「地域も学校」のいま
文:人見訓嘉 <info@coneri.co.jp>
久しぶりの寄稿です。香川県の健康運動「めざせ、超10!」を主宰している人見訓嘉です。わたしたちは、高齢者の生きがいを軸に、健康で長生きできる社会をめざそうとしています。その一つの取り組みが「地域も学校」です。カンタンに言うと、子どもが地域のお年寄りと学習することを通して、地域における自分の生き方を考える取り組みです。子どもには、地域(の人)に育まれたという意識が定着することで地域づくりの核が形成される。お年寄りは、子どもの成長にかかわることを生きがいとして継続的な取り組みができる。双方にこういう良さがありますが、問題は、この取り組みに参加したいというお年寄りが集まらないことです。現在、香川県高松市の太田南地区と太田地区で開催していますが、いずれもかかわっていただいている高齢者は10人程度です。
このプログラムを監修いただいている前田寛文さん(高松市教育会常任理事)は、こう示唆されました。「考えてみてください。高齢者の興味のあることって何だと思いますか」。そうです! おそらくこのコラムをお読みいただいているあなたも同じだと思います。それはまず、自分のこと。それから子どものこと。孫のこと。自分のことには、旅行も趣味も、健康も食も含まれます。「それが、『地域の子ども』だという答は、おそらく最後なんです」。それを聞いて、実はわたしもハッとしました。確かに、地域の子どもを気遣うというのは、自分や肉親の後にくるものです。
だからこそ、いまかかわってくださっている高齢者の方は、非常に奇特であり、有り難い。しかし、それが奇特であれば、地域は存立の危機です。「地域も学校」はそこに警笛を鳴らす役割でもあります。隣近所ならいざしらず、学校区単位で地域をとらえた時、地域の子どもを気にかけることが、果たして自分にできるだろうか、と思いました。しかし、「地域も学校」に来ている子どもたちは、できるのではないか、と考えました。少なからず地域の人に育くまれたという意識の芽生えが、それを可能にするのだと思うからです。息の長い取り組みです。ろうそくの灯火が消えないように、大切に大切に続けていきたいと思います。
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