちの健康についてちょっと考えてみてよ。

今日のロイターの記事はちょっと古いけど、先週の火曜日にモントリオールで開催された第20回世界糖尿病会議で発表された内容を紹介する。糖尿病でも糖尿病で無くたって、健康的なライフスタイルを送ることで死亡率は低下するっていう当たり前の話だけど、当たり前のことが何故できないんでしょうね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "健康的なライフスタイルは糖尿病によい"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月17日 (土)

魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3

オメガ3系脂肪酸に関する話題
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)
オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?(09/04/15)
オメガ3系脂肪酸は黄斑変性症の進行を抑えるかも(09/06/11)
オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし(09/07/14)

久しぶりの「オメガ3系」脂肪酸のニュースだ。なんたって、ここはオメガ3系脂肪酸の専門ブログのように、「オメガ3」をキーワードにして来られる人が多いからね。右欄の検索フレーズランキングを見てよ。上位をキープしたまま。昨日のアクセス数は14。彼らのニーズに応えておかなきゃ。

私は専門家じゃないけど、色々調べていると詳しくなって楽しいよ。まあ医療ニュースを追いかけているだけなんだけどね。

本当にオメガ3系脂肪酸に関心があるなら、上記の記事を上から順番に読んでみるといいだろう。オメガ3系脂肪酸に関する情報はあやふやだよ。

今日のロイター・ヘルスのニュース記事だけでは、疑問が生まれるばかり。

疫学調査から相関があるって分かっても、因果関係が示される訳じゃない。それに、参加者の食事状況を調べているけど、どのように?文献を見ないと分からない情報だけど、質問票形式なんだろう。すると、EPAやDHAの摂取量は推定になるんじゃないかな。オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の比率も検討されていないよね。オメガ3系脂肪酸の摂取量が多ければオメガ6系脂肪酸の摂取量も相対的に増えているかもしれない。それだったら相殺される可能性もある。オメガ3系の効果が減少するから、心不全のリスクとの関連性が見いだせないのかも?どうなんだろう?

オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は相互作用をしているという基本的な概念を著者はどう考えているのだろう?

また、Geleijinse医師の説明の中で、オメガ3系脂肪酸は、心臓の電気的な活動性に関わっていると言っているが、その根拠を知りたい。文献に記載されているのだろうか?この考えの根拠が分かれば、私の知識欲も少し満たされるんだけどな。

糖尿病患者にはオメガ3系の効果があるかもしれないけど、やはりオメガ3系脂肪酸の摂取量だけで考察なんてできないだろう。生命活動はそんな単純なメカニズムじゃないということだ。

こう考えていると、この報告が何でニュースになるんだろう?という他の疑問が生まれる。研究報告の取り扱われ方も政治的な意図が絡むからね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3"

| | コメント (3) | トラックバック (2)

2009年10月 6日 (火)

研究から地中海式ダイエットでうつ病リスク低下

昨日と同様の「地中海式ダイエット」繋がりで、Reutersの記事を紹介しよう。

研究者は異なるが、昨日と同様の被験者を対象にした質問票解析の報告である。地中海式ダイエットとうつ病の関連性はありそうだが、理由は分からない、これから調べていく必要があるね。

さて、地中海式ダイエットなんだけど、皆さん知ってる?

野菜、果物、全粒穀物、豆類や魚が豊富で、オリーブオイル(不飽和脂肪酸)をたっぷり使う食事だよね。

私の食生活もどちらかと言えば、地中海式ダイエットに近いけど、魚より肉が好きで止められない。というか肉を選んでいるな。

そのかわり新鮮な野菜と果物を毎日欠かさず食べて、ドレッシングは、基本的にエキストラバージンオリーブオイルと酢に塩胡椒といったところ。

パスタは全粒粉パスタ、米は玄米を使っている。ソース類は基本的にトマトベース、クリームソースは滅多に使わないし、チーズ以外の乳製品も摂らない。

讃岐の人間なのに、うどんは年に数回、人を案内する時ぐらいしか食べない。うどん嫌いと思われるかもしれないけど、生まれも育ちも香川の讃岐人なのでうどんは大好きだ。しかし、健康のため食べないという選択をしているだけ。他に美味しい物も沢山あるから食べない自分を不幸だと思ったことはない。

それでも、最近、うどん屋の店主、たみ家さん[街角のうどん屋から]と仲良くなったから、うどん屋に遊びに行く。やっぱりうどんの摂取量も少し増えたかな。でも、たみ家さんに会いに行くのが目的だからね。

まあ、私の話はさておき、ライフログで取りあげた「地中海式ダイエット」のトピックをまとめてみた。

続きを読む "研究から地中海式ダイエットでうつ病リスク低下"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月28日 (月)

睡眠不足はアルツハイマー病に関与するかも:研究報告

パチパチパチ <- 自分で拍手(^^;)

とうとうアクセスカウンター10万を超えました!

まあ大した数じゃないけど毎日100人以上の訪問者が来てくれてる。明らかに私の外来に来られる患者数より多くなりました(T_T)。

まあ少しでも皆さんの健康思考(志向じゃないよ)の役に立っているといいんだけど、相変わらずコメントは少ないのでよく分からない。まあコメントに返事もしていないから無理もないけど。

少しばかりカテゴリーを整理していくつもり。「オメガ3」を検索ワードにして来られる人が多いので、まず、「オメガ3」でカテゴリーを作りました。不飽和脂肪酸の話題を入れていくよ。

「アルツハイマー病」を検索ワードにして来られる人はいないけど、私が一番恐れて気になっている話題なんで、「認知症」というカテゴリーを作りました。認知症をキーワードにして来られる人も増えるかな?

そして、日本人の死因トップの癌も関心があるところ。癌になってから健康的な生活を送る人も多いけど、癌にならない生活を送ることも重要だろう。そのものずばり「癌」というカテゴリーで発癌予防の話題を取りあげていこう。

今日はロイター・ニュースからアルツハイマーの話題を取りあげる。アルツハイマー病になるかならないかは、以前話題にしたけど、遺伝的素因が深く関わる。しかし、この遺伝子を持っていても発病のスイッチを入れるか入れないかは環境要因にあるかもよ。

睡眠不足が発病のスイッチを入れてしまう可能性があるという報告が先週の雑誌サイエンスに載った。アルツハイマー病になった血縁者がいる人は、自分にも遺伝的素因があるかもしれない。だったら睡眠不足にならないように気をつけよう。

と言っても、マウスの実験なんで、どうだか。アルツハイマー病に限らず、睡眠不足解消は健康的な生活習慣で重要ですよね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "睡眠不足はアルツハイマー病に関与するかも:研究報告"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年8月22日 (土)

なぜエクササイズで痩せられないのか

Timelogo

なぜエクササイズで痩せられないのか
Why Exercise Won't Make You Thin

By JOHN CLOUD/日本語訳 屋台ブルー

これを書いているけど、明日は火曜日で、心肺機能を鍛える日だ。両手と両足を同時に使うタワー型のマシーン、VersaClimberで準備運動を5分間して、階段を使った運動を30分間する。水曜日は、個人トレーナーに家畜のようにたっぷり1時間の仕事をさせられて、時には眩暈がおきてしまう - 1週間に食べたお菓子に対する虐待のようだ。木曜日は「身体よじり」のクラスがある。工夫を凝らしたエクササイズではあるが、1時間の間、嫌な体位を強いられる。金曜日は、5.5マイルのランが待っていて、余分なハーフマイルは、今週食べた美味しい食事の罰を償うようなものだ。

こんな風にエクササイズをしていた - 明らかに、何年も厳しくしていた、しかし、最近になって疑問に思い始めた:なぜこんな事をしているのだろう?不幸な結婚生活を終わらせた2年間、イタリアンデザートの食べ過ぎを自重した時期を除けば - 決して過体重では無かった。一般的に受け入れられ、何度も繰り返されて言われている我々の社会にある推論の1つが、エクササイズをすれば体重は減る。しかし、エクササイズをし続けているけど、結婚生活を終わらせ、デザートも減らして以来、体重は、いつもいつも同じ163ポンドで変わらない。大人になってから同じ状態だ。でも、椅子に座るとお腹周りの余分な脂肪がベルト越しにはみ出てくる。なぜエクササイズで消し去れないのか?

多くの人が訊きたい質問の1つだ。ヘルス・クラブに所属している米国民は、1993年に2300万人だっだけど、今や4500万人以上になっている。ジムの会員証のために年間190億ドル使っている。もちろん、参加してても一度も行ったことが無い人もいる。更に、1つの大きな臨床試験 - ミネソタ・ハート・サーベイ - によると、エクササイズを定期的にしていると多くの人は答えている。1980年からアンケート調査が始まったけど、最初は返答者のたった47パーセントが定期的なエクササイズをしていたと答えていたが、2000年の時点でその数は57%に増えていた。

しかし、同じ時期に、肥満の数は劇的に増えていた:連邦政府の公式見解によると、三分の一の国民が肥満で、もう三分の一が過体重だった。そうです、毎日エクササイズをする我々は、エクササイズをしなかった場合より、体重が増えてしまう可能性があるんだ。他の人と同様に、エクササイズをしたら空腹になり、エクササイズをしない日より、食べる量が増えてしまいがちだ。エクササイズは、実際のところ、減量の妨げになっているのだろうか?

エクササイズが減量のために不可欠という社会通念は、比較的新しい考え方である。1960年頃、医者は、事故を警戒して、高齢者に厳格なエクササイズをしないように忠告していた。今になり、医者は、例え高齢の患者さんでさえ、エクササイズを勧めるけど、多くの理由があるようだ:定期的にエクササイズをしている人は、あらゆるタイプの病気のリスクを低下させる - 特に心疾患、癌患者は少なく、糖尿病や他の病気も少ない。しかし、過去数年の肥満研究で、減量に関わるエクササイズの役割は、かなり誇張されていた。

「一般的に、減量に関して言えば、エクササイズは無駄だ」、とルイジアナ州立大学、糖尿病代謝部門の部長、エクササイズ研究家、Eric Ravussin氏は言う。最近の多くの研究によると、テレビのコマーシャルで何度と宣伝され、テレビ番組のThe Biggest Loserや、ついでに言えば、雑誌の記事で見られるような減量におけるエクササイズの重要性はない。

基本的な問題といえば、減量のために消費しなければならないカロリーをエクササイズで消費できるという事実はあるけど、他の効果があるということだ:空腹を引き起こしてしま。このため、我々はより多く食べていまい、結果的に、見込まれていた減量の効果を打ち消してしまう。エクササイズは、言い換えれば、減量には不必要で、より状況を難しくしている。

埋め合わせ問題

今年の初めに、雑誌PLoS ONE - PLoSは非営利の公共科学ライブラリー - にRacussin氏のグループ、ルイジアナ州立大学の健康賢者のタイトルを持っているTimothy Church医師によって監修された優れた内容の記事が掲載された。Church医師のグループは、定期的なエクササイズをしていなかった464名の過体重の女性を無作為に4つのグループに分けた。3つのグループでは、それぞれ個人トレーナーが付けられて、6ヵ月間、それぞれ週に72分間のワークアウト、136分のワークアウト、194分のワークアウトをするように指示された。4つ目のグループは、コントロールで、いつもと同じ活動を維持するように指示された。すべてのグループで、食習慣を変えないように指示し、毎月、医学的所見を訊ねる質問用紙に答えてもらった。

驚くべき結果になった。平均して、すべてのグループの女性、コントロールの女性でさえ、減量したけど、エクササイズをした女性 - 6ヵ月間、週に何回もトレーナーと一緒に汗をかいたのに - コントロールの女性に比べて明らかな減量ができていなかった(コントロールの女性が減量した理由は、定期的に健康状態を記入したから、食べるドーナッツの量が減ったのだろう。) どのグループでも体重が増えた女性はいたし、、10ポンド以上増えた人もいた。

一体全体何が起こっているのだろう?Church医師は「埋め合わせ(コンペンセーション)」と呼んでいる。しかし、これは誰もが知っていることだろう、例えば、ジムで激しい運動をすれば、その後、塩っ気が微妙に効いたカリッと揚がったフライドポテトを期待して舌なめずりをする。エクササイズをすれば食欲が出てしまうか、自分へのご褒美を考えるだろう(どっちも生じる可能性はある)、エクササイズをした女性の多くは、実験を始める前より食べる量が増えていた。もしくは、家に帰ってから、普段より動き回らなくなるように別の方法で埋め合わせをしていた。

この知見は非常に重要である。なぜなら、政府やいくつもの医学会は、減量を望んでいる人に、エクササイズをするようにお決まりの指導をしているからである。2007年の米国スポーツ医学会と米国心臓協会は、新しいガイドラインを発表して、「減量をするために... 60分から90分の身体活動が必要だろう」、と記している。この60分から90分というのは、ほとんど毎日のことで、仕事を探しているような人にとって、現実的じゃないし、Church医師のデータを基にして考えると、埋め合わせのための食欲をいとも簡単に生み出すだろう。

6ヶ月のワークアウトを終え、Church医師の実験でエクササイズをした人たちの、腹囲が僅かばかり、約1インチ短くなったという事実はある。それでも、コントロールに比べて体脂肪率の減少は見られなかった。何故なんだろう?

Church医師、41歳でバトン・ローグに3年近く住んでいて、彼は自分の理論を持っている。「私の妻の友達を取りあげてみよう」、と彼は話す。「彼女らはいつも、こんな風に言っているよ、『あれ、毎日1時間走っているけど、全然体重が減らないのよ。』」だから訊ねるんだよ、「走った後は何をしているの?」ある友達のグループは、スターバックスに寄ってご褒美のマフィンを食べていたんだよ。Church医師は強調する:「多くの人はわかってないんじゃないかな。たった200kcalか300kcalしか消費してないのに、半分のマフィンでそれを無効にしてしまっているんだよ。」

たぶん、半分のマフィンで丸一日を台無しにしてしまうとは思わないだろう、特に、エクササイズを定期的にしていると。でも、エクササイズで脂肪を筋肉に変えないし、脂肪組織より筋肉の方が効果的に余分なカロリーを対処する訳じゃない?

そうです、筋肉と脂肪組織の関連性は、しばしば誤解されていて、コロンビア大学のチームが2001年に雑誌Obesity Researchに発表した計算式によれば、1ポンドの筋肉は、安静時に一日6kcalの消費して、脂肪組織は2kcalの消費をする。これはどういう事かと言えば、ワークアウトをして、10ポンドの脂肪を筋肉に変化させたとしよう - かなり大きな進歩だけどね - こうしたら、毎日40kcalだけ余分に食べられる様になるけど、体重が増える前なら、これはバター小さじ一杯の量に等しいだけだ。幸運を祈るよ。

基本的に、人間は、必要な量を超えた余分なカロリーを捨てるように進化した種じゃない。他の種、ラットでは、人間に比べれば、遙かにカロリー過多に対処できる大きな能力を持っていて、それは、褐色脂肪と呼ばれる、褐色の組織を持っているからだ。褐色脂肪細胞は、栄養素をエネルギーに変える細胞のエネルギープラント、ミトコンドリアと呼ばれる小さな細胞小器官のスイッチを切ってしまうタンパク質を生産する。ミトコンドリアのスイッチが切られると、エネルギーの供給ができなくなり、文字通り熱を産生してしまう。そして、体温が上昇して、カロリーは苦もなく消費される。

齧歯類は褐色脂肪細胞を多く持っているので、実験で無理矢理食べさせて太らせるのが難しい。しかし、人間は - 我々は哀れである。褐色脂肪細胞をほとんど持っていないし、今年の初めまで成人に存在しているかどうかの報告も無かった。半分のマフィンで人間が太ってしまう原因の一つだ:使わないカロリーを一般的な脂肪細胞(白色)に蓄えてしまう。

こういことすべてから、過去30年にわたってされていたヘラクレスになるエクササイズ - 個人トレーナーをつけたり、StairMastersやVersaClimbersなどの器具;ピラティスの教室、ヨガの鍛錬やファットキャンプ - なぜ痩せられないか説明できる。エクササイズをすれば、マフィンやゲータレイドなどスポーツドリンクに含まれている糖質カロリーへの欲求が高まる。普通の20オンスのゲータレイドのボトルには130kcalのカロリーが含まれている。夏の暑い日に20分間も走ったら暑くて喉が乾くだろう、すると、こんなボトル、20秒で飲み干してしまうのは簡単であり、そうなれば、カロリーの消費と摂取のバランスは消滅するだろう。減量という観点から考えると、ソファーに座って編み物をしていた方がいいだろう。

自制心は筋肉と同じだ

多くの人は、体重は、エクササイズをしてマフィンやゲータレイドを避けることを学ぶ - 意志力の問題と考えているだろう。これをできる人もいる、しかし、長い進化の過程でこういうことをしなかった。2000年、雑誌Psychological Bulletinに心理学者、Mark Muraven氏とRoy Baumeister氏の報告が掲載され、そこで彼らは、自制心は筋肉に似ていることを認めた:使えば使うほど毎日弱くなる。なんとか1時間なんとかジョギングすることができても、自制心の強さは徐々に弱くなっていく。サラダの昼食が徐々にピザになる。

我々の持っている基本的な心理作用に打ち勝つことができる人もいるけど、大多数の人はそうじゃない。「日々の摂取量を決定する最も強力な力は、消費した量から生まれる」、とNutrition and Physical Activity、ハーバード予防医学研究センターのSteven Gortmaker氏は説明する。「動けが動くほど、空腹間は強くなり食べる量が増える。」小児肥満の研究をするGortmaker氏は、行楽地にあるファーストフード・レストランを懐疑的に考えている。「どうしてファーストフード・レストランなんて建てるんだ?」彼は疑問に思っている。「そりゃ、なんとなく陰謀めいたものを感じるけど、考えなくちゃいけないよ。子供達が5分間遊んで、50kcalを消費しても、ファーストフード・レストランに行ってしまえば、500kcalや、1000kcalの摂取をするだろう。」

昨年、雑誌International Journal of Obesityに、Gortmaker氏とボストン子供病院のKendrin Sonneville氏の報告が掲載されて、次のように記載されていた。「身体活動の増加は、エネルギー・ギャップの純粋な減少を導く。」 - エネルギー・ギャップとは、科学者による専門用語で、消費カロリーと摂取カロリーの差である。Gortmaker氏とSonneville氏は、エクササイズを始めた538名の学生を18ヶ月観察したけど、食べる量が増えていた - ちょっと増えたんじゃない、摂取カロリーに対して平均100kcal以上増えていた。

エクササイズで減量するようなプログラムは進化の過程でされていないのなら、いったい何をプログラムされているのか?エクササイズで何も起こらないのか?

確かに、エクササイズで多くの事が起こる。心臓の健康状態を改善したり、病気の予防になるし、エクササイズは精神の健康や認知能も改善する。雑誌Neurologyの6月号に掲載された研究によると、一週間に少なくとも一度エクササイズをする高齢者は、エクササイズをしないコントロールに比べて30%認知能を維持できる。アルバータ大学が数年前に発表した他の研究では、一週間に4日エクササイズをする慢性腰痛の患者さんは、週に2日や3日しかしない患者さんに比べて、障害機能低下は36%少なかった。

しかし、エクササイズ - 汗まみれで、疲れ切って,空腹感を生み出す、突発性の運動だけが、ただ単に日中よく動くといったシンプルな活動よりも健康に好影響 - 利益に結びつくものなのかどうか訳がわからない。我々はもっと動く必要があるだろう - 疾病対策予防センターによると、我々の余暇における身体活動(ゴルフとか、ガーデニングや散歩なんか)は、1980年代後半から減少していて、その頃に、スポーツ・ジムが爆発的に広がった。しかし、本当にジムで身体を痛めつける必要があるのだろうか?

子供を見なさい。英国のペニンスラ医科大学の研究チームは、5月にアムステルダムに飛んで、ヨーロッパ肥満学会で衝撃のプレゼンテーションをしてやった。ペニンスラの研究者によると、英国の南海岸に位置する人口25万人の町、Plymouth市内や周辺の3つの学校から7歳から11歳の206名の子供達を集めて観察した。最初の学校の子供達は、非常に学費の高い私立校に通っていて、一週間に平均9.2時間の、非常に厳しい体育の授業がカリキュラムに組み込まれていた。2番目の学校の子供達はは、Plymouth市の郊外にある田舎の学校に通っていて、最後の子供は町中の普通の学校に通っていた - それぞれ、体育の授業は、週に2.4時間と1.7時間しかなかった。

子供達がどれほど身体活動をしているのか知るために、ペニンスラのチームは、子供達に、ActiGraphsを着けた。これは洗練された小型の装置で、身体活動の量を測定するだけでなく、強度も測定できる。休みを挟まない学期を通して、一週間毎に4回の実験期間に、子供達の起きている時間帯はActiGraphsを着用させた。

体育の授業で子供達がどれほど運動をしていても、一日を通して見れば、どの学校に通っていても同程度の運動量と運動強度しかなかった。立派な私立校に通っていりう子供達は、午後3時までの身体活動は明らかに多い。しかし、その後は、結局、あまり動いていない。「学校で活動的であればあるほど、彼らは家に帰ると温和しい。これは、既に十分なエネルギーを使い切ったからだろう」、とこの研究を手伝った生物統計学者のAlissa Fremeauxは話してくれた。「他の子供達は、放課後になってからバイクに乗ったり走り回っているんだろう。」

エクスター大学から出たもう一つの研究では、短時間に瞬発的な運動をしている子供達 - ボールを捕るために走ったり、オモチャを取りに階段を駆け上がったり下りたりする子供達 - は、スポーツクラブに参加して、激しく持続的なエクササイズをしている子供達と同等に健康的だった。

エクササイズをさせようとすれば肥満問題に貢献することになるのだろうか?ある観点から見れば、そうだ。エクササイズは身体にある筋肉を疲れさすだけじゃなく、脳にある自制心と呼ばれる「心の筋肉」も同様に疲弊させる。多くの人は、ジムから帰ってきた気怠い時間帯にポテトチップスのバッグを楽しみにしてしまうのだろう。こう言えば、どうしてエクササイズで太ってしまうか説明できる - もしくは、少なくとも、毎週4時間も哀れに感じるエクササイズをしても、私に付いている脂肪が全く減らない理由の説明になっているだろう。エクササイズをしていない時間帯は、今のように厳格なエクササイズをしていない時よりも、椅子に座りっぱなしになっている気がする。もっとエクササイズを減らせば、タクシーに乗り込む事を考えないでもっと歩きたくなるかもしれない;それに油まみれで満腹になってしまうブリトーも注文しないで、食材を買いに出て、料理をして、後片付けをするかもしれないだろう。

エネルギー・ギャップを閉じよう

問題はエクササイズそのものにあるわけじゃない。エクササイズをどんな風に定義しているかによる。頻回に強度の低い身体活動 - 何千年も昔、落ち葉回収機が発明される前から人類がしていた - こういう動作は、ジムでする一時的な爆発的なエクササイズより我々にいいんじゃないかと肥満研究者の多くは信じるようになった。「一日中座っていられないし、筋肉にストレスを与えない30分のエクササイズをすることなんてできない」、とLSUペニントン・バイオメディカル・リサーチ・センターの神経生物学者で、20年間栄養学を研究しているHans-Rudolf氏は話してくれた。「筋肉は痛むだろう、そしてその後動きたくなくなる。カロリーを燃焼するために、筋肉の動きを過度にする必要はないんだから、一日を通して筋肉の動きを分配してやった方がいいんだよ。」

一方、Berthoud氏は5時に起床して、近所を数回散歩する。彼はできる限り階段を利用する。「例えオフィスから出ていったり、コンピュータの前から離れても、ショッピングモールのような所に出かけてエレベーターを使う」、彼は続ける。「これこそ問題であった、ジムに行けてないのが問題じゃない。」

Berthoud氏の話を聞いて私は懐疑的になった。心肺機能を強化するために心拍数を増やしたり汗をかかなきゃいけないんじゃない?機能を強化するために最大限の力を筋肉に加えてやらなきゃいけないんじゃない?

実際のところ、買い物袋を持って歩くような中等度の身体活動より、ランニングのような積極的なエクササイズの方が身体にいいかどうかなんてハッキリしていない。色々なニュースで、エクササイズの利点が報じられているのを聞いた事あるでしょう、しかし、このいうニュースの素になっている科学文献を読んでみると、研究対象になっている人は、別に楕円形のマシーンに縛り付けられている訳じゃない。Association for Psychological Scienceの6月号で、「身体エクササイズで... 実際のところ、認知機能のあらゆる機能の温存や強化をするかもしれない」という記事が載っていた。しかし、これは、認知機能が優れていた人たちは、単に、よく歩いたり階段を使ったりしていただけのことだ。彼らは別に速く歩いていた訳じゃない:歩くスピードと認知機能の関連性を言っている訳じゃなかった。

ある種の病気の予防に関していれば、心肺機能を改善させるよりも、減量をすることが重要かもしれないというエビデンスは増えている。6月に、ノースウエスト大学の研究者により、エアロビック・エクササイズと糖尿病の発症の関連性を、今までで最も長い間観察した研究報告が出た。結果がどうなったか?糖尿病の発症予防のため、BMI値の維持に比べれば、エアロビック・エクササイズなんて大して重要じゃなかったんだよ。今まで私が話してきたことを見れば、エクササイズで、体重の重い人は適正体重にする効果は全く見られないよね。

科学的エビデンスで全く逆の結果が示されているのに、なぜエクササイズが減量に繋がるという考えが根強く残っているのだろう?興味深いことだ。1970年代になるまで、エクササイズが減量にとって必要不可欠だといつ肥満研究者は希だった。最近、1992年頃になって、寸胴のビル・クリントン氏が、ジョギングとマクドナルドの食習慣が有名になった時、American Journal of Clinical Nutritionに、「最近になって、肥満治療にエクササイズを加える可能性に関する関心が大きくなっている」という文章から始まる記事が出た。この記事では、エクササイズを加えた肥満治療において、「矛盾した」結果が導き出されたとう内容が後に続いた。「トレーニングによって増加したエネルギー消費は、トレーニングをしていない時の身体活動の低下によって補われている。」と、著者は結論を記していた。

エクササイズによる呪文がどのようにして根強いものになったのだろう?公衆衛生に関わる人は、活動的な人が、健康であるという理由で、エクササイズを軽視しがちである。それに、エクササイズは減量に不可欠であるという考えを否定することは、専門家には難しい行為のようだ。何年もの間、心理学者のKelly Brownell氏は、エール大学で実験室を切り盛りしているが、肥満患者に、一般的にエクササイズと食事制限のコンビネーションの重要さを頭にたたき込ましたが、「我々に分かったことは、肥満者の治療には、フラストレーションがたまるということだ。」彼は言う。たった5%の肥満者だけ減量をキープでき、この5%の人たちは、リバウンドを起こした人に比べるとエクササイズの量が明らかに多かった。Vrownell氏は言う、もし彼が同様のプログラムを再びするなら、「エクササイズは避けて、食習慣に関する再教育をするだろう。」Brownell氏は、2005年にエール・ルド食糧政策肥満センターの共同創設者になり、食糧政策のマーケット部門に力を入れている。決してエクササイズを奨励しているわけではない。

ある研究によれば、肥満者は既に、他の人に比べて「エクササイズ」をしている。5月に、ウオルター・リード軍医療センターのArn Eliasson医師は、小さな研究から、肥満者は、既に適正体重の人に比べて明らかに毎日のカロリー消費が多い - 3064kcal vs. 2080kcalだったという報告をしている。彼は、こういう結果を導き出した最初の研究者では無い。サイエンス作家Gary Taubes氏が2007年に出版したGood Calories, Bad Calories: Fats, Carbs, and the Conroversial Science of Diet and Healthで同様の事を述べている、「肥満者は、同じ身長、性別、そして骨組織が同等な細い人に比べて、エネルギー消費は多い。これは、彼らの代謝が少ないというより多いという事を意味している。」

減量に関して言えば、結局の所、何を食べるかであり、どのくらい運動をしているかだ。エクササイズをして健康の改善をすべきである。しかし、注意すべきだろう:勢いよく激しい運動をすれば体重は増えてしまう可能性が生まれる。エクササイズによって気分がよくなるのは好きだけど、私は、明日、たぶんVersaClimberをしないだろう ー エクササイズの後のご褒美のブルベリー・バーも止めておくよ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009年8月 4日 (火)

オーガニック食品は健康的じゃない、研究報告

マックホットドック - メガソーセージ」でコメントしてしてくださったsttさんの質問に答えよう。

ホッドドックは食べさせないではなく毎日食べているなら一ヶ月ぐらい間を空けさせ マクドナルドに行く回数を減らすぐらいで良いんじゃないんでしょうか?

マクドナルドが生活の一部になっているような人なら素晴らしい一歩だと思いますよ。摂取量は必ず減るからね。「もう食べちゃいけない」、て考えると、逆に欲しくなるのが人間の性、たまに食べてもいいんだと思っていれば楽でしょう。

私もファーストフードに全然行かなくなったのは、ここ2年ぐらいの話。それまでは、時々、連れと話の流れからマックやモスに行ってたし、無線LANが使えてコーヒーお代わり自由だったから長時間滞在したこともありましたよ。

いくら健康の為だからとはいえ子供をそこまで押さえ込むのはどうかなと思います 

子供を押さえ込む?... この意見はちょっと違うかな。個々の家庭で色々意見は異なるんじゃないかな。私は、少なくとも中学生になるまで子供の食生活は親がコントロールすべきだと思ってます。

家族で食事をするのにファーストフード・レストランに行くつもりも無いし、買って与えるつもりもありません。加工食品を積極的に家庭に持ち込むつもりも無いですよ。そりゃ家庭から完全に加工食品をカットできるとは思ってないけど、子供に食事の重要性を教えていくつもりです。そうです、食育をするんですよ。

子供と一緒に食生活の問題に取り組み、小さい頃から積極的に調理をさせるつもりです。中学生ぐらいになったら、ファーストフードを選ぶかどうかは、子供の自由です。子供には子供の事情があるでしょう。問題を知って食べるのと知らずに食べるのでは意味が違うよ。

さて、今日のニュースに触れるけど、世間に溢れる食品を考えて見て下さい。何が健康にいいのか、さっぱり分からない混沌とした世界が広がっています。問題意識を持って、食事をすることが重要なんですよ。オーガニックは身体に良いって本当に言えるかな?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "オーガニック食品は健康的じゃない、研究報告"

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年7月30日 (木)

抗アレルギー薬は糖尿病や肥満にも効果があるかも

ちょっと更新が途絶えてしまいました。先日までお伝えしていたアルツハイマー型認知症に関する情報整理をしていただけなんだけどな...

香川大学医学部、精神科神経科の中村祐教授を囲んだ勉強会にもタイムリーに参加することもできたから、色々情報がまとまりました。

やっぱりアルツハイマー型認知症は怖いですね。今のところ効果的な予防法が無いから、不安感をかき立てられてしまうよね。

それでも、何かしら予防に関するニュースがあれば、ここで伝えていく。

さて、今日は趣を変えて肥満と糖尿病の話だ。インスリン抵抗性の原因解明になる面白い報告がNature Medicineから立て続けに出たよ。東大のグループも絡んでいるニュースなんで、知っている人もいるだろう。

肥満になれば、肥満組織で炎症が生じる。その炎症のパターンは適正体重の肥満組織と異なり、インスリン抵抗性が生まれる...

ワクチンや薬の開発もいいけど、健康的な生活をする事が重要だと思うけど...

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "抗アレルギー薬は糖尿病や肥満にも効果があるかも"

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年7月16日 (木)

アルツハイマー遺伝子は60歳前に記憶力低下を加速させる

先日から紹介している国際アルツハイマー病カンファレンス、最後に衝撃的なニュースが流れた。

昨日までの内容は、文献化されていないから確かめようが無かった。しかし、今日の内容は発表と同時に雑誌報告もされていて、私が敬愛する「内科開業医のお勉強日記」でも取りあげられていた。

動脈硬化性疾患の予防、癌の予防に加えて、アルツハイマー型認知症など脳神経変性疾患の予防は、個人的に興味があるところなので、アルツハイマー型認知症の話題は非常に気になる。

未だ有効な治療法も予防法も無いアルツハイマー病の新事実が叩き付けられ、現代医学の無力さに愕然とするばかり... というのは言い過ぎかもしれないが、打つ手は今のところ無いっていうのが正直な感想だ。

詳しく情報を得るために文献を請求している。

さあ、APOE4アレルを持っていることが分かったからといってどうします?有効な予防法が無いからリスク回避もできないよね。調べるだけ自分を追い詰めるような気が...

しかし、APOE4アレルの存在を知らせる事で、その人に精神的な苦痛を与えるかどうか調べた研究報告も同時に掲載されている。何を正当化させるつもりなんだろう?

遺伝子診断キットを販売する会社にグーグルが絡んでいるのを見たら、何かしら大きなお金が絡む嫌らしい動きが引き起こされるかもしれない。「内科開業医のお勉強日記」でも触れているけど、「脳ドック」と称してアポリポ蛋白Eの測定をしているらしい。なんか無責任だよね。金にはなるだろうけど...

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "アルツハイマー遺伝子は60歳前に記憶力低下を加速させる"

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年7月15日 (水)

中等量の飲酒は認知症を遠ざけるだろう

昨日の続きで、アルツハイマー型認知症の話をしよう。オーストリアのベニスで国際アルツハイマー病カンファレンスが開催されているって話をしたよね、連日色々なニュースが出ている。

今日も、そんな認知症の話題を取りあげる。

今日のLife-LOGの記事で扱う記事は、酒飲みの屋台ブルーには嬉しい内容だった。しかし、ニュースを読んでいて感じたことは、やはり発症すると治療に難儀する病気は予防が重要だってこと。じゃあどうすれば予防できるんだろう?まだまだ確証を得た予防法は無いけど、健康的な生活を送るしかなさそうだ。

このカンファレンスで話題になっていたトピックを紹介しておこう。

アルツハイマー型認知症は、今のところ早期治療が非常に重要なんだけど、早期発見は意外に難しい。有効なバイオマーカーが無いからだ。確定診断をするために、亡くなってから剖検をして脳の組織にβアミロイドやタウ蛋白質の沈着を認めて、後付で確定診断をしている状態なんでね。

今年のカンファレンスで2つの診断法が紹介されていた。アイルランドのグループは、MRIを使った脳容積測定と3つのメモリーテストを組み合わせによる早期診断。米国のグループはPETを使って脳内の糖代謝測定とメモリーテストの組み合わせ。

なかなか末梢血で診断する方法は無さそうだ。

興味深い話が1つあった。アルツハイマー型認知症にAPOE4遺伝子が関わっているという話は有名だけど、Allen Roses医師が発見したAPOE4関連遺伝子TOMM40遺伝子も発症進展に関わっているということ。

APOE4とTOMM40の両遺伝子を調べることで85%から90%の遺伝的な発症が分かるらしい。

さあ、一般の臨床利用にどのように反映されていくことやら。

治療法の話もいくつかあるけど、βアミロイドの沈着を軽減させことができる経口の新薬が臨床試験をしていた。なんと副作用があり問題にぶち当たったようだ。

リウマチに使っているTNF-alphaアンタゴニストのアルツハイマー型認知症への利用の話も面白いよ。2008年の報告で、劇的な効果を示したパイロットスタディの報告があるからね。

まあ、こういう話は外来で話す話題かな。今日の話題を読んで下さい。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "中等量の飲酒は認知症を遠ざけるだろう"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年7月14日 (火)

オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし

オメガ3系脂肪酸に関する話題
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)
オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?(09/04/15)
オメガ3系脂肪酸は黄斑変性症の進行を抑えるかも(09/06/11)
魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3(09/10/17)

国際アルツハイマー病カンファレンスが、11日から16日までオーストリアのベニスで開催されている。

そんなわけで、Reutersのニュースにアルツハイマー病関連のニュースが多い。今日の話もこのカンファレンスで発表された内容。

ニュースを読めば、文献になっていない内容のようだ。この内容なら過去に同じ結果になった文献がある。

実は、Archives of Neurolodyの2006年10月に掲載された「Omega-3 Fatty Acid Treatment in 174 Patients With Mild to Moderate Alzheimer Disease: OmegAD Study」、と同じ内容だと思うのは私だけかな?

以前の研究でも、オメガ3系脂肪酸、DHAのサプリメントを摂取してもアルツハイマーの病状の進行を止めることはできなかった。しかし、ごく初期の段階だったら病状改善の効果が見られたらしい。

今日のニュースも同様の内容だ。しかし、製薬会社主導の研究報告の結果は話半分で聞いた方がいいだろう。まだ今の段階じゃサプリメントは馬鹿げた考えだと思う。DHAを自然な食材からたっぷり摂ることの重要さを説かなければならない。

天然のDHAからパワー(たぶん他の付随する未知の栄養素にも助けられ)を吸収していこう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年7月 9日 (木)

ホルモンはカフェインと発癌リスクを結びつけるかも

屋台ブルーはコーヒー愛飲者、毎日10杯以上飲んでいるからカフェイン中毒にもなっている。しかし、それほど気にしていないから問題かもしれない。

コーヒーの摂取量と大腸癌のリスクには関係ないと考えているし、口腔、咽頭、食道癌の発症も抑えられるって話があるからだ。

でも、「なんだ、コーヒーは身体にいいのか。」って単純に考えないでよね。こういうコーヒーが身体にいいとは思えないし、腎癌のリスクは高めるかもしれないから、やっぱり適度がいいのでしょうね。

肥満の人は、コーヒーのタイプにも気を付けるべきだろう。私は砂糖やミルクを入れないから、コーヒーで太ると思っていない。それに、エクササイズの効率も高めてくれるから、ついつい飲み過ぎている。自動販売機やコンビニで売られている糖分の入った缶コーヒーをよく飲んでいるのなら止めるといいだろう。減量効果はハッキリと目に見えて現れてくる

さあ、Life-LOG(ライフログ)で取りあげたコーヒーの話題を挙げておこう:

 

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "ホルモンはカフェインと発癌リスクを結びつけるかも"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年7月 7日 (火)

妊婦の食事、幼児の骨に長期間影響を与える

こういう話を聞く度に、子供を産んだ相方の食生活がどうだったか考えてしまう。かなり気を遣い、加工食品を避け、果物と野菜を中心にした食生活だったし、今でも続けている。しかし、現代の日本で、健康的な食材だけ選んで食べる生活なんて不可能だろう。普通に暮らしていれば、かなり不健康な食生活になるんじゃないかな。悪いことをしている訳じゃないのに、将来の子供の健康に差が出てくるという事実は怖いよね。

色々な意味で子供は親を選べないし、不健康な原因を作っている親という事実を考えると恐ろしいよね。今日の話題は骨だけど、あらゆる器官の成長過程に母親の食事が影響を与えているかもしれない。

胎教や幼児教育云々を言う前に、母親の食生活や子供の食生活を改善させることが重要だよ。日頃から健康な食事について考えなきゃね。

 

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "妊婦の食事、幼児の骨に長期間影響を与える"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年6月25日 (木)

膵癌のリスクは過体重になれば上昇する

肥満になれば癌になりやすいという話は医療関係者の間で常識になっているけど、皆さん知っていますか?

知らない人も多いかもしれない。今日は肥満と膵癌に関して詳しく解説してみよう。

記事の中に「過体重」と「肥満」という言葉が出てくるけど、これはBody Mass Index(BMI)、体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割って計算される値で評価されている。25から29.9までが「過体重」で30以上になれば「肥満」だ。

最近のメタボの話を聞いている人は、「身長と体重の相関値だけで肥満かどうかなんていえないんじゃない?」と思われるかもしれない。確かにそうだろう。体脂肪、中でも内臓脂肪の蓄積が悪性の肥満なので、腹囲測定により内臓脂肪の評価をしている。しかし、この測定が始まったのはつい最近のことだ。最近ニュースになっている研究報告、特に、長期間経過を見ている疫学調査の開始時に、腹囲を測定する概念がなかったため、今日紹介するような報告では、BMI値のみで考察されている。

次に膵癌を取りあげているのは、全米では癌死の4位、日本でも男では5位と比較的頻度の高い癌であり、診断時に進行膵癌が多いため予後がきわめて悪い。手術できても5年生存率は13%という報告もあるため、膵予防という考えが重要になってくる。

「癌の予防?」と不思議に思うかもしれない。癌は予防できる疾患だ。私は癌も生活習慣病の一部だと考えているし、その理由を説明しよう。

2006年に、日本膵臓学会膵癌診療ガイドラインが出ている。それを見てみるといいだろう。この中に「CQ1-1 膵癌の危険因子は何か?」という項目があって、危険因子を抜粋する:

  1. 家族歴:膵癌,遺伝性膵癌症候群
  2. 合併疾患:糖尿病,慢性膵炎,遺伝性膵炎
  3. 嗜好:喫煙

この中で、生活習に関わるのは、糖尿病と喫煙であり、それぞれ、膵癌のリスクを2.1倍と2倍に高めてしまう。こういう危険因子を取り払った生活をすることが重要なんだよね。

そして極めつけは、今年の2月にWorld Cancer Research Fundから報告なんだけど、このニュース知っているかな?

癌予防には健康的なライフスタイルが重要
ライフスタイルを変えれば、米国の癌の1/3を予防できるだろう
Healthy Lifestyle Important In Cancer Prevention
Study Finds That Lifestyle Changes May Prevent 1/3 Of Cancers In The United State

健康的な生活をすることで癌のリスクを下げることができる:

38 %の乳癌
45 %の大腸癌
36 %の肺癌
39 %の膵癌
47 %の胃癌
69 %の食道癌
63 %の口腔、咽頭、喉頭癌
70 %の子宮内膜癌
24 %の腎臓癌
21 %の胆のう癌
15 %の肝癌
11 %の前立腺癌

こういう結果が出ているのに不健康な生活を続けますか?

じゃあ最後に、今日のニュースのポイント。肥満と膵癌の関連性は明らかになっているけど、個人の肥満の履歴と膵癌の発症を調べたもので非常に興味深い。若い時に肥満になれば膵癌の発癌リスクは上がるし、高齢で肥満なら膵癌が進行して生存率が低下する。どっちにしろ肥満解消が重要だろう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

続きを読む "膵癌のリスクは過体重になれば上昇する"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月11日 (木)

オメガ3系脂肪酸は黄斑変性症の進行を抑えるかも

オメガ3系脂肪酸に関する話題
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)
オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?(09/04/15)
オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし(09/07/14)
魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3(09/10/17)

オメガ3系脂肪酸に関するエントリーは、Life-LOG(ライフログ)でアクセス数1位(2009年6月11日現在)の話題だ。

新しい報告があったから紹介しよう。実は、私が強調している「ニュートリショニズム(栄養素信奉)から脱却」という観点から重要な話でもある。

ニュートリショニズムに疎い人も多いだろう。先日紹介した加齢黄斑変性症の記事で説明をしているから先に読んでください。加齢黄斑変性症とは、60歳以降に増える失明の恐れがある原因不明の病気だ。今のところ効果的な治療法がないから、「こんな病気は関係ないや」って思わないで、将来の発症リスクを下げておくために読んでおこう。

ある種の食事で加齢性の失明は抑えられるかも

そして今日のエントリーも前回と同じグループによる加齢黄斑変性症の話だ。

続きを読む "オメガ3系脂肪酸は黄斑変性症の進行を抑えるかも"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月 6日 (土)

30歳以降のエクササイズは乳癌のリスクを抑える

今日は、エクササイズの話。

私の場合は、エクササイズと言っても、とにかく「走る」ことに魅せられていて、走ってばかりいる。以前は無かったけど、最近、仲間に負けたくないという競争心も生まれた。実はこの競争心、気が乗らない日でも競争相手の顔を思い浮かべることで自分を駆り立てることができる。「奴には負けるものか!」と気合いが入る。

競争心ほどモチベーションをキープさせられるものはない。でも、この感情を表に出す必要はない。私が誰と競争しているかは秘密だ。だって、人に知られると、相手にもライバル心を持たれ面倒になる。もっと練習が必要になり、人間関係も危うくなるかもしれない。

「40歳からのアスリート」計画を実行中の身として、競争心を表に出した方がいいかもしれない。しかし、妙なプレッシャーを自分にかけたくない。まずは、自己記録への挑戦という表向きで、密かにライバルと闘う姿勢を続けていくつもりだ。

まあ、このように私は走ることに囚われていると言っていいだろう。しかし、つい数年前までは運動嫌いだったから驚くかもね。重い身体を静かに動かすカウチポテトな人間だった。映画と音楽をこよなく愛し、暇があれば、ポップコーン片手に空調の効いた映画館に入り浸る。夜は飲み屋で映画や音楽の話に明け暮れて日中寝てばかり。

運動嫌いを運動好きにすることは誰にもできない。自分が運動嫌いだったから分かるけど、自分が変わろうと思わなければ絶対に変わらない。私にできる事は、きっかけを与えてやるだけ。根気よく情報を与え、ちょっと背中を押してやることしかできない。

「運動なんか嫌いだ!」とか「運動する時間なんかない!」なんて考えている人をここでは無視する。そんな人間は、環境問題にもなっているからメタボになって早死にしてくれれば社会のためになる

エクササイズのすばらしさを体感できないとか、「エクササイズをしなきゃいけない」と義務感に駆られて運動をしている人は不幸だろう。でも、きっかけは何でもいい。運動による爽快感を感じない人はいないし、続けていれば必ず考え方は変わってくる。根気よく続けるしかない。

エクササイズをすることで発癌や癌の進行を抑える報告は数多にある。欧米では乳癌が女性の癌で最も多いため報告も多い。今日のニュースも乳癌に関する報告だけど、発癌予防の一般論として捉えてもいいと思う。

「エクササイズと癌予防」に関して私の考え方を変える報告が去年の10月にBreast Cancer Researchに出た。Life-LOG(ライフログ)でも紹介している(精力的なエクササイズは乳癌のリスクを低下させる - 素晴らしい)。

この報告から、エクササイズの強度への拘りが私に生まれた。ただ散歩したりゆったりと自転車に乗るぐらいの軽い運動じゃ発癌予防にならないし、太っているとエクササイズの効果は弱いと強く思うようになった。

今日の報告もそれをサポートするし、エクササイズは年を取ってからが重要だという考えも加わる。しかし、まだまだ分からないことは多い。個人差の大きい強度をどうやって決めていく?私にはある考えがあり、それを実践しながらトレーニングをしているよ。

30歳以降のエクササイズは乳癌のリスクを抑える
Exercise after age 30 may curb breast cancer risk

ニューヨーク(Reuters Health) - 30歳を過ぎると、週に1時間以上エクササイズをすることで、女性の乳癌の発癌リスクを低下させることができるだろう、という研究発表が、シアトルのAmerican College of Sports Medicine'sの定例年次会でされた。

この研究で、グリーリーのノーザンコロラド大学のLIsa Sprod女史のチームは、4296名の女性を対象に、4つの鍵となる年齢区分:10歳から15歳、15歳から30歳、30歳から50歳、そして50歳以上のそれぞれで、どのくらい運動をしていたか思い出してもらった。

10歳から30歳の期間は、どれほど運動をしていても、乳癌の発癌リスクに差が認められなかったけど、30歳以上の女性では、活動的であればあるほど、発癌のリスクが抑えるという結果が明らかになった。

「平均的なエクササイズを週に60分と定義した」とSprod女史はReuters Healthに話し、「60分間のエクササイズができていなかったら平均以下てあり、60分以上だったら平均以上。それと、自分で「非常に競争的」かどうか選んでもらった」と説明した。

「非常に競争的」と考えた30歳から50歳の女性は、運動の量が少し少ない女性に比べれば、乳癌になった人はほとんどいない。

同様に、50歳以上で非常に競争的と考えていた女性も、週に60分間エクササイズができていない女性に比べれば、ほとんど乳癌は生じていない。

「まあまだ初歩的な研究段階ではあるが、」Sprod女史は話してくれる、「覚えて置いて欲しいのは、女性なら30歳を過ぎたら運動の強度を上げていったら、乳癌の発生を抑えることができるかもしれないってこと。」

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年5月20日 (水)

ミルクとシリアル、高価なスポーツドリンクと同等の回復力、報告

ミルクとシリアル、高価なスポーツドリンクと同等の回復力、報告
Milk and cereal as good as expensive sports drinks in boosting performance, claim scientists (Telegraph.co.uk)

こういう記事を読んだよ。実は日本語訳がここにあったからね「牛乳がけシリアルは運動後の回復に役立つ最適な食材」。

実は、このニュース記事を書いた記者の視点と、情報元になった文献の論点にズレがあったから驚いてしまった。

Richard Alleyne氏が書いている内容が間違っている訳じゃないけど、彼は本当に文献を読んだのだろうか?

ニュース記事を読んだ時、日本語翻訳記事を載せている「医学処-医学の総合案内所-」と私も同じような感想を持った。

 へぇ。スポーツドリンクって一般的なスポーツドリンクのことでしょうか。それともプロテイン飲料?

 日本で言うところのスポーツドリンクは、発汗して失われた水分を補うのに適しています。筋肉の増強を目的としたものではないですねぇ。もしプロテイン飲料のことだとしたら、確かにシリアル&ミルクのほうが安価です。

 でもすぐお腹空くんですよね、シリアルって。(医学処-医学の総合案内所-)

二つの疑問が生じるよね。スポーツドリンクって一般的なスポーツドリンク(糖分とミネラルだけ)?それともプロテイン(アミノ酸)飲料なのか? それに、シリアル&ミルクを食べる習慣がなくてもエクササイズをした後は摂るべきなのか?っていったところ。

こういう疑問をどうする?

文献を見ればいいんだよ。

「Journal of the International Society of Sports Nutrition」で検索して、「
Kammer」で検索すれば一発で出てくる。

なんとオープンアクセスの文献だったからフリーで読めたよ。

読んで、唖然だよ。本文の研究背景(バックグラウンド)を読めばすべて答えが書かれていました。

Combining carbohydrate with protein increases stimulation of the insulin-signaling and mTOR pathways, increasing both glycogen and protein synthesis [13-15], suggesting that the ideal recovery food must contain both carbohydrate and protein to provide substrate for glycogen synthesis and achieve net protein balance.

タンパク質と炭水化物を組み合わせると、インスリン・シグナルやmTORの経路が刺激されて、グリコーゲンやタンパク質合成が増加する、ということから、回復のための理想的な食事には、グリコーゲン合成やタンパク質のバランスをとるため、炭水化物とタンパク質が含まれていなければならないだろう。

アブストラクトの背景に書かれている文章にも書かれているけど、彼らは、炭水化物のみのスポーツドリンクと炭水化物とタンパク質を含む食事を比べているんだ。

さらに、どうしてミルクとシリアルの組み合わせを選択したかという理由もバックグラウンドに説明されていた。

Our goals were to use ordinary foods after moderate exercise to understand relative effects on glycogen repletion, and the phosphorylation state of proteins controlling protein synthesis for the average individual. Cereal and milk were selected since both are readily available, popular foods that are inexpensive and easily digested.

我々の目的は、中等度のエクササイズをした後に一般的な食事をすることで、グリコーゲンの補充やタンパク合成をコントロールするタンパク質のリン酸化の効果を理解することだ。シリアルとミルクは、どちらとも利用しやすく、安価で消化にいい人気のある食事なので選択した。

そうなんですよ。別にシリアルとミルクの組み合わせの必要性は無いだろう。Teleglaphの記事だったら、シリアルを食べる習慣がなくても食べた方がいいのかもって思っちゃうよね。

この文献のポイントは、エクササイズの後、炭水化物のみより、炭水化物とタンパク質の組み合わせを取った方がいいってこと。

記事を書く人によって論点が変わるね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月19日 (火)

一般的なウイルスが高血圧症の原因かも:研究報告

数多くの高血圧症の患者さんを診ていると、今日の記事なんか個人的に気になるよ。

メニエール病(眩暈、耳鳴り、難聴で有名だよね)もヘルペスウイルス感染症で引き起こされるという話もあるし、ウイルス感染症によって、様々な病態を作り出している可能性はあるだろう。私はこういう話が好きだ。

でも、ヘルペス感染症による高血圧という考え方は、高血圧専門医の中でどう捉えられるのだろう?「あっそう」といった反応かもね。

この記事を読んでいる高血圧症の患者さんもいるかもしれない。でも、かかりつけ医に話を振っても、治療をしてくれなんて言わないように。

まだまだプレリミナリーな実験だからね。マウスとヒトは違うよ。それに、ウイルス治療をしても、血圧が正常化するなんて分からないからね。

ニュースにも書かれているけど、まだまだ話題提供の段階なので、今後の研究による。

しかし、医科学分野って面白いね。私はこういう話を読むのが好きだ。

超音波エコーで動脈の状態を見ていると、石灰化の強い人と弱い人がいるけど、サイトメガロウイルス感染と高脂肪食の兼ね合いによるのだろうか?実地で調べていっても面白いだろうな。

一般的なウイルスが高血圧症の原因かも:研究報告
Common virus may cause high blood pressure: study

シカゴ(Reuters) - 一般的なウイルスが原因で高血圧になる可能性があるという発表が先週の木曜日に出た。世界中で10億人の人に影響がある病態に対して新しい治療法が生まれるかもしれない。

マウスを使った一連の研究から、サイトメガロウイルスは、CMV -- ヘルペスウイルスの一種で、世界中の60%〜99%の成人は感染を受けている -- 血管の炎症を誘引し高血圧が導かれている可能性がある。

脂肪分の多い食事摂取と重なると、CMVは動脈硬化を促進させ、心筋梗塞、卒中、それに腎臓病の重要なリスクファクターになる。

「非情に重要な知見じゃないかな」ボストンのハーバードメディカルスクール、そしてベス・イスラエル・ディアコネス・メディカルセンターに所属していて、Public Library of Science Journal PLoS Pathogensで研究をしているClyde Crumpacker医師は話した。

「高血圧や血管病を考えるのに、全く新しい視点から見ることができる」と電話インタビューでCrumpacker医師は答えた。

ウイルスが血管に持続的に感染していることを初めて証明することができた。一般的に、医者は、βブロッカーやACEといった一般薬を使って血圧をコントロールしているし、米国民の三人に一人は、こういう状態だ。

Crumpacker医師によると、この研究から、高血圧症を対処するために、ワクチンや抗ウイルス剤という新しい選択枝が生まれるかもしれない。

現在、ワクチンは利用できない、しかし、製薬会社のいくつか、サノフィ-アベンティスファーマ、ノバルティス、グラクソ・スミスクラインPLC、それにバイカルは開発をしている。

それにスイスの製薬会社、ロッシュ・ホールディングAGは、移植レシピエントのサイトメガロウイルス感染症のために抗ウイルス剤、Valcyteを製造している。

CMVと食事

40歳までに、ほとんどの成人はCMVに暴露されるけど、多くの人は症状を呈さない。しかし、免疫不全の人、例えば、移植のレシピエントは障害を受ける可能性があるし、妊娠中の母親が感染を起こすと、赤ちゃんに奇形を引き起こしてしまう。

Crumpackerのグループは、実験で、マウスを4つのグループに別けて調べた。二つのグループに標準の餌を与え、他の二つに高脂肪の餌を与える。4週間後に、標準と高脂肪の餌を餌を与えられた片方のグループににウイルスを感染させた。

6週間後に、ウイルスをを感染させたグループは血圧の上昇が見られ、特に高脂肪の餌を与えられていたグループの30%は動脈硬化の兆候を呈していた。

「このことから、CMV感染と高脂肪食は、相補的に働く可能性が示唆された」とCrumpacker医師は説明する。

感染マウスの腎臓細胞を使った研究では、酵素であるレニンの活性が非情に高値を示していた。このレニンは、高血圧の原因として知られていて、彼らはヒトにおいても、CMVに感染している血管の酵素活性が高い事を発見している。

さらに、CMV感染症になれば、血管の炎症マーカーも上昇することが認められた。

心疾患をウイルスがどのように引き起こすか調べるため、さらに研究が必要であるが、この発見によって、新しい治療法の存在が示唆されたとCrumpacker医師は話す。

「高血圧症の一部の人は、抗ウイルス剤やCMVワクチンによって治療や予防になるだろう」と彼は話した。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年5月14日 (木)

ある種の食事で加齢性の失明は抑えられるかも

先ず、Reuters Healthの記事を読んでみてよ。加齢黄斑変性という病気について知らなくていいから。

驚くようなことは書かれていないと思わない?どちらかと言えば、「また同じような話、バランスの良い食事で病気予防」と思われたかもしれない。

こう感じたなら、Life-LOG(ライフログ)で取りあげた理由を説明した方がいいだろう。

私のブログを隅から隅まで読んでいれば説明の必要はないけど、そんな人いないからな(笑)

このニュースを読めば、「ルテイン、ビタミンC、ビタミンE、オメガ3系脂肪酸といった、抗酸化物質を多く含む食事をすれば病気の予防効果がある」といった結果が書かれていることが読み取れる。

なんか当たり前の話に思えるよね。どうしてニュースになるのでしょう.?不思議に思った?

実は、いままでの報告は、食事に含まれている個々の栄養素、ルテイン、ビタミンCやビタミンEに予防効果があるといった内容だったけど、この新しい報告は、視点が個々の栄養素から食事全体に向けられて、食事によって予防効果が示唆されたのだ。

そう、私が強調している「ニュートリショニズム(栄養素信奉)から脱却」した報告なんだよ。

ニュートリショニズムは、最近よく話題にしてるけど、ここをちょっと読んでね。

さて加齢黄斑変性についてだけど、難病として特定疾患に指定されている。有病率はハッキリしないけど多くはないだろう。しかし、名前についている「加齢」からわかるように、年齢が進むと有病率は上がってくる。まさに高齢化社会を迎えた日本で問題となってくるだろう。

難病センター(加齢黄斑変性)と日本眼科学会(加齢黄斑変性)に説明があるから読んでみてよ。物が歪んで見え(変視症)たり中心の視力が落ちたら要注意!というか眼科に行くべきだろう。

こういう難病と呼ばれる疾患は、効果的な治療法が無いため、早期に発見して症状を進めないようにするのが重要になってくる。症状を進めないといっても効果的な方法が無いんだけどね(^_^;)

今までの報告から、栄養剤としてルテインを補給している人もいたようだ。しかし、個別の栄養素を大量に摂っる効果って... 栄養剤を飲むより、今日の報告のように食事の改善が必要だろう。

ある種の食事で加齢性の失明は抑えられるかも
Certain foods may thwart age-related vision loss

ニューヨーク(Reuters Health) - 新しい研究で、柑橘類、緑色野菜、それから魚油の多い食事、そしてGI値の低い食事を摂る高齢者は、加齢性黄斑変性症(アメリカの高齢者が失明になる最も多い原因)になるリスクが低いということが示唆された。

AMD、「加齢黄斑変性症」は、網膜にあって、詳細にものを見る部位、黄斑が徐々に障害を受ける病態であり、100万人以上の65歳以上の米国民は影響を受けている。

個々の栄養素、抗酸化物質であるルテイン、ビタミンCやビタミンEは、AMDに予防的に働くという報告は数多くある。雑誌Optthalmologyに掲載された最も新しい研究では、4000名の高齢者の食事パターンを包括的に見て、AMDのリスクとの関連を調べている。

オメガ3系脂肪酸の多い魚、もしくはビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルテイン、そしてゼアキサンチンの多い食事を摂っている被験者のAMDリスクは比較的低かった。ルテインとゼアキサンチンは、植物性色素で、抗酸化物質として働く;ブロッコリー、ホウレン草、他の緑色野菜、そして卵黄に含まれている栄養素である。

また、GI値の低い食事を摂ると、AMDに予防的であった。

驚く事じゃないけど、この3つの食事パターンが重なるとAMDのリスクは低下する。

グリセミック・インデックス(GI値)は、食材によって血糖がどの位上昇するかを示す値である。高GI食、例えば、白パンやポテトは、血糖が急上昇しがちである。その一方、低GI食の、レンズ豆、大豆、ヨーグルトや食物繊維の多い穀物は、ゆっくりと血糖はあがる。

高GI食による血糖の急上昇(サージ)は、結果的に黄斑部に障害が加わる、主要研究者であるタフツ大学の准教授、Chung-Jung Chiu医師は説明する。

というのも、過剰になった血糖は、他の分子である脂質やタンパク質に作用して、糖化分子と呼ばれる構造を形成する、彼はReutes Healthに話した。この過程から、結局、身体はさらなる酸化ストレスに曝される、そして長期間にわたって細胞にダメージが加えられ数々の病気を引き起こす、その1つがAMDだ。

栄養素の多い食事はAMDを防いでくれるだろう -- 柑橘類、緑色野菜、サケやサバのような魚油、そして植物性オイルなんか --- 健康全般にいいだろう。たくさん食べるっていうのは良い考えだよ、Chiu医師は話してくれた。

これは高齢者にとって真実だろう。年をとると「防衛システム」は徐々に弱くなるからね、研究者はコメントした。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月13日 (水)

エクササイズで睡眠時無呼吸の重症度改善

健康でいられるって幸せなことですよ。体調が悪くならないと実感できない人は多い。年を重ねて、いつの間にか体調が悪くなってから、そのことに気づくけど、それじゃ遅いんじゃない?

若い時に選択してきた生き方で、人生後半の体調の良し悪しが決まってくる。どういう生き方を選択すべきか、明確な答えは今のところ無いけど、自分で選択する生き方が重要だ。「知らなかったよ」じゃ選択できないからね。

でも、正しい選択のために無理な生き方をしていると馬鹿みたいに見えることもある。たった一度の人生、楽しむ必要もあるでしょ。個人と社会の利益を考えて生きなきゃね。自分さえ幸せならいいっていう考え方じゃないよ。勘違いする人多いから一言付け加えとかなきゃね。

まあ、健康でいるっていう生き方は社会の利益にもなる。自分の利益が社会の利益に繋がる生き方をするために、色々な情報をここで紹介している訳で、何度も来ている人なら、私の言いたいことは知っているだろう。

「食生活」と「エクササイズ」は健康のための2本柱。私もこの2つの実践には事欠かないつもりだけど、もう一つ重要な項目にあまり触れていなかった。

「睡眠」

質のいい睡眠を取らないと健康生活を維持する事なんて不可能だろう。睡眠は受動的な行動のように捉えがちだけど、実は、生体がコントロールしている能動的な活動であり、今のところ2つのメカニズムで調整していると言われている。恒常性維持と体内時計のシステムによって支配され、生体は睡眠を取る行動にうつる。

眠ると自分の意識下でコントロールできないからあまりここで話題にしていなかった。

実は、私も疲れた時やアルコールを飲んだ時はもとより、日頃からイビキが結構うるさいと相方から言われていて、自分の睡眠の質には自信がない。ポリソムノグラフィ検査を受けたこと無いけど、軽度の睡眠時無呼吸もあるかもしれないから怖い(^_^;)

今日のReuters Healthの記事を読んで、興奮したよ。自分でコントロールできるかもしれないんだ。エクササイズで改善するなら、当院に通院しているCPAPを受けている患者さんにもエクササイズを勧めてみる必要性はあるだろう。

自分でもこのエクササイズをしてみよう。イビキが小さくなるかもね。(注:欧米では肥満からくる睡眠時無呼吸が多いけど、日本人は顎が小さいとか他の理由から痩せた睡眠時無呼吸の人が多い。エクササイズで必ず効果があるわけじゃないからね)

エクササイズで睡眠時無呼吸の重症度改善
Exercises may reduce severity of sleep apnea

ニューヨーク(Reuters Health) - 舌や軟口蓋のエクササイズをすると、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の重症度を改善させるかもしれないと、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに、睡眠専門医の報告が掲載された。

OSAは、寝ている時の喉の筋肉の脆弱性から、肺への酸素供給が遮られている状態である。「無呼吸」という現象は、大きなイビキや呼吸困難と共に生じる。眠っていても、呼吸困難を引き起こし、深い眠りから目覚めてしまうことがある。こうなると結局、睡眠の質の低下を招き、日中の眠気が生じてしまうことになる。

ディジェリドゥーを吹いて上気道の筋肉を鍛えることで、「OSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)や関連する症状を劇的に改善させる」という報告が最近示されていると、ブラジルのサンパウロ・メディカル・スクールのGeraldo Lorenzi-Filho医師は説明する。ディジェリドゥーとは、オーストラリアの先住民、アボリジニによって使われている管楽器の1つで、太くて長い空洞の木でできたパイプから低い反響音を奏でる。

この事を考慮して、スピーチセラピーのトレーニングの構成要素、吸入、嚥下、咀嚼、そして呼吸とスピーチから、舌と軟口蓋のエリアを鍛えるアイソメトリックでアイソトニックなエクササイズを選択した。臨床試験では、31名の患者さんを無作為に、エクササイズ群(一日30分の3ヶ月)もしくは、見せかけの「深呼吸」群に振り分けた。

三ヶ月後、平均の無呼吸低呼吸指数(AHI)、一時間当たりの浅い呼吸の合計は、エクササイズをしたグループでは、22.4から13.7へ劇的に減少した。さらに、ピッツバーグ睡眠質問票のスコアは10.2から6.9へ減少、イビキの強さは、「非常にうるさい」から「寝息に等しい」まで改善して、エップワース眠気尺度も14から8へ落ちた。

Lorenzi-Filho医師のグループによると、頚部のコンディションも平均首回り39.6cmから38.5cmへ減少しているから、「エクササイズで上気道のリモデリングがすすんでいる」と彼らは考えている。

これとは対照的に、コントロールのグループで明らかな変化は認められなかったと、著者たちは報告している。

「我々の結果から」と、Lorenzi-Filho医師のグループは、「この口腔咽頭エクササイズは、中等度の閉塞性睡眠時無呼吸に対して期待できる治療法となりえるだろう」と結論づけている。

付随評論として、トロント大学のCatriona M. Steele医師は、エクササイズの総括をしていて、彼女が無意味と結論づけた多くのエクササイズは、筋肉の強化が見られなかった。

しかしながら、彼女は、風船を膨らませる運動(ディジェリドゥーを吹くのに似ている)は、筋肉組織の緊張や筋力を変化させることができ、「舌を口蓋に押しつける動き」になると信じている。

彼女のアドバイスによれば、鼻咽頭と舌圧の抵抗エクササイズによって、上気道の脆弱性を改善することができるかどうか、理想的な治療法として、そのエクササイズの強さ、頻度、そして期間を将来の研究で調べていくべきだ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年4月25日 (土)

ティーンの体重増加、大人になれば腹回りの脂肪増加になる?

今日のエントリーは二部構成で、これは二部目にあたる。

まず、昨日の読売新聞の記事に対するコメントを読んでくださいな。

成人後5キロ以上やせると死亡率1・4倍

体重の増加が幼児期もしくは、思春期で生じた時で、大人になってから肥満のタイプが変化するというReutersの記事。いやあ、本当の興味深い記事だよ。

子供のいる人は注意してくださいね。

ティーンの体重増加、大人になれば腹回りの脂肪増加になる?
Teen weight gain may mean more adult belly fat

ニューヨーク(Reuters Health) - ティーンエイジャーの時期に体重が極端に増えた若い成人は、将来的に心疾患のリスクファクター -- 内臓脂肪量が極端に増えてしまう傾向と、研究報告で示唆された。

雑誌Diabetesに報告されたこの知見は、過体重で肥満のティーンは中年になって心疾患のリスクを高めるというエビデンスに加えられた。

18歳から20歳の612名の男性を調査して、彼らのBMI値が思春期に増えていると、内臓の周りに付く「隠れた」脂肪で2型糖尿病、高血圧そして心疾患と関連性のある -- 内臓脂肪の量が増える傾向があることをスエーデンの研究者は発見した。

こういう男たちは、皮膚の直下にある脂肪、内臓脂肪に較べて健康障害として弱いリスクファクター -- お腹周りの皮下脂肪の量も多い。

その一方で、小児期の後期にBMI値が極端に増えると、お腹周りの皮下脂肪だけ成人になって増えるようだ。

Gothenburg大学のJenny M. Kidblom医師等の報告によれば、これらの知見から、思春期に過度の体重増加を防ぐことで、特に、成人になってからの内臓脂肪の増加をコントロールできるであろう。

例え小児期にBMI値が高くても、思春期の体重増加を予防すると効果があるかもしれないと、Kindblom医師はReuters Healthに話をした。

内臓脂肪は心疾患と関連がありリスクファクターである。ティーンの時期にBMI値が極端に増えると、将来の心臓血管の状態に影響を与えることが考えられると、Kindblom医師は説明した。

彼女は付け加えて話したけど、この研究はからは、このことが原因かどうか解明されてはいない。しかし、今後の「面白い」研究課題になるだろう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

成人後5キロ以上やせると死亡率1・4倍

今日のエントリーは、患者さんから教えてもらった読売新聞の記事なんだけど、読んだ人いる?

私が紹介しようと思っているReutersのニュースと関連があるから合わせてエントリーを書こうとしていたけど、長くなるから分割することにした。

ということで、まず最初に読売新聞ネタから。

成人後5キロ以上やせると死亡率1・4倍…肥満より危険?(読売新聞)

 成人後に5キロ・グラム以上体重が減った中高年は男女とも、死亡する危険が1・3~1・4倍高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査でわかった。
 体重が増えても死亡率増加との関係は認められなかった。肥満になると死亡率が上がるとする従来の研究とは反対の結果で、肥満の健康影響を重視する国の健診体制に一石を投じそうだ。
 研究班は、全国の40~69歳の男女約8万8000人を平均約13年間追跡調査。がんや循環器疾患など主な病気、ダイエットによる激やせなどによる影響を除いた上で、20歳時からの体重変化と死亡率との関係を年齢別に調べた。
 その結果、調査期間中に6494人が死亡した。このうち、5キロ・グラム以上体重が減少した人は、変化が小さかった人に比べ、男性で1・44倍、女性で1・33倍死亡率が高いことがわかった。
 一方、20歳時から5キロ・グラム以上体重が増加した男性は、死亡率が0・89倍に下がった。女性では変化が見られなかった。体重が10キロ・グラム以上増加した人で見ても、男女とも死亡率に大きな変化はなかった。
 これまでの複数の研究によると、極端な肥満は死亡率を上げる。しかし、日本人は外国人とは異なり、極端な肥満がもともと少なく、肥満が死亡率に与える影響が調査結果には反映しなかったとみられる。
 やせると死亡率が上がる原因は今回の調査からはわからなかったが、体重低下で免疫力が落ち、感染症などにかかりやすくなることが考えられる。分析した斉藤功・愛媛大准教授(公衆衛生学)は「成人後に5~10キロ・グラム程度太るのは自然な現象。肥満の危険性が強調されることが多いが、体重減少も重視しないといけない」と指摘している。
(2009年4月23日14時34分  読売新聞)

この記事、何度読み直しても驚くような内容じゃないよね。当たり前というか私には当然のように思えるんだけど... でも、タイトルだけ一人歩きして、「痩せると危険」なんて考える人が増えると恐ろしいかも。

驚くような内容じゃないと考えた理由を説明しよう。

対象となっている被験者の年齢が40歳〜69歳ということは、これが追跡調査に参加した時の年齢であれば、20歳時の体重は、今から少なくとも20年前ってことになり、追跡年数の13年を加えると33年前になるだろう。

2200

そこで、1976年の20歳代の日本人平均BMI値をこのグラフからみると、男は21.5で女は21だった。みての通り標準体型。

次に、追跡調査をした13年後にあたる1989年の40歳代のBMI値は、男が23.1、女が22.7ぐらいになっている。ということは、170cmの男なら4.6キロ増え、160cmの女は4.4キロ増えていることになる。

何がいいたいか分かるよね。新聞の最後にある愛媛大准教授、斉藤功先生のコメントの通り「成人後に5~10キロ・グラム程度太るのは自然な現象」ということになる。この自然に増えてしまう要因も色々言われているけど、運動不足に栄養過多の環境因子が大きな理由だろう。

したがって、自然に増えるようなこの時期に、5キロ減るってことは、10キロ近い体重が減ったと考えられるよね。新聞には「癌や循環器疾患などの病気、ダイエットによる激やせの影響を除いている」と書かれているとなれば、、ダイエットもしないで10キロ近く体重が減るってのは異常だと思えるよね。

癌や循環器疾患じゃないと書かれていても、とてつもないストレスに曝されているのかも。栄養障害や慢性疾患による免疫の低下により感染症の増加してるって、医者じゃなくても容易に考えられるだろう。

それから、「20歳時から5キロ・グラム以上体重が増加した男性は、死亡率が0・89倍に下がった。」なんて書いてあるけど、自然に5キロ近い増加を示す統計データをみればわかるように、体重は増えても男の平均寿命も伸びている年代(1976年:72歳、1989年:75歳)を考慮すれば、不思議でもなんともないんじゃないかな?

前述の斉藤先生もコメントしているけど、「体重減少重視しないといけない」というように、体重増加による健康障害を注意するのは当然だけど、ダイエットじゃない極度な体重減少に注意を払うのは常識だろう。

どうして体重増加で死亡率が増えないのか? 体重増加による影響はもっと人生の後半に訪れるのかもしれない、しかし、癌や循環器疾患などの病気を考慮していないというのも解せないけどね。

日本人の三大死因は、癌、循環器疾患(脳血管、心疾患)、そして感染症であり、肥満は癌と循環器疾患に関わっているというのも常識。とすれば、記事に書いている「癌や循環器疾患などの病気、ダイエットによる激やせの影響を除いている」という話なら、肥満で死亡率が増えないのも当たり前のような...

どちらにしろ、この新聞の論点は全く訳がわからない。こういう内容の記事を素人が適当に書くんじゃなくて、きちんとした専門家の分析記事を載せて頂きたかったよね。

体重の変化という問題は、いつ頃にどの位どの程度の速さで生じるかが重要だ。この新聞記事では、そういう問題に触れていない。

実は、今日の私が紹介するReutersの記事は、まさに、体重の変化が「いつ」起こったか注目した疫学調査だったから興味深かったよ。

次のエントリーを読んで下さい

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月23日 (木)

朝食でエクササイズの脂肪燃焼に変化?

朝食してる?

学生の頃、全く食べていなかった私でも今はしっかり食べている。通勤ランをしているため、走る前に果物を食べ、走った後にニンジンジュースを飲み干すのが日課になっているよ。

今じゃ「朝食完全擁護派」の私だけど、「朝マック」や「コンビニ弁当」で済ませる「朝食派」なんて考えられないし、そんな朝食を食べている人は可哀想だと思う。だって、身体によくない食べ物と思っているからだ。でも、この考えは私の偏見であり根拠はないよ。だって、「朝食を食べるべきか否か」という問題にも結論が出ていないのに、「朝食の質」に答えるデータは全く無いからね。

確かに朝食の質に拘った研究報告は少ないよね。でも、今日紹介するReutersのニュースは気になったよ。Emma J. Stevenson医師の研究はチェックしなきゃね。低GI値の朝食を摂れば、脂肪燃焼が進むという報告。でも、理屈から考えたら当然かも。運動にはエネルギーが必要だけど、低GI値の食事では、炭水化物利用が遅れるため、脂肪燃焼が進むのだろう。

そうなると疑問は生じる。低GI値の朝食を摂ってエクササイズをするより、朝食抜きでエクササイズをした方が、脂肪燃焼は増えるんじゃないか?ニュースから判断はできないね。朝食を抜いてエクササイズをして多めの昼食を摂ったらどうなるんだろう?

新しい疑問は次から次へと生まれる。今のところ既知の報告を読んで想像するしかないだろう。ライフログで紹介した古い話題を取りあげるから、朝食の重要性を考えて下さい。私は「朝食完全擁護派」だよ。

朝食でエクササイズの脂肪燃焼に変化?
Breakfast may alter fat burning during exercise

ニューヨーク(Reuters Health) - 健康だけどあまり動かない女性数名に、食物繊維が多い低GI値の朝食を与えてからエクササイズをさせると、脂肪燃焼は増えたという結果が、小規模の報告から得られた。

大規模の研究でこのことが確認されたら、この発見は、体重をコントロールするために重要な意味を持ってくるだろう。英国、ノッティンガム大学の研究者の報告である。

Emma J. Stevenson医師等は、ダイエットをしていないけど健康な女性8人に、低GI値か高GI値の朝食のいずれかを与えて、エクササイズの後の脂肪酸化の評価をした。

どちらの朝食にも、同量の炭水化物、タンパク質、そして脂肪が含まれていたけど、「ナッツやミルク、ヨーグルトに缶詰の桃に、小さなアップルジュース」という低GI値の朝食には、3.5gの食物繊維が含まれている。

逆に、「コーンフレークにミルク、白パンにジャム、そして糖分の含まれた飲料水」という高GI値の朝食には、1.5gの食物繊維が含まれていたと、現在、Northumbria大学に所属しているStevenson医師が説明した。

今までの研究では、低GI値の食事を食べたアスリートは、エクササイズをすることで、脂肪燃焼が炭水化物の燃焼より進んだ。そして、その結果はJournal of Nutritionで報告された。

新しい研究では、平均年齢24歳の女性8人に2つの異なる条件、低GI値か高GI値のいずれかの朝食、そして、60分間の散歩をして3時間後に食事が与えられた。

エクササイズをしている間、低GI値の朝食を与えられたら、脂肪の燃焼は最も高く、炭水化物の燃焼は最も低かった。

Stevenson医師等の報告によると、低GI値の食事をしてからエクササイズをすると7.4gの脂肪の燃焼、高GI値の朝食なら3.7グラムの燃焼があった。また、同様に炭水化物の燃焼は、低GI値の朝食なら42.5グラム、高GI値の朝食なら51.6グラムだった。

さらに言えば、両方に全く同じ昼食をしてもらっても、低GI値の朝食を食べた女性は、一日を通して満ち足りていたらしい。

これらは予備的な研究ではあるけど、食物繊維の多い高GI値の朝食をたべることで、脂肪酸化は増え充足感を感じるようだ。低GI値の朝食とエクササイズの組み合わせをすることで、長期的に良い効果があるかどうか調べていくべきであると、Stevenson医師等は考えている。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009年4月21日 (火)

野菜バカ?

ちょっと気になるニュースがあったからコメントをしよう。

人一倍食べているのに肌ガサガサ…“野菜バカ”増殖中」Walkerplusニュース

この記事は、編集部の瀬戸さんが書かれているので、管理栄養士、伊達友美さんの真意がどこにあるのか明確ではない。しかし、野菜をたくさん食べる人を「野菜バカ」って呼ぶ彼女の姿勢に抵抗を感じる。

 「カラダや肌、ココロに元気をつけたい!」という健康志向が高まる昨今、自分に足りないのは野菜の「量」だと勘違いしている人が増えているんです。

最初に気になる部分はこれだ。ここで、「自分に足りないのは野菜の「量」だと勘違いしている人が増えている」と言っているけど、本当にどの位増えているの!? 何を根拠に言っているんだ? なんか彼女の根拠のない意見としか思えないんだけどね。

もっと気になるのは、野菜をたくさん食べる人は、三大栄養素を蔑ろにしているような書き方で、野菜に目がない「野菜バカ」っていうより、無知でバカのような言い様はないんじゃないかな。野菜をたくさん食べる人でも、栄養を考えている人はいる。次の私のエントリーを見て下さい。

野菜を多く食べる人でも色々なタイプが存在する。それをひとまとめにして、栄養を考えず野菜を摂るバカが増えているという書き方をされてもね。

    人間に必要な5大栄養素の1番目は“たんぱく質”、2番目が糖質である“炭水化物”、3番目が“脂質””。この3大栄養素を体の中でうまく代謝させるのに必要なのが、補酵素として働く“ビタミン”や“ミネラル”です。つまり野菜は必要な順番でいうと4、5番目!

この彼女の説明にも問題はある。伊達さんのこの言い方だと、栄養素に順位を付けているように読み取れる。そのうえ、まるで、4、5番目の野菜を摂るって行為は劣っているような書き方はいかがなものか。栄養素間の比較はできないし、すべて摂らなければならない重要なものだ。

   まるで裸でハイヒールだけ履いているようなもの。。しかも、ビタミンやミネラルは0キロカロリーで基本的に熱を作らないので、野菜だけを食べていると体はどんどん冷えていきます。

野菜を摂る人を「裸でハイヒールだけ履いているようなもの」って、ひどいんじゃない? ベジタリアンを煽っているような言動であるうえ、野菜を食べていると身体は冷える?伊達さんは管理栄養士ですよね?

この記事を読んで感じたのは、「野菜バカ」とか「裸でハイヒール」など、少し過激な言葉を使って読者の関心を惹いて注目されたい彼女の自己顕示欲の現れなのだろうか?

夜中にラーメンを食べても太らない」を以前紹介した時に書いたけど、彼女の説明には根拠が示されていないことが多い。

食事指導で数千人の指導をした経験から話をしているのだろう。しかし、彼女の所に訪れるクライアントだけで、一般論を話されても迷惑なだけだ。

最後に、ちょっと彼女を擁護すれば、以前のエントリーを読めばわかる。

明らかに、日本では、20代と30代の女性の低体重化は問題として考えられるようになっているのは事実で、伊達さんもこういう事実を危惧して今回の記事に関わったのだろうか。しかし、原因として「野菜バカ」と言えるデータは無いだろう。

野菜が少ない大多数の人がさらに野菜離れになるかもしれない「野菜バカ」という言葉は認知されて欲しくないね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

地球保護のためスリムでいよう

ちょっと気になる記事がReutersに掲載されていたから紹介しよう。肥満は個人的な問題なんだけど、地球規模の問題として捉えていかなければならない時期にきているのかもしれない。

しかし、環境問題として考えれば、危惧すべき問題も生まれるだろう。私が以前ここで取りあげた内容から導かれる私の見解を述べてみよう。

世界各国の人々の調査から、半分以上の人は過体重と答えているのに、健康的な食事ができていると答えた人は、5人に1人しかいない。ガイドラインで定められたエクササイズをしている人も極端に少ない。

なぜ生活習慣を改善できないのか?その理由の1つは、次のような報告から見えてくる。

余裕のない生活をすると、安価な食事、カロリーは高いけど栄養価の低い食事を摂り、肥満を増長させてしまう。

米国のように国民の半分以上が過体重の国では、市民の価値観までも変化してくる。

肥満を受け入れる社会は、一見望ましいように思えるけど、その裏で軋轢も生まれるだろう。

今日紹介するReutersの報告を読んで、肥満者が環境破壊の原因と短絡的に考えてしまう人も出てくるかもしれない。肥満を引き起こす社会に目を向けて対策を考えていかないと、人類滅亡? ちょっと言い過ぎかな?

地球保護のためスリムでいよう
Stay slim to save the planet

ロンドン(Reuters) - 過体重の人は、細い人より食べる量が多く、車を使って移動をする人が多いから、体重が増えることは、二重に環境に悪いという報告が、Hygiene & Tropical Medicine、ロンドン校の研究から発表された。

「食糧の消費から考えると、重い体重で動き回ることは、燃費の悪い車を乗り回していることに似ている」そして、食糧を生産する行為は、温室効果ガスを生み出す主要な原因にもなっていると、研究者のPhil Edwards氏とIan Roberts氏は、International Journal of Epidemiologyに掲載した報告の中で述べている。

「我々は、地球規模で肥満に向かっている現状を翻すために、更に多くのアクションを必要としていて、二酸化炭素排出量を減らし、気候変化を緩徐にするため、肥満問題が鍵になっていることに気付く必要がある」と英国の科学者たちは話した。

彼らの推定によると、肥満者は、年間約1トンの二酸化炭素排出が、平均体重の人に較べて多く、この積み重ねから、10億人の肥満人口では、年間10億トンの二酸化炭素を排出している。

欧州連合は、EU市民によって年間11トンの温室効果ガスの排出をしているという計算をしている。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年4月20日 (月)

ナノシルバー?

先々週頃から、「ナノシルバー」をキーワードにして、ここに来られる人が増えていた。

検索フレーズランキングでも、安定してヒットしている「オメガ3」を抜いて、ナノシルバー絡みの検索が増えて、トップになってしまった。

なぜ?

新しい知見でも出たのかと思って、PubMedをチェックしたけど、気になるような文献は見つからなかった。水生生物に対する悪影響の他に、新しく、ナノシルバーとナノコッパーでは、暴露によって異なる生物学的な反応をしめしたという報告があった。

Comparison of molecular and histological changes in zebrafish gills exposed to metallic nanoparticles.(金属ナノパーティクルに暴露をしたゼブラフィッシュのえらにおける分子学的、組織学的変化の比較)
Toxicol Sci. 2009 Feb;107(2):404-15. Epub 2008 Dec 10.

この研究が注目されている訳がない。

「ナノシルバー」をキーワードにして来られた人、理由を教えて下さい。

関連ページ:ナノシルバーと抗菌力

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月15日 (水)

不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?

この報告をした大隅典子さんのブログを見つけたのでトラックバックしちゃいました。今度質問をしてみようと思うよ。こういうブログがあると嬉しいね。大隅さんは現場の人だかね。(2009年11月11日追記)

オメガ3系脂肪酸に関する話題
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)
オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
オメガ3系脂肪酸は黄斑変性症の進行を抑えるかも(09/06/11)
オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし(09/07/14)
魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3(09/10/17)

不飽和脂肪酸を話題にすると、頭が混乱するから注意しよう。オメガ3系では、α-リノレン酸からEPAやDHAが合成され、オメガ6系では、リノール酸から、γ-リノレン酸、アラキドン酸に合成されていく。ややこしいよね。

不飽和脂肪酸は、炭素間二重結合の位置の違いによって、オメガ3系とオメガ6系がある。オメガ3系とオメガ6系は全く異なる生理反応を引き起こすから、どちらか一方だけ重要と言う訳じゃない。どちらも必要なんだけど、理想的な比率は今のところ分かっていない。

今日の気になるニュースを読んで、オメガ3系とオメガ6系の理想的な比率は、成長過程で変化するかもと思った。成長期の子供では、オメガ6系が重要であり、大人になってからは、オメガ3系が重要になるような気がする。

これは私の感想、なんの根拠もないけど、こう考えるようになったのは、単純だけど、今日のニュースを見てから。じゃあ、ちょっと読んでみよう。

アラキドン酸:心の病に予防効果?…卵・海藻含有の栄養素(日本語だから読んでね)

毎日新聞のニュースに出ていた記事だけど、読んだ人いるかもね。あくまでもラットを使った実験なので、話半分で聞いた方がいいかもしれない。でも、非常に興味深い内容だった。オメガ6系不飽和脂肪酸の1つ、アラキドン酸を摂取すると、脳の神経細胞の生成が促され、精神疾患の予防になる可能性が示唆されたという内容だ。

まあ、いつものように、新聞の内容だけで判断していると、アラキドン酸を摂ると精神疾患の予防になるような気がするよね。勘違いしないように、文献を見てみよう。

Arachidonic Acid Drives Postnatal Neurogenesis and Elicits a Beneficial Effect on Prepulse Inhibition, a Biological Trait of Psychiatric Illnesses
アラキドン酸は生後神経新生を促進し、精神疾患の生物学的指標となるプレパルス抑制に良い効果をもたらす

PLoS Oneのこれが元ネタになるけど、今回は英文を読まなくてもいいんだよ。実は、日本人のグループが書いているので、日本語の説明もあった。

アラキドン酸が神経新生促進と精神疾患予防に役立つ可能性を発見(日本語だよ)

英語の文献と、この日本語の説明を読むと色々と勉強になるだろう。実に興味深い内容だった。感覚フィルター機能の評価のためプレパルス抑制(PPI)という検査があるって話、全く知らなかった。

精神病疾患は、統合失調症と気分障害に大別されて、アラキドン酸は、統合失調症の原因説とされる「神経発達障害仮説」に関わっているという話の流れも知らなかった。勉強になるね。

胎児時期の栄養失調から思春期の統合失調症の発症が増えるという事から、精神疾患の予防としての栄養素の重要性が読み取れるし、多価不飽和脂肪酸がその原因として考えられたという今回の報告は、当然私にとって興味深い内容だよね。

アラキドン酸は、脳内に多い不飽和脂肪酸。でも、アラキドン酸と結合するアラキドン酸レセプター、Fabp7は、脳の発達期の未成熟な神経幹細胞で多量に発現しているだけ。大人になるとその発現は減少するらしい。ということは、アラキドン酸は発達期と成人でその効果や役割は変化する可能性がある。

神経の増殖期におけるアラキドン酸による神経増力作用っていうのは読み取れる。しかし、神経は増殖もするけど、分化成熟する必要もある。

実験で使った餌には、不飽和脂肪酸として、アラキドン酸単独、アラキドン酸とDHA、そしてDHA単独を加えてあり、この3群を使って比較している。アラキドン酸を加えた餌を食べたラットのみ神経新生を認め、このアラキドン酸含有餌を使ってPPIの評価をしていた。

結論のところで、アラキドン酸は神経増殖を促し、DHAは神経の分化をしているのではないかという考察が入っていた。しかし、これは著者等の意見だ。アラキドン酸とDHA含有餌でPPIの結果がどうなったのか触れられていないので気になるところだ。

それに、アラキドン酸とDHAの比率の問題も残っているし、ここのグループの次のデータがどうなるか楽しみだよね。

まあどちらにしても神経回路形成を客観的にみるためPPIを使った実験モデルは、扱いやすいだろう。色々なグループから同様の報告が出るような気もする。でも、このラットを使ったPPIの実験、人でも当てはまるのだろうか?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月14日 (火)

カフェイン離脱症候群

スラッシュドット・ジャパンにカフェインに関するポストがあったけど、それがこれだ。読んだかな?

その症状、カフェインの離脱症状?

コーヒー好きの私の気を惹いたので、元ネタの4月6日のCNNのニュースをじっくり読んでみた。

別に新しい知見があった訳じゃないね。どうも番組が定期的に提供している健康情報の1つなんだろう。知らない人に向けて注意喚起をしている内容だったよ。じゃあ、いつものようにCNN.comの内容をサクッと訳してみよう。

カフェイン離脱症状の危険性を自覚しよう
Beware the perils of caffeine withdrawal

アトランタ、ジョージア(CNN) -- Susan Toddさんは、コーヒーを毎日煎れるのが好きだ。「4、5杯は、簡単に、楽しみながら飲めるわよ」と、ミシガン、クリントン・タウンシップの59歳の彼女は話してくれた。

しかし、定期的に摂っているカフェインを忘れると、気を付けなければならないと彼女は思っている。

「全身の虚脱感を感じるわ。決して傷つく訳じゃないけど」彼女は説明する。「ただ、やる気がおきないの。でも1杯のカフェインで治るのよ。」

北米の成人や子供達の80%-90%は毎日カフェインの入った製品を摂っていて、その一人がToddさんだ。専門家によれば、頭痛やカフェイン離脱症候群の他の症状を経験した人たちは半分ぐらいいるらしい。

毎日摂っているカフェインを減らしたり止める理由は数多くある。妊婦はカフェイン摂取量を一日200mg以下(354mlのコーヒー一杯)にするように専門家に言われている。パニック発作引き起こしやすい人や不安神経症の人はカフェインの入った製品は勧められていない。外科手術を受ける患者さんでも、術前に何も飲むな食べるなと指示されているので、手術当日、カフェイン離脱症候群の症状を経験する可能性もある。

メリーランド、ボルチモア、ジョンホプキンス大学の研究者は、数十年にわたるカフェインの研究をまとめ、5年前に、これをカフェインによる障害として認識した。彼らの結論は、カフェイン摂取が多ければ多いほど、カフェインを止めた時、より強いカフェイン離脱症候群の症状を引き起こす。

研究者の報告によると、カフェイン常習者は、カフェインの摂取を減らしたり止めたりできないから、自分たちはカフェインの中毒になっていると思っている。

ジョージア、アトランタ、エモリー大学、Yerkes National Primate Research Center、神経科学部門の部長、Michael Kuhar氏は、「中毒(Addicted)」という言葉より、「依存(Dependent)」という言葉を好んで使う。カフェインは薬物ではあるが、コカインやヘロインのレベルには達していないとKuhar氏は考えている。

Kuhar氏によると、カフェインには中程度の覚醒作用がある。「一杯のカフェインを摂れば、気分は良くなり活力に溢れる」と彼は言う。

コーヒーやコーラを飲まないで奇妙な感じになっても驚かないようにと、Kuhar氏は話す。彼によると、「頭痛、疲労感、眠気、注意力の欠如」などの訴えをする人がいる。まて、たった一杯のコーヒーを飛ばしただけで、風邪の症状、興奮、抑うつ、不安などの症状を経験したという報告もされている。

血管を拡張させる脳内のレセプターをカフェインがブロックすることで頭痛が生じるとKuhar氏は説明する。「離脱症状は、最後のカフェインを摂ってから12〜20時間で始まり、2日後にピークに達して、一週間ほど続く」と説明を加えた。

カフェイン離脱症状を引き起こすのはコーヒーだけではない。コーヒー一杯、177mlに約100mgのカフェインが含まれているけど、紅茶やコーラには40mg含まれていて、ミルクチョコレートのバーには10mg、ココアには約7mg含まれている。

これはどういう意味かと言えば、大人に限らず子供でも、生理的、個人的なカフェイン離脱症状を日々経験しているという可能性があると、Kuhar氏は話した。

カフェインを止めるか、摂取量を減らしたいと考えているなら、注意深くすることを勧めている。「先ずすべきことは、量の多さに対処することだ -- 基本的にゆっくりと摂取量を減らす」とKuhar氏は提案する。「段階的に簡単に行くっていう意味じゃないけど、薬物中毒よりは楽に行くに違いない。」

ジョンホプキンス大学の研究者もカフェインを止めるため段階的な方法を承認している。離脱症状の経験を減らすために、徐々にデカフェイン製品やノンカフェ製品に代えていくように患者に指示している。

Kuhar氏は、一日に半分から一杯分のカフェインの摂取を減らすことから始める提案をしている。

テクノロジー・コンサルタントのSkeet Spillane、42歳は、毎日三杯以上のカフェインを何年も続けてから、ステップダウン・プログラムを始めた。彼はカフェインを飲み過ぎていると感じたからだ。

Spillaneは、非常に強い頭痛を生じて、カフェイン離脱症状を自覚した。一日中、不機嫌だったと彼の妻は話した。

彼は今、代わりにお茶を飲み、時々一杯のコーヒーを飲む。振り返って考えると、離脱症状を克服するのに「しばらく苦しかった」ことを認めた。しかし、今では非常に気分がいいし、カフェインに依存していない自分に満足している。

-----

とまあ、ここまでがCNN.comの内容だ。

これで終わったらLife-LOGらしくないから、コーヒーに関する話題を付け加えておこう。

実は、ちょうどコーヒーに関するレビューがInternational Jouranal of Cancerの4月号に載っていたからだよ。

Coffee consumption and risk of colorectal cancer: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies
コーヒー摂取量と大腸癌のリスク:体系的レビューと前向きコホート研究のメタ解析

この文献報告のニュースがReuters Healthに紹介してあったんだ。翻訳はしないけど、興味があればここをみて下さい。

文献のアブストラクトは訳しておこう。

今までに、いくつものケースコントロール研究から、コーヒー摂取量と大腸癌のリスクには負の相関が示されてきたけど、この関連性は、前向きコホート研究と一致していなかった。我々は、2008年の1月までに報告されたコーヒーの摂取量と大腸癌のリスクに関する前向きコホート研究を体系的にメタ解析をした。変量効果モデルを使用して、大腸癌の相対的危険度(RR)を、コーヒー摂取量の多いカテゴリーと少ないカテゴリーで比較した。我々は、12の有効なコホート研究を確認したけど、その中で、646,848名の参加者に5,403名の大腸癌のケースが含まれていた。コーヒー摂取量が多くても少なくても、メタ解析の結果からは、コーヒーの摂取が大腸癌リスクに明らかな影響を与えなかった(RR = 0.91; 95% CI:0.81-1.02)。米国の4つのコホート研究だけ考慮するとRRは0.93(95% CI:0.71-1.22)、ヨーロッパの5つのコホート研究だけならRRは0.91(95% CI:0.76-1.10)で、日本の3つのコホート研究でRRは 0.83(95% CI:0.62-1.10)だった。性別も発癌部位にも明らかな違いは認められなかったけど、僅かながら女性においてコーヒー摂取量と大腸癌のリスクに負の相関が示唆された(RR = 0.79; 95% CI:0.60-1.04)、特に日本人女性で認められた(RR = 0.62; 95% CI:0.37-1.05)。この示唆された負の相関は、喫煙、アルコール、フォローアップの短い研究で強調されていた。コーヒーの種類、量、それに煎れ方などの情報がわかれば、もう少しこの結果を理解することができて、大腸癌リスクに対するコーヒーの役割が分かるかもしれない。
-----

Reuters Healthの見出し(本文じゃないよ)では、コーヒーの摂取は大腸癌リスクに関係ないと言い切っているけど、日本人の女性では負の相関が示唆されている。情報が少ないから何とも言えないけど、少なくとも悪影響は無いだろうね。(今のところ)

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月13日 (月)

肥満児にむけた簡単な治療法は -- 水

先週の「糖質の入った飲料水を減らせば減量になる」は覚えているよね。

実は、Archives of Pediatrics & Adolescent Medicineの4月号で、似たような話を特集にしていたよ。

その内容をまとめたReuters Healthの記事を紹介しよう。

肥満児にむけた簡単な治療法は -- 水
One easy remedy for overweight kids -- water

ワシントン(Reuters) - 子供達の減量を助けてあげたい?それならソーダや糖質の入った飲料水の代わりに水を与えればいいと、先週の月曜日に研究者による忠告が出た。

米国の子供達やティーンの食生活を解析した報告から、子供達は、毎日糖質の入った飲料水から、平均して235kcalの「空っぽ」のカロリーを取っていることが示された。

こういう飲み物を止めても、普通の子供なら、他の食べ物や飲み物で穴埋めをしないと、研究者は言う。しかし、もう一つの研究によると、糖質入り飲料水を止めても、エクササイズをしたりお菓子を止めたりはしない。

「証拠は明らかになってきているから、この「液体カロリー」を、自宅や学校で、カロリーの無い飲料水に代えることが、栄養の行き過ぎを止め、子供達の肥満を防ぐための戦略的な鍵になるだろう」と、ニューヨークのコロンビア大学、Claire Wang医師は、記事に書いてある。

Archives of Pediatrics & Adolescent Medicineに書かれているけど、Wang医師等によると、詳しい食事の質問事項も調べられた2003年から2004年のNational Health and Nutrition Examination調査で得られたデータを調べた。

摂取するソフトドリンクを1%減らしてやると、6kcalの制限に等しいと、彼らは言う。

他の二つの研究から、子供達の生活習慣を変える可能性を示した結果が示された。

南カルフォルニアのEmily Ventura女史等は、ラテン系の過体重ティーン、54名を、食生活を改善させるための4ヶ月に渡る研究に参加させた。

3分の1は何もしない。他の3分の1は、週一回栄養学の教室を受けさせ、残りの3分の1は、栄養学の教室に加えて、週二回の筋力トレーニングを受けさせた。

半分以上 -- 55% -- の子供達は、一日47グラムの砂糖摂取を控えるか、同量の糖質の含まれた缶ジュースを止めた。59%の子供達は、食物繊維の摂取量が増え、一日5グラムにもなった。

この現象は、何もしなかった「コントロール」のグループでも見られていたと、Ventura女史等はジャーナルで報告した。

糖質の摂取の少ない子供達は、健康的な血糖レベルで、食物繊維の量が増えた子供たちは、平均して10%の内臓脂肪、内臓に取り巻く危険な脂肪の減少が認められた。

「私たちの研究結果から、糖質や食物繊維の摂取を改善させるのに、強力な介入は必要ないかもしれないだろう」、Ventura女史等は報告している。

オランダのプログラムでも糖質入り飲料水の摂取量は減った。アムステルダムのVU大学、メディカルセンターのAmika Sigh氏等は、12歳から13歳の1,108名の子供達にテストをした。

子供達を、生物や体育の授業を含めた11レッスンで構成される8ヶ月のプログラムに参加させた。1年以上経っても、子供達は、平均一日200ml以上のソフトドリンクを控えている。

しかし、お菓子を制限したり、学校に徒歩や自転車でいったりする子供達は少なかった。

「糖質の入った飲料水を減量させるっていうことは、青年期の肥満予防をするための介入として、いいターゲットとして使える行動変容だろう」とSingh'sのグループは結論付けていた。

-----

ここまでがReuters Healthの記事だ。前書きでも言ったけど、今日の話題はすべてArchives of Pediatrics & Adolescent Medicineの4月号に掲載されている論文だ。

4月号の冒頭で触れているけど、子供達が3歳になった時と5歳になった時に自主性(Self-Regulation)をチェックして、自主性が低い場合、12歳になった時の肥満が顕著になるという報告も紹介している。

思春期に肥満になるかどうか3歳や5歳の頃の自主性が問われるんだって。でも、子供達に教育をすると行動変容が容易に起こりやすいのも確かだろう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2009年4月 8日 (水)

糖質の入った飲料水を減らせば減量になる

コンビニ、自動販売機、外食した時でもいいだろう、市販の飲料水を飲んだこと無いっていう人いる?

飲んだことない人はいないだろうね。じゃあ、どんな飲料水を選んでますか?

子供ならまだしも、大人になれば、自分の考えや嗜好から自由に選んでいるだろう。何も考えてない?じゃあ、数秒でいいから、考えるべきだろう。でないと、あなたは、ウエストサイズをコントロールできなくなるよ。

炭酸飲料、スポーツドリンク、その日の気分で、適当に手にとりレジに持って行く、ちょっと太り気味のあなた。そうです、あなたです。今日の文献は、本能のまま、糖質の入った甘い飲み物を選択しているあなたに向けた内容だよ。

でも、ここの読者なら、糖質の入った飲み物は飲んでないだろう。少なくとも私のところに受診した人なら、飲んでいないよね。だって、私は、「ブドウ糖果糖液糖」を毛嫌いしているからね。

糖質の入った飲料水を減らすことと減量は相関する:PREMIER試験
Reduction in consumption of sugar-sweetened beverages is associated with weight loss: the PREMIER trial

背景:飲料水から摂るカロリー摂取が増えれば、平行して、米国民の肥満は増えていくけど、その因果関係は不明である。
目的:この研究は、大人たちの飲料水の飲み方が変わると、どのくらい体重が変化するか調べることを目的にしている。
計画:PREMIER試験に参加している810名の成人を対象にした前向き研究で、18ヶ月間の無作為に比較検討した行動療法トライアルである。開始時、6ヶ月後、18ヶ月後に測定(体重、慎重、24時間の食事の記録)を行った。
結果:開始時に、飲料水からの平均摂取カロリーは356kcal/日(全摂取カロリーの19%)だった。考えられる条件や行動療法の介入をした後に補正したら、100kcal/日あたり飲料水のカロリーを制限すると、6ヶ月後に0.25kgの減量、18ヶ月後に0.24kgの減量になる。飲料水のカロリー制限は、固形の食事のカロリー制限よりも大きな減量効果があった。個々の飲料水を較べると、糖質の入った飲料水(SSB)のみ減量と強い相関関係を示した。一日に一回SSBの摂取を止めると、6ヶ月後に0.49kg、18ヶ月後に0.65kgの減量になる。
考察:大人では、飲料水からカロリー摂取を控え、SSBの摂取を減らすことで、減量そして体重増加を避ける方法となり勧められる結果となった。

この文献の要約では、詳しい事が分からない。Reuters Healthにもう少し詳しい内容を書いてあったよ。どんな飲料水を較べたかと言えば、1)糖質の入った飲料水(普通のソフトドリンク、フルーツジュース、フルーツパンチ、もしくは高カロリーの糖質入り飲料水)、2)ダイエット飲料(ダイエットソーダ、その他「ダイエット」と書かれた人工甘味料の入った飲料水)、3)牛乳(普通のミルク、2%低脂肪ミルク、1%低脂肪ミルク、スキムミルク)、4)100%果汁ジュース(100%果汁や野菜ジュース)、5)砂糖の入ったコーヒーやお茶、6)砂糖の入っていないコーヒーやお茶、7)アルコール飲料の7つのグループを較べて、1)の糖質入りの飲料水だけ減量と相関関係があったそうだ。

砂糖入りのコーヒーや100%フルーツジュースで太らないという意味じゃないからね。100%フルーツジュースでも、市販されているジュースと手作りフレッシュジュースじゃ較べられないだろう。

PREMIER trialとは?
Effects of comprehensive lifestyle modification on blood pressure control: main results of the PREMIER clinical trial.
Appel LJ; Champagne CM; Harsha DW; Cooper LS; Obarzanek E; Elmer PJ; Stevens VJ; Vollmer WM; Lin PH; Svetkey LP; Stedman SW; Young DR
JAMA 2003 Apr 23-30;289(16):2083-93.

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月 7日 (火)

ブロッコリー・スプラウトは胃癌予防になるだろう

「生活習慣を改善すると癌の半分は予防できる」という報告がWHOから先日されたんだけど、知っているかな?

脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患は血管内皮細胞の炎症から生じるし、慢性炎症は、発癌に進展していく。「炎症」で身体は傷つくんだ。

現代社会に生きていて、炎症を発生させない生活は送れない。じゃあどうすべきか? 効率的に炎症を鎮めてやればいいんだよね。どうやって? それが生活習慣の改善なんだ。

癌になってから身体に良いことを実践する人も多いけど、できれば健康だと思っている時期から実践して予防すべきだろう。本当に簡単なことなんだけどね。

果物と野菜をたっぷり摂って、玄米や全粒粉を主食にする。肉を極力減らし、汚染されていない魚や豆類を摂る。素材を生かした味付けにする。

毎日30分間以上のエクササイズ(有酸素運動、筋力トレーニング、バランス瞬発力トレーニング)を続ける。

たったこれだけの事。皆さんが実践すれば、問題になっているメタボから進展する疾患は激減するだろう。

でも、現状のままでは、こういう生活を実践するのは難しい。

不健康な食品業界で働いて生計を立てている人が多いからだ。私は香川県に住んでいるけど、ここで「讃岐うどん」を食べちゃ駄目なんて言えないし。讃岐うどんの消費が減ってしまったら地場産業は崩壊して香川県が荒んでしまう。正直、全国から讃岐うどんを食べに来て欲しいと思っている。

本当に、どう指導したらいいのか悩むね。うどん屋で山のようにサラダが食べられるといいんだけど、安さを売りにしている現状では無理だろう。

少しずつ変わっていくしかないか。少なくとも、ここに来ている人は考えてください。

何の話をしているやら、今日は胃癌の話をしよう。

慢性炎症から癌が発生すると言ったけど、胃癌の場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染による慢性炎症から胃癌が発生する。ピロリ菌のいない胃炎から発癌することは無い(1%以下)と断言する専門家もいるぐらいだ。

ようするにピロリ菌のいない人は胃癌にならないってことだ。じゃあ既にピロリ菌がいる人はどうすればいいと思う?

除菌をすればいいんだよ。除菌療法は、保険適応に関わると、現在進行中の問題なので、詳しい話をしないけど、ピロリ菌保菌者なら是非除菌をして欲しい。

40歳を超えると保菌率は、7割以上になると言われている(私は持ってないよ)。気になる人は、ピロリ感染の検査をすればいいだろう。内視鏡、呼気試験、血清や尿中の抗体価、便検査でも調べられるから自分に適した検査法を選択するといいだろう。

さて、今日は、ピロリ菌と食事に関する内容を紹介しよう。以前(2004年)から、ブロッコリー・スプラウト(新芽)を食べるとピロリ菌の数が減少するという予備的な報告はあった。

Oral broccoli sprouts for the treatment of Helicobacter pylori infection: a preliminary report
ヘリコバクター・ピロリ感染症に対する治療としての経口からのブロッコリー・スプラウト:予備報告

予備報告なので、ブロッコリー・スプラウトを一週間食べた被験者はたった9名しかいなかった。食べた後直後の便ピロリ菌抗原試験で陰性だったのが7名。35日目の検査で6名は陰性のままだった。この6名に尿素呼気試験をすると、2名は陰性、2名は陽性、そして2名が中間型だったという結果。ちょっと規模が小さすぎる。確かにブロッコリー・スプラウトでピロリ菌の数は減りそうかなと感じる程度だった。

今日の本題は、これをもう少し発展した報告だ。
Cancer Prevention Research 2, 353, April 1, 2009. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-08-0192

食事からスルフォラファンの豊富なブロッコリー・スプラウトを摂ると、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染したマウスでもヒトでも、コロニー形成を減らして胃炎を改善させる
Dietary Sulforaphane-Rich Broccoli Sprouts Reduce Colonization and Attenuate Gastritis in Helicobacter pylori-Infected Mice and Humans

イソチオシアネート酸スルフォラファン{SF]は、グルコシノレート前駆体(グルコラファニン)として、ブロッコリー・スプラウトに豊富に含まれている。ヘリコバクター・ピロリ菌、これは世界的に広がっている胃癌の発生に密接に関わっているけど、SFは、この菌の強力な殺菌作用を持っている。ヘリコバクター・ピロリ・シドニー株1に感染したC57BL/6雌マウスに経口でSFの豊富なブロッコリー・スプラウト与え、高塩分食(7.5%NaCl)を続けてやると、胃内のヘリコバクター・ピロリ菌のコロニー形成は減り、粘膜上のTNFα(腫瘍壊死因子)やIL-1β(インターロイキン)の発現は弱まり、炎症も全体的に抑えられ、そして、高塩分で誘導される胃体部の萎縮の予防にもなった。この治療的な効果は、nrf2遺伝子が欠損したマウスでは認められなかったことから、Nf2依存性の抗酸化物質と抗炎症性物質がSF依存的に重要な役割があることが強く示唆された。48名のヘリコバクター・ピロリ菌感染者を、無作為にブロッコリー・スプラウト(70g/日; 420μmolのSF前駆体)を8週間食べるグループと、プラセボとしてアルファルファ(SFが全く含まれない)を同じ量食べるグループに振り分けた。ブロッコリー・スプラウトによる介入群は、プラセボで認められなかったけど、尿素呼気試験の尿素レベル、便中ピロリ菌抗原値、血清ペプシノーゲンテストI型及びII型の値の低下をみた。この値の低下は、治療を終えて2ヶ月後に元のレベルに戻ってしまった。スルフォラファンの豊富なブロッコリー・スプラウトを毎日2ヶ月間摂ることで、マウスの菌によるコロニー形成は抑制さる。そして、感染したマウスやヒトにおける炎症の後遺症を改善する。この治療はヘリコバクター・ピロリ菌による酸化ストレスに対して胃粘膜の保護を高めてくれるようだ。

ブロッコリー・スプラウトによって炎症が抑えられる報告だ。しかし、除菌ができる訳ではないので、ピロリ菌を持っている人はきちんと除菌した方がいい。ただ、除菌率を上げるためにブロッコリー・スプラウトを食べるっていうのもいいかもしれない。ブロッコリー・スプラウトを食べて除菌するグループと、アルファルファを食べて除菌するグループを比較すれば答えは出るだろう。ここを読んでいる若い研究者の人、やってみたら?

最近、スーパーでもブロッコリー・スプラウトを購入できるけど、値段が高いから定期的に食べるのは止めてしまった。毎日購入する気にはなれないからね。お金がないと健康にもなれない健康格差が大きくなる世の中だ... 皆さんどう思います?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月 4日 (土)

アルコールは二度目の乳癌リスクを高めるかも

久々に土曜日の更新だ。実は、ココログ事務局からメールがあった。ここのブログを日刊ココログ・ガイドで紹介するって内容だったよ。

少しでも多くの人に最新の健康情報を届けていきたいと思っているから読者が増えると嬉しい。

これだけ言いたかったんだけど、Reuters Healthの嫌なニュースを紹介しておこう。

アルコール好きの私には耳の痛い話。アルコールに関する否定的な報告だった。乳癌になった女性は、他の乳房に乳癌が発生するリスクは高いということは言われていた。しかし、ライフスタイルの因子、飲酒によってリスクが高まるという報告は初めてのようだ。

飲酒歴があると二度目の乳癌リスクは30%上がるけど、不思議なことに喫煙との関連は見られなかった。アルコール、先日話したけど、アセトアルデヒドが何かしら悪さをしているのだろうか?アルコール・フラッシングとの兼ね合いも知りたいけど、考察はされていないのかな?

文献はこれ、「Alcohol Intake and Cigarette Smoking and Risk of a Contralateral Breast Cancer」なんだけど、内容は読んでいないよ。

それにしてもアルコールと癌化の関わりは、これまでの報告からみると大きいんじゃないかなと思う。私は、個人的に喫煙の方が癌化との関連性が強いと思っていたけど、ここ最近の報告を見ると、アルコールの方が強いような気がする。

皆さんどう思いますか?私は自宅で晩酌を止めたよ。

さて、Reuter Healthの記事を紹介しておこう。

アルコールによって二度目の乳癌リスクを高める
Alcohol use may raise risk of second breast cancer

ニューヨーク(Reuters Health) - 一方の乳房に癌のあった女性がアルコールを飲むと、他方の乳房に癌が発生するリスクは高まる。しかしながら、喫煙との関連性は認められなかった。

一方の乳房に癌があった女性は、他方の女房に癌が発生する危険性は高い、しかし、アルコールや喫煙など、関連性が示唆されるリスクの評価をした報告は少ない。Julia A. Knight医師のグループは、American Journal of Epidemiologyに報告をした。

オンタリオ州、トロントのマMount Sinai病院のKnight医師とグループによって、二度目の乳癌を発症した708名の女性と、発症しなかった1399名の女性のアルコールと喫煙のパターンを較べた。

彼らの知見によれば、「全くアルコールの飲まなかった女性に較べて、アルコールを飲んでいた女性は30%発癌のリスクが高くなる」とKnight医師はReuters Healthに説明した。

米国とデンマークにある登録癌患者から、1985年から2000年の間に、原発性の浸潤性乳癌と診断された女性を選出した。

Knight医師のチームは、一方の乳房に癌があって、他方にも癌が生じた女性の、年齢、診断した年、住んでいる所、人種、放射線療法などの条件を一致させ、アルコール消費と喫煙に関する自己申告した記録を比較検討した。

既に述べたように、喫煙との関連性は認められなかったけど、アルコールの消費があると二番目の乳癌の発生リスクは30%上昇してしまう。飲酒をしない女性と較べると、飲酒歴が長ければ長いほど、二度目の乳癌のリスクは上昇する。

Knight医師は、リスクに影響する飲酒のパターン、遺伝因子や他のライフスタイルの因子がアルコールの影響にどう影響するか知るために、更なる調査が必要だと言う。

「今知っていることを考えれば、一般的に女性はアルコールの飲酒を避けた方がいいだろう。」Knight医師は説明した。

ソース:American Journal of Epidemiology, April 15, 2009.

 

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年4月 1日 (水)

飲酒で顔赤くなるアジア人、食道がんのリスク高い

Figure5

文献中に出てくるFigure 5:アルコールに弱い人が飲むと食道癌になりやすい

二日前と同様にアルコールの話題を取りあげるけど、今日の話題は、日本人として非常に重要なので、しっかり読んで考えて欲しい。

恥ずかしいけど、私自身、アルコールと食道癌の関連性に関する知識は浅かった。

しかし、このような重要な話をロイター日本語版では「世界のこぼれ話」として報道している。こぼれ話程度に考えているロイター日本語版の記者は馬鹿だ。日本人として、もっと注目すべきだ。報告されている内容も非常に薄い。これじゃ問題提起にもならない。しっかり伝えて欲しい。

薄い内容のロイター日本語版の記事「飲酒で顔赤くなるアジア人、食道がんのリスク高い=研究」

本場のReutersはHealthのセクションを持っていて、もう少し詳しく情報を伝えているし、リファレンスとなる文献へのリンクも用意している。

Red-faced Asian drinkers at esophageal cancer risk

この文献はオンラインで公開されていて、フリーで読むことができる。医療従事者でなくとも、興味がある人は是非ダウンロードしてください。

今回文献を精読することにした。それほど日本人として重要な内容だからだ。本文の日本語訳を紹介しておく。文中の写真、図、表など、文献を確認してください。

今日の内容は、日本人なら知っていなければならない。特に重要なFigure 5をここで示しておく。

アルコール・フラッシング反応:アルコール摂取による食道癌の知られざるリスクファクター
The Alcohol Flushing Response: An Unrecognized Risk Factor for Esophageal Cancer from Alcohol Consumption

東アジア(日本、中国、韓国)の約36%は、飲酒に特徴的な反応、顔面フラッシング(Figure 1)、嘔気や頻脈などの症状を呈する[1]。これは、いわゆるアルコール・フラッシング反応(アジアン・フラッシュ、アジアン・グロー)と呼ばれていて、明らかに、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ2酵素(ALDH2)の遺伝的な欠損による[2]。医療従事者や東アジアの公衆衛生は、アルコール・フラッシング反応のことを知っているけど、ALDH2欠損があれば、ALDH2の活性がある人に較べて、食道癌(扁平上皮がん)の危険性が非常に高くなることを知っている人は少ない。食道癌は、世界中で最も致死率の高いガンの一つで[3]、5年生存率は米国で15.6%、ヨーロッパで12.3%、そして日本では31.6%であり[4]、知らないことは非常に不幸なことである。

私たちがこの記事を書いている目的の一つは、中等量のアルコールを飲んでいるALDH2欠損の患者さんは食道癌のリスクが高くなるということ、そして二つ目に、アルコール・フラッシング反応が、ALDH2欠損のバイオマーカーになるということを医療従事者に伝えることである。症状が強いから、アルコール・フラッシング反応を引き起こすことを知っている。それゆえに、アルコールによりフラッシングを起こしたことがあるかどうか訊ねるだけで、ALDH2欠損があるかどうか医療従事者は判断できる。そして、ALDH2欠損患者に対して、アルコールの減量を指導ができ、こうした高リスクの患者さんに対して、食道癌のスクリーニング評価を受けさせることができる。日本、中国そして韓国の人口とALDH2欠損患者数の頻度を考えると[1]、世界中に少なくとも5億4千万人存在することになり、世界の人口の8%を占める。このサイズから言えるのは、ちょっとだけ食道癌の発生イベントを低下させるだけで、世界的にみた食道癌の死亡率を大幅に下げることになるだろう。

アルコール代謝の遺伝的な基礎知識(e-ヘルスネットの説明も見て)
エタノールは、アルコール・デヒドロゲナーゼ(ADH)で代謝を受け、アセトアルデヒド(Figure 2)になるが、これは、変異誘発物質であり、動物ではDNAを損傷させる発がん物質であり、他の発癌を誘導する効果も知られている[5-7]。アセトアルデヒドは引き続き、ALDH2によって、酢酸に代謝される[8]。東アジアでは、ALDH2には、大きく二つの変異体が存在していて、487番目のアミノ酸がグルタミン酸(Glu)のものと、リジン(Lys)になったもの[9]。Gluアレル(ALDH2*1と表記)は、正常の酵素活性を持つタンパク質がコードされているけど、Lysアレル(ALDH2*2)は非活性のタンパク質がコードされている。その結果、Lys/Lysのホモ接合体は、ALDH2活性を全く示さない。Lysアレルは半優性遺伝をとるので、ALDH2 Lys/Gluヘテロ接合体は、Glu/Gluホモ接合体が持っているALDH2活性の半分もない。実際、ヘテロ接合体のALDH2活性は100分の1になる[8]。

ALDH2欠損の人がアルコールを摂取すると、アセトアルデヒドに代謝され、ALDH2の活性がないため、体内で蓄積されるから、顔面フラッシング(Figure 1)、嘔気や頻脈などを引き起こす[2]。こういう好ましくない効果は、アセトアルデヒドの種々の働きによるもので、ヒスタミンの放出も含まれる[10]。この好ましくない反応のため、ALDH2 Lys/Lysホモ接合体の人は、大量のアルコールを摂取できない。その結果、アルコール消費に関わる食道癌のリスクには予防的に働いている[11]。このことは、エタノールが食道癌の原因になるエビデンスとして考えられ、アセトアルデヒドによる発癌効果が重要な役割をしめていることになる[11]。

ALDH2 Lys/Gluヘテロ接合体の場合、細胞内にALDH2活性が弱いながら残存しているので、強力なフラッシングを呈さない。その結果、アセトアルデヒドに対する寛容が生じ、フラッシングを起こしながら、習慣的に大量の飲酒をするようになる、これには社会的、文化的な影響も関わっている(後述)。それゆえに、逆に、ALDH2ヘテロ接合体で活性が低い人たちが一般的に、アルコールを飲むことによって食道癌のリスクを非常に高めてしまう。

ALDH2欠損により食道の扁平上皮がんの危険性を高めるエビデンス
最初に紹介する研究[12]は、日本人を対象として、日本と台湾におけるケース・コントロール研究から、食道の扁平上皮癌リスク(Figure 3)と、ALDH2ヘテロ接合体のアルコール消費とに強い相関が示された、オッズ比(ORs)は、アルコールの消費量で補正して、3.7から18.1とい結果だった。さらに、多くの研究で、大量飲酒をするヘテロ接合体の人は、オッズ比が10以上に跳ね上がっている[13、14]。独立したメタアナリシスの結果でも同様で、中等量のアルコール消費であっても、ヘテロ接合体の人は、危険率の上昇を示していた[11]。日本人と台湾人の研究によると、食道癌のリスクの高い人の比率(58%-69%)は、ALDH2活性の低いヘテロ接合体の人の飲酒と関連性があった[13、14]。

このケースコントロール研究の結果と同様、前向き研究、癌の無いアルコール依存症患者の追跡研究でも、ALDH2ヘテロ接合体の上気道消化管(UADT)癌の相対的危険率は、ALDH2の活性がある人に較べて12倍高くなっていた[15]。(UADTは、口腔内、咽頭、喉頭、食道を含む) 更に、ALDH5の活性が低いヘテロ接合体のアルコール飲酒は、他のガン関連疾患、多数存在する食道の異型性(前がん病変)や、複数の独立したUADT領域の癌にも関連があった[13]。

もう一つ重要な事を言えば、ALDH5欠損でも、全くアルコールを飲まなければ、食道癌のリスクへの影響は無い[11]。更に、ALDH2に関連する食道癌のリスクの程度は、与えられた集団を較べると、他のリスクファクターよりアルコールの消費に依存している。中国の地方において、そこでは、食道癌の発生率が高いけれど、アルコール消費は、日本や台湾に較べて重要ではなくて、中等度の関連性(ORs、1.7から3.1)で、ALDH2ヘテロ接合体と食道癌の危険率との関連が示されている[16]。

セトアルデヒドが顔面フラッシングとLDH2欠損の人の食道癌のリスクの原因である
アセトアルデヒドが、ALDH2欠損の人がアルコールを飲んだ時に生じる顔面フラッシングや他の好ましくない影響の原因になる[10]。重要な事は、ALDH2欠損の人は、ALDH2の活性が完全にある人に較べて、同量のアルコールを飲んでも,アセトアルデヒドに関連するDNAや染色体の障害を多く受けているという直接的なエビデンスが存在するということで、これはそのまま発癌リスクの上昇メカニズムになっている。日本人のアルコール依存症患者の研究[17]により、変異したアセトアルデヒドによるDNA付加(Figure 4)は、ALDH2の活性がある人より、ALDH2欠損ヘテロ接合体の人(Table 1)の白血球に高頻度に見られる。この研究で、二つのグループのアルコール消費は一致していたけど、ALDH2欠損のグループは僅かばかりアルコールの消費量がコントロールに較べて少なかった。また、ALDH2ヘテロ接合体で飲酒する人は、ALDH2の活性のある飲酒者に較べて、白血球における染色体の障害も高頻度に見られた[18]。他のデータと同様にこいう結果から、2007 International Agency for Research on Cancer Working Groupによるアルコールとガンに関するアナウンスで、アセトアルデヒドが、アルコールに関する食道癌の原因になっているという多くのエビデンスが存在することを言及した[19]。

UADTがアルコールによるアセトアルデヒドとタバコの喫煙に曝されると、口腔内の微生物によるエタノールの代謝が進み、唾液内、更に延長して食道内のアセトアルデヒド産生が増加させているというエビデンスも増えている。唾液内のアセトアルデヒドのレベルは、血管内に較べて、10-20倍高濃度なのは、口腔内の微生物により局所的なアセトアルデヒドの産生が生じるからだ[21]。重要なことは、ALDH2ヘテロ接合体の人は、中等度の飲酒後、ALDH2の活性のある人に較べてアセトアルデヒドのレベルが2倍から3倍高くなる[22]。

社会的、文化的な因子によりALDH2ヘテロ接合体の人による中途量の飲酒
アルコール飲酒は、社会活動であり、文化的、社会的な力によって大きな影響を受ける。日本は、ALDH2ヘテロ接合体の人のアルコールと食道癌の危険性はしっかりと報告している国であるけど、仕事仲間と仕事の後に飲みに行くのは、日本のビジネス社会において重要な役割をしめている。仲間意識という考えは非常に強力に働いている。ALDH2の活性が低いヘテロ接合体の人が大量に飲酒するようになる率は、ここ数十年でかなり増えている。これは、日本におけるビジネス社会の広がりと平行していて、一人当たりのアルコール消費量は増えている。原田らによれば[23]、日本のアルコール依存症患者におけるALDH2の非活性の割合は非常に低い(2%)という報告を1982年にしていた。最近、プールしているDNAサンプルを使った研究で、樋口ら[24]は、1979年において、日本人のアルコール常習者のALDH2ヘテロ接合体の割合は、3%、1986年に8%、1992年に13%という報告をした。最近の研究によれば、東京の大量で大量に飲酒(一週間に400gのエタノール)をする男の約26%は、ALDH2 Lys487ヘテロ接合体を持っていた[35]。他の東アジアを見れば、ALDH2ヘテロ接合体のアルコール依存症患者の割合は、台湾で1999年に17%[26]、韓国では2007年に4%[27]であった。これをまとめて考えると、こういう結果から、ALDH2ヘテロ接合体の人がアルコール消費を抑制するには、社会的、文化的な影響を強く受け、時間経過とともに変わっていく。

現在、多くの東アジアの人々は西欧社会に生きている、特に大学や大都市に住んでいる。特に気になる集団は、大量に飲酒を押しつけられドンチャン騒ぎに参加しなければならないALDH2欠損の大学生である。さらに、ケーススタディから得られたエビデンスから、若者の一部は、顔面フラッシングを美容上の問題として捉え、抗ヒスタミン薬を使用して、アルコールを飲むためにフラッシングを抑える努力をしている[28]。こんなことをすれば、食道癌を伸展させる危険性を高めてしまうだろう。

教育と初期診断により食道癌の世界規模の困難を緩和させる
東アジア出身の患者を扱っている医療従事者は、アルコールを摂取するALDH2欠損患者の食道癌のリスクを知っていないといけない。重要な事は、過去にアルコール・フラッシングを起こしことがあるかどうか訊ねることで、東アジア出身の患者がALDH2欠損かどうか判断することができる。日本の社会において、ALDH2欠損は、二つの質問で構成されるフラッシングテスト(Box 1)、飲酒後のフラッシングのエピソードに関する質問に答えることで正確に判断できる[25]。一般的な病歴聴取の時に、二つの質問を組み込むことができる。日本の男性では、フラッシングの質問は、90%の感度、88%の特異度があり、陽性の的中率は87%になる[25]。フラッシングの質問は、女性でも88%の感度、92%の特異度がある。

ALDH2欠損の患者が確認されたら、彼らにアルコールを飲むことで食道癌のリスクが跳ね上がるということを説明すべきである。Figure 5(上述)に見られるように、ALDH2欠損の患者さんは、三つすべての飲酒レベルにおいて食道癌のリスクを高めているし、アルコール消費量と食道癌のリスクを示した関連直線は、ALDH2欠損者で傾きが強くなっている。医療従事者はこのグラフを使ってALDH2欠損患者に説明して、アルコールの消費量を減らす説得をすべきであろう。

Figure 5で示されているORsは、喫煙歴で補正している。しかしながら、喫煙は、アルコールと相乗効果を示して食道癌のリスクを高めることも教えるべきである[30]。既に説明したけど、喫煙により、唾液に含まれるアセトアルデヒドのレベルは上昇して、ALDH2欠損の患者さんでは、アセトアルデヒドを唾液から除去する能力は低下している。

食道癌のハイリスクの患者さんは、早期発見のために内視鏡の検査を考えるべきである。食道癌になりやすい患者をスクリーニングするため、アルコールのフラッシング、アルコールの消費量、喫煙、食事パターンを考慮して候補を選別するための健康障害の評価をするツールが開発されていて有効である[31]。フラッシングの質問が最も重要なパートになるが、この健康障害評価ツールを使って、スクリーニングのテストでトップの10%に含まれると、すべての日本人から約58%の割合で食道癌を同定することができると考えられている[31]。

早期発見すれば、内視鏡下粘膜切除により治癒させることができる。これは比較的侵襲性の低い方法である。しかし、癌が、粘膜下層を超えてしまうほど大きくなってしまえば、リンパ節転移の比率が跳ね上がる[32]。食道癌が発見されてからの三年生存率は、たった20%になってしまう[3]から、病気の予防が非常に重要だということを強調しておく。

ALDH2欠損の大学生は、大学にいる間に、大量に飲む経験をするだろう。それゆえに、大学における健康の専門家は、ALDH2欠損、顔面フラッシングとアルコールに関連する発癌リスクに関して目を光らせておくことが重要になる。ALDH2欠損の若者に、アルコール消費と食道癌の危険性を教えることで、発癌予防の重要な機会になる。しかしながら、フラッシングの質問事項の正確性は、40歳以上の人から得られたデータであり、アルコールの消費の限られている、ALDH2欠損の若者を評価するために、エタノールパッチテスト(Box 1)も使用できる[13]。パッチテストをすると、エタノールを皮膚につけて、その部分でアセトアルデヒドに代謝される。(SDHとALDHは皮膚の線維芽細胞で検出できる[33]。)もしアセトアルデヒドが酢酸に代謝されないなら、アセトアルデヒドによって血管拡張が引き起こされ、局所的な紅斑が認められる。フラッシングの質問と同様に、エタノールパッチテストも簡単で安価であり、感度も特異度もあり、活性の無いALDH2の陽性適中率も高く、若い日本人の90%以上である[34]。

ALDH2欠損の人のアルコール消費を抑えることで、どのくらい発癌予防になるのだろう?
最後に、ALDH2欠損の人がアルコールの消費を減らすことで、どのくらいの食道癌を予防することができるのか考えることが重要である。この質問に答えるために、[35]の表を使ってBruzziの方法を使って、人口寄与危険度を再計算した。この計算の結果から、中等度や大量の飲酒者が軽い飲酒に変えると、日本人男性なら、53%の食道の扁平上皮がんの発生を予防することができる。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月27日 (金)

太りすぎて仕事のできない家族が給付の増額要求

Fatukjpg_2Newlogo感情的に反応しても何の解決にならないのが今日のDiet Blog(ダイエットブログ)の話題だ。

英国の太りすぎの家族が、遺伝的に太りすぎる家系のため、太って仕事ができず、生活保護を受けている。でも、生活保護のお金だけじゃ、1日必要カロリーの3,000kcalを食べていけないから増額を要求しているというお話...

馬鹿げた話に聞こえるだろう。でも、英国に限った話じゃないよ。ここまで過度なケースは希だけど、日本でも同様の話は溢れている。生活習慣病(メタボ)が悪化して仕事ができなくなるケースは似たようなものだろう。今日の話題を笑っちゃいけない。

ネタ元の「Telegraph.co.uk」の記事では、Emmaさんのこの言葉で締めくくられている。

"We all want to lose weight to stop the abuse we get in the street, but we don't know how."

「私たち皆、通りで嫌がらせを受けていて、止めてもらうたいから減量したいのよ。でも、どうしたらいいのか分からないの。」

彼女の言葉から分かるように「食育」が重要である。大人も含めて子供達にはしっかり教えていかないと、このままでは国が崩壊してしまうだろう。

太りすぎて仕事ができない家族が給付の増額要求
Family Too Fat to Work Wants More Money

気分が悪すぎて仕事ができないこともあったし、あまりにも疲れて仕事ができなかったこともあった。正直言って、二日酔が強すぎて仕事ができなかったこともあった。しかし、「太りすぎているから仕事ができない」と言える度胸はないし、そんな事を言う馬鹿じゃない。

英国に住む4人家族の合計体重は、83ストーン、1,162ポンド(527kg)あり、肥満は遺伝的な状態なので働くことはできないと言う。社会扶助として受けている$32,278.20ドルじゃ食べていけないから、もっと要求しているんだ!

Philip Chawner氏、53歳と彼の妻Audreyさん、57歳は、二人とも体重は336ポンド(152kg)ある。彼らの長女、Samanthaさん、21歳は、252ポンド(114kg)あり、妹のEmmaさん、19歳は、238ポンド(108kg)の体重がある。明らかに、大きな太ったリンゴは、太い木から離れたところに落ちない(The apple never falls far from the tree.という諺、「子は親に似る」をもじっている)。

家族の主張によれば、彼らが得ているお金で食費をカバーするのは、不十分だそうだ -- 驚いたとは言わない -- Chawner家は、一人で1日3,000kcalの食事を貪り食う、ほとんどがシリアル、電子レンジで作るパイ、ベーコンやフライドポテトであって、明らかにエクササイズをしていない。

Chawner婦人は、てんかんと喘息を持っているから、障害者として毎月追加の給付を受けているけど、これらの疾患は肥満が原因になっている。家族がジャンクフードしか食べられないのは、果物や野菜のような健康食は高価すぎるからだと彼女は言う。

父親のChawner氏は、本当に良くない。2型糖尿病になってから毎月給付を受けていて、昨年、胃のバイパス手術を受けるリストにも入っていた。しかし、彼の心臓の状態が良くないため、手術適応から外れてしまった。

娘たちも最低だ。Samanthaさんは、失業者として給付を受け、Emmaさんは、美容師としてトレーニングをしているが、低収入の学生として貧窮した援助を受けている。彼女は、忙しくてエクササイズをする時間はないと言う。

無慈悲に聞こえるかもしれないけど、もっと強くなれと言いたい。私は物理(?Physicianと間違えたか?))の専門家じゃないけど、あなたのサイズがどうであれ、レジ係として働けるだろうし、電話勧誘もできる。最低でも、ウォルマートでグリーターの係りだってできるだろう。

Chawner家の皆さん、申し訳ないけど、あなたたちに、1ペニー、いや1シリングもあげないよ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年2月 3日 (火)

親愛なるオバマさんへ:大統領へのアドバイス

16letteralarge_2

The New York TImes(ニューヨークタイムズ)のオピニオンに、興味深い手紙が紹介されていた。

ニューヨークタイムズのオフィスには、学校帰りの子供達が集まって、宿題に取り組んでいるらしい。

昨年の大統領選、子供達の間でも関心は高く、オバマ氏の勝利に併せて、ニューヨークタイムズは、子供達に手紙を書かせた。

彼らの考えや、希望、そしてアドバイスの書かれた手紙を記事に載せていた。

トップに紹介されていた女の子の手紙がこれだ。

本家の記事で、内容に関してコメントは無かったけど、私は、米国の食育問題の深刻さを感じた。この手紙は、ニューヨークタイムズのオフィスに出入りしている子供達の一人、勉強に取り組んでいる子供が書いたものだと思うと笑えない。ニューヨークタイムズが一番最初にこれを紹介しているということは、問題を提起していると考えていいのだろうか?

国民の70%が過体重以上の国に育つ子供達の目には、オバマ氏が病的に痩せて見えても仕方ないだろう。その考え方を正すことの出来ない社会、子供が挙げた食事に問題があると思わない社会、問題はかなり深刻なんじゃないかな。こういう国が再び世界をリードすることが出来るのだろうか?

オバマ氏の大統領就任演説を聴いているけど、前途多難だろう。

上の手紙の和訳を載せておく:

Dear Barack Obama,(親愛なる、バラク・オバマさん)
Youy look too skinny.(あなたは痩せすぎている。)
You should eat more food.(もっと食べるべきです。)
This is what you should eat:(これは食べるべき食事です:)

  1. Pizza(ピザ)
  2. Icecream(アイスクリーム)
  3. Butter popcorn(バター・ポップコーン)
  4. Cupcakes(カップケーキ)
  5. Hamburgers(ハンバーガー)
  6. French fries(フライドポテト)
  7. Hot doges(ホットドッグ)
  8. Hot chocolate(ココア)
  9. Cockies(クッキー)
  10. Cotton candy(綿菓子)

手紙のクレジットはThe New York Timesにあります。

関連記事:フライドポテトを食べる太り気味の18ヶ月児

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年12月11日 (木)

肥満は頭痛のリスクを高めるかも

肥満から生じる障害は色々あるよね。とうとう頭痛にも関連があるんじゃないかという報告がロイターで流れていた。あくまでもこの報告は疫学調査の結果であり、肥満から頭痛が引き起こされる理由は分からない。関連があるということが示されただけ。

実は、低体重でも頭痛は多いみたい。これはサンプル数が少ないから何とも言えない。

肥満はよくないけど痩せすぎはもっと悪いと私は考えている。適正体重を維持するための適度な運動と食生活。この2本柱を続けること以外で健康的に生活できない。

どんな状況でも「運動と食生活」を楽しみながら改善することはできる。自分で自分の身体のメインテナンスのプロにならなきゃね。

肥満は頭痛のリスクを高めるかも
Obesity may raise headache risk

ニューヨーク(ロイター・ヘルス) - 過体重もしくは肥満になると、ひどい頭痛と片頭痛になる可能性を高める可能性がある。また、頭痛が多くなるのは、低体重と関わりもあるかもしれないと考えられている。

7,601人の男女を解析した結果、アトランタにある米国疾病対策予防センターのEarl S. Ford医師達は、過体重や肥満の人は、頭痛が1.2から1.4倍増加するという報告をした。

Ford医師のグループは、BMI値(ボディー・マス・インデックス)と、1999年から2002年の間に国民健康栄養調査に参加した20歳以上の男女の頭痛との関連を調べた。

最終的に、15%の男性と28%の女性は、調査時前の3ヶ月の間にひどい頭痛と片頭痛を経験したことがあったという報告を雑誌Cephalalgiaに報告した。

被験者の35%は過体重(BMI値は25から30)、30%は肥満(BMI値は30以上)であり、33%が適正体重(BMI値は18.5から25)だった。

低体重の被験者は、全被験者の2%しか占めなかったけれど、Ford医師のグループによれば、2倍以上の頭痛が存在した。しかし、被験者の数が少なく更なる解析を必要としている。

男女差、民族性、喫煙、アルコール、身体的活動、糖尿病やコレステロール値など考えられる関連因子を除外しても、過体重や肥満の人は、適正体重の人に較べて高い頭痛保持率を持っている。

「もし肥満が頭痛のリスクを高めるなら、体重コントロールも頭痛をコントロールする有効な手段になるかもしれない。」Ford医師のグループはこう言う。

「肥満が頭痛を発展させる原因となりえるかどうか。」調べるために更なる解析を推奨している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月10日 (月)

嫉妬心はゆりかごから始まる?

ココログに記事を書こうと思ってアクセスしたら、たまたま目に入ったココログニュースの話題をしよう。

生後3カ月で芽生える嫉妬心

出典をしらべようとしても、なかなかたどり着けなかったよ。ようやく見つけたのが、thestar.comの10月21日のニュース。

Does jealousy begin in the cradle?

ココログニュースに限らず、海外ニュースを伝えるサイトは、出典を書かないところが多いよね。ブログのニュースなんて偏見と思い込みの伝聞が多いんだから(私のブログもそうだよ)出典ぐらいちゃんと紹介して欲しいもんだ。本当に腹が立つよ。特にココログニュースは最低だ。

「元ネタ」→(インタビュー)→「英語のニュース」→「翻訳ニュース」→「ココログニュース」

なんだこの伝言ゲームは!と言いたくなるよね。こんなんじゃ情報はねじ曲げられても仕方ない。

このニュースで紹介すべき事は、「Legerstee博士は、2009年にHandbook of Jealousy: Theories, Principles and Multidisciplinary Approachesを出版する予定だ。」なんですよ。

-----

そうそう、ここまで読んで、今日のニュースはダイエット関連じゃないから変だと思いました?実は娘が9月に生まれ、娘の育児や教育に関連するニュースも紹介していく予定です。では。

嫉妬心はゆりかごから始まる?
Does jealousy begin in the cradle?

赤ちゃんは、立てないとかガラガラを掴むこともできないからといって、嫉妬心を感じるのに若すぎるってことじゃない。ヨーク大学の研究者の発見だ。

Maria Legerstee博士、小児心理学と心の理論を専門とする教授の研究によれば、生後3ヶ月の赤ちゃんは、他の人に向いてしまう母親の関心を惹くために足をバタバタさせたり泣き騒いだりすることを示した。この行動は、彼女が言うには、何も心配すべき事じゃなく、「これは正常で適当な反応なんです。」

Legerstee博士の研究は、それまでに考えられていた発達の理論、嫉妬心や他の「複雑な感情」は、「魔の2歳児(テリブル・ツー)」と同意義的に捉えられていて、生後2歳頃になって現れれてくると思われていた考え方に反している。

「嫉妬心は、愛情が他の人に向いて失ってしまうかもしれないと感じる恐怖心だ。」Legerstee博士は、昨日インタビューで話してくれた。赤ちゃんは、まず他人と自分の違いに目覚め(自我)、そして、母親や自分の世話をしてくれる他人との繋がりを形成していくと、乳幼児の研究者によって過去20年間は考えられていた。

「これらは、嫉妬心を感じる赤ちゃんが前提条件として存在する。」彼女は言った。

嫉妬心の研究はさほどされていないし、病的な感情として、兄弟姉妹の競争関係の中だけでしか注目されていなかった。

Legerstee博士は、2009年にHandbook of Jealousy: Theories, Principles and Multidisciplinary Approachesを出版する予定だ。

この研究は、2006年に実施、母親と共に3ヶ月と6ヶ月の45名の赤ちゃんを観察したもの。Legerstee博士が、赤ちゃんをあやすと、微笑んだりキャッキャ言う。赤ちゃんを無視すると、寂しそうな顔をしてそっぽを向く。しかし、彼女が何かを飲むことに忙しくして、赤ちゃんをかまわなかっても、赤ちゃんは無反応だった。これは、赤ちゃんでさえ、何か行動の動機を感じていて、コミュニケーション能力を示していると言える。

しかし、後半の2つの実験で彼女は最も驚いた。Legerstee博士が、独り言を言うように母親に話しかけても、赤ちゃんはそれほど大きな反応を示さなかった。しかし、母親が彼女に応じて、話したり笑ったりして、赤ちゃんを無視するやいなや、赤ちゃんは強い反応を見せた。「赤ちゃんはかなり動揺して、椅子に座ったまま身体を大きくよじり、大声で怒った声を上げた。」Legerstee博士は説明した。

じゃあ親はどうしたらいいのでしょう?赤ちゃんが嫉妬心のサインを示したら、会話を中断しよう。そして、赤ちゃんに感心を向けよう。彼女は言う。

「赤ちゃんは恐れているんですよ。そんな状態を悪くしたくないでしょ。でも、この反応は正常か異常なんて心配する必要はないですよ。だって正常なんですからね。」

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2008年10月17日 (金)

ベビーボトルのビスフェノールA(BPA)は乳児期の発達に悪影響があるだろう

最近、ビスフェノールAを話題にしてなかったな。9月に興味深い報告がされて、日本でも話題になっていたけど、ここでは取り上げなかった。いつの間にかタイミングを逸して話せなかったからだ。

というわけで、10/14のAHNのニュースを紹介しよう。

ベビーボトルのビスフェノールA(BPA)は乳児期の発達に悪影響があるだろう
BPA In Baby Bottles May Harm Infant Development

ニュー・ヘブン - 中国で4人の子供が亡くなり何千もの子供達が体調を崩したメラニン・ミルクの恐怖の後に、米国の3つの州では、ベビーボトルの製造会社に対して、製品にBPAの使用を止める要求をした。

コネチカット州、ニュー・ジャージーとデラウエアでは、11のベビーボトル工場と薬品メーカーにBPAの使用を止める依頼書を送付した。

エール大学医学部の研究によって、製造工程で発生する量で乳幼児の神経、免疫システムに悪影響を与える可能性が示されている。

それに加え、年長の子供達や大人の健康にも関わりが示唆される。思春期の早期の始まり、乳癌の発生率、前立腺癌の発生率、肥満や糖尿病も含まれる。

さて、このニュースの中で言及しているエール大学医学部の研究っていうのが、実は、9月の頭にニュースになった話題だ。このニュースの話題は、もう既に色々なところで取り扱われているので、ググって出てきたリンクを紹介しよう。

ビスフェノールA」脳の神経組織に悪影響…サルで証明=(米)エール大学

ビスフェノールA

子どもの脳に悪影響か ビスフェノールAで米報告

ビスフェノールA」脳の神経組織に悪影響…サルで証明

きりがないので、この辺りで止めておこう。すべてのリンクに共通しているのは読売新聞の受け売りだ。これじゃ面白くないよね。もう少し突っ込んで勉強してみよう。じゃあ何を見ればいいか分かるよね。文献に当たろう。


ビスフェノールA(BPA)は、卵巣摘出した人間じゃない霊長類の海馬と前頭前野のエストラジオールの反応性シナプス形成を抑制する。
Bishpenol A prevents the synaptogenic response to estradiol in hippocampus and prefrontal cortex of ovariectomized nonhuman primates

要約

数カ国から報告されている暴露測定から考えると、ポリカーボネート・プラスチック製品に使用されている人工の外因性エストロゲン、ビスフェノールAに低レベルで持続的に人は暴露されていると言える。BPAにより多くの生体器管の発達が妨げられ、認識能や情緒に影響を与えるという研究を基に、この低レベルの暴露が環境リスクになりえるかどうか相当量の議論がされている。これらの報告に一致している見解は、性腺を切除された雌と雄のラットにおける大脳辺縁系でエストロゲンやテストステロンによって誘導されるスパインのシナプス形成は抑制されるってことだ。これらの研究には重大な制限、というは、この研究では齧歯動物をモデルに使っていて、人間のBPA暴露の影響を見ているものじゃないかもしれないからだ。この問題に対処するために、我々は、米国の環境保護庁(EPA)が現在規定している安全量のBPAを持続的に使って、人間じゃない霊長類モデルの海馬と前頭前野におけるエストラジオール誘導性シナプス形成にどのような影響を与えるか調べた。我々のデータによれば、このような比較的低レベルの暴露であっても、BPAは完全にエストラジオール誘導性シナプス形成を停止させた。スパインのシナプスのリモデリングが認識や情緒形成に重要な役割をしていると考えられているから、BPAには、スパインのシナプス形成妨げに深い関わりがあるだろう。この研究は人間以外の霊長類の脳に対してBPAが悪影響を与える初めての報告になるし、BPAは、広く医療機器から、食品の製造や保存にまで使われているので、更に心配事は広がる。

ますます一般の人にはなんお事がさっぱり分からないかも。こう考えると読売新聞の記者は優秀だね。いつもの通り、詳しい内容がわからないからいつものごとく文献だけは請求しておく。

さて、ビスフェノールの話題はLife-LOGでもしているので関連記事を載せておこう。

(追記:同日21時30分)

ビスフェノールAをもう少し調べようと思ってググっていると、日経エコノミーの連載コラム「4次元エコウォッチング(安井至)」を見つけた。

プラスチック原料・ビスフェノールAは禁止すべきか(08/10/01)

公開日を見ると10月1日だよ。じゃあ最新の内容が書かれていると思い、少々期待して読んだけど、はっきり言ってガッカリの内容だった。

諸外国と日本の現状や法規制を知る上で勉強にはなったけど、最も力を入れて説明しているビスフェノールAの健康影響に関する話が、現状で問題になっているラットやマウスの研究報告の話ばかり。このコラムの著者、安井先生は、凄い肩書きを持っているけど、9月に発表されたエール大学の報告に全く触れていない。記事を書くうえで手抜きをしているとしか思えないと思うのは私だけだろうか。日経エコノミーでは、意見も出せるのでメールをしてみよう。

この記事で紹介されている詳細リスク評価書は興味深いのでチェックです。

詳細リスク評価書シリーズ6 ビスフェノールA

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月15日 (水)

アルコール、飲むほどに脳が縮小

昨日のロイター・ニュースに興味深い記事が載っていた。Archives of Neurologyに報告された文献、「Association of Alcohol Consumption With Brain Volume in the Framingham Study(フラミンガム研究におけるアルコール消費と脳容積の関連性)」を紹介していた。

アブストラクト(要約)は公開されているのでちょっと読んでみよう。

背景:少量から中等量のアルコール飲酒をする成人で、心血管疾患の発症リスクは、他の飲酒グループ(全く飲まない人を含む)に比べると低かったけど、アルコールの脳への影響は明らかにされていない。アルコールの大量飲酒と脳萎縮の関連性を示したエビデンスは存在する。少量や中等量の飲酒による影響がどうなるか明らかにされていない。

目的:少量のアルコール摂取により、脳容積にネガティブな影響を与えてしまうか、よく知られている加齢による脳容積の減少を抑える効果があるのかを明らかにするため。

デザイン:頭のサイズで修正した、トータル・セレブラル・ブレイン・ボリューム(TCBV)「全脳容積」をコンピューターで計算した。重回帰分析(訳注:無知をさらけ出してしまうけど、統計モデルに関して理解が疎いのでここを読んで下さい)の手法を使って、アルコール消費量を5つのカテゴリー(禁酒者、過去に飲酒、少量飲酒、中等量飲酒、大量飲酒)に分類してTCBVとの関連性を、年齢、性別、教育、身長、BMI値、そしてフラミンガム・ストローク・リスク・プロファイルで補正して評価している。

参加者:1999年から2001年の間にMRIを使って脳スキャン検査をしたフラミンガム・オフスプリング・スタディに参加している1839名。

結果:ほとんどの参加者が少量のアルコール飲酒者で、中等量から大量の飲酒者は女性より男性に多かった。アルコール消費とTCBVの間には、明らかに負の線形関係が存在した(r = -0.25; P < .001)。この関連は性別で補正されているが、アルコールの消費とTCBVの関連性は、男性より女性に強い相関が認められた(r = -0.29 vs -0.20)。

考察:心血管疾患に関する研究に相反して、中等量の飲酒では、加齢による正常な脳容積の変化を予防しえなかった。というより、アルコールを飲めば飲むほど、脳容量は小さくなった。


ここまでが、文献の内容だ。ちょっと解説が必要かな。一般の人はフラミンガム研究と言っても分からないよね。

正式に言えばフラミンガム心臓研究(The Framingham Heart Study)のことだけど、フラミンガムって何?だよね。フラミンガムって米国、マサチューセッツ州ボストン近郊の町の名前なんですよ。ここに住む人5209名が1948年に参加して始まった疫学研究の事を指します。実は現在、Framingham Offspring Studyもあり、オリジナルのFramingham Heart Studyに登録していた被験者の子供および配偶者が1971年から登録して研究が開始している。

じゃあ疫学研究って何?という疑問が出るよね。まあ詳しい話はできないけど簡単に説明すると、フラミンガム研究で用いられている手法は、前向きコホート研究。「?」ってマークが頭に浮かぶかな?参加者を集めて、登録して定期的に検査をして、参加者がどんな病気になるか待つっていう調査だ。なんだこりゃって思うかも。参加者にあれこれ指示を出したりしない。時間が経過すれば、参加者は色々な問題を生じるよね。フラミンガム心臓研究では、狭心症や心筋梗塞を起こした患者グループと、起こさないグループに分けて、最初の登録時点のデータが分析された。そこから、肥満、高血圧、喫煙などがあれば、無い人に比べてリスクが高いってことが分かったっていうストーリーができている。

そういうことで、今回報告された研究で、MRIを受けた人も、1999年から2001年の間に、たまたま検査(色々な個人的な理由であり、脳容積をはじめから知るためじゃない)を受けたから対象になっている。アルコールの飲酒と関連性を調べたら線形の関連が見つかったってことですよ。わかりました?

アブストラクト(要約)だけじゃ情報不足だ。脳の容積だけ減少と言われてもね。只今文献を請求中です。

どっちにしてもアルコールの好きな私にはガッカリでした。とりあえず、この研究報告を読んでから自宅での晩酌を止めました(泣)。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2008年10月 6日 (月)

カロリー過多で脳はおかしくなる:研究報告

Logo_reuters_media_us(訳注:ごめんなさい。"Hypothalamus"を「海馬」と誤訳してました。本当は「視床下部」です。思い込みで確認をしなかった私の初歩的なミスです。申し訳ありませんでした。) こういう報告は本当に面白い。ちょっと古い記事だけど、Cellの文献は請求しているところなので、もう少しすれば手元に届くだろう。またじっくり読んでみようと思う。

IKKbeta/NK-kappaBなんて複合体全然知りません。まあCellの記事を読めば、ストーリーが読めるよね。楽しみ。

カロリー過多で脳はおかしくなる:研究報告
Calorie overload sends the brain haywire: study

ワシントン(ロイター) - 食べ過ぎて頭がおかしくなることで、障害の段階的な流れが始まり、糖尿病、心疾患、それに他の病気が引き起こされているという報告が、木曜日に米国の研究者からされた。

普通は、脳内で眠っている免疫システムが、食べ過ぎにより活性化され、存在もしない侵入者を攻撃するシグナルを免疫細胞に出していることを、ウイスコンシン-マジソン大学のDogsheg Cai氏と彼のグループによって確認された。

この発見は、雑誌Cellに報告されたけど、なぜ肥満者の多くに、異なる病気が引き起こされているか説明する1つの手立てになりえる。それに、肥満の予防方法も見つけられるかもしれない。

「この免疫経路は存在する。しかし、普通は脳内で不活化しているんだ。」Cai氏は報告の中で言っている。

肥満は世界的に広がっている問題で、2007年には18億人の人々が過体重か肥満である。肥満に対して、製薬業界は、今のところ限られた成功しか得られていない。更に、重大な副作用を経験している。

Cai氏のグループは、マウスを使った研究から、肥満により全身に慢性的な炎症を引き起こすけれど、その説明を探していた。この炎症は肥満に関わる病気、心疾患や糖尿病に共通して見られる。

彼らは、IKKbeta/NK-kappaBという複合体に的を絞った。

マクロファージや白血球はこの複合体を使用するけど、Cai氏のチームは、この複合体が視床下部に存在することを発見した。視床下部は脳の一部で、マウスでも人間でも代謝とリンクがあると言われている。

「視床下部は、’エネルギー調整のヘッドクオーター’だ。」彼のグループは、こう書いている。

この複合体は、かなり高レベルに存在するけど、普通は不活性であると、彼のグループは突き止めている。

マウスに高脂肪食の餌を与えたら、この複合体は活性化する。そしてこの活性化により、身体は、食欲、食事からエネルギーに変換を促すインスリンなどを調整するホルモン、レプチンから生じるシグナルを無視してしまう。

IKKbeta/NK-kappaBを刺激するとマウスは多く食べるけど、抑制してやると食事量は減る。

Cai氏は、自分たちのグループが、過食による病気になるかどうかのマスタースイッチを見つけたと信じている。

「視床下部のIKKbeta/NFkappaBは、過栄養や肥満によって引き起こされる一連の現代病に潜んでいる。」彼のグループはこう書いている。

どうしてこの複合体が脳内や免疫系に存在しているのか、Cai氏には理由が分からない。しかし、現存する動物、マウスや人間が持っている洗練された免疫系を持っていなかった大昔の原始的な動物で発達したものと考えている。

「おそらく、この複合体は免疫防御を促す役割を担っていたんだろう。」Cai氏は電話インタビューで話した。「現代社会で、過栄養状態という変わった環境へ変化したことから、この経路が動き出したのだろう。」

「ノックアウト」遺伝子、遺伝子工学のテクニックを使って、マウスを正常に食べさせ肥満を予防することはできている。しかし人間ではできていない。しかし、Cai氏は、薬剤、いや遺伝治療などを使えば使えると考えている。

遺伝治療に関して言えば、ベクターと呼ばれるウイルスを使って、修正したいDNAを身体に導入させられる。しかし、この方法は、未だにかなり実験的なアプローチである。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月11日 (月)

エクササイズ・ピル

Newlogoちょっと忙しかったのと先週Diet Blogで紹介されていた「The Exercise Pill」の出典が雑誌Cellだったから、ついつい文献を読んでしまった。

いやあ、雑誌Cellにちょっと反応してしまったんです。ライフサイエンスの分野で働いているなら知らない人はいないし、Cellのフルペーパーを読んで理解できたら一人前の科学者だよ、と先輩に言われた事もあった。

私はCellの報告をまともに読めなかったので、結局、研究者にはなれなかったんだけどね(笑)。

Diet Blogの記事を読むだけじゃ、ちょっと理解できないから、精読してしまった。なんか昔の論文の抄読会を思い出すな。

独断と偏見に満ちた論文解説をするから、今日の話は一般の人には難しいと思う。無視してね。まあ、こういうのも好きなんでご勘弁。

AMPK and PPARδ Agonists Are Exercise Mimetics
AMPKとPPARδのアゴニストはエクササイズを模造する

タイトルは、このペーパーの主題になるから肝に銘じなきゃならない。AMPKとPPARδアゴニストの両者が、この研究の主役だ。

文献を読む場合、どのパートを重要視する?研究者によって意見の分かれるところかもしれない、私は図(Figure)が最も重要だと思っている。図には生の結果が示されているからだ。著者によるバイアスは少ない。でも、ディスカッションは、著者による言い訳なんで(怒られるかもしれないな)、人によって結果の解釈は変わるだろう。正しいか間違っているか判断できないよね。

とりあえず、全体像を掴むために要約(Abstract)を読もう。

エクササイズど同様の効果を示す内服薬の研究に研究者の興味が向いていて、天然物質のレスベラトロール(reseveratrol)が最近、注目されているけど、正確な反応経路はわかっていない。だったら、正確な反応経路の分かっている薬剤を使って、マウスのエクササイズ効果を調べたっていう始まりだ。

以前に、PPARβ/δアゴニストとエクササイズの組み合わせの相乗効果で、筋原繊維の酸化反応とランニング耐性を増加させたという知見を持っているし、エクササイズによって、AMPKとPGC1αの活性化も起こる事を知っているので、内服することで、AMPKを活性化できるAMPKアゴニスト、AICARを使ったら、エクササイズの代わりになるんじゃないかどうか調べてみた。そしたら予想外に、エクササイズをさせないマウスでも、AICARを4週間だけ使ったら、脂肪酸化のための遺伝子は活性化されランニング耐性は44%も改善したんだそうだ。そうなんですよ。この研究は、オーラル(口から入れる)薬剤だけで、AMPK-PPARδの経路を活性化させて、エクササイズをしなくてもトレーニング耐性を増加させることができたという画期的な発表だったんです。

ここまでがアブストラクトの内容。普通ならアブストラクト読んで終わりにするけど非常に興味深いし、この分野はどこまで研究が進んでいるのか知るためにじっくり読んでみよう。

Cellが超一流の雑誌と言われる所以は、報告に無理のない物語(ストーリー)があるからと教えられた事がある。全く新しい分野を勉強する場合、Cellの報告を読んで、リファレンスも読んで理解すれば、その分野のバックグラウンドの知識を系統立って習得することができる。

そういう訳で、このエクササイズ・ピルの研究背景をしっかり理解するためにイントロダクション(Introduction)はしっかり読もう。

素晴らしいね、骨格筋の基本的な構造に関する最新の知見の説明から始まっている。筋原繊維にはタイプI、タイプIIaにタイプIIbの三種類が存在して、代謝と収縮の機能が異なる。脂肪酸化中心のゆっくりとした収縮のタイプIと糖分解中心で速い収縮のタイプIIがある。

まず、話の流れとして、エクササイズをすることで、この骨格筋の構造にリモデリングがされる報告の紹介をしている。実は、トレーニングをすればタイプIの脂肪酸化中心でゆっくりとした収縮をおこす骨格筋へリモデリングが生じて、肥満解消やメタボの予防になったり廃用性変化にも抵抗力ができる。

ここまでエクササイズによる骨格筋のリモデリングの研究報告を紹介してから、次にエクササイズと似た効果を示す天然物質、レスベラトロールの話題に入る。彼らが取り上げているって事は、この分野の研究で、レスベラトロールを無視できないほど報告があるのだろう。でも、「elusive」という言葉を使っているように、ハッキリとした事は分かっていないようだ。とりあえず、分かっていることと言えば、骨格筋に存在するSIRT1-PGC1αコンプレックスの存在下でレスベラトロールの効果は発揮されるみたいだけど、SIRT1/PGC1αのターゲットなど下流の経路は分からないし、この両者とも複数のターゲットがあるし、運動耐性を高めるシグナルパスウエイは分からない。

じゃあ彼らは、どうしてAMPKとPPARδに目を向けたか理由を次に説明してある。エクササイズをすることで活性化する転写活性やセリン・チロシンキナーゼの活性化はごまんと存在する。著者らは、その中で、PPARβ/δが重要な役割を占めていると以前に報告していた!このペーパーでは「critical role」という一言で、重要性を説明している。本当に重要かどうか自分で判断したいなら、彼らの古いペーパを読む必要があるだろう。でも、私は興味本位で読んでるから。パス。彼らが重要って言うなら重要なんでしょう(笑)。

それでも次の一文を読んで驚いた。ちゃんとPPARδを強制発現させているトランスジェニックマウスを製作しているんだ!このマウスはVP16-PPARδっていうけど、ここからPPARβは話から消えている。どうしてβでなくてδなんだろう。この問題の答えを知りたかったらWang先生の文献も読む必要があるんだろうな... でも、当然のように私はパス(平成20年9月26日追記:いやあ、びっくりしました。時々覗いている土門さんのブログで、このWang先生の文献が紹介されていたよ。読まなきゃね)。いつの間にか私の頭の中にはPPARδだけが刷り込まれていく(笑)。そしてこのPPARδを強制発現させたマウスは脂肪酸化が活性化しているし運動耐性も非常に優れている。

次にAMPKの話に入るけど、著者によると、AMPKは誰もが知っている代謝経路の神様みたいな存在と説明している。だって、「master regulator of cellular and organismal metabolism」だよ。なんかジェダイ・マスターみたいだ(最近スターウオーズを観たんで...)。まあどっちにしろ、AMPKは運動生理学に貢献している報告もあるから無視する訳にはいかないと言っている。AMPKを選んだ理由は、素人の私には分からない。

まあどっちにしろ、AMPKとPPARδの関わりの説明に入る。

合成されたPPARδ、もしくはAMPKアゴニスト、どちらが骨格筋のリモデリングを導いて運動耐性を増すことができるのかという疑問が彼らに浮かんだらしい。でも著者らはいい道具をもっている。GW1516っていうPPARδのアゴニスト。これを使って、トレーニングをさせれば、GW1516で処理したマウスの運動耐性が飛躍的に上がって、長く走ることができるようになるんだって。でも、エクササイズを一緒にしなきゃいけないけどね。これはどういう意味か分かるよね。PPARδとエクササイズで活性化する何かを必要とするっていう意味だね。しかし、このPPARδが活性化した状態を「super-endurance phenotype」と呼んでいる。なんか英語は格好いいね。日本語にしたら「超耐性表現型」ってことかな。

次に、エクササイズで活性化したAMPKによって、この超耐性表現形のマウスの遺伝子転写活性が跳ね上がり、運動耐性を示す遺伝型を導く結果を示したんだ。

そして今回の発表につながる実験へ話が進んでいく。実はAMPKを活性化できる内服する薬、AICARを飲むだけで、エクササイズをしなくてもこの超耐性表現形のマウスの運動耐性を45%引き上げてしまったとさ。

これでイントロダクションの終わり。ここまで読んで理解できれば、この分野の最近の流れを知ることができるね。

それにしても興味深い話題だ。次から始まる結果(Results)が楽しみになる。

GW1516 increase Muscle Gene Expression but Not Endurance in Sedentary Mice
GW1516によって筋肉の遺伝子発現は増えるけどエクササイズをしないマウスの運動耐性は上がらない。

さっそくGW1516、PPARδのアゴニストを使った実験結果を示している。酸化反応を示すバイオマーカー、Ucp3、mCPT1、PDK4の遺伝子発現を観察しているんだけど、やっぱり勉強不足の私にはわからないところが出てきました。GW1516でマウスをどう処理しているのだろう?Experimental Proceduresから考えないといけないけど面倒だな。

次の文章...
We treated wild-type C57BI/6J age matched cohorts with vehicle or GW1516 for 4 weeks.
があるけど、「wild-type C57BI/6J」は培養細胞ではなくて、生体のマウスの品種番号ですよね。そうなると「vehicle」は遺伝子を発現させられるプロモーターを含んだ空のベクターのようなもの?GW1516っていう遺伝子のを発現される何か?じゃあどうやって生体に導入できるのだろうか?レトロウイルスの皮下注射?内服でGW1516を摂取させている訳じゃないだろう。遺伝子を生体内で発現させているんだろうな。

さて、酸化マーカーは、私にとってどうでもいい(この分野の研究者なら知らなきゃいけないけどね)けど、既にコンセンサスを得られているマーカーなんだろうね。データーは紹介してないけど、これらのバイオマーカーの発現はゆっくりした収縮をするタイプI骨格筋ではなくて、速い収縮をするタイプII骨格筋で顕著に上昇するらしい。

それにPPARδの発現をしないヌルマウスの初代培養細胞を使って、バイオマーカーの発現は、PPARδを介しているかどうか確認したデータをサプリメンタルデータに載せている。GW1516で処理してもPPARδが無いとバイオマーカーの発現は見られない。

更に、PPARδの強制発現をしているトランスジェニックマウスVP16-PPARδとワイルドタイプのマウスにおけるバイオマーカーの遺伝子発現の違いをFigure1Aに載せている。

今まで話した実験結果は、「GW1516 → PPARδ → Ucp3、mCPT1、PDK4」の流れをサポートする実験で、彼ら曰く、薬剤によるPPARδの活性化だけで酸化マーカーの反応を引き起こすのに十分だそうだ。

じゃあGW1516で処理したマウスと、コントロールのマウスのトレッドミルを使った運動耐性テストをさせてみた結果がFigureaBだ。

この結果は、GW1516を使ってPPARδを活性化させても運動耐性の改善が見られなかったという結果だ。彼らは奇妙だって言っているけど。もし、ここで差が出るならこの報告は終わってしまう。どうして、PPARδの活性化だけで運動耐性の改善が見られないのか話が続くんですよね。このストーリー性が雑誌Cellの面白いところだ。

GW1516 Remodels Skeletal Muscle in Exercise-Trained MIce

エクササイズをさせたマウスだったらGW1516で骨格筋のリモデルがおこる。

じゃあちょっと視点を変えて、エクササイズをしたら骨格筋のリモデリング(タイプIとタイプIIの変換)が引き起こされる過去の報告を考えると、GW1516とエクササイズを組み合わせは、骨格筋のリモデリングを効果的に引き起こす事ができると推測できる。それで、骨格筋の組織片を染色して見せたのだFigure1C

Figure1Cと1Dによって、PPARδを活性化させるだけでリモデリングは進まないけど、トレーニングによって引き起こされた「何か」によって骨格筋の構造変化が引き起こされているってのが示されている。ミトコンドリアの機能マーカーになるMitochondrial DNA Contentも増えている(Figure1E)ので、機能的にも構造的にも変化が生じているのだろう。

じゃあ次は、脂肪酸の酸化反応に対してどんな効果があるのか調べたくなるよね。ここから少し話が複雑になってくる。Figureを見ながら頭を整理して欲しい。

PPARδを活性化したら脂肪酸の酸化マーカー、Ucp3、mCPT1、PDK4の発現は増える結果をFigure1Aで示したけど、これらの反応はトレーニングをさせても、更なる増加は認められなかった(Figure2A)。 ということは、これらの酸化反応と骨格筋のリモデリングには関連がなさそうだなって思える。

次に彼らが見つけたのが、脂肪の貯蓄に関わる酵素群、Scd1、FAS、SREBP1c、FAT/CD36、LPLなどは、GW1516単独でも、トレーニングだけでも発現増加は見られなかったけど、両者の組み合わせたときだけ増加した(Figure2B、2C)。

ここで始めて蛋白の発現も調べている。蛋白発現をちゃんと示しているのもいい。Figure2Dを見てもハッキリしないけど、GW1516とトレーニングを組み合わせたパターンだけ最も蛋白発現が強くなっているらしい。Ucp3は変化しない方がいいと思うんだが...

GW1516 and Exercise Training Synergistically increase Running Endurance

GW1516とエクササイズの組み合わせで運動耐久性を強化される。

さあ、ここからこの論文の前半の核心部分に入る。GW1516で酸化反応を引き起こす遺伝子の発現変化を引き起こすことができたけど、実際に運動耐性を改善するにはいたらなかった。GW1516とエクササイズを組み合わせると骨格筋のリモデリングを引き起こされたので、運動耐性に改善が見られるかどうか調べたのがFigure3Aと3Bである。この結果は凄いことになっているね。GW1516とエクササイズの組み合わせは、5週目で100%以上の運動耐性の向上がみられるということは、何かまったう新しい耐久性を強化させる概念が存在するかもしれないと考えている。サプリメントデータだけど、体脂肪の比率も減った組織片も見ることができる。

PPARδ Agonist and Exercise Establish an Endurance Gene Signature
PPARδアゴニスト(GW1516)とエクササイズの組み合わせが示す運動耐性の遺伝発現の特徴

この運動耐性が強化された表現形のことを「超耐性表現形」ってアブストラクトの所で説明したよね。どうして、こんな表現形になるのか調べていくんだよ。ワクワクするね。

一般的な実験的テクニックのDNAアレーの技術を使って、骨格筋のトランスクリプトームをGW1516、トレーニング、GW1516とトレーニングの組み合わせの3パターンで、遺伝子発現の亢進と抑制を調べると、Figure3Cに示したような遺伝子発現の動きを掴むことができたんだけど、最近の研究は本当に凄いね。

ここで彼らが驚いたのは、GW1516とトレーニングを組み合わせたグループで、新規の48遺伝子の発現の変化が見つかったということ。この組み合わせで130の遺伝子発現の変化があり、108遺伝子で増加、そのうち32%は有酸素運動にかかわる遺伝子だったんだって。

それに非常に興味深いのが、PPARδを強制発現させているトランスジェニックマウスを覚えているかな?VP16-PPARδは、GW1516とトレーニングをさせたマウスの遺伝子プロファイルに似ているんだ!(Figure3E)

ここまでをまとめると、ここで新規に制御を受けている48遺伝子によって、PPARδを強制発現させたトランスジェニックマウスの能力まで高めることができる可能性があるってことだ。さあ、次はどうする?

AMPK-PPARδ Interaction in Transcriptional Regulation
転写制御におけるAMPKとPPARδの相互関係

エクササイズとPPARδに関わってくる「何か」を調べなきゃならないよね。エクササイズによって色々なキナーゼの活性化を引き起こす(エクササイズによって引き起こされる113遺伝子の発現には含まれないだろう。これは既に存在するキナーゼの活性化を示してるだろう。遺伝子の発現や、蛋白発現じゃないからね。分かります?ややこしいよね)。

この中でAMPKを選んだ理由を取り上げているけど、FIgure4Aを見れば、エクササイズをしてもしなくてもAMPKの総タンパク量に変化は無いけど、リン酸化されたAMPKは増えている。これは免疫沈降というテクニックでリン酸化されたAMPK(リン酸化された状態を活性化されたと考えているんですよね)が増えているということを示している。このパターンは例えエクササイズをしていなくてもPPARδを強制発現させていれば同様の結果になっている(Figure4B)。

このAMPKのリン酸化はGW1516を処理するだけでも、トレーニングをするだけでも起こらないんです。当然、これは重要な事だ。

ここまでを総括すると、AMPKとPPARδのコンビネーションによって運動耐性の表現形がでてきている可能性があるって想像がつく。

ここで細胞に浸透するAMPKアクティベーター、AICARが出てくるけど、AICARとGW1516の組み合わせと、エクササイズとGW1516の組み合わせによる遺伝子発現パターンを比較した結果がFIgure4Cだ。彼らによれば、共通の遺伝子が52もあれば類似性が高いと言っているけど、私のような素人からみれば、オーバーラップしてない遺伝子の方が多い印象だけどね...

さて、この共通する52個の遺伝子の分類を見ているのがFigure4Dで、脂肪の酸化反応に関する遺伝子発現であって、SCD1、ATP Citrate Lyase、HSL、mFABP、LPL、PDK4なんかは、AICARとGW1516が協調的に働いて発現が増えている(Figur4E-J)。なんとも凄いのが、これら遺伝子の発現は、PPARδ強制発現のVP16-PPARδでも同様に増加しているってこと。

今までのことをまとめて総合的に考えると、AMPKとPPARδは、エクササイズにより骨格筋にリモデリングが生じる反応に協調的に働くことが分かった。

AMPK increases Transcriptional Activation by PPARδ

AMPKは、PPARδによって活性化する転写活性を増強させる。

何度も言うけど、今までの結果から、PPARδで活性化した転写経路を、AMPKは直接調整している可能性が出てきた。じゃあ、GW1516とAICARを使って、正常マウスの骨格筋初代培養細胞とPPARδの発現欠損のマウス骨格筋初代培養細胞を比べて、AMPKはPPARδに依存した転写活性調節をしていることが分かった(Figure5A-5D)。

じゃあ次はどんな相互関係をしているのか調べるために、細かな分子生物学的なテクニック、トランスフェクション実験をしている。AMPKのα1サブユニットとα2サブユニットと、PPARδをレポーター遺伝子に組み込んだものをコトランスフェクトして発現活性を見ている。たぶん、普通の人はなんのことやら分からないだろう。私もPPRE-driven reporter遺伝子をよく知らないけど、ルシフェラーゼ(GFR)やβガラクトシダーゼ(β-Gal)を使って転写活性を調べるレポーター・ジーン・アッセイはしたことがある。でも、この説明は、割愛する... さすがに説明するのが疲れた。興味があるなら教科書を読んでください。私は調べる気がしない...

Figeure5Gと5Hの結果から、AMPKとPPARδは、直接的、もしくは間接的に相互作用してる(ディスカッションで直接結合している可能性があると言っている)。Figure5Iを見たら、AMPKはPPARδと相互作用するけどど、PPARδを活性化することはできてない(リン酸化に変化が無いから)と言っている。そして、Figure5Jから、PGC1αがPPARδの活性化に関与(直接かどうかは分からないよ。この実験だけでは、でも関わりがあるだろうって言えるだけ)してて、Figure5Kから、PGC-1αは直接AMPKと相互作用がない(くっついていない)って言っている。

いやあ、Figure5は、小さな結果の寄せ集めで、彼らの仮説を立証するために重要なデータだ。

Pharmacologic AMPK Activation increases Running Endurance in Untrained Mice
運動をさせないマウスでもAMPKを薬剤として投与して運動耐性を増加させる

さあ、最後は、一番インパクトのある実験結果を示しているから説明に入ろう。今までの結果で、PPARδを薬剤として投与しても、運動耐性を強化させることはできなかったけど、エクササイズを組み合わせると効果的に運動耐性が強化された。エクササイズをさせたり、PPARδを強制発現させたVP16-PPARδトランスジェニックマウスの結果からAMPKが運動耐性の鍵になることも分かった。

AMPKに関する色々な報告を紹介しているように、色々な転写活性の調整をしているようで、一番気になるのは、AMPK単独で、運動耐性を増加させることができるかどうかだ。

これを確かめた実験の結果がFigure6だ。

マウスをAICARで処理したらAMPKαサブユニットとACCのリン酸化が増加して、UCP3の発現も増えた(Figure6A)。もっと面白いのが、体重は変わらないのに(Figure6B)、体脂肪率は変化して(Figure6C)、酸素の消費量も増えてしまった(Figrue6D-6E)。

AICAR単独で運動耐性が増加する可能性を秘めているわけで、実際、FIgure6Fを見れば、23%長時間走れて、44%長く走ることができた!これはエクササイズをしなくてもだ!

実は、AICAR単独の処理で、脂肪酸化に関わる32の遺伝子の発現と関連があって、このうち30遺伝子はPPARδ強制発現マウスVP16-PPARδと共通する。

AMPKの刺激っていうのはPPARδの発現に依存している可能性があるから、これを確認したのがFigure6Hだ。AICARをPPARδの発現しているマウスと発現の無いマウスに作用させて、脂肪酸化に関わる遺伝子の発現活性を調べてみると、PPARδの発現の無いマウスの細胞では、脂肪酸化に関わる遺伝子の発現は見られなかった。

ディスカッション

これで全部の結果の説明が終わった。ディスカッションには膨大な数のリファレンスが紹介されていて、既存の報告に絡めて自分たちの報告の説明付けをしている。Figure6Iが彼らの仮説だ。それにしても説明が多いから端折ります。あくまでもAMPKからPPARδへの反応は、運動耐性を引き起こす骨格筋における脂肪酸化の一経路だ。この反応が耐性のメインかどうかは分からない。ディスカッションでも触れているけど、耐性には心臓、内分泌、神経筋肉システムでも起こっているし、この研究だけでは不十分なのは明らかであり、転写活性は様々な因子のクロストークによって制御されている。トレーニングだけと、トレーニングとPPARδの活性を比べても、異なる遺伝子発現を示すし、遺伝子発現(蛋白発現と単純に考えるにしても)と、各種キナーゼの活性有る無しを考えれば、あまりにも複雑な絡み合いがあるわけで、誰にも理解できないだろう。

こういう複雑な関連性を美しいストーリーで説明してくれた今回の報告は、私のような素人にも解りやすかった。最先端の研究者にもなれたように感じたね。面白かった。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月10日 (木)

研究で、減量中の食事日記に価値あり

久しぶりにライティング・ダイエットの話題がニュースになっていたので紹介しておこう。どんな形式でも続けるということが重要だろう。

研究で、減量中の食事日記に価値あり
Study shows value of food diary in losing weigh

ワシントン(ロイター) - 食事日記 -- 食べたり飲んだ詳細な量やカロリーを記録する  -- は、減量をするために強力なツールになる。米国の研究者は火曜日にそう言った。

1,685名の中年男性と女性が研究に参加して、日記を6ヶ月間毎日続けたグループは、つけなかったグループに比べて2倍の減量ができた。

減量をするために食事の記録をつければ効果があるという初期の研究をバックアップする結果になった。ウエイト・ウオッチャーのような会社は、自分たちの減量プログラムに食事日記を取り入れている。

「減量に取り組んでいる人達にとって、食べた物をすべて書き出すっていうやり方は、本当にいいテクニックだ。」ポートランドのカイザー・パーマネント健康研究所のVictor Stevens氏は電話インタビューで答えた。

「どこから無駄なカロリーが入り込んでいるのを知る手だてになり、どうすればいいか特定の状況に対処するためのプランを立てることができる。」American Journal of Preventive Medicineに投稿した主要著者のStevens氏はこう話した。

このテクニックは、ダイエット実践者に食べる物に責任感を持たせることもできるとStevens氏は話す。

この研究は、オレゴン州のポートランド、メリーランド州のボルチモア、ノース・カロライナ州のダーラム、ルイジアナ州のバトンローグなどの全米の町から参加している。彼らの平均減量値は13ポンド(6キログラム)。しかし、日記をつけなかったグループは9ポンド(4キログラム)の減量だったけど、週に6回から7回の食事日記をつけたグループは18ポンド(9キログラム)の減量ができていた。

この研究に参加した人々の平均年齢は55歳だった。

彼らは、脂肪摂取の制限、野菜、果物、全粒粉を多く摂取、1週間に180分ぐらいは歩くぐらいのエクササイズ、グループミーティングにも参加、そして、日記をつけるように指導された。

黒人は44%を占めていて、研究者によると黒人系のアメリカ人は、白人に比べて、2型糖尿病や心臓病と肥満の関連の危険性は高い。

「食事日記をつけることに形式張ったとことは必要ない。ポストイットに何を食べたか走り書きしたり、食べた集計を電子メールで自分宛に送るか、テキストメッセージを自分宛に送るだけでもいい。」Kaiser Permanenteの専門家、Keith Bachman医師も報告の中で言っていた。

ライティング・ダイエット関連記事

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 9日 (水)

ビスフェノールA:ベビー・ボトルで訴訟を起こす家族

追記:2008年10月17日:ベビーボトルのビスフェノールA(BPA)は乳児期の発達に悪影響があるだろう

-----

今日は予定していた記事のアップをお休みして、ビスフェノールA関連の話題をお届けしよう。「ビスフェノールA」を検索ワードにして、ここに来る人がいらっしゃるので、どうしてかなと思って、土門さんのブログを覗いてみた。

ビスフェノールAの安全性に懸念?-その2-

日本でも厚生労働省がビスフェノールAの毒性を調べるために食品安全委員会に調査を依頼したんですね。なるほど、このニュースを見てビスフェノールAを調べるために、ここに来たんだ。

じゃあ、私の所で、アメリカのビスフェノールAに関する最新情報を紹介しよう。最新と言っても6月19日のCBSニュースの記事なんで知っている人もいるかも。

過去の流れを見ながら紹介しよう。

2008年5月2日:プラスティックの化学物質を禁止

2008年5月16日:肥満を引き起こす化学物質

2008年5月17日:ビスフェノールA

2008年6月19日:ベビー・ボトルで訴訟を起こす家族:Families File Suit Over Baby Bottles

オハイオ州に住む4人の親は、ベビー・ボトルを製造する会社を相手取って連邦裁判所に訴訟を起こした。公聴会で物議を醸して世界1大きな卸会社は使用を中止した危険な化学物質が使用されているからだ。

先週、地方裁判所に提出された訴状によれば、ビスフェノールAとして知られる化学物質は健康問題に関係があることを会社は知っていたのに公表しなかったと主張している。科学的な研究から、BPAは、ベビー・ボトルや幼児用のマグカップから簡単にしみ出てくる化学物質であると記されている。

どのような健康障害でも国民の不安を解消するための調査をした連邦健康機関は、プラスチックボトルで暴露されるBPAのレベルは安全だということを米国下院エネルギーおよび商業対策委員会の小委員会で先週報告をした。今まで報告されている多くの研究は、非現実的な環境下になる高濃度の暴露を受けたときの結果であると、FDAの科学部門の次長であるNoris Alderson医師は話した。

「私たちのレビューはまだやっている最中だ、ビスフェノールAが使われている製品の使用禁止を勧める理由は何もない。」と彼は言った。

提訴は、集団代表訴訟の形を取り、5つの会社を名指ししている:オハイオ州、バンデーリアのEvenflo Co.、イリノイ州にあるAvent Ameria Inc.、ミズーリー州のHandicraft Co.、コネチカット州のHandicraft Co.、そしてスイスの会社Gerber Novartis。

特定できていない損害の規模を原告は調査をしている。

Handicraftのスポークスマン、Steve Richardsonは水曜日にコメントを拒否した。Playtexのスポークスマン、Jacqueline Burwitz氏は、審理中の事項に対してコメントしないと言った。Gerberのスポークスマンは、スイスに拠点を置くNestle SAに対して出された質問に言及した。Nestle SAは、Novartis AGから、Gerber Products Coを去年買収したこと。

Nestle、Evenflo、Aventに送られた通達文書は直ぐには戻ってこなかった。同じ通達文書は原告の弁護士にも送られた。

米国政府の国家毒性プログラムが4月に発表した内容によれば、ラットの実験から、この化学物質は、思春期の早い段階の行動や脳の発育に変化を与え、前立腺や乳腺に前癌変化を起こす可能性があるため、「ある種の心配」は存在するとした。このような動物実験からは、「限られた」危険性が示されただけではあるけど、このドラフト・レポートで、人間への影響を「完全に否定できない」と記されていた。

この報告から、Wal-Mart Stores Inc.、世界一大きな卸会社は、来年早々までにBPAフリーのボトルしか扱わないと宣言した。Toys "R" Usも、年末までに、自分の店の棚からBPA含有のボトルを一掃すると宣言した。

BPAは家の中で使う製品のいたるところで使われている。サングラス、食品用コンテナ、CDやDVDもだ。歯に詰める充填剤にも使われている。米国では、Dow Chemical Co.、Bsyer AGそして他の製造会社によって、毎年、6百万ポンド以上のビスフェノールが製造されている。

米国化学工業協会、化学メーカーを代表する業界団体は、BPAはよく知られている化学物質なので、心配するに及ばないと言う。

「もし政府が示した評価を見れば、BPAは非常に強力で、均一で濁りがないため、消費者が曝されるレベルで消費者に危険性を与えない。」米国化学工業協会プラスティック部門のStephen Russell氏は説明した。

何十年にもおよぶ研究で、日々の暴露をしても心配ないと示されているにも係わらす訴訟を起こす事例を今までRussell氏は経験したことが無いと言う。

「EU、FDAそして日本政府、すべてが確証して、BPAの現在使用レベルは安全というアセスメントの後ろ盾がある。」彼は言った。

Arkansasの女性は、先月、今回の訴訟とは別に、Playtexに訴訟を起こした。その訴状によるとBPAは低容量でも毒性があり、会社は自分たちの製品にこの化学物質を使っているということを適切に公開していなかったという。訴訟は、ニュー・ヘブンの地方裁判所に提出されて、集団代表訴訟の形を取られている。

Playtexは、セント・ルイスに拠点があるEngergizer Holdings Inc.の子会社だ。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 7日 (月)

ダイエットサイズは意志を損ねる

食品会社やレストラン業界は、利益を得るために色々な方法を使って消費者にアピールしてくる。決して消費者の健康を考えているとは思えない。賢い消費者になるために知っておいたらいい情報は何度でも繰り返して紹介する。今日のNewScientistのニュースは、ちょっと古いけど知っていた方がいいだろう。

ダイエットサイズは意志を損ねる
Diet-sized snack packs turn off willpower

昔のダイエットのジョークがある、冷蔵庫から直接取り出して食べる物にカロリーは無い。これは間違いだ。小さなパッケージのスナックって減量の手助けになるよね。当然?いやこれも間違いだ。

食料品を売っているコーナーには「ダイエットサイズ」である小袋のキャンディ、クッキー、油で揚げたスナックなんかで溢れていて、食べ過ぎにならないから罪悪感を感じなくていいという宣伝がされている。しかし、Rik Pieters氏とオランダ、ティルバーグ大学の彼の仲間は、こういうダイエットサイズの食品は、本当のところ、消費者の警戒心を和らげて、更に食べさせてしまうんじゃないかと疑っている。

テレビの広告を評価するように言われた140名の学生を集めて、彼らに、200gのポテトチップの大袋を2袋か、45gの小袋を9袋のどちらかを与えた。「自己管理」をさせるために、半分の学生に、体重に関する注意と、鏡の前で体重測定をさせた - あくまでも他の実験のためと説明してだよ。

体重に関して注意を受けなかった学生の中で、3/4の学生は小袋のポテトチップを開け、半分の学生は大袋を開けたけれど、両グループ共に、食べたポテトチップは同量だった。しかしながら、体重に関して注意を受けたグループで、1/4の学生しか大袋のポテトチップを開けなかったけど、量に関して言えば、小袋のポテトチップを開けた59%の学生に比べて、半分の量しか食べていなかった(Journal of Consumer Research, DOI: 10.1086/589564)。

小袋を開けた人は「自己管理」をする必要が無いと考えたのではないかと研究者は考えている。なぜなら、この小袋は既に考えられて小分けにされていると思っているからだ。これと同じ影響が、他のちょっとした誘惑にも当てはまる。例えば低脂肪とか自然食品といった類だ。

なぜ食品会社は小袋の食品を製造するのか?「本当に消費者を助けたいと思って作っているのかもしれない - この実験の結果で、そんな効果は全く無いと分かっていても...」Pieters氏は説明する「消費者が太ってしまう責任は、食品会社に無いということを示して法的な予防措置をとろうとしているのかもしれない。それか、もしかしたら、こういう事を知っていて、高利益で製品を売ることで、いい会社に見せたいのだろう。」

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 1日 (火)

トランス脂肪酸と心臓発作

日本人の脂肪摂取量は決して多すぎるわけじゃない。肉や魚など本物の食材に含まれる脂肪分の制限は必要ないだろう。問題は加工食品に含まれている脂肪分だ。

特にトランス脂肪酸は、自然界に存在しない(だよね?)人工的な脂肪分で、摂取量の多い米国で、やり玉にあげられ規制を受けている。日本では使用量が少ないため規制されていないけど、できるだけ避けた方がいいんじゃないだろうか。

トランス型脂肪酸はニューヨークから出て行け!(内科開業医のお勉強日記)」ここもチェックしてみてよ。私も最後のフレーズと同意見。

私は、できるだけ摂らないようにしている。摂らないようにするため、どんな食品に含まれているか知る必要がある。今日のPreventionの記事を紹介しておこう。いわゆる加工食品を避ければいいって分かるよね。

トランス脂肪酸と心臓発作
Trans Fat and Heart Attacks

ケーキミックスに何が隠されているのか?

お気に入りの加工食品の多くにトランス脂肪酸が含まれていて、心臓に良くないって知っているよね。「部分的水素添加」油と食品ラベルに書かれているトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールを増加させ、善玉コレステロールのHDL-コレステロールを減少させる。そして、心臓発作のリスクを上昇させてしまう。

2004年に発表された2つの試験で、この脂肪酸がいかに危険であるか示された。800名の健康的な女性を調べたハーバード研究では、トランス脂肪酸の摂取が多い人ほど、TNF(腫瘍壊死因子)のレベルを上昇させ、これは全身炎症のサインとなる。そしてこの炎症は、心臓発作、心臓病、心不全、糖尿病に糖尿病予備軍のリスクファクターになる。

同じ年のオーストラリアの研究では、400名の成人の中で、マーガリンのスプーン2杯分、1日平均5.5グラムのトランス脂肪酸を摂取する群では、1日平均1.5グラムの摂取量の少ない群に較べて、心臓発作の発生が2倍になった(トランス脂肪酸の安全な量は無いというのが専門家の意見)。

良いニュース:もしトランス脂肪酸を摂るのを辞めたら、年率15%の比率で体内からトランス脂肪酸は除去されていく。

トランス脂肪酸が多い10個の食品

  1. ケーキミックス
  2. シリアルとエネルギーバー(カロリーメイトみたいなやつ?)
  3. ポテチとクラッカー
  4. スープの粉
  5. ファーストフード
  6. 冷凍食品
  7. マーガリン
  8. クリープとショートニング
  9. 市販のクッキーとキャンディ
  10. 市販のドーナツ、パイにケーキ

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月30日 (月)

女の子は男の子より2倍重要なオメガ3系

時々読んでいたNewScientistのウエッブサイト。読みたい記事があったけど、全文読めなくなった。残念だよ。雑誌4冊をUS$5.95ドルで購読すればフリーアクセスできるけど、リソースの文献を読める訳じゃないからな。悩むところだ。

今日のニュースで取りあげられているLassek WD氏の文献を調べたら、 Am J Phys Anthropol. 2007 Aug;133(4):1147-51「Brief communication: menarche is related to fat distribution.」が見つかった。初潮と脂肪分布の関連性についての話だ。これも面白そう。

じゃあ今日のニュースを紹介しよう。

女の子は男の子より2倍重要なオメガ3系
Omega-3s are twice as important for girls as boys

娘がいる親たちよ、聞きなさい。女の子は、知能を伸ばすためにオメガ3系脂肪酸を多く含む食事を食べることが男の子より2倍重要になる。

鮭などの脂身の多い魚に見られるオメガ3系脂肪酸の消費と知能の相関関係を示した研究はいくつかある。ペンシルベニア、ピッツバーグ大学のWilliam Lassek氏とサンタ・バーバラ、カルフォルニア大学のSteve Gaulin氏は、この関連性は、女の子で強いんじゃないかどうか調べた。なぜなら、女性だけ、脳形成にオメガ3系脂肪酸を使うし、将来できる赤ん坊の脳発達の準備として、お尻や太ももに貯え込むからだ。「下肢の体脂肪は銀行みたいなもんだよ。子供の頃に貯金されて、妊娠時期から産後は引き出すばっかりだけどね。」Lassek氏は説明する。

米国の国民健康栄養調査から言えることは、2つの比較...(ここまで)

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月26日 (木)

ホルモンは減量維持を助ける:米国の研究

今日の話は食欲を抑えるレプチンの話。ダイエット関連に興味のある人は知っている有名なホルモンだ。wikipediaでレプチンをチェックしてごらん。

ニュースはさらりと紹介しよう。

ホルモンは減量維持を助ける:米国の研究
Hormone may help dieters keep weight off: U.S. study

シカゴ(ロイター) - レプチンと呼ばれるホルモンレベルの低下は、食欲を我慢しようとする脳の働きを助けるかもしれない。そして、減量維持の難しさの説明にもなるだろう。米国の研究者は、先週の金曜日に答えた。

ダイエットをする前のレプチンノレベルに戻せば、この問題を元に戻るかもしれない。疲れ切った減量をしている人にとって、ダイエットに勝つ1つの方法になるだろうと説明した。

「減量できるのと同時に、元に戻ろうとする嵐が吹き荒れる。」ニューヨーク、コロンビア大学メディカルセンターのMichael Rosenbaum氏の研究報告がJournal of Clinical Investigationに載るけれど、こう話してくれた。

減量した後は、Rosenbaum氏によると、低カロリーで身体を維持するために代謝がより効率的になるだけじゃなく、脳は美味しそうに見えるごちそうに対して感受性が上がってしまう。

「食べちゃいけないと働きかける脳領域の活性は弱くなっているようだ。食事に対して反応的になり、食欲をコントロールできなくなっている。」彼は電話インタビューで答えた。

レプチンは、体内の肥満細胞から分泌される自然の食欲抑制物質だ。研究者がレプチンを使ってマウスの食欲を抑え減量に成功した1990年代から、このホルモンに関する熱狂を作り出してしまった。しかし、この効果は人間で起こらなかった。

それから、このホルモンを使ってどのように肥満者を扱ったらいいのか、研究者は最善の方法を探し求めるようになった。

初期の研究で、減量に成功した人の体内で、保存エネルギー量を守るためにレプチンノレベルが低下するという事が発見された。

Rosenbaum氏は、減量を成功した人の脳のレプチンレベル減少の効果と、レプチンを補充することで減量の維持の助けになるかどうか調べた。

脳の活動性を見ることができるfMRI(磁気共鳴機能画像法)と呼ばれるイメージング・テクニックを使った。病院で指導を受けて体重の10%の減量した6名の肥満者のダイエット前後で比較検討した。

被験者に食べ物と食べ物以外の写真を見せる。例えばリンゴとヨーヨーだ。減量に成功した後、食べ物の写真を見せられたら、食欲を調整する脳領域の活動は低下して、感情を司る脳領域の活性は上がった。

ダイエットをする前のレベルにレプチンを補充してやると、この変化は元に戻ってしまう。

よく似た結果が、遺伝的にレプチンを欠損している人々にも見られた。

Rosenbaum氏は、減量を維持するためにレプチンは非常に有用な手段であると思っている。「減量を維持するための全く新しい治療法になるアイディアがここにある。」彼は言った。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月24日 (火)

健康的なライフスタイルで遺伝子発現が変わる

話が「遺伝子」になってくると訳がわからなくなる人いるよね。

医学的な話をしているとライフサイエンスの基本は避けられない。

.....

そうすると、誰に向けて話をしたらいいか悩むところだ。

.....

私の話は中途半端だって言われたことがある。

.....

専門家には簡単すぎるけど、素人には難しすぎるって。

私は中途半端な知識しか持っていないからだろう。あまりにも専門的な話になると私だってついて行けない...

どうすべきか悩むところだ。

今日の話の元ネタはずばりコレだ。

Changes in prostate gene expression in men undergoing an intensive nutrition and lifestyle intervention.

ちょっと覗いみたらいい。少々英語に自信があっても、専門外の人には難しいんじゃないかな?

私はなんとか理解できる。発現ベクターを使って遺伝子発現の研究をしたことがあるからだ。でも、この内容が理解できるぐらいで驚かないように。<一般の人。

医学や自然科学を専攻する理科系の人間には当たり前なんですよ。

でも、理科の嫌いな文化系の人にはかなり難しい内容なんだろうね。この大きな隔たりをどうやって埋めたらいいのだろう。

「遺伝子」と「DNA」の違いを説明して?

この質問で、基本を知っているかどうかで線引きかできると思っている。そこのお兄さん分かる?

.....

何を話しているんだろう。今日のニュースをサッサと話さないと日が暮れてしまう。さっき取りあげた論文を一般メディアのABCニュースが取りあげるとこうなるんだよ。やっぱりプロの記者は専門的な話を砕いて話すの上手いね。

健康的なライフスタイルで遺伝子発現が変わる
Healthy Lifestyle Triggers Genetic Changes: Study

ワシントン(ロイター) - 健康的な食生活やエクササイズをする包括的な生活習慣の改善をすることで、見た目が健康的になるだけでなく、瞬時にダイナミックな遺伝子レベルの変化も生じる。今週の月曜に米国の研究者はこう話した。

この小さな研究で、従来の医学的な処置である手術、放射線、ホルモン療法を拒んだ低リスクの前立腺癌患者30人の追跡調査を実施した。

大々的な生活習慣の変化、果物、野菜、全粒穀物、豆や大豆製品を摂る食習慣、30分の歩行をする中程度のエクササイズ、そして瞑想の1時間のストレス管理を彼らは3ヶ月実行した。

予想通り、減量して、血圧も低下して健康的な改善は見られた。しかし、研究者はライフスタイル変化前後の前立腺バイオプシーにおいて、更に意味深い変化を見つけた。

3ヶ月後に、約500種類の遺伝子発現の変化を認めた - 48種類の遺伝子発現は活性化して453種類の遺伝子の発現は停止した。

Journal Proceedings of the National Academy of Scienceの記事によると、前立腺癌や乳癌など発癌遺伝子の発現は抑えられる一方、がん抑制遺伝子の活性は上昇した。

カルフォルニア、サウサリート、予防医学研究所の所長、Dean Ornish医師によってこの研究はなされた。彼は、ライフスタイルの変化により健康を改善できると主張する有名な作家でもある。

「これは非常にエキサイティングな結果だった。なぜって、病気は遺伝子で決められているから、どうしららいいんだろう?って言う人が多いからね。でも、この結果を見れば色々できることは沢山あると思うよ。」サンフランシスコのカルフォルニア大学に関係のある。Ornish医師は電話インタビューで答えてくれた。

「たった3ヶ月だよ。食べる物と、どう生きるか変えるだけで、数百の遺伝子の発現を変えることができるんだよ。どう、すばらしいだろう。」Ornish医師は言った。「この研究で言えることは、前立腺癌になった男性に限った事じゃない。」

Ornish医師が説明する、前立腺癌に対して従来の処置をしなかったのは、この研究とは関係ない理由による。しかしそう決断しながら、彼らはライフスタイルの変化前後にバイオプシーの許可をしてくれた。

「道義的な理由で3ヶ月という短期間に2度のバイオプシーをさせてくれた。なぜなら彼らは臨床的な変化があるかどうか早急に知る必要があったからだ。」Ornish医師は言った。

-----
とここまでがニュース。

確かに興味深い話だけど、論文の要旨を読めば疑問も色々生じる。500種類の遺伝子の発現スイッチがオンになったりオフになったりしてるけど、これはあくまでもRNAの発現を見ている。RNAが発現したからといってタンパク質になる訳じゃない。もう教科書に載っているセントラルドグマの考えは崩壊しているからね。

まだまだパイロットスタディの段階だけど、ライフスタイルの変化で遺伝子発現を研究するグループが存在することが私には新鮮だった。

研究者が研究するのは、大義でなんと言おうと「金と名声」を追いかけているからだ。だから製薬会社は大きくなるし研究者は頑張る。新薬を開発すれば狂喜乱舞するんだ。

だから、こういう研究をするOrnish医師に拍手!

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月23日 (月)

バージニア男がマクドナルドで80ポンド(約36キロ)痩せた

今日は軽いニュースを紹介しよう。ファーストフードに関するお話。ファーストフードに関する記事をいくつか以前取りあげているので、読んでいない人は覗いてみて。

2008年1月23日:ファーストフード vs フルサービスレストラン:どちらがまし?
2008年2月1日:レストラン業界の秘密
2008年3月7日:ファーストフードを食べ過ぎたら肝障害になる?

リンクの記事を読めば書いているけど、ファーストフード好きに是非観てもらいたい映画「スーパー・サイズ・ミー」は必見だよ。2004年のアカデミー賞のドキュメンタリー部門で賞を取った。

この映画では、ビッグマックやフライドポテトにシェイクなど典型的なメニューを食べていたけど、今日のニュースでは、比較的健康的なメニューを選んでいる。kansasCity.comの6月20日付けのニュースを見ていこう。

バージニア男がマクドナルドで80ポンド(約36キロ)痩せた
Virginia man sheds 80 pounds eating at McDonald's

バージニアの男がマクドナルドで毎日食事をして6ヶ月間で80ポンド(約36キロ)減量した。ビッグマック、フライドポテトやチョコレートシェイクを摂らないで、だいたいサラダ、ラップ・サンド、そしてアップル・ディッパー(リンゴのスライスをキャラメルソースに付けて食べるスナックサラダらしい。アメリカでは好評なんだって)にキャラメルソースを付けないで食べたようだ。

Chris Coleson氏は、昨年の12月に278ポンド(約126キロ)の体重があった。身長約170cmのColeson氏は、現在、199ポンド(約90キロ)の体重になっていて、ウエストのサイズも125cmから90cmに落ちている。

クイントンに住むこの42歳のビジネスマンは、便利だったからマクドナルドを選んだと言う。

彼の二人の子供やアメリカ大陸をタンデム自転車で横断した目の不自由な退役軍人の話からこのダイエットを思いついた。

Coleson氏は、Tricia Summerさんと結婚したときの185ポンド(84キロ)に戻ることをゴールにしている。彼らの結婚10周年は土曜日だ。

-----
ニュースはここまで。さあ、皆さんどう思いますか?私は、これありかなぁと思う。

私がこのニュースに関心を示したのは、Coleson氏と年齢、身長が似ているからだ。私は42歳で172cm。興味深いのは体重。Coleson氏は、目標体重が84キロ!私は、一番太ったピーク時の体重が84キロ!現在は61キロ前後で快調になっている。

超巨大な肥満者が多いアメリカであり得る話だけど、それ程でもない日本人にお勧めできるかどうか。皆さんどう思います?

患者さんを指導するときに何度も説明しているけど、日本人は肥満に対する抵抗性(こういう表現をしてもいいかどうか知らないけど)が、白人に較べて弱い。少し太れば病気になる人種のため、白人の実践するダイエットを闇雲に実践することに問題があるんじゃないかな。皆さん、どう思いますか?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月19日 (木)

ティーンの食事を親が制限すると逆効果

以前のエントリーでこんなのを取りあげたけど覚えている?

ティーンエイジャーよ:ダイエットするんじゃない

この研究の対象はティーンだけで、彼らがダイエットをしようとすると逆に太ってしまうという結果だった。

「じゃあ親が絡んだらどうなんだろう?」という疑問からティーンと親を対象にした研究が今日のエントリーだ。

ティーンの食事を親が制限すると逆効果
Parental restrictions of teens' diet can backfire, study finds

子供が肥満気味になっている両親は、健康的な習慣にさせるよりダイエットをさせようとする - 反発した行動を取られると研究者は言う。

Los Angeles Timesの6月9日付けの記事によると

自分の子供達が肥満気味だと思っている両親は、そう思わない両親に較べて、ジャンクフードを止めさないし、家にヘルシーな食材を置こうともしない - また、こういう親は、家族一緒に食べる習慣もないし、テレビの前で食べな習慣もとらないし、エクササイズをしようともしない。しかし、子供達にダイエットをさせたがっている。

ミネソタ大学の研究者による報告が、今月の雑誌Pediatricsに掲載された。ミネアポリス、セント・ポールに住む思春期の若者902人と、その両親や保護者し対してインタビューして、体重と食習慣に関する集計した大型の研究報告の1つだ。最初のインタビューから5年後に、自分の子供は過体重だと思っていた314人の親に対して再調査をして、ダイエットをさせようとする試みは逆効果だった事が示された。ダイエットをしろと言われたティーンは、何も言われなかった子供達よりも体重は重かった。

この研究の主要著者、ミネソタ大学のDianne Neumark-Sztainer教授によれば、この結果は、子供の食事摂取量を制限する試みは逆効果になる他の報告と一致した。思春期の子供達にとって、彼女は付け加えて言ったけど、体重に関する両親からの影響、いい助言になるか、駄目なお節介になるかその「微妙なライン」は、交渉するにもトリッキーだと思う。

-----

ここまでが今日のニュース。これは、国民の70%は太め以上の人が住む国の話。日本人の子供達は決して太りすぎじゃない。確かに太りすぎの子供もいるけど、日本の場合は、若い女性の栄養不足が深刻な問題かもしれない。

太っていないのに太っていると思って過食と拒食を繰り返し。いわゆる摂食障害になるパターンだ。リバウンドを繰り返す段階なら、健康的な食生活を知れば自分で回復できるだろう。しかし摂食障害になってしまうと専門家の助けを求めた方が回復が早いだろう。

子供の食育に対する親の役割は大きい。食生活をチェックして子供の健康を考えてやらなきゃならないけど、子供は忠告をされても言うことは聞かない。親が態度で示していくしかないんじゃないかな。

親の習慣を子供は真似る。親が努力して習慣を変えているという態度を示せば子供も理解してくれるんじゃないだろうか?

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008年6月18日 (水)

糖尿病男性の寿命を決める鍵はフィットネス

今日のニュースは、太っていても痩せていても活動性が重要って話。

「運動療法と食事療法、どちらが重要?」なんて問題を考えるかもしれない。

しかし、どちらが重要なんて考えるのは無意味だ。どちらも必要なのは明らかだろう。

運動療法と食事療法は「どうやって実行するか?」というのが重要な問題だ。

色々な理由で、運動はできないし、いい食事もできない人はいる。しかし、改善したいというモチベーションを持たないと何も始まらない。

病的な理由で肥満から離脱できない人、何度もリバウンドを体験した人もいるだろう。そういう人は専門家のアドバイスを聞いてから減量を試みたらどうだろう。近くにいるダイエットの専門家に相談してみよう。

糖尿病男性の寿命を決める鍵はフィットネス
Fitness a Key Element in Determining Male Diabetic's Longevity

7年間の調査の結果、体重より体型を保つことがより重要だということが分かった

6月15日、日曜日のHealthDay News --- もし2型糖尿病の男性なら、どのくらい体重があるかよりも、どのくらいフィットしているかで、後どのくらい長く生きられるか決められるかもしれない。

この週末にサンフランシスコで開催された内分泌学会の年次総会で発表予定されていた新しい研究報告から、糖尿病男性の寿命を評価では、体重よりも肉体的な健康が重要であると示された。

「体重別にどんなカテゴリーに属していても、「低度のフィットネスレベル」の男達が最も死亡率が高い。」研究者のRoshney Jacob-Issac医師、ジョージ・ワシントン大学病院の内分泌科の先生は、発表原稿の中でコメントしていた。

VA病院に就いている2,690人の男性糖尿病退役軍人を研究対象にした。彼らのほとんどは、BMI値(注1)を使えば、過体重か肥満である。

退役軍人は、一般的なトレッドミル運動負荷試験を使って評価されて、低度、中程度、高度のフィットネスレベルに分類された。

最も高度のフィットネスレベルの男達は、研究期間(7年)の間で最も死亡率が低かった。例えば、高度のフィットネスレベルの男性なら、体重は標準や過体重でも、40%の死亡率低下が認められた。これは、肥満でけど比較的体型のいい人達で顕著な結果を示した:同程度の肉体的に衰えている男と較べて死亡率は52%低下していた。これは7年間の追跡結果で認められた。

「糖尿病患者さんは、活動的になることで、体型を良くして、少なくとも中程度のエクササイズレベルができるようにすべきだ。減量はすばらしい、しかし活動的になるのも同様に重要な事だ。」Jacob-Issac医師は忠告した。

彼女は少なくとも30分間の中程度のアクティビティをすべきだと言っている - 少なくとも週に5回は快活に歩くことをすべき - 最近の研究で示されている健康へいい効果を与えるレベルだ。

SOURCE: Endocrine Society, news release, June 15, 2008

(注1)BMI、ボディ・マス・インデックス:体重キログラム÷身長メートル÷身長メートルで求められ、米国では25以上は過体重、30以上が肥満である。日本の基準は違うよ

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2008年6月11日 (水)

厳格な血糖コントロールは心臓に良くない

今日紹介するのは、ちょっと古いけど、New York Timesの2008年6月7日付けの記事「Tight Rein on Blood Sugar Has No Heart Benefits(厳格な血糖コントロールは心臓に良くない)」だ。

最近、ダイエットに関係ない話をしているから、つまらないと思っている人いるかも?

自分でも誰に向けて記事を書いているのか分からなくなる事がある。患者さんに向けて書いているつもりなんだけど、自分の勉強のためにもなっているような... でも、自分のためなら文献読んだ方がいいのかも。

でも、私はアカデミックな人間じゃないし理解力は悪いから、難しい論文をスラスラ読めないし説明もできない。一般紙のニュースは理解しやすいよね。一般の人にも説明しやすいと思う。一流の記者は難しい話を分かりやすく書くの上手いね。

しかし、その代償として記者のバイアスの入った情報を読まなきゃいけないのが難点。うーん、正しい情報を手に入れるのは難しいよ。

じゃあ、そろそろ話に入ろう。先週の金曜日にサンフランシスコで開催された、米国糖尿病協会年次総会で、2つの大規模臨床試験失敗の報告があったんですよ。

特に、NIHが主導だった大規模臨床試験ASCCOTトライアルは、既に、今年の2月、中止のアナウンスがあったから、詳しい内容を知りたがっていた医者は多かったと思うよ。

私が勉強するときに覗いている「内科開業医のお勉強日記」でも、当然、このニュースを受けた記事がアップされている。

高リスク2型糖尿病強化治療:異なる2つトライアル結果:ACCORD vs ADVANCE  」

早いよね土曜日に紹介してるもんね。やっぱりできる医者は凄い。

でも、一般の人がここを覗いても、難しすぎて何の事やら分からないんじゃないかな。最後にこんなコメントが載っている。

日本では諸外国のメガトライアル解釈、大御所たちが行い、製薬メーカーがらみで配布する。一般医師たちの脳は、大御所たちの意見と同一となり、金太郎飴状態になる。
そういう情報にけがされる前に、生文献を読んだ後の感想を書き込むことも日常臨床やっている医師たちには必要なのかもしれない。

そうですよね。ここのページは医家向けに情報を発信(自分用ともいう)しているからバックグラウンドの知識がないとフォローアップしにくい。私でも理解できないことあるし(汗)。

同サイトの月曜日には更に関連記事が紹介されている。

ACCORD研究のインパクト

二度紹介されているということは、医療関係者にはインパクトがあったんだろう。なんとなく分かるんじゃないかな。でも、紹介されているニュース記事「ADA: ACCORD Diabetes Trial a Complete Bust」は医家向けだよな。

でも、私が今日紹介する記事は一般向けなんで分かりやすいと思うよ。ACCORDとかADVANCEなんて単語は出てこない。ちょっと説明が必要なところもあるけど、まあ、私には十分。何度も言うけど、注意すべき点は記者のバイアスだ。そういうわけで、文献のアブストラクトぐらいは読んでおこう。

厳格な血糖コントロールは心臓に良くない
Tight Rein on Blood Sugar Has No Heart Benefits

21,000人以上の2型糖尿病患者が参加した2つの大規模臨床試験において、厳格な血糖コントロールをしても、心筋梗塞、卒中のリスク低下、死亡率の低下も見いだせなかった。

1つの臨床試験は、NIH(米国)によって2月に中止という報告があり、今回その詳細な結果が示された。中止が決定したとき、比較的緩やかな血糖コントロールをするグループより厳格な血糖コントロールをするグループの方が死亡率が高いという報告があって糖尿病専門医を驚かせた。

初めてこの臨床試験の詳細なデータが報告されている。もう1つの臨床試験はオーストラリアからの報告、20カ国から被験者は参加していて、米国と同様に血糖値と心血管疾患に関する試験結果が示された。死亡率の増加は見られなかったけど、厳格な血糖コントロールをするからといって心血管疾患の予防にはならなかった。

どちらの臨床試験でも、厳格な血糖コントロールをすれば2型糖尿病の心血管疾患予防になると信じている人達の仮説を証明することができなかった。

これは本当に明らかだと思われていた仮説だった。

2型糖尿病患者にとって心血管疾患は死因の65%を占める。糖尿病になれば高血糖になるという理由から、糖尿病の患者さんの血糖値をできるだけ正常に近づけたら、心血管疾患の罹患率も是正されるんじゃないかという希望はあった。

この2つの臨床試験は、金曜日、サンフランシスコで開催された米国糖尿病協会年次総会で報告されて、New England Journal of Medicineに翌週掲載される予定だ(もう既にされているよ)。この文献はミーティングが開催されるのと同時に公開された。3つ目目の臨床研究は、同様だけどちょっと規模が小さくて、Department of Veterans Affairsによってなされ、日曜日に報告予定だ(この結果は見てません)。

糖尿病研究者によれば、この研究で言えることは、糖尿病患者さんは、少なくともマイルドな血糖コントロールをして、網膜症、腎症、神経症の予防をするべきということ。心臓病に関して言えば、合併症予防で確証がある方法は、スタチン製剤を使ってコレステロールのコントロール、降圧剤による血圧コントロール、アスピリンによる血液凝集予防、それに減量とエクササイズを奨励することだ。

オーストラリアの臨床試験の厳格な血糖コントロールの利点は1つだけある - 糖尿病性腎症の発症や進展は僅かに抑制された。この進展率は、緩やかなコントロールグループの5.2%に較べて、厳格なコントロールグループは4.1%だった。

しかし、研究者によれば、オーストラリアの臨床試験で見られる腎症に対する効果は、患者さんに厳格な血糖コントロールをやらせるのに十分な説明にならない。オーストラリアの臨床試験をした連中もそう思っている。

他の人達も判断はできなかった。腎臓に対する効果は「ちょっとした利点」とマサチューセッツ総合病院の糖尿病センター所長、David Nathan医師はこう言った。米国心臓病学会の委員長、W. Douglas Weaver医師も同意して言った。「こんなデータじゃエキサイトできないよね。」

米国の臨床試験で、強化療法をしたグループの死亡者が増えたため、Nathan医師や他のスタッフは試験を中断させた。

研究者説明するには、米国とオーストラリアの臨床試験を比較することはかなり難しい。というのも、この臨床試験で使用されている血糖降下剤は異なるし、血糖降下率も異なるからだ - 米国の試験では、血糖を早くコントロールしたけど、オーストラリアの試験では1年以上かけて血糖を低下させた。

また、米国の臨床試験では、幅広い種類の糖尿病薬が使われた、しかし、オーストラリアの臨床試験では、厳格な血糖コントロールグループで、スルホニル尿素剤、グリクラジド(徐放剤)が使われていた。これはアメリカでは使われていない。

オーストラリアの研究は、製薬会社、セルビアから大規模な援助を受けている。セルビアは研究に関して、解析、公表、結果を含めて全く関与はない。シドニー大学の心血管医学疫学の教授で主要研究者のStephen MacMahon医師は説明した。

どちらの研究も、厳格な血糖値のコントロールの意味は、血中のタンパク質、ヘモグロビンA1C(HbA1C)の値を6.0%から6.5%にしたということ。緩やかな血糖コントロールは、A1Cの目標値を7.0%から7.9%にしている。これは米国の2型糖尿病コントロールの典型的な目標値だ。厳格なコントロールは本当に難しかった - 参加者は、何種類も薬を飲まなきゃいけなくなったし、インスリン注射さえする必要があった。それに、突然血糖値が低下してしまう低血糖の危険性もあった。

血糖値/心血管疾患の仮説を証明することに失敗して大きな落胆はあったけれど、この結果から、この臨床試験に参加するような患者さんから成果を上げることは難しいことを示してくれました。国立糖尿病・消化奇病・腎臓病研究所の糖尿病部門の主任、Judith Fradkin医師は答えてくれた。それに、参加者は、中年から年を取った方が多かったし、糖尿病の罹患率も長かったですね。

「既に障害を持っている患者さんに介入していたからでしょうね。」Fradlin医師は話してくれた。若くて、糖尿病になりたての患者さんだったら、また別の話になったんじゃないでしょうか。彼女は、最後に付け加えて言った。「それが、まだ答えられていない大きな問題よ。」

糖尿病医科学協会の委員長、John Buseがまだ言うけど、血糖値/心血管疾患の仮説は、2型糖尿病の確立した人には無駄だった。

このような患者さんにとって、「心血管疾患のリスクを考えて厳格なA1Cのコントロールをする価値はない。」とBuse医師は言った。

------

ここまでがニュースです。糖尿病の患者さんで驚いた人もいるんじゃないかな?ヘモグロビンA1C(HbA1C)のコントロール6.4%の人は、7.0%を越えている人に較べて死亡率が20%上昇ってある意味怖いかも。でも今飲んでいる薬を勝手に止めないでよ。主治医と相談しよう。じゃあね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月10日 (火)

イリノイ大学の骨を失わないで減量する方法

私が紹介しているニュースを読んで疑問に思っている人いるんじゃない?

「これ本当か?日本人は関係ないんじゃないか?」

半年ほどDiet Blogを中心に最新ダイエットニュースを紹介していて疑問に思うことがよくある。最近とある先生に紹介された本を読んで、ちょっと考え方が変わってきた(この本の紹介は近いうちにしよう)。

基本的に今の食事スタイルに変化はないけど、明らかに指導をする立場として影響を受けた。私の紹介しているニュースはあくまでも欧米の人(アメリカが中心)を対象にしているデータなんで、そのまま日本人の我々が鵜呑みにしちゃいけないということを再認識させられた。

WHOは、BMI値(体重kg÷身長m×身長m)を使って、BMI値30以上を「肥満」、25~30は「過体重」と定義している。2003年のデータで、米国は、人口の30.6%が「肥満」で、35.1%が「過体重」のためWHOが警告をする肥満注意国だ。しかし、日本は「肥満」3.2%で「過体重」21.6%しかない。

この体格の差は尋常じゃないよね。これだけの体格の差と食生活の相違があるにも係わらず、同じ食事指導を推奨するのは明らかに間違いだろう。欧米の基準を日本人に当てはめる妥当性はないんじゃないかな。

しかし、同じ人間として食べる物は同じだ。健康的に生きるために何を食べるべきなのか共通点は多い。共通点を確かめながら日本人の食生活を考えていかなきゃいけないだろう。

さて、前置きはこのぐらいにして、EurekAlert!から米国のニュースを紹介しよう(汗)。

イリノイ大学の骨を失わないで減量する方法
U of I study shows how to lose weight without losing bone

タンパク源として、脂肪の少ない赤みの肉とカルシウムを多く摂る高タンパク食にすれば、骨を失うことなく体重減少ができる - イリノイ大学の新しい研究で、ボーンスキャンを使ってこのエビデンスは確かめられた。

高タンパク食と従来のフードピラミッドを利用した減量法を比べた研究は、今月のJournal of Nutritionに掲載された。

「この報告は多くの人に重要なことだ。特に中年以降の女性で、肥満と骨粗鬆症を気にしている人には重要だろう。」イリノイ大学の運動生理、地域医療学の準教授で栄養学研究所のメンバーであるEllen Evans女史は説明した。

「肥満患者さんの治療をすれば骨粗鬆症のリスクは上がる。多くの人は、減量すれば骨量も失うからだ。」彼女は続ける。

この研究の共著者、イリノイ大学の栄養学、Donald Layman教授は、タンパク質の豊富なダイエット法で、筋肉量を維持し、血糖値や脂質の低下させて、腹部の減量をターゲットとして体組成を改善させることができたという報告を以前にしている。

最近の研究で、Laymanダイエットは、赤みの肉と低脂肪の乳製品との組み合わせて、全体のカロリーの30%をタンパク質から摂るようになっている。

中年で肥満の130人を、イリノイ大学とペンシルベニア州立大学から無作為に選び出した。参加者は、高タンパク質食か、フードピラミッドを使った比較的炭水化物の多い従来の減量食のどちらかを、4ヶ月食べてもらい、その後8ヶ月の体重維持をしてもらった。

「フードピラミッドで示されている高炭水化物の食材を、赤みの肉、低脂肪ミルク、チーズ、ヨーグルト等で代替した。もちろん、参加者には5種類の野菜と2〜3種類の果物も毎日食べてもらった。」Evans女史は説明する。

全身、腰椎、腸骨のDXAスキャンで、研究開始時、4ヶ月後、8ヶ月後、そして最後の12ヶ月後に骨塩量と密度は測定された。

「高タンパク質ダイエットのグループでは、比較的安定して骨密度は維持された、しかし、従来の高炭水化物ダイエットをしたグループでは、骨の健康はゆっくりと低下した。統計的に明らかな影響は高タンパク質ダイエットにあった。」Evansのラボで働いていて、この研究のファーストオーサーの医学大学院生のMatthew Thorpeは話してくれた。

「食事性のタンパク質、乳製品からのカルシウム、そして追加のビタミンDの組み合わせによって、減量をしている間の骨の健康を守っているようだ。」彼はそう付け加えた。

高タンパク質の食事と尿中カルシウムの上昇には関連性があるため、高タンパク食は、骨の脱塩作用があるんじゃないかと疑問に思う科学者もいる。

イリノイ大学のチームは研究の最初と8ヶ月後に尿中カルシウムレベルも測定した。確かに高タンパク食ダイエットをするグループの尿中カルシウムは上昇したけれど、骨から失われるんじゃなくて腸管からのカルシウムの吸収がよくなったから排泄カルシウムが増える原因になった。

「別の放射線ラベルされたカルシウムの研究で、高タンパクの食事に見られる尿中カルシウム値の上昇は、まだ信じている科学者はいるけど、骨からの損失ではないことが示された。」

イリノイ大学の研究者達は、高齢で少し華奢に女性を対象に、高タンパク、低脂肪ダイエットと従来のダイエットを比較検討する研究をする予定である。

「 ダイエット6ヶ月後に、二つのグループの骨と筋肉の評価をする予定だ。絶対に知りたいのは、赤みの肉や乳製品を強化した高タンパク質ダイエットが、骨粗鬆症と筋肉量減少のリスクを低下させるかどうかだ。」

「それに、この食事の変化で身体の構造や、バランス、歩き方など、他の身体的な機能の評価をして、骨粗鬆症や身体障害のリスクにどう影響を与えるか知りたい。」

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 6日 (金)

セレニウム中毒

昨日紹介した「内科開業医のお勉強日記」は、ここよりも数段高尚なテーマを扱っている。毎日精力的に文献を紹介しているので、私がネットで調べ物をしているときによくヒットする。

今日の記事に、セレニウム(セレン)含有のサプリメントの話題が出ていたので紹介しておこう。

セレニウムの毒性:サプリメントによるセレニウム中毒
Selenium Toxicity: A Case of Selenosis Caused by a Nutritional Supplement
Ann Int Med. Vol.148 (12) 17 June 2008

衝撃的な写真が載っているからインパクトあるよ。サプリメントが好きな皆さん、ちょっと覗いてみよう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

糖尿病でなくても血糖値が重要

Reuters Healthの2008年6月4日付けのニュースは興味深かった。さっそく元文献を手に入れて読もう。

糖尿病の患者さんなら馴染みの深いHbA1C(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)、糖尿病の診断やコントロールのマーカーとして使われている。もっと詳しく知りたい人は、私がとやかく説明するよりここを読んでください(Wikipedia)。

日本でも健診の項目にHbA1Cは入っているので、古い自分の検診結果を見てみたらいいだろう。

このHbA1Cと死亡率の相関関係を示した報告が今日のニュース。ちょっと興味が持てましたか?

糖尿病でなくても血糖値が重要
Blood sugar level important in diabetes-free people

糖尿病の診断がされていない人でも、血糖値が高値になれば早死にのリスクが高まる結果が示された。

血糖値と糖尿病ではない人の死亡リスクの関連を調べている前向き研究は数える程度しかない。ニュージーランド、ウエリントン、マッセイ大学のNaomi Brewer医師のグループは、Diabetes Careという雑誌で指摘している。

HbA1C(ヘモグロビンエイワンシー)の値は、 -- 一般的な血糖値のレベルの指標 -- ニュージーランドで、1999年から2001年の間、B型肝炎のスクリーニングがされている期間に、調べられていた。この被験者グループは、2004年度末になって死亡率を評価された。

総計で47,9042人が対象で、平均38歳、4.4年の経過観察中に815人の人が亡くなった。

血糖値の増加に平行して早死にのリスクも上昇することをBrewer医師のチームは見つけた。A1Cの"リファレンスグループ"(4.0%以上から5.0%以下)を基準にして、A1Cが最も高くなるグループ(7.0%以上)まで、死亡率は増え続ける。

血糖値の上昇と、内分泌、栄養、代謝、そして免疫異常による死亡との間には、非常に強い相関が認められた。もちろん、血糖値の上昇と心血管疾患による死亡との間にも強い相関はあった。しかし、癌や他の原因不明の死亡との相関は弱かった。

彼らがコメントしているけど、A1Cの値とそれに引き続いておこる死亡率の関係を調べた最大規模の研究である。「糖尿病とまだ診断されていない男女で、A1Cのレベルと死亡率に大きな相関があるだろうという以前の報告を確認した。」

ここまでが、今日のニュース。こうなると、ニュージーランドの話しなんだけど、死亡率の変動は具体的にどのくらいか知りたくなるよね。それに、日本人ならどうなんだろう?という疑問も生じてくる。知りたいことはドンドン増える。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。



| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月 5日 (木)

食品着色剤の使用禁止...

BMJ、2008年5月24日にこんな論説がありましたよ。

Food additives and hyperactivity(食品添加物と多動性)

ここで読めるのは最初の150語ということで、只今、文献は請求中。

それでも、社会的な動きを知るために紹介しよう。

食事から着色剤や保存剤を除去する準備期間をもうけることを支持するエビデンスが示されている。

保存剤や着色剤は多動性の原因になったり悪化させるのか?多くの小児科医と親にとって重要な質問である。3歳〜9歳の297名の子供を使った最近の無作為プラセボ比較試験から、着色剤と防腐剤(安息香酸ナトリウム)の使われている食事をすると、多動性は増加するデータが示されている(#1)。以前に報告された多数の研究と異なり、この子供達は、普通の集団から抽出されていて、ADHD(注意欠陥・多動性障害:wikipedia)の子供達はいない。グローバル多動性統合スコア:global hyperactivity aggregate score(GHA)を使って判定すると、色々な行動への悪影響が見られた。1日の摂取量は、だいたい56gの甘いお菓子2袋に含まれている量。

この結果の重要性を考えると、European Food Safety Authority(EFSA)は、最近になって、他のエビデンスも考慮するように意見を出した。EFSAが発表した事実というのは、BMJの新しい記事で、「政府機関は食品添加物の研究を拒否した」と... (ここからは読めない)

(#1)で示した文献を日本語で紐解いている先生がいました。

私も時々チェックをしている「内科開業医のお勉強日記」の次のページを読んでみよう。私の話より詳しいよ。

人工着色剤と安息香酸ナトリウムは3歳児、8・9歳児の多動性と関係

どうして私が今日になって、この話をぶり返したと思う?

実はこれを受けて次のニュースが出たからだ。

eFluxMedia、2008年6月4日付けの記事に次のような記事がありました。

US Watchdog Group Calls for FDA to Ban Food Dyes

アメリカの監視団体がFDAに着色剤の使用禁止を求めた記事である。

アメリカの監視団体は、FDAに対して、8つの食品着色剤の使用禁止を推し進めている。この着色剤は、子供達に見られるADHDのような多動性の行動障害の原因になるかもしれない。

公益科学センター:Center for Science in the Public Interest(CSPI)は、着色剤入りの食品を食べた子供達は、多動的になるという過去30年間の比較試験の結果を支持している。実際、今のアメリカ人は、一人当たり50年前に比べて2倍の着色剤を消費しているとCSPIの最高責任者、Michael F Jacobson氏は言っていた。

こういう理由で、この監視団体は、FDAに対して、次の8つの着色剤使用禁止を要求している:黄色5、赤色40、青色1、青色2、緑色3、橙B、赤3、そして黄色6。これらの成分は基本的に石油とコールタールから作られていて、キャンドル、シリアル、飲料水、それにお菓子まで、何にでも使われている。これらの化学物質を使用すると、食品から本当の食材が抜けている事実を隠す効果があり、さらに低栄養の食品に魅力を付け加えることができるとJacobson氏がAssociated Pressに説明する。

しかしながら、FDAはこの要求を却下して、彼らのウエッブ・サイトでこう言っている。「1970年代からこの仮定は一般的に広まっているけれど、十分に検討された比較試験で、食品添加物によって、子供達の多動性や学習障害を引き起こすエビデンスは何も無い。」

FDAというのは、有名な産業界、保存食品製造業者協会に擁護されていた。ここの主要科学官、Robert Brackettは、親や子供達にこう説明している。「これら着色剤の含まれた商品を安全に楽しめるからね。」

米国精神医学会によれば、ADHDは3〜7%の子供達に影響を与えている。女児よりも男児の方が診断を受けることが多い。擁護グループである、メリーランド、ランドバーにあるChildren and Adults with ADHDは次のように言う。遺伝、妊娠困難、妊娠時のアルコールやタバコへの暴露、高濃度の鉛汚染などの因子の方が、ADHDを発展させる原因として非難されるべきだ。しかしながら、食事の問題がADHDの発症にどのようにかかわるか示す説得力のある研究はない。

と、ここまでが今日のニュース。人工添加物の問題はいつもグレーだ。これはアメリカでも日本でも同じだけど、ハッキリと黒にならないと規制をしない。

ここに社会構造が絡むからだろう。着色剤でも保存剤でも使用できなくなると食品会社は多大な損害を受けてしまう。存続の危機に立たされるかもしれない。そうなると日本経済は大打撃を受けるかも。

やはり国の立場として、黒になるまで法規制はしないんじゃないかな。

添加物の影響は長期にならないと出てこないし、因果関係を証明するのは難しくなるだろう。

ということで、私はグレーを避ける姿勢をとっている。ハッキリしたエビデンスは無いけど、着色剤や防腐剤など添加物の入っている食品はできるだけ食べないよ。たとえ法律で規制していなくても、食べる食べないは個人の自由だ。皆さんはどう思います?

最後に一言。例え添加物がグレーでも、Children and Adults with ADHDの言うように、妊娠時期のタバコやアルコール、水銀汚染の魚に注意する事が重要だよ。関連性の高い物を無視して、添加物をとやかく言っていると本末転倒になるからね。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 4日 (水)

なぜ減量を維持することが難しいのか?

今日は、Los Angeles Times、6月2日のスペシャルレポートから「Why it's hard to maintain weight loss」を紹介しよう。少し長文なんで、かなりいい加減に訳している(汗)。内容は間違ってないだろう。でも細かいニュアンスは... あんまり深く考えていないから違うよ。

でも、今日のトピックは面白かった。リバウンドのメカニズムを具体的に説明していて説得力はあった。エネルギー・ギャップという概念は知っていたけど、具体的に1ポンド8kcalという値は知らなかった。どんな研究を根拠にして、この値が出てきたのか気になるな。James O. Hill教授の文献を当たってみる必要があるだろう。色々調べ物が多くて大変だ(溜息)。

もう一つ、ちょっと気になったのは、リバウンドをすれば内臓脂肪じゃなくて皮下脂肪が増えるという事実。これも動物実験なんで人間でどうなるのか気になるところ。

それにエクササイズはカロリーを消費するだけでなく、身体に生理学的な変化を加える事も再認識したよ。私がリバウンドしないのもそういう理由があるのだろう。何度も言うけど、ダイエットは一時的な生活習慣の改善じゃない。これから永遠に続くライフスタイルの変化だ。

まあ私の疑問は置いておいて、内容を見ていこう。

なぜ減量を維持することが難しいのか?
Why it's hard to maintain weight loss

減量後の体重を維持できない?身体がいけないんだ。脳、ホルモン、代謝に脂肪組織は元にもどろうとしている。

39歳のCaludia Hallblomさん、自分で計算すれば、今までに453キログラム増えたり減ったりした!

彼女が減量に成功したのは、卒業式や結婚式で、綺麗に見られたいという目的があったから。彼女の減量法はいつでも、厳格なカロリー制限だった。しかし、減量の成功は、いつも過ぎ去ってしまって、いつのまにやら、昔の習慣に戻ってモチベーションも消え去ってしまっている。

「どうやって減量を維持したらいいのか分からなかった。」ダウニーに住むこの女性は言う。

だいたいの人は減量できる。しかし、減量を維持できる人は少ない。研究者は、この問題に取り組んでいて、彼らが学んでいることは、あまり喜ばしいことでは無い。人間の身体は、一度太ってしまったら - どんな状況になっても減量の邪魔をするように作られているように見える 。太っていた身体に戻ろうと反応する。無情にも生理学的な2つの変化が起きる:身体は、消費カロリー消費を減らして維持しようとする。しかし、食欲は更に強くなる。

過体重は、例えて言うなら、金利の高いクレジットカードのようなもの。永遠に支払いが出来なくなってしまうだろう。減量を維持するというのは、脳、ホルモン、代謝、脂肪組織などすべてが総動員する生物学的な力と自分の意志を戦わせることだ。

「長期間の減量維持に関する知識は、今大きく変化している。」デンバー、コロラド大学医学部、Paul MacLean準教授は説明する。「この世の中には、山のようにダイエット本やダイエットプログラムが存在する。それを使えば痩せられるだろう。しかし、問題は減量を維持することだ。最近の評価では、5%から10%の人しか減量を長期間維持できていない。」

しかし、諦めてお菓子に手を伸ばす前に、これを考えてごらん:真実が我々を解放すると研究者は思っている。どういう事かと言えば、身体に起こる強力な生物学的反応を理解することで、この問題に取り組んで打ち負かすことができるようになるだろう。

エクササイズ、リバウンドをしないために、減量を維持する方法として、よく知られているけど、研究者は、最近やっとメカニズムを理解しかけている。いくつかの食材も、リバウンドを防ぐかもしれない。生化学的な反応に働きかけてリバウンドを防ぐと思われる薬も開発されている。

「減量をすれば、強力な生理学的な適応力が働いて元に戻ろうとする。」MacLean準教授は言う、「我々がこの問題の大部分を理解して、過去数十年間なぜ成功できなかったか知ったというのは良いニュースだろう。」

エネルギー・ギャップ

ヒューマン・バイオロジー - 適応の理由 - 減量に対して、飢餓に抵抗するように作られている。一定期間の肥満が続くと、身体は体重制御のメカニズムを永遠に変化させる、そのため、食欲を引き起こして体脂肪を維持しようと働く。

減量をすると代謝が変わってしまう:1ポンド(453g)減量すると、身体は毎日8kcal不足した状態になる。このため、40ポンド(18キログラム)減量したら、減量前より毎日320kcal不足した状態だ。この減量前後で生じるエネルギー欲求量の変化を「エネルギーギャップ」と、デンバー、ヒューマン・ニュートリション・センターの所長、コロラド大学のJames O. Hill教授は呼ぶ。

食欲ホルモンも変化する。レプチンは、主要な食欲制御のホルモンであり - これがあると食事を止めて食後に脂肪を蓄積させる。人によって、遺伝的にレプチンの分泌が弱い人もいる。彼らはより肥満になりやすい。しかし、研究結果で、減量をした後、減量前に比べてレプチンのレベルが低下する事が示された。これは、食欲を抑えにくいということだ。車で言えば、突然ブレーキを失ったようなものだ。

また別のホルモン、グレリンは食欲を刺激する - 食後に脳内のグレリンレベルは低下する。しかし、減量した後は、血中レベルは高いままで、食後をしても明らかな低下は見られない。

「体重の10%を減量してしまうと、これらすべてのシステムが突然動き出して、減量した分を取り戻そうとする。」サンディエゴ、スクリプス・クリニック、栄養代謝研究部門の所長、Ken Fujioka医師はこう説明する、「リバウンドして体重が戻ってしまうと、自分に対して腹が立って落ち込んでしまう。しかし、私が説明すると、これはあなたのせいじゃない。生物学的反応にやられたんだ... 年がら年中お腹が空いて、食事のことばっかりを考えさせられるんだよ。」

脳ばっかりが体重をもどそうと働くわけじゃない。MacLeanの研究で示されたのは、中枢神経系も、腸管や周辺の組織からシグナルを集めてくる。例えば、内臓脂肪は失った分を取り戻そうと働く。

こういう感覚で、エネルギー消費が支出を越えてしまうと、身体はエネルギーの使用法や貯蓄法を変化させる。グルコース(糖)はエネルギー源として好まれ、脂肪は体脂肪としてエネルギー貯蓄される。過剰の糖は脂肪へ変換される。トロント大学の研究で、24時間血糖値をモニターできる装置を使って、肥満者の血糖値の変動を見ると、正常体重の人は安定した血糖値変動をしているのに比べて、上がり下がりがきつい。

血糖が落ちたときに食欲が増す。カナディアン・機能医学センターの所長、Michael R. Lyon医師は説明する。

体重の戻るのは早い。「カロリーを取り戻せ、効率に蓄えろ、脂肪を元に戻すまで食欲を落とすな、と身体全体からシグナルを発する。」MacLean医師は続ける、「見た目は痩せてた人に見えるだろう。でも、身体の内部は変わらないんだよ。」

更に、動物実験から分かっているのは、リバウンドして増える脂肪は皮下脂肪だ。内臓脂肪は心血管疾患や糖尿病との関わりが言われているけどね。

難しいけど、失いやすい

じゃあダイエットをどうしたらいい?

「我々が知っている方法で、この反応に対処する方法は何もない。」Fujioka医師は、体脂肪を防御する生物学的力を説明する、「めちゃ難しい。」

しかし、決して不可能なことではない。National Weight Control Registry はこれに立ち向かっているダイエッターに賞賛された役割を担っている。ブラウン・メディカル・スクールの減量と糖尿病センターの所長、Hill and Rena Wingによって1994年に始められた。この登録システムは、どうやったら減量を維持できるか、色々と重要なデータを提供している。登録者は、定期的に調査され、1年間で少なくとも30ポンド(13キログラム)の減量を維持できている。

7000人以上のデータから解析されたデータから言えるのは、減量をする方法にあまり共通点がみられない。しかし、減量成功者はその後は同じような経過をとるということ。

彼らは、エナジー・ギャップを埋めるため、これから続く生活を小食でいるんじゃなくて、エクササイズをしっかりしようとする。毎日1時間以上、エアロビック運動をして、テレビを見る時間を制限している。

フィジカル・アクティビティ、研究者は良く理解できていないけど、リバウンド起こす生物学的なシステムに影響を与える。レプチンやインスリンの感受性を更に増すというようにだろう。

「エクササイズは、カロリー燃焼作用があると誰もが考える。」Fujioka医師は言う。「しかし、エクササイズによって元あるべきシステムに戻ろうとする反応が起こる。すべて最初のあるべき働きに戻るのだろう。」

減量維持に成功している人は、食事も変えている:登録者は、自分の必要なカロリーバランスを確認して続けている。まじめにカロリー表を見て、食べる物の記録を付ける、彼らは比較的低脂肪の食事をしている。

しかし、食事の選択には、これ以上の意味があるだろう。「我々は、食材の中に含まれる成分の研究に興味が向いている。」Fujioka医師は言う。「たぶん、ある種の栄養素を摂れば、システム全体が良くなるんじゃないかな。」

例えば、研究によって、カルシウムが体重制御に働くらしい。彼が言うには、「誰もカルシウムがどんな働きをするか分かっていない - 事実、この理論は認められていない。しかし、カルシウムの多い食事は、カルシトリオールと呼ばれるビタミンDを抑制して、脂肪燃焼の過程を刺激する。」

他に、血糖値を安定化させる食事、GI値が低く繊維の多い食事の研究をしている。この研究では、GI値の低い食事、例えばレタス、ナッツなど水や繊維質の多い食事を食べると、血糖値は安定して、食欲を増す反応もゆっくりだ。食物線維は食材に含まれる炭水化物の吸収を遅くする。これは血糖値の上昇を抑えることになる。

「減量自体は現実的なゴールじゃない。」Lyon氏は言う。「減量はいいというより身体に悪い。鍵になるのは、脳を自分の見方にすること。まずやらなきゃならない事は血糖値を安定化させることだ。」

2年経ったら楽になる

一度太った身体から正常な身体に身体が慣れるまでどのくらいかかるか科学者はわからない。もしわかるなら、永遠に続けることが可能になる。

研究報告で示されているけど、リバウンドは減量後の最初2、3年で生じる。そしてWing医師によると、減量を維持するのは最初の2年間が難しいと登録者は言う。しかし、徐々に新しい習慣とライフスタイルに慣れていく。

「その後、ダイエットの達人のようになるだろう。」彼女は言う。

現代の肥満研究で2点だけ強調されている。この2点はどちらも人間の行動に依存している。まず最初は、太らないでいるということ。そして、もし太ったら、減量して維持するためにライフスタイルを永遠に変えてしまうということ。

Hallblomさんは、Weight Watcherの方法を使って、14ヶ月かけて63ポンド(約29キログラム)体重を落とした。Weight Wtacherは食材の栄養素を学び、食事の記録を録るやり方だ。そして、精力的にエクササイズをこなした:毎週10から12マイル(16キロから20キロ)走って、週に3階エリプティカル・マシーンを使った。

彼女は7年間健康的に減量を維持して、2001年にWeight Watchersの南カルフォルニアのスペイン語サービス向上のため雇われた。彼女が言うには、まったく違うライフスタイルを変えないと永遠に維持できないことを数年前に認識したという。

「今回は」彼女は言う、「生活を改善するために永遠に変える準備は出来た。」

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年5月31日 (土)

死を考えると人はさらにクッキーを食べる

小ネタを紹介する前にちょっと。

実は、昨日、ここに異変が生じたんですよ。

Life-LOGの訪問者は、昨日まで1日100人前後、アクセス数で100から200ぐらいで推移してたのが、昨日、急に倍増した!

「とうとうブレイクしたのか?」

まさかね。でも、急にアクセス数が増えた理由が知りたかったので、ちょっとアクセス解析をしてみた。

すると、昨日の午後8時台に100人ぐらいのアクセスが集中していた。なぜ?

検索ワードを調べてみたら...

「伊達由美」

「伊達友美」さんと書かなきゃいけないのに誤表記してました。

8時台のテレビ番組でダイエットのカリスマ管理栄養士の伊達さんが出演していたんですね。

ちなみに「伊達友美」さんででググってみても私のブログはどこにもヒットしません(そりゃあいっぱいあるからね)。でも「伊達由美」さんでググるとトップページにLife-LOGがヒットするんです(笑)。
(既に修正したからググってもトップページにはでなくなりました。でも、このページが2ページ目に(汗))

そうです。変換ミスのまま私のブログに来てくれた人が昨日は100人ぐらいいたわけになります。嬉しいやらおかしいやら。でも明らかにブレイクじゃないから、ぬか喜びでした。

それでも肥満を環境問題、食糧危機問題として取り組み、減量法の啓蒙活動をしてます。気に入った人はまた来てください!皆さんの訪問が私の原動力、コメントもしてね。

それじゃあ今日の話を始めよう。

Thoughts of death make us eat more cookies」っていうNewScientistの5月29日付けのニュースを紹介する。

決して新しい内容とは思わないけど、こういう内容を何度も読んで、お菓子依存症から逃れる方法を各自で考えるべきだろう。

-----

Thoughts of death make us eat more cookies
死を考えると人はさらにクッキーを食べる

クッキーをガツガツ食べて自分たちの運命から甘ーく逃れる。

社会心理学者は既に、死を考えると買い物が止まらなくなるという報告をしている。例えば、アメリカの911事件から、全米の店で、贅沢な商品、缶詰製品、お菓子などの購入が一気に増えた。

死の考えと消費欲の関係をもう少し理解するために、テンペ、アリゾナ州立大学のNaomi Mandel氏とオランダ、ロッテルダム、エラシューム大学のDirk Smeester氏は746名の学生に、2つのトピックのうち1つのエッセーを書かせた:自分たちの死について、もしくは歯医者の受診についてどちらかだ。そして各々の被験者に、自己評価のレベルを知るための質問票も書かせた。

自己評価が低く死に関してエッセーを書いた被験者は、歯医者に受診するエッセーを書いた被験者に比べて、機会があれば、クッキーを多く食べるし、架空のショッピングリストから多くの物を購入した。自己評価の高い人は、死に関しての考えがあっても行動に影響を与えなかった(Journal of Consumer Research, DOI: 10.1086/587626)。

この著者は、自己評価の低い人は、死という強力なイメージを自覚することから、無意識に逃れる方法として消費という行動を取ると考えている。「ショッピングや食事をしている時、我を忘れることができるからね。」Smeesters氏は説明する。

カレッジ・パーク、メリーランド大学のRosellina Ferraro氏は、「死に関する心配事に対処するメカニズムの可能性はある」と考えると非常に面白い研究であると言う。死を考えてしまうトリガーはどこにでもある。例えば、自動車事故のニュースなんてそうだ。最新の、まだパブリッシュしてない研究で、自己評価の低い人は、死に関連したニュースを見た後に買い物や食事をするとSmeesters氏は言う。

「この事実を使って、食品会社がニュースの直後に食品のコマーシャルを流さないことを祈っているよ。」Smeesters氏は言う。

-----

さあ、ニュースはここまで。ストレス解消から食べてしまう理由の1つだろう。面白いのは事故のニュースを見た後にも食事をしてしまうって事。じゃあ今の社会不安の大きい日本でも過食になってしまう人が多くなるよね。一人一人の自己評価を高めるっていうのが大事だろう。

Bnr80_15_04Banner_03<--気に入ったらクリックしてください。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年5月30日 (金)

"無症候性"心筋梗塞は認知症のリスクを高める

今日のニュースは少しダイエットの話題から外れるけど、動脈硬化性の疾患は肥満から生じると信じているので、肥満を放っておくと、こういうリスクを心配しなきゃいけないよ、ということで紹介しよう。

Reutersの5月28日のニュースに「"Silent" heart attack boosts dementia risk」ってのがあったよ。日本語にすると「"無症候性"心筋梗塞は認知症のリスクを高める。」

症状が無いか無症候性の心筋梗塞を起こした男性は、認知症もしくは認知機能に影響を与える小さな脳血管障害のリスクを高める報告をオランダの研究者グループがした。

女性ではなく、無症候性の心筋梗塞を起こした男性は、有症の心筋梗塞や心筋梗塞を全く起こしてない男性よりも脳梗塞が多いという報告をMonique M. B. Breteler医師は以前にしている。

このことが認知症と、いわゆる脳内微小血管障害(Cerebral Small Vessel Disease)の原因になっているかどうか調べるため、ロッテルダム、エラスームス大学のBreteler医師と彼女のグループは、住民を対象として6,300人以上のデータを調査解析をした。

研究の開始時、1990年から1993年まで、心電図によって被験者を、有症の心筋梗塞、心筋梗塞無し、無症候性の心筋梗塞の3つに分類した。そして認知症が起こるまで追跡して、2005年までに認知症は613名になった。

認知症にならなかった436名もMRIによる脳の検査をしている。

心筋梗塞を起こしたことが無い男性に比べると