カテゴリー「エクササイズ&フィジカル・アクティビティ」の記事

2012年9月 6日 (木)

健康的な生活習慣を送れば高齢者でも寿命が延びる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

健康的な生活をすれば長生きできるって誰もが当然と思っているだろう。しかし、エビデンス(証拠)の話になると当たり前の事でも証明されていないことが多く、高齢者でどうなのか分かっていなかったようだ。

喫煙をしている高齢者に禁煙を勧めても、「老い先短いから今さら辞める気はないね」と聞く耳をもってくれないし、超高齢者で症状の訴えが無い人に禁煙を勧めにくい。受動喫煙の弊害を諭すぐらいしか無かった。いつ辞めても禁煙の効果があるなら説得の手段にもなるだろう。

今日紹介している報告をみると、健康的なライフスタイル、定期的な余暇活動、仲間との付き合いがあれば長生きできるという結果だったので、仲間と一緒にランニングをしている低リスク・プロファイルな私は長生きできるんでしょう。

では。

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2012年9月 4日 (火)

水泳は高齢者の血圧を下げる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

全国のLife-LOGファンの皆さん、お久しぶりです。管理者の屋台ブルーです。

いつから記事をアップしなくなったか...

ゲストライターのfumixieさんCtomさんにまかっせきりで、コメントの対応も全くしていませんでした。

皆さん、すみませんm(_ _)m 自分の健康活動ばかりいそしんでいました。ブログ活動の目的が薄れていました。お金のかからない健康生活を啓蒙して医療費削減を目指す活動の一環としてこのブログはあったのです。

無駄なサプリメントを服用しない!外食や加工食品を有り難がらない!しっかり運動する!愚痴を言わない!新しい事始める!仲間や家族と人生を楽しむ!なんて活動を医療面からサポートしてました。

さて、久しぶりの私の記事はエクササイズに関して。私はランニング中毒のランナーなのでランニングに関するエビデンスに目が無いけど、その他のエクササイズに関する報告は知らなかった。

「水泳って高齢者にどうなのよ?」という質問を先日頂いたので、ちょっと調べました。

今日はその報告です。では。

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2012年1月16日 (月)

マラソンで右心室機能不全に陥るかも

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

読者の皆さま、寒中お見舞い申し上げます。新年の挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。今年もよろしくお願い致します。

昨年から私自身のクリニックに変化が始まっており今年も続く予定です。皆さんに報告できる時期がきたらここでもお知らせしますが、当面はブログの定期的な更新を心がけます。

Life-LOG(ライフログ)ではゲストライターとしてfumixieさんとctomさんに記事を投稿していただいていますが私の記事が少なかったので助かりました。この場をかりてお二人に感謝を申し上げます。昨年は本当にありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。実は、昨年から超10プロジェクトの代表の人見さんにも記事投稿をお願いしていたのですが、「地域も学校」というプロジェクトで忙しく、なかなか投稿していただけません。今年は「地域も学校」絡みの内容でもお知らせしていただければと思います。人見さん> よろしくお願いしますね。

さて、その超10プロジェクトですが、私も彼のブログに記事を投稿しています。今年の記事を先日アップしましたが、その内容をここにも掲載します。

では、皆さん、今年も健康生活を邁進しましょう!
2012年1月16日 田井祐爾

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2011年12月11日 (日)

減量じゃない、体力をつければ死亡率は下がる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

ブログのアップが遅くなってしまった。申し訳ない。

さて、今日は久しぶりにエクササイズの話題をとり挙げよう。健康的でいるために食習慣と運動習慣のどちららが大事?なんて話題を目にすることもあるけど、この2つを切り離して論じるのはナンセンスだ。健康を考えれば自明なことで、食事で身体をつくりエクセサイズで機能を高める。この両者は相即不離な関係で成り立っている。

ダイエット希望で私のところに受診される患者さんがいますが、彼らの目的は「減量」である。体重を減らしたいと思っている人は多く、運動をしないで痩せたいと切望している。「減量」はそのまま「健康」に繋がらないことを強調するけど、一般クリニックという性格上、運動療法に力を入れられない。更に報告をみれば運動のみで減量も期待できない。減量を目的にすれば、単独で効果のある食事療法が中心になってしまう。しかし、体重が減っても決して健康になっているとは言えないため私自身は複雑な思いだ。

今日は雑誌Circulationの2011年12月6日の記事、「Long-Term Effects of Changes in Cardiorespiratory Fitness and Body Mass Index on All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality in Men/心肺機能レベルとBMI値の長期的な変化が男性の全死亡と心血管疾患死亡へ与える影響」を紹介しよう。

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2011年7月 8日 (金)

エクササイズなしの食事だけで糖尿病のコントロールは十分?

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

先月の末に米国サンディエゴで開催された第71回米国糖尿病協会年次学術集会/American Diabetes Association (ADA) 71st Scientific Sessionsで発表があった話題を紹介するけど、前置きに、雑誌JAMAで昨年報告された「Effects of Aerobic and Resistance Training on Hemoglobin A1c Levels in Patients With Type 2 Diabetes/2型糖尿病患者におけるエアロビック+レジスタンス・トレーニングのHbA1cへの効果」を紹介しておく。

コントロールグループ(トレーニング無し)、エアロビック・トレーニング単独グループ、レジスタンス・トレーニング単独グループ、もしくはエアロビック+レジスタンス・トレーニングの組み合わせグループに患者を振り分けて、HbA1c(糖尿病のマーカー)の改善度を調べたけれど、エアロビック+レジスタンス・トレーニングの組み合わせ以外は全く効果が無かったという結果になった。

要するに糖尿病のコントロール目的のためにエアロビック・トレーニングもしくはレジスタンス・トレーニングだけするというやり方は効率が悪いどころか無駄だって話だ。どうせ運動をするならエアロビックとレジスタンス・トレーニングを組み合わせる必要がある。

そして今回の話に移るが、2型糖尿病患者に対して食事療法に運動を組み合わせた場合、HbA1cへの影響がどうなったかが発表された。

この発表は、同時に雑誌Lancetにも掲載されたようだ。

この講演は、英国ACTID(Early Activity in Type 2 Diabetes)臨床試験の結果報告だった。初期の2型糖尿病患者 593名を無作為に3つのグループに振り分けている。1つはコントロール・グループとして、従来の治療法、簡単な教育セッションで食事とエクササイズのアドバイスを提供、6ヶ月と12ヶ月目にフォローをしている。2つ目のグループは、食事療法単独ではあるが、かなり詳細な食事指導が含まれていて、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月目の受診時に十分時間をかけた食事指導をしている。そして3つ目のグループは、この食事療法単独グループと同様の食事指導に加えて活動量を増やすことに重点を置いた。今回のケースではウォーキング、1日少なくとも30分間、週に5日間を指導している。モチベーションを維持するための読み物や、万歩計、そして活動記録も取らせた。

臨床試験として、6ヶ月目、12ヶ月目のHbA1cを評価項目にしている。6ヶ月目で、コントロールグループは軽度悪化したが、食事療法単独グループと運動療法を組み合わせたグループは改善していた。しかし、この両者に差は見られなかった。また副次評価項目である体重、インスリン抵抗性、糖尿病薬の量にも変化は無く、1年後の評価でも食事療法単独グループと食事療法+運動療法グループの間に有意差はみられなかった。

最初にとり挙げた雑誌JAMAの報告で言われているようにエアロビックとレジスタンス・トレーニングの組み合わせた運動なら有意差が生まれたかもしれない。

なぜ、運動が効果を示さなかったのか理由を考える場合、運動そのものに焦点を当てるべきじゃないと、この知見を発表したRobert Andrews医師が説明している。腹囲に関連した評価をした場合、腹囲の減少は、中等度の運動の量には相関が見られなかったが、「座っている時間」の短さと関連があったという。まさにこの事から言えることは、中等度の運動をするよりも、座っている時間を減らすことを考えた方がいいといえる。

さらに、可能性として、「トレーディング(取引)」と呼ぶ代償をしているんじゃないかということ。ジムに行って運動をするから甘い物をちょっと食べておこうって話になっているのかもしれない。

理由は何にしろ、予算の事を考えて糖尿病をコントロールするのであれば、治療開始の最初の1年目は運動の指導に力を入れるより食事療法に力を入れる方が賢明だということだ。

糖尿病のコントロールだけでなく、これはダイエットにも言えるんじゃないかな。運動だけでダイエットをしようとするのは間違いだ。体重を落とすために食事療法が最も重要で効果的だ。しかし、これはダイエットを開始した最初だけで、長期的な観点に立てば、運動は必ず必要になる。運動で得られる利点は、今回の評価項目に含まれていなかっただけで、全く無いということではないだろう。

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2011年3月24日 (木)

311 東日本大震災 - 寝たきり、寝ながらできる運動

文:屋台ブルー(ライフログ オーガナイザー)

先日紹介した「 避難所での筋力維持運動(11/03/24に一部修正)」で紹介したけいゆう病院の川村先生から、寝たきりの人でも、寝たままできる運動療法に関する情報をいただいたので紹介します。

運動をするためにスペースは必要ないです。どんな状況でも身体を鍛えて更なる不測の事態に備えてください。

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1) 寝ながらウォーキング
寝ながらウォーキング:そんなことできるか! と思わないで、試してみて下さい。横になって、両手を頭の上に伸ばし、体の筋肉全体を使って伸びをしてみて下さい。この際両方の下肢(脚)はほとんど動かしていませんが、腿にも、脹脛(ふくらはぎ)にも、向こう脛(ずね)の筋肉にも、力が入っているのを感じられますね。この動作を利用するのです。この足に力が入る筋肉の動きを片脚ずつ交互に行うのです。なんとなく歩いている感覚に似ていませんか。この動作は場所がほとんど要らず、筋肉に力を入れる動作に関しては、麻痺があって脚を動かすことが出来ない人でも行うことが出来ます。脚を動かさなくていいのです。脚の筋肉に力を入れぬくだけでよいのです。筋肉の収縮により、血管が一過性に圧迫され、筋肉の弛緩に伴い、血管が拡張するので、下肢の静脈血栓症「エコノミー症候群」の発症予防にもなります。膝がいたくて歩けない人の膝の周りの筋肉強化にもなります。是非行ってみてください。

2) 寝ながら腹筋
お腹に力数秒間力を入れ、その後に力を抜く。この動作を繰り返すだけで腹筋体操になります。
お腹を突き出して、その後にへこます運動でも構いません。
お腹の動きを繰り返して行うと、お腹の周囲の脂肪組織から、脂肪を分解してエネルギー源として利用されるので、お腹周りがスッキリします。私は、通勤時間に歩く間この動作を行うことによって、三ヶ月で臍周りが10cmも減りました。寝ている状態でも出来ます。是非やってみてください。

3) 寝たまま腕立て伏せ
腕を曲げる動作を考えましょう。腕を曲げるための筋肉を収縮させる一方、腕を伸ばす際に使う筋肉は弛緩させ、抵抗がない状態を作っています。この際、腕を伸ばす際に使う筋肉を収縮させ、腕を曲げる筋肉と同じ強さに力を調節すると、腕は動かずに、腕の筋肉を使うことができるのです。体重を支える付加もなく、負荷の程度は自分で自由に変えることができるし、腕の曲げ伸ばしをしなくても、力を入れて抜くことをするだけでよいのです。

4) 寝たまま大胸筋増強運動
両脇に物を挟んだ意識で、上腕を体にくっつけるように力を入れましょう。大胸筋に力が入るのが意識できます。力を入れたり抜いたりするだけで、大胸筋が発達します。

5) 寝たまま握力強化
軽く手を握ります。そして力を入れたり抜いたりします。

これらの動作を、左右同時に行ったり、右と左交互に行ったりして、変化を付けていただくと、結構長時間行うことができます。是非行ってみてください。

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2011年3月20日 (日)

311 東日本大震災 - 避難所での筋力維持運動

文:屋台ブルー (ライフログ オーガナイザー)

昨日に引き続きTFCから情報を提供します。避難場所で持病の悪化を防ぐために運動は必須です。私も日頃から運動の重要性を説いていますが、これは災害に見舞われた時でも同じです。けいゆう病院の川村先生の情報です。

11/03/24:川村先生から依頼があったので一部修正しました。

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TFC所属:けいゆう病院 川村昌嗣

日常生活の中の運動

大胸筋増強トレーニング

脇を締め、背中の肩甲骨の間を狭めるようにして、大胸筋に力を入れます。

力を入れるときに注意して欲しい点があります。決して息を止めて力まないようにするということです。この状態を医学用語で「バルサルバ手技」といいますが、こうすると血圧が上がりやすくなります。特に血圧が高い方は注意して下さい。息を吐きながら、または、ゆっくり呼吸をしながら力を入れるようにしましょう。

立っている時間を有効に使う

(1)利き脚での片脚立ち

普通に立っていても、均等に両方の脚に体重をかけている人は少なく、体重はどちらか片方の脚に偏っています。まず、片脚立ちしてみて下さい。どちらか片方の脚のほうがバランスを取りやすいと思います。その脚が利き脚ということになります。

(2)反対の脚での片脚立ち

利き脚での片脚立ちが簡単にできるようになったら、次は脚を替えてやってみて下さい。普段、利き脚のほうに重心をかけることが多いので、反対の脚で立つと少し不安定になると思います。利き脚と同じぐらいの安定感を保てるようになるまで続けて下さい。

(3)利き脚でのつま先立ち

反対の脚でも安定して立てるようになったら、次は利き脚でつま先立ちをして下さい。つま先立ちをすることで足の裏の地面と接触する部分が極端に減少するので、安定感が悪くなります。この動作は、普段あまり使っていない筋肉の鍛錬になります。バランスを崩して倒れると危険ですので、(2)がしっかりクリアできるようになってからトライして下さい。また、倒れそうになった場合、すぐつかまるものがある場所で行って下さい。

(4)反対の脚でのつま先立ち

(2)と同様、利き脚でないほうの脚でつま先立ちをする場合、バランスがとりにくく、腿、膝、ふくらはぎにかなりの負荷がかかります。つま先で安定して立てるようになれば、ちょっとした段差につまずくなどして多少バランスを崩しても、ぐっとこらえることが出来るようになるため、転倒する危険性が少なくなります。

(5)膝を曲げての片脚立ち

では次に、膝に力を入れて真っ直ぐに立つ場合の片脚立ちをしてみましょう。この片脚立ちは比較的バランスが取りやすいと思います。しかし、膝を曲げてみるとどうでしょう? 膝の回りの筋肉の収縮具合が変化しますので、安定性が悪くなり、バランスをとるために結構いろいろな筋肉を余分に使うことになります。反対の脚でもやってみましょう。

(6) つま先立ちの膝の曲げ伸ばし運動

(1) の状態から、膝を曲げたり伸ばしたりしてみましょう。つま先立ちの状態で、ゆっくり膝の曲げ伸ばしを行います。不安定な体勢をとることになりますので、壁や手すりなどに少し手や指を触れた状態で行うと安心です。また、この動作は膝への負担が大きいので、痛みや違和感を感じたらすぐにやめて下さい。片脚でうまくできない方は両脚で行ってもいいでしょう。その際、片方の脚に体重をかけるようにして立ってみてください。こうすれば体重をかけたほうの脚の筋肉に負荷をかけることができます。片脚立ちをした場合よりもいくぶん負荷は軽くなりますが、それでも十分な運動になります。

ただし、これらの方法は決して無理にやらないで下さい。まず、普通に立っている状態で片脚立ちができるようになるまで練習してから始めて下さい。壁などにつかまりながら片脚立ちをして、体がぐらぐらしない状態で数分間保てるようになってから(1)に進んで下さい。また、何かにつかまっている手に力が入らないと、バランスを崩したときに体を支えられず危険です。バランスが崩れたときに体を支えることができない人はやらないで下さい。

足を床から離さない状態でもできます。どちらか片方の脚に体重のかなりの部分をかけるようにするのです。その姿勢をある程度保てるようになれば、足を床から離してやってみましょう。

膝を痛めている方に向いている運動

座ったままでできる膝の筋力アップ

そこで、座ったままでも膝の筋力アップが可能な方法を紹介します。この運動は、膝が痛くならない程度の力でやって下さい。

椅子に座った状態で、膝の回りの筋肉に力を入れてみて下さい。力を入れる感覚がつかみにくい方は、足を床に押しつけるようにして膝に力を入れて下さい。それも難しいようでしたら、バスタオルを数回折りたたみ二、三センチぐらい(やりやすい厚さで構いません)の厚さにしたものを膝の間に挟み、それを両側から押しつけるように力を入れましょう。そのまま五秒間ほど力を入れた状態を保って下さい。

その際、息を止めると血圧が上昇するので、ゆっくり息を吐きましょう。五秒間がつらければ、三秒ほどでも構いません。

この動作は、病院で診察を待っているとき、電車に座っているとき、自宅でテレビを観ているときなど、椅子に座っている状態であれば、いつでもできます。自宅は全て畳敷きだという方もいらっしゃると思います。その場合、座布団を何枚か重ねた上に座り、試してみて下さい。

エアー・エクササイズ

バーベルを使わずに同じ効果を

エアー・エクササイズと私が名前をつけたトレーニング方法があります。

まず、横になり両腕でバーベルを持ち上げるベンチプレス・トレーニングを想像してみて下さい。ベンチプレス・トレーニングは、かなりの重さのバーベルを持ち上げなければならないため、もし、耐えきれなくなってバーベルを落としたら危ないと思われたことはありませんか? しかしこのトレーニングならば、重りが落ちてくることを心配する必要も、重いものを動かす際、ついやってしまう勢いをつけることもしなくてすみます。しかも、自分で作り上げた負荷ですので、運動を止めると考えた瞬間に負荷をなくしてしまうことができます。つまり、トレーニングに伴う事故の発生の危険はほとんどありません。

どのように行うかというと、まず、実際にバーベルを両手に持っていると仮定してみて下さい。次にバーベルを持っているつもりで、両方の手を上に持ち上げるようにして下さい。この動作は、横になってやられても、座ったままでも、立ったままでもOKです。

握っている手の指の筋肉、腕を伸ばそうとする筋肉、さらに大胸筋にもかなりの力が入ることが実感できると思います。

実はこのとき、手を曲げるときに利用する筋肉も収縮させて、想像で作り出したバーベルの重さ分の負荷を作っているのです。この動作を繰り返すことで、実際にバーベルを持ち上げるときには使わない筋肉も同時に鍛えることができます。

バーベルをはじめ器具を使ったトレーニングの場合、その器具の働きによって動く方向が決まっていますので、一定方向に動かすことでしか筋肉を鍛えることができません。しかし、このエアー・エクササイズでは、自分の意識次第で、体のあちこちの筋肉をいろいろな方向へ動かすことができます。負荷の程度も自由に変化させることができ、負荷のかけ方も自分なりに調節することができます。ぜひ試してみて下さい。

腕をはじめ、脚や腹筋、背筋など、さまざまな筋肉を、自由にしかも好きなときに好きなだけトレーニングできます。

ここでも気をつけていただきたいのは、筋肉に力を入れているときに決して息を止めないということです。息を止めると血圧が上昇してしまいますし、筋肉へ運ばなければいけない酸素が減少してしまいます。

短時間のトレーニングであれば、ゆっくり息を吐きながら力を入れて下さい。ある程度以上持続して行う場合には、まずゆっくり息を口から吐いて、その次に可能であれば鼻から息を吸うようにして、ゆっくり呼吸をして下さい。鼻炎などがひどくて鼻呼吸が困難な方は、もちろん口からで構いません。苦しくならない程度の時間で行って下さい。

その際、脈が遅めの方は、力を入れ過ぎないよう気をつけて下さい。力を入れ過ぎると胸腔内圧が上昇し、脈が一時的にかなり遅くなってしまうので注意しましょう。

このエアー・エクササイズは、どの筋肉にも応用できます。ご自身が鍛えたいと思っている筋肉(主運動筋)と、その筋肉に拮抗する筋肉(拮抗筋)両方に力を入れれば、いつでもどこでも自由にでき、負荷のかけ方や時間も調節可能です。いろいろと工夫してやってみて下さい。

拮抗筋を意識的に使って鍛える運動

筋肉が動くことを意識する

拮抗筋を利用する方法において、徐々に筋肉に込める力を強くしていき、力を入れる持続時間を長くすれば、かなりの筋力低下を予防でき、筋力アップも可能です。

筋力が低下した方は、自分の体重を支えることすら困難ですので、そこに余分な負荷をかけて運動することなど至難の業です。そのため、ついついリハビリを避けるようになりますが、体を動かさないでいるとますます筋力が低下し、ついには寝たきりの状態へと移行してしまう危険があります。

(1)脚を曲げながら椅子に座る

椅子に座るとき、普段、私たちは脚の筋肉の力を抜き、体が下に落ちる力、つまり重力を利用して座っています。ではこの動作を行う際に、ゆっくり脚を曲げながら腰を落として座ってみて下さい。途中からかなり辛くなってきませんか? 

ゆっくり動くと、その時間の分だけ脚で体重を支えていなければならず、かなりの筋肉を使うことになります。ゆっくり座るこの動作では、脚の筋肉のほとんど全てを使って体重を支えているのです。筋力が衰えて不安定な方は、脚にかかる負荷を意識して、手で補助をして負荷を軽減しながら、ゆっくり膝を曲げて座りましょう。

(2)腕を曲げる

今度は腕を曲げてみましょう。特に力は必要ありません。ここでは腕を曲げるときに使う筋肉だけが収縮し、腕を伸ばすときに使う筋肉は弛緩していています。できるだけ効率的に体を動かすために、収縮させている筋肉に拮抗する筋肉は弛緩させているのです。

では。次に腕を曲げる際に拮抗する(腕を伸ばす際に使う)筋肉も収縮させてみましょう。前に伸ばした腕に力を入れて、その腕を内側に曲げ、力こぶをつくってみて下さい。このとき、腕全体に力が入っていますので、曲げる筋肉も伸ばす筋肉も収縮しています。次に力を入れたまま、腕を少しずつ伸ばしていきましょう。腕にかなり力が入りますので、運動した気分になりませんか?

先ほど、力をいれずに腕の曲げ伸ばしをしていた際と比べてみて下さい。同じ動作でありながら、拮抗筋にも力を入れて曲げ伸ばしをすると、かなり腕が疲れますよね。つまり消費カロリーはかなり増加しているということになります。

(3)寒さ対策

立っている姿勢で両手を握りしめ、大胸筋、腹筋、両脚など全身の筋肉に力を入れてみて下さい。なんとなく温まってきませんか? 夏なら暑くなってきます。

寒いときには震えますね。これは全身の筋肉を収縮させることにより、熱をつくっているのです。よく、手をこすり合わせている方がいますが、外気温が極端に低いと、こすり合わせてつくった熱よりも、寒い空気に新たに触れることによって失う熱のほうが多く、かえって冷えてしまうこともあります。しかし、全身の筋肉に力を入れれば、効果的に熱を作り出せます。体を動かさずに、筋肉に力を入れたり抜いたりすることにより、筋肉で熱を作ることが出来、体を動かさないので、体を動かして熱を作ったときよりも熱が周囲に逃げにくくなります。

ただし、力を入れるときは、息を止めないでゆっくり吐いたり、ゆっくり呼吸を続けて行って下さい。

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2010年3月 6日 (土)

エクサゲームで高齢者のうつ病改善?という記事


ScienceDaily.com (2010年2月28日) の "Video Games May Help Combat Depression in Older Adults" によると、ある種のテレビゲームで高齢者のうつが解消するのだそうだ。まさに物は使いようということか。



クサゲーム (exergame) とは「エクササイズ」+「ゲーム」の合成語。つまり運動とゲームを組み合わせたエンタメ系テレビゲームのこと。



カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部では、このエクサゲームを活用して亜症候群性うつ (SSD) という病気の症状を改善する新手法を提案している。予備研究では、SSD にかかっている高齢者にエクサゲームをしてもらったところ、気分と精神衛生面での生活の質が著しく改善したそうだ。



の記事の説明によると、SSD というのは、高齢者に多く見られるうつよりもずっと一般的で、辛さも相当で、体も利かなくなり、費用がかさむ医療を利用することが多くなる。うつは体を動かせば改善できるのだが、体を動かした方がいいと勧められる高齢者は5パーセントに満たないのだそうだ。



の研究を率いたカリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の精神科と神経科学の教授 Dilip V. Jeste, MD の話では、「うつになると体を動かさなくなるものだが、ほとんどの運動プログラムにとっては、これが大きな障害になる。うつ病の高齢者にとって特に危ないのは、体を動かすことが楽しみではなくなることだ。だから中途で運動プログラムを辞める場合が多い」とのこと。



、この教授らのチームがどういう調査をしたかというと、63歳から94歳までの SSD 患者19名に、任天堂 Wii のテレビゲームを週3回やってもらった。最初にちょっとした指示を与えてから、テニス、ボーリング、野球、ゴルフ、ボクシングという5種類の任天堂 Wii のスポーツゲームから、自分でやるゲームを一つ選んでもらった。被験者は「Wiiリモコン」という動きを感知するワイアレスの装置を使い、腕や体を動かして、実際のスポーツと同じように、たとえばテニスラケットのように Wii リモートを振るなどの動作をした。



の教授の話によると、研究の開始当初は、被験者らはエクサゲームの進め方やゲームを楽しむうえで必要な技術面にかなり神経質になっていたのだが、研究も終わりにさしかかるころには、テレビゲームのやり方が分かり、プレイすることに満足を覚え楽しんでいる、とほとんどの被験者が報告していたのだそうだ。



の方法なら、やる人は大いに満足するし楽しいし、頑張ろうという気持ちになれる、それに体をあまり動かさずにすむなど、さまざまなメリットがあるようだ。



の結果はけっこう有望らしく、うつの症状が50パーセント以上減少した被験者は三分の一を越えたし、精神衛生面で生活の質が著しく改善しているし、認知機能に対する刺激が以前より増えているのだそうだ。この調査の被験者は皆、エクサゲームは楽しいし、うまくなろうというやりがいを感じていたとのこと。



だし、この研究はもっと大規模なサンプルで再調査する必要がある点と、エクサゲームは怪我をする可能性があるから充分注意して行う必要がある点を、この教授は強調していた。



まり、あまり体を動かす必要も無いから手軽に始められるし、始めればハマって上達したいと感じ始める。そうすれば頑張る気持ちも湧いてくるし、やりがいも出てくる。これがうつの症状に良い効果をもたらす。という筋書きのようである。テレビゲームのボーリングくらいだったら座っていてもできそうな気がするなあ。もし本当に座っていてもできるんだったら、車椅子を使っている人でもできるってことか。



段は実売価格で17000円から23000円の間といったところだが、これはたぶん本体価格だろう。ソフトはピンキリで、大雑把に5000円前後か...な?。Wiiリモコンは本体に1個付属しているようだ。ということは 30000円出せばエクサゲームのメリットが享受できるってことか。30000円でうつ解消は高いか安いか???



れは一人でやるよりもグループでやった方が楽しみも増すんだろうから、老人ホームやデイサービスの施設ならウケそうな気がするなあ。



文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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2009年2月 4日 (水)

エクササイズ&フィジカル・アクティビティ:チャプター2 - 高齢者のエクササイズガイド

ランニングをしていると、身体の調子はよく、食事も美味しくなる。考え方もポジティブになれて、肉体と精神にいい影響を与えるから、止められない

これはランニングに限った話じゃない。何であれ、運動をしていると、同じような恩恵を受けられるだろう。本当に、運動のできる環境と身体を持っている事に感謝する毎日だ。

これほど得する話は黙って、自分だけ恩恵を享受するのもいいけど、それじゃ社会のためにならない。より健康的な社会になれば生産性は上がり、社会は良くなる。そうなると、結局、自分に及ぶわけで、教えるのが惜しい情報だけど、皆さんに運動のすばらしさを説明してるんですよ(笑)

せっかく運動のすばらしさを話しているのに、大方の人は、数々の理由を並べて、運動をしない。自分の中で言い訳を持っている人は、回りが何を言っても無駄だろう。

「仕事が忙しくて運動なんてできません。」「毎日続ける強い意志が無いんです。」といったネガティブな理由を並べていません?

ネガティブな理由を並べれば並べるほど、実現不可能な行動になるだろう。打破する方法はあるよ。どうしたらいいか自分で考えることから始めよう。

さて、エクササイズ&フィジカル・アクティビティの続きだ。今日はチャプター2の紹介。

イントロダクション
チャプター1:ゲット・レディ(準備)
チャプター2:ゲット・セット(用意)
チャプター3:ゴー!(開始)
チャプター4:サンプル・エクササイズ
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 持久力
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 筋力
チャプター4:サンプル・エクササイズ - バランス
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 柔軟性
チャプター5:どのようにする?
チャプター6:健康的に食べる
チャプター7:続ける
チャプター7:FAQ 20

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2009年1月30日 (金)

エクセサイズ&フィジカル・アクティビティ:チャプター1 - 高齢者のエクササイズガイド

昨日から引き続いて、国立老化研究所から公開されている高齢者エクササイズガイドの続きだ。ブログで紹介しているニュース記事の中に、この情報を埋もれさせたくないので、カテゴリーを作った。

皆さん、知っているように、私はメディカル&ライフサイエンスの専門家であり、英語力もプロ級(^_-)なんだけど、片手間に訳しているので翻訳文の校正はほとんどしていない。内容は吟味してるから間違いないと思うけど、妙な日本語になっているところは指摘して下さい。当然、内容の間違いも突っ込んでよ。

高齢者のエクササイズガイドと言いながら、若者も読むといいだろう。運動をしないで、元気な高齢者になれると思わないように。

イントロダクション
チャプター1:ゲット・レディ(準備)
チャプター2:ゲット・セット(用意)
チャプター3:ゴー!(開始)
チャプター4:サンプル・エクササイズ
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 持久力
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 筋力
チャプター4:サンプル・エクササイズ - バランス
チャプター4:サンプル・エクササイズ - 柔軟性
チャプター5:どのようにする?
チャプター6:健康的に食べる
チャプター7:続ける
チャプター7:FAQ 20

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