カテゴリー「タバコ」の記事

2011年9月21日 (水)

COPDの生涯リスクは4人に1人

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

COPDと言われても「なんやねん?」と思われた人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)総合情報サイトを見てください。和田アキ子さんがテレビで宣伝しているから見かけたことあるんじゃない?

前回のエントリーで養老先生と日本禁煙学会のやり取りを紹介したら、愛煙家と嫌煙家の意見は交わらないという意見をコメントで頂いたけど致し方ないでしょうね。しかし、禁煙活動を「おせっかい」レベルに思われると残念なことだと思う。

分煙化がすすんでいるから「喫煙」は個人の嗜好で他人にとやかく言われる筋合いはない!と仰るなら、大麻(戦前は自由だったらしい)、覚醒剤、麻薬など他人に直接影響を与えない薬物はどうして規制されているのでしょう?これを合法にすると、社会・経済的に国にダメージを与えるという表向き(?)の理由を大半の人は支持しているからじゃないかな。アルコールはどうですか?アルコールは社会に受け入れられて多くの人が嗜好品とし飲まれているよね。でも、米国では社会悪として禁酒法(宗教的な意味合いもあったけど)が施行されていた歴史もありました。

多くの研究データの蓄積によって社会通念は変化している。これまでは、タバコの問題もアルコールと同じと捉える人も多かったのでしょう。しかし、蓄積されていくエビデンスを見れば、タバコは公衆衛生上大きな問題を抱えていることが明らかになってきている。今日紹介する雑誌The Lancetに掲載された報告(カナダの報告なんで直接日本人に当てはまらないから注意)をみても分かるだろう。喫煙とCOPDの関連性は否定しがたいもので、日本でもCOPDの治療にかかる医療費はこれから莫大なものになっていくって想像できる。非喫煙者が喫煙者のCOPD治療のために税金を払わなければならないんですよ。

医療費を減らすことが国の義務なら、なぜ国はもっと積極的に禁煙活動に力を入れないのでしょうか?「タバコ1箱1000円」のどこが悪いのでしょうか?1000円にすると喫煙者は激減するけど、タバコ1箱当たりの税金は増え、タバコで得られる税収は変わらないという試算があるから国は困りません。厚生労働省の小宮山大臣の発言が不適切とは思えねいけどね。タバコ1箱を1000円にして困るのは誰?売り上げが減るJTですよ。JTは巨大企業で財務省に太いパイプがあるって話。タバコ税問題は、政治的問題として話し合われているって馬鹿な私でも想像できるよ。国民の健康を考えれば小宮山大臣に頑張ってもらいたいけどどうなることでしょう。

じゃあ今日のニュースを紹介しよう。

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2011年9月15日 (木)

タバコ:日本禁煙学会、養老孟司氏に反論

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

久しぶりにタバコの話をしよう。ここの読者なら私が嫌煙家って知っているよね。今年から日本禁煙学会に入会して禁煙外来にも力を入れている。

隣の人が食生活の乱れから肥満やメタボになっても直接影響はないけど、タバコは副流煙という問題をはらんでおり、隣で吸われるだけで健康障害を引き起こす可能性があるという理由から、私は嫌煙家になっているけど、声高に主張できない大人の事情もある。

野田首相も吸われているって話で、あの東京大学名誉教授の養老孟司先生も愛煙家ですよね。こういう方々が、例えば隣でタバコを吸われ「すまないね」と仰ると「いえいえ、かまいませんよ」と答えてしまうだろう。ここまでお偉方でなくても、自分の上司や目上の人が吸われていても黙認してしまう。

したがって、私の嫌煙家ってのもこのブログに限られた情けない話ではある(^_^;) さて、今日の話題は、先ほど話題に挙げた養老孟司先生のニュースですが、もう既に知っている人もいるかな?私は日本禁煙学会のメールで知ったけど、養老先生がここまで過激な愛煙家だと思わなかった。少し感情的に反論をしてしまう日本禁煙学会の姿勢も納得ですね。次のニュースを読んでみて皆さんはどう思われますか?

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2011年7月31日 (日)

喫煙に関する10の神話・・・の内の9個

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

WebMDを見ていたら、10 Persistent Myths About Smoking、つまり「喫煙に関してしつこくつきまとう10の神話」というタイトルの記事がありました。単刀直入な内容なので、ざっとまとめてみました。

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2011年4月24日 (日)

タバコとお腹の赤ちゃんの成長 〜サードハンド・スモーク再び〜

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

妊娠中の女性は、お腹の赤ちゃんを守るために、サードハンド・スモークがありそうな場所には近寄らないようすべきだ。サードハンド・スモークの毒は赤ちゃんの肺の成長にダメージを与える可能性がある
〜Virender Rehan M.D. (LA BioMed の研究責任者で本研究の著者)〜

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2011年2月15日 (火)

喫煙と筋萎縮性側索硬化症の関係

amyotrophic lateral sclerosis (ALS: アミオトロフィック・ラテラル・スクレローシス)、またの名を「筋萎縮性側索硬化症」。世界的に著名な物理学者スティーブン・ホーキング博士が患っている病気ということでご存知の方も多いのではないでしょうか。

この病気については、wikipediaにある筋萎縮性側索硬化症の冒頭に次のような記述があります。

重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、運動ニューロン病の一種。きわめて進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する(人工呼吸器の装着による延命は可能)。治癒のための有効な治療法は確立されていない。
このようにきわめて恐ろしい病気ですが、2011年2月14日付けで Medical News Today に掲載された "Cigarette Smoking Associated With Increased Risk Of Developing ALS" という記事によると、喫煙によって「筋萎縮性側索硬化症」の発症リスクが高まるのだそうです。

"Archives of Neurology"誌の2月号に "Smoking and Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis"(喫煙と筋萎縮性側索硬化症のリスクについて)という論文が発表されており、Medical News Today に載ったこの記事 はこの論文のことを伝えています。それによると、


筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は運動ニューロンの神経変性疾患で、米国では毎年5500名以上が発症している。ALS には治療法が無い。処置法が無いことはないが効果は限定的。ALS の症例の9割は散発的で、原因はおそらく環境的なものだろうが、いまだ不明である。

米国ボストンにあるハーバード大学公衆衛生学部(Harvard School of Public Health)の Hao Wang, M.D., Ph.D. らのチームは、喫煙と ALS の関係を調べるため、合計で100万人以上から得られた長期にわたる5種類の研究データを分析した。追跡期間は7年から28年間。この5種類の研究を組み合わせてみると、ALS の割合は年齢とともに上昇した。そして全体としては女性よりも男性の方が多かった。またこの研究が始まるまでタバコを吸っていた人は、それ以外の人よりも ALS のリスクが高かった。研究中も喫煙していた人は42パーセント、タバコをやめた人は44パーセント、各々リスクが高まっていた。

また同記事によると ALS の発症リスクには、他にもタバコの箱年、1日あたりの喫煙本数、および喫煙期間も影響を与えるそうです。ちなみに「タバコの箱年」というのはタバコの消費量を表す単位で、ざっくり言えば1日に吸ったタバコの箱数とその箱数を吸いつづけた喫煙期間の積だそうです。ですから単位は当然「箱年」になりますね。たとえば1年間ずっと1日に2箱の割で吸っていれば 2 x 1 = 2(箱年)ということになるのでしょう。
ALS の発症リスクは、1日あたりの喫煙本数が10本増すごとに10パーセント高まり、喫煙期間だと10年ごとに9パーセント増加した。しかし喫煙経験の無い人を除外すると、この関係は変わってくる。また喫煙者の中でも、喫煙開始年齢が下がるほど ALS の発症リスクは高まった。
この研究の研究者は、「喫煙が ALS の発症リスクに影響を与える仕組みはいくつか考えられる。たとえば一酸化窒素をはじめタバコの煙に含まれる物質(タバコの栽培に使われた殺虫剤の残存物質など)や酸化ストレスが直接ニューロンに損傷を与えるということもある。タバコの煙に含まれる化学物質は遊離基を発生させ、脂質を過酸化する。それに喫煙者はビタミンC(主要な抗酸化物質)の代謝回転が高い。2008年には、喫煙による燃焼生成物の副産物であるホルムアルデヒドにさらされると ALS の発症リスクが高まると考えられるという報告もある」と語っています。

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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2011年1月25日 (火)

禁煙の努力を台無しにするのは、映画の「あのシーン」!

禁煙が難しいのは、どうもニコチンの中毒性ばかりではないようです。映画などで喫煙シーンが出てくると、それを見ている喫煙者の脳はその気になってしまうのだそうです。

The Journal of Neuroscience 誌に発表された "Spontaneous Action Representation in Smokers when Watching Movie Characters Smoke" という研究の研究者は「禁煙しようと頑張っている人は、他の喫煙者に近づいてはいけないとか、身の回りに喫煙用具を置いてはいけないとよく言われるが、映画の喫煙シーンを見ないようにしようなどとは思いもよらないのではないか」と話しています。

この研究を伝える "Imaging Study Supports Evidence That Nicotine Addiction Is Reinforced By Smoking Cues" (19 Jan 2011) によると、映画の喫煙シーンが目に入ると、それを解釈し手の動きを司る脳の部位が活性化されて、自分でもあたかもタバコに火をつけそうになるのだそうです。

喫煙常習者は日に何十回となく同じ手の動きを繰り返すものですが、他の人が喫煙するのを目にしただけで、その単純な反復動作を制御している脳の部位が活性化されるのかどうかを調べたのがこの研究です。そして、ハリウッド映画のワンシーンであっても、喫煙者に馴染みのこの動作を目にすると、脳は、実際にその動作をしようと思っている場合と同じ反応を起こすことがわかりました。

調査対象の被験者(喫煙者と非喫煙者が各々17名)に "Matchstick Men" という映画の最初の30分を見てもらいながら fMRI 撮影しました。これは2003年のアメリカ映画で、監督はリドリー・スコット、そしてニコラス・ケイジとかサム・ロックウェル、アリソン・ローマンなどが出ているそうです。この映画を選んだ理由について研究者は「飲酒や暴力、性的なシーンが無く、喫煙シーンだけが著しく目立っているからだ」と言っています。

喫煙シーンを見た喫煙者の脳では、動きの認識と協調に関係する部位はいうまでもなく、頭頂葉にある頭頂間溝という領域が著しく活性化していることがわかりました。これはタバコを吸うときの手の使い方に対応していました。

「これまでの研究から、喫煙者は、映画を見終わっても、その映画に喫煙シーンがあると痛烈にタバコを吸いたくなる傾向があることがわかっているが、今回の研究はその裏付けになっている」

意思決定に関する神経科学の専門家、デューク大学(Duke University)の Scott Huettel, PhD は「中毒性が強まるのはなにも薬物そのものせいだけではない。そういう薬物にかかわるさまざまなイメージを受けとることも原因になるのだ。今回の研究でその証拠がさらに増えたね」と語っています。

禁煙しようと頑張っている人には、喫煙シーンがありそうな映画やテレビ番組は見せないという配慮も必要かもしれませんね。

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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2011年1月18日 (火)

喫煙すると30分以内にガン化が始まる

BBCをはじめ、Daily MailBusinessWeekTimes of IndiaFox Newsなど、多数のメディアが取り上げている話題です。BBCではどう伝えているかというと・・・

"Smoking 'causes damage in minutes', US experts claim" (16 January 2011)。つまり「喫煙のダメージは分単位でやってくる」ということ。

アメリカでの研究によると、喫煙によって身体は損傷を受けるが、それは何年かのちなどというものではなく、分単位で受けるということです。心臓病からさまざまなガンにいたるまで、喫煙の長期にわたる悪影響はよく知られていますが、この研究が示唆しているのは、タバコを1本吸ったことにより受けるダメージは、その直後(分単位)から始まるということです。

Chemical Research in Toxicology誌 に発表された "Immediate Consequences of Cigarette Smoking: Rapid Formation of Polycyclic Aromatic Hydrocarbon Diol Epoxides" という研究を伝える

BBCのこの記事 によると・・・

喫煙するとすぐにガンの原因となる化学物質が形成される。この研究に関わった研究者らは、タバコを吸おうと考えている人たちには過酷な警告だ、と説明している。反喫煙チャリティAsh (Anti-smoking charity Ash) ではこの結果を「背筋が凍りそうだ」と評しており、今からでもすぐに禁煙すべきだという警告だと語っている。

研究者らが観察したのは、12名の被験者が喫煙後に多環芳香族炭化水素 (PAH) というガンに関与している化学物質の量。被験者のタバコに加えた PAH は体内で変化し、それが DNA に損傷を与える別の化学物質になる。それがガンに関与しているのである。そしてその変化は、わずか15分ないし30分程度で発生することが研究で明らかになった。「これは優れた研究だよ。ヒトの体内におけるPAH、とりわけタバコの煙を吸いこんで吸収されたPAHの代謝を調べた初めての研究だ。おまけに空気汚染や食事といった他の要素が干渉していない。報告されたこの結果は、タバコを吸おうと考えている人たちに対する過酷な警告として扱うべきだろう」と言うのは、米国ミネソタ大学 (University of Minnesota) の Stephen Hecht 教授。

Ash(Action on Smoking and Health) の政策・研究ディレクタ Martin Dockrell氏はこう言う。「喫煙が肺ガンの原因だということを知らない人はほとんどいない。しかしこの研究でゾッとするのは、ガン化の第一段階がきわめて早期に始まることだ。30年なんてものじゃない。調査対象の被験者全員で、タバコを1本吸うと30分以内にガン化の第一段階が始まるのだ。このプロセスはすぐに始まるが、禁煙に遅すぎることはない。早くやめれば、それだけ早く害を減らせるのだ」

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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Third-Hand Smokeに関する記事の索引

"Third -Hand Smoke"に関する記事の索引です。

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Third-Hand Smokeの新たな危険性

(その他の "Third Hand Smoke"関連記事については、こちらの索引をご覧ください。)

2010年12月8日に ACSの"Environmental Science & Technology"誌 に発表された論文 "Thirdhand Smoke: Heterogeneous Oxidation of Nicotine and Secondary Aerosol Formation in the Indoor Environment" の内容が 'Thirdhand Smoke' May Be Bigger Health Hazard Than Previously Believed (15 Jan 2011)' という記事で伝えられています。

それによると、タバコの煙から生成される見えざる残留物で、カーペットや衣類、家具をはじめとするさまざまな物の表面に積もっていく、いわゆる "Third-Hand Smoke"は、これまで考えられてきたよりもはるかに健康に有害かもしれない、

注。三次喫煙などと呼ばれていますが、"... so-called "thirdhand smoke" - the invisible remains of cigarette smoke that ..."という原文からもわかるように、"Third-Hand Smoke"は喫煙という動作を指しているのではなく、「物質」のことです。ですから「三次喫煙」よりは「・・・物質」という方が原意に近いと思われます。たとえば「残留受動喫煙物質」とか。
つまり喫煙者が吐いた煙や、火が消えずにくすぶっているタバコから立ち上る煙に行きあたった非喫煙者にも健康上の危険がおよぶとのことです。

"Third-Hand Smoke"は、健康に及ぼす危険と室内の空気汚染の要因として最近認識されてきたものですが、この研究によると、"Third-Hand Smoke"に含まれるニコチンは室内の空気に含まれるオゾン、および衣類や家具の表面などと反応して別の汚染物質を作り出すことがわかりました。この汚染物質にさらされるのは、カーペットなどの上でハイハイする赤ちゃん、ソファーで居眠りする人、それに"Third-Hand Smoke"で汚染された食べ物を食べる人です。

室内を模したセルロース(木製家具で使われている)や木綿、紙の上でニコチンと室内の空気の相互作用を研究した結果、ニコチンが室内の空気に含まれるオゾンと反応して、毒性を秘めた汚染物質がそれらの表面に形成されました。論文の "Surface Product Analysis" によると、ミオスミン、コチニン、ニコチンNオキシド、βニコチリンが生成されたとのこと。そして、室内を模したこの実験は実際の室内環境としても十分な妥当性があると結んでいます。つまり実験でこのような結果が出たということは、実際の室内環境でも十分起こり得るということのようです。

この論文では、抄録の最後で「毒性を持つ生成物が識別されたこと、そして微粒子が要因となって健康に悪影響を与える場合があることを考えると、"Third-Hand Smoke"は、健康に対する新たなリスクとなるだろう」と結んでいます。

文: fumixie <fumixie@gmail.com>

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2011年1月16日 (日)

「Third Hand Smoke の危険性について(その3)」に追記しました

Third Hand Smoke の危険性について(その3) に追記しました。

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