オメガ3系サプリメント、赤ちゃんの脳の発達に影響しない?
文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>
ライフログで取りあげたオメガ3系脂肪酸に関する話題
オメガ3系サプリメント、赤ちゃんの脳の発達に影響しない?(13/03/29)
オメガ3系脂肪酸に関する私的話題(13/03/28)
Flaxseed vs Fish: 植物性オメガ3か魚類オメガ3(12/07/24)
魚と卒中(12/09/25)
オメガ3系で歯肉疾患の予防(10/12/30)
子供の脳の発達にかかわる必須脂肪酸 - オメガ3(10/11/13)
魚油は10代少年のうつ病を緩和させるかも - オメガ3(10/08/18)
食事の変化で高齢者のコレステロール値改善 - オメガ3(10/02/22)
魚油は統合失調症の予防になるか? - オメガ3(10/02/03)
魚油は細胞の老化を防ぐ - オメガ3(10/01/23)
オメガ3系脂肪酸は加齢性の失明を避けるかも(09/12/28)
食事中の脂肪酸は潰瘍性大腸炎のリスクになる - オメガ3(09/12/04)
魚を食べても心不全の予防にならないかも - オメガ3(09/10/17)
オメガ3系、研究によると、アルツハイマーに効果なし(09/07/14)
オメガ3系脂肪酸は黄斑変性の進行を抑えるかも(09/06/11)
不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?(09/04/15)
オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
女の子は男の子より2倍重要なオメガ3系(08/06/30)
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)
サプリメント反対!という立場ながら実はこっそり服用していることを昨日ぶっちゃけた屋台ブルーです(^_^;) 色々服用している中の1つがEPA・DHA、そうオメガ3系脂肪酸なんです。
オメガ3系脂肪酸が脳の発達に重要な役割を担っているという報告は以前からある。ヒトの脳や眼にEPA・DHAの含有量は多く胎児の脳の健全な発達に不可欠な存在だ。妊娠時期に胎児が必要なDHAは、母親に蓄えられている脂肪組織や母親が摂取する食品から得ていることになる。←DHAは必須脂肪酸なんでね。
魚の食べる量が多い母親から生まれた赤ちゃんは、生後1月目の神経機能や運動能力の発達が優れていいたというデンマークの疫学調査から、妊娠時期の母親にオメガ3系脂肪酸サプリメントを服用させると胎児の脳の発達に好影響を与えるんじゃないかと期待がもたれていた。
今年1月30日にオーストラリアの研究チームが雑誌The American Journal of Clinical Nutritionに寄せたレニュー記事によると、オメガ3系脂肪酸サプリメントを服用しても子供の脳神経や視神経の機能に何ら好影響も悪影響も及ぼしていないという。
11の臨床試験、被験者総数は5,272名の妊婦が無作為にオメガ3系脂肪酸サプリメント群と偽薬群の2群に割りふられて評価されている。
オメガ3系脂肪酸の含有量は240mgから3,300mg/日、脳神経と視神経の機能評価時期は新生児から7歳までと幅広かった。
著者の説明をみると、栄養学的な臨床研究で期待される結果は僅かなため(薬剤のように強力な効果が期待できないから)、サプリメント群と偽薬群の差は微妙になるので、妊娠合併症を除外していくと、有意差を導き出すには被験者数が少なすぎていて、子供の発達をみるにも追跡期間も短すぎらしい。
前述したデンマークの疫学調査の結果も解釈に注意が必要だ。魚をより多く食べる母親は、どちらかと言えば高学歴で裕福な場合が多く、こういう因子も子供の発達に重要だからだ。
2011年9月29日にロイターヘルスで報告された別の研究報告でも、妊娠中に母親が魚油を摂っても子供のIQ値も視神経機能の改善は見られなかったものがある。
まだ妊娠時期のDHAサプリメントがいいのか悪いのか結論を下すのには早すぎるだろう。ポジティブに見れば、オメガ3系脂肪酸サプリメントを服用しても悪影響はなさそうだということだ。
実際、欧米では科学的エビデンスに基づいて、DHAサプリメントが妊婦に勧められている訳ではない。大きなお金の動くサプリメント市場、政府を含め業界団体が、何かしらポジティブなデータを待ち望んでいているのだろう… やっぱりサプリメントは怖いな(^_^;)
次はポジティブな報告を紹介していこう。
First published January 30, 2013, doi: 10.3945/ajcn.112.045781 Am J Clin Nutr March 2013 ajcn.045781
| 固定リンク
| コメント (7)
| トラックバック (0)
最近のコメント