カテゴリー「低炭水化物ダイエット」の記事

2019年3月14日 (木)

低炭水化物で、心房細動!?

ライフログ・オーガナイザー:屋台ブルー

米国のコミュニティベースの前向き臨床試験、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究を使った 新しい解析結果が、ACC2019カンファレンスで発表されました。

私にとってインパクトのある結果で、ちょっと考え方を改めないといけなくなりました。

体重をコントロールするために「低炭水化物」にすることは、理にかなった やり方という説明を、私の本、夜はちみつダイエットで説明しています。

ウルトラマラソンランナーを対象にした 低炭水化物ダイエットの効果を調べた 2016年の報告にも感銘を受け、私自身、2018年の四万十川ウルトラマラソン大会 参加時に、炭水化物を控え、レース直前も鰹節だけ食べて発走してみました。

いつもは、レース前にカーボローディングをしていたのですが、炭水化物なしでもそれなりに走れたんで、超長距離走における低炭水化物ダイエットのパフォーマンス面において実証実験ができて満足していました。

しかし、心配事はあります。疫学調査をみても 前向き試験をみても、ランナーの不整脈 発症リスクは高く、特に、 合併症が厄介な 心房細動のリスクが高くなことが知られています。

ランナーとして記録を狙いたい という気持ちは、強く持っていますが、できるだけ長いランニングライフを 送りたいと考えているので、心房細動のリスクを考え、50歳を過ぎてから無理な記録狙いを捨てています。

その代わり、ウルトラマラソンを ある程度のペースで走りきる目標を掲げ、負担のない走りのために、低炭水化物でランニングに取り組んでいる矢先!

今日読んだ報告で愕然としました。

米国のコミュニティーベースの臨床試験なので、対象はランナーとは違います。しかし、低炭水化物ダイエットが、単独で、心房細動のリスクになるという報告に落胆しました。

ARIC研究に登録されている住民の総数は、13385名、その平均年齢は、54.2歳、なんと私とほぼ同年齢! 34.1%が高血圧症、4.7%が脳卒中の既往、4.8%は冠動脈疾患、4.5%が心不全、そして26.8%が肥満(米国の肥満の基準は日本と異なり、BMI>=30kg/m2)でした。

22.4年間の追跡をして、一日の総カロリーに占める炭水化物摂取比率から 3つのグループに分けました。炭水化物摂取の割合が44.8%以下を低炭水化物群、44.8%から52.4%が普通群、52.4%以上を高炭水化物群として、心房細動発症のリスクをみると、炭水化物の比率が、減れば減るほど リスクが高まるという結果でした。

低炭水化物ダイエットで、動物性食材もしくは 植物性食材、どちらをメインにしても、このリスクに差が見られなかったんです。

この解析の問題点は、当然、色々あります。20年間以上の経過中、食事の内容はかなり変化していると思われます。病院のカルテ記録のみの解析のため、心房細動のタイプもわかりません。

しかし、1つ言えることは、闇雲に過度な低炭水化物ダイエットをするとランナーにとって危険なようです。 レースのパフォーマンスは良くなってもランニングライフが短命になるのは嫌ですよね。やはり、レース前やレース中は適度な質の良い糖質摂取をするようにします。

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Volume 73, Issue 9 Supplement 2, March 2019
DOI: 10.1016/S0735-1097(19)33766-0から改変

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2010年1月29日 (金)

低炭水化物ダイエットは降圧効果に優れている

東京慈恵会医科大学の西村理明先生を招いた糖尿病の勉強会に参加したよ。24時間持続血糖モニター(CGM)を使用した研究内容で、将来の糖尿病治療もオーダーメードに向いているんだと実感できる興味深い内容だった。

講演の中で、以前ライフログで取りあげた「厳格な血糖コントロールは心臓に良くない」で話題にしたACCORD試験とADVNCE試験にも触れられ、私が疑問に思っていた問題も解消されました。

インスリン強化療法群でHbA1cを7前後から6に近づけると何故死亡率が上がってしまうのかっていう理由もCGMを使ったデータを使って説得力ある説明をしてくださいました。いやあ、やっぱり大学で研究している先生は勉強家ですね。過度の糖尿病治療が良くないという話題は今月号のLancetにも掲載されているんですよ。また次の機会に話をしよう。

今日は私も支持している低炭水化物ダイエットの優位性を示した報告だ。こういう報告を読んだら嬉しくなるよね。本文にも書かれているけど、肥満者を対象に、減量のためのダイエット法、代表的な2つのダイエット、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットを比較した試験は過去に多数報告されている。しかし、高血圧症のような慢性疾患を持っている患者への効果を見た報告は無かった。

このニュースで触れられていないけど、血圧に影響を与える塩分量は同等なのかどうか気になるところだ。文献を読まないと詳細が分からないよね。ゲットして読まないといけないか。

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2008年7月25日 (金)

低炭水化物ダイエットの真実

今日も軽い話題を軽いサイト「I'M NOT OBSESSED!(囚われてないよ!)」から紹介する。低炭水化物ダイエットを私は否定していないけど、まったく炭水化物を摂らない食生活を続けると弊害があるだろう。オリジナルのアトキンスダイエットに問題はある。だから、私はアトキンスじゃなくてサウスビーチダイエットを選択して実行した(この違いが分かるとダイエット通と言えるんじゃないかな)。

「低炭水化物ダイエット」と言っても色々なバリエーションがある。肉だけ食べても低炭水化物ダイエットになるし、炭水化物のごく僅かな野菜だけ食べるベジタリアンでも、同様に低炭水化物ダイエットをしていることになる。どうも欧米の人は、肉中心の低炭水化物ダイエットのようだ。そうなると今日の話題になっている便秘は大きな問題になるだろう。私は毎日快便で便秘にならない!

低炭水化物ダイエットの真実
The Truth About The No-Carb Diet

どれだけ多くのダイエットがあり、異なる主張をしていることやら。真実を知ることは本当に難しい。低炭水化物ダイエットもかなり人気があるけど、そんな謎の多いダイエットの1つだ。ここにハッキリしていることと分からないことを紹介しよう。

俗説:パンやパスタを諦めると、脂肪は溶けていく。

真実:低炭水化物ダイエットの食事をすれば、消化管にとって悪夢のようなもの。十分な食物線維が摂れないから、かなり深刻な便秘に悩まされるだろう。ニューヨークのダイエット専門家、Maye Musk氏は言う。健康にいい炭水化物はエネルギー供給にも重要。それを食べないって事は、いつも疲れていてイライラしがちになるってことだ。

修正:いい炭水化物を食べよう。どんな栄養素が必要か知るべきだ。毎日の食事に4種類ぐらいは追加しよう。Musk氏は提案する。全粒粉パン、オートミールを半カップ。玄米を3分の1カップ、そして全粒粉パスタを半カップ。食物線維の多い食材、例えば、ホウレン草、ブロッコリー、豆、アスパラガスなんかをお皿一杯に食べると、便通によくなるだろう(大豆やレンズ豆のような豆類も豊富な食物線維が含まれる)。もしそれでも上手くいかなかったら、低糖で食物線維の多いシリアル、オールブランのエキストラファイバーをボール一杯食べてしまおう。四分の一カップを食べれば6グラムの繊維質を摂取できる。

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2008年7月23日 (水)

地中海式と低炭水化物ダイエットに光明

Newlogo数日前に、こんな質問がコメントにあった。

ダイエットでは最も一般的な低脂肪法よりも、信頼性に疑問が持たれていた低炭水化物法の方が効果が大きい-。こんな研究報告をイスラエルのベングリオン大学を中心とする国際研究チームが米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」最新号で発表した。(時事通信)を 見ましたが この記事に対しての意見をお聞かせください

この研究報告、実は色々なところで話題になっていた。Diet Blogでも当然この話題があった。私もDiet BlogのMike Howard氏と同意見で、今回の発表で驚いていないし、ちょっとうんざりしている。

それぞれのダイエット法には、メリットとデメリットがある。今まで報告されているデータをまとめていると、自ずと何がいいか見えている。減量をメインに考えれば、低炭水化物ダイエットは理論的に正しい。今までの報告から明らかであり、目新しい結果じゃない。

この研究の素晴らしいところは、2年間の包括的な研究をしたということ。当たり前と思っている事でも綺麗にデータにして示したという事が称賛に値する。だから「The New England Journal of Medicine」に掲載され、人々にインパクトを与えているのだろう。

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1つだけ言いたいことがある。

3つのグループの体重の推移を示したグラフを見て欲しい。

ここで注意すべき事は、低脂肪(Low-fat)と低炭水化物(Low-Carbohydrate)はリバウンドをしているけれど、地中海式(Mediterranean)はリバウンドをしていない。

これだけ見ても、2年間という期間は比較するのに短すぎるように見える。もっと長期間になれば地中海式の食事療法がすぐれているかもしれない。

この答えは無い。でも推測するのは自由だ。低脂肪の良いところ、低炭水化物のいいところ、そして地中海式のいいところを自分の食生活に取り込むことが重要だと私は考えている。

じゃあ、ここからDiet Blogの要約を紹介しよう。

地中海式と低炭水化物ダイエットに光明
Mediterranean and Low Carb Diets Shine in Study

低脂肪食、低炭水化物ダイエット、そして地中海式ダイエットを2年間以上比べた画期的な研究によって、低炭水化物ダイエットと地中海式ダイエットは、低脂肪食よりも好まれる結果が示された。この研究は、体重、血清脂質、血糖コントロール、そして炎症に焦点を絞っている。

研究の詳細を見て、何ができるか考えていこう。

研究の詳細

参加者:

中年(平均年齢52歳)で中程度肥満(BMI31)の成人を無作為に3グループに分けた。

  1. 低脂肪/カロリー制限ダイエット(女性は1500kcal、男性は1800kcal)
  2. 地中海式/カロリー制限ダイエット(低脂肪と同量)
  3. 低炭水化物ダイエット - カロリーの制限無し

詳しい内容は、ここを見てください。

結果

継続率:

2年間後、それぞれのダイエットの継続率は、低脂肪ダイエットの場合は90%、地中海式ダイエットでは85%で、低炭水化物ダイエットは78%であった。
メモ:この臨床試験の参加者は、1日の主食になる食事、ランチを職場のカフェテリアで食べた。そこでは、注意深く食事が選ばれている。施設内では、ダイエットの専門家が定期的に、参加者がダイエットを続けられるように指導していた。

減量:

グループ 低脂肪(kg) 地中海式(kg) 低炭水化物(kg)
全患者 -2.9 -4.4 -4.7
全達成者 -3.3 -4.6 -5.5
男性 -3.4 -4.0 -4.9
女性 -0.1 -6.2 -2.4

興味深いのが、地中海式ダイエットの女性の成績が良かったことだ(奇妙なんだけど、数がかなり少ない)。

脂質変化:

パラメータ 低脂肪(mg/dL) 地中海式(mg/dL) 低炭水化物(mg/dL)
HDL +6.4 +6.3 +8.4
LDL -0.05 -5.6 -3.0
中性脂肪 -2.8 -21.8 -23.7
総コレ/HDL比 -0.6 -0.9 -1.1

炎症:

高感度CRP(炎症の時増えるタンパク質)は、地中海式ダイエット(21%)と低炭水化物ダイエット(29%)のグループだけ著名に減少した。体重を減少している時期でも、体重を維持する時期どちらでもだ。

血糖コントロール/インスリン:

糖尿病患者は36人含まれる。地中海式ダイエットグループだけ、空腹時血糖の減少が認められた。すべてのグループでインスリンレベルの軽度の低下はあったけど、大きな差は無かった。

これから何をすべき

既に、この研究に関して聞き飽きていることだろう。この研究から導き出されている結論で最も重要なことは、既に知っているということ - 健康的に良い結果を示す異なる食事パターには異なる作用があるということ。

この研究は非常に包括的だけど、欠点がないってことじゃない。部分的にコントロールされ、ダイエット専門家によるカウンセリングのような環境に参加者は置かれているので、継続率が人為的に高い。それから、エネルギーの消費の側面は語れれていない。このエネルギー消費(エクササイズ)は健康的に減量をするために、かなり重要なファクターになる。体重の変化を測定するだけでなく、体組成率(体脂肪や筋肉量)も見てみたいもんだね。

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