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2012年11月 6日 (火)

脳の老化を防ぐにはパズルよりも運動が吉?

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

2012年10月22日付けで ウォールストリート・ジャーナル に掲載された "Exercise Might Beat Puzzles For Protecting the Aging Brain"(脳の老化を防ぐにはパズルよりも運動かも) という記事は、

「老化による認知機能の低下を食い止めるなら、クロスワードパズルはやめて、戸外で早歩きをしたり自転車に乗る方がいい」
という言葉で始まっています。

この記事の元ネタは、2012年10月 ニューロロジー誌 に発表された "Neuroprotective lifestyles and the aging brain Activity, atrophy, and white matter integrity" という論文のようです。

それによると、1936年生まれの700名近い人たちに、身体活動の程度を「必要な家事雑用をする程度」から「週に数回きつい運動や競技スポーツをしている」まで、6段階で自己評価してもらったうえで、MRIを受けてもらったところ、

  • よく体を動かしている人には、運動量が少ない人に比べて、脳の委縮をはじめとする脳機能の低下の徴候が少なかった。
  • 人付き合いや頭を使う活動(親戚や友人との交流、読書、知性を刺激するゲーム、外国語の学習など)は、脳の老化徴候の防止とはほとんど無関係だった。
ということがわかったそうです。

脳は歳を重ねるにつれて委縮するものだそうですが、この記事によると、「身体活動レベルが上昇すると、身体器官の委縮や脳障害が減った一方で、余暇の活動と脳の健康には関連が見出せなかった」ということなんですね。

その一方で、この論文 の Conclusions では、「この研究では、身体活動と身体器官の委縮および白質病変(white matter lesion)には関係があった」と述べたうえで、"however, the direction of causation is unclear from this observational study."(しかし、この観察研究からは、どちらが「因」でどちらが「果」かははっきりしない)と言っています。

つまり、よく体を動かすから脳が健康になるのか、認知機能が低下するから運動できなくなるのかどうかはわからないということです。

とはいえ、ある意味ちょっと衝撃的かもしれません。

「たくさん運動するほど脳は健康になるんだよ」というのが、英国スコットランド、エディンバラ大学(Univrsity of Edinburgh)のシニア・リサーチフェローでこの研究を行った一人アラン・ガウ博士(Dr. Alan Gow)の見解のようです。

なんとなれば、運動すれば血の巡りがよくなるので、酸素やブドウ糖をはじめ、脳に必要な物質をたくさん運べるようになるからだ、とこの記事では述べています。


ただし、米国 Cleveland Clinic Schey Center for Cognitive Neuroimaging のスティーブン・ラオ博士(Dr. Stephen Rao)は、この研究で着目している運動などの活動が人生全般にわたるものではなく、ある一時期のものだという点を指摘しています。

う~ん、運動かあ ... というか「運動」より「身体活動」と表現した方が気が楽かな

パズルや読書もいいけど、体もっと動かそうよということなんですね。

あのスーパーマーケットくらいなら歩いて買い物に行けばいいということかな...

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コメント

頭を使う活動が無関係ということは、脳トレも。。。。ショックです。。。笑
でもこれは色々な理論が覆されそうな研究ですね。とても興味深いです。

投稿: @K | 2012年11月 6日 (火) 17時45分

@Kさん、コメントありがとうございます。

ショックなんですよね、この記事。

でもわたしとしては、被験者だった700名弱の人たちではそうだったんだ、と自己チュー的に解釈しようかな、と思ってます(笑)

体「も」動かしましょうね、という勧告だと思うことにします。

投稿: fumixie | 2012年11月 6日 (火) 18時23分

マラソンのレース中に、このペースだと…これくらいのタイムになるっ!…とか色々考えることを思い出しました。運動中って以外に頭を使ってるんですよね。

投稿: kirichan | 2012年11月 7日 (水) 17時47分

kirichanさん、コメントありがとうございます。

たしかに、テニスやってるときも、相手の弱点を見つけようとしたり、今度はバックサイドにサーブを入れようとか考えてますよね。

投稿: fumixie | 2012年11月 8日 (木) 09時34分

屋台ブルーさんの地元の高松では近所のスーパーにさえ車で出かける方をよく見かけます。そういう私もそのたちですが・・・。この記事を読んでこれからは少しの距離なら歩くように心がけたいと思いました。この研究は現代の車社会に対する警鐘のような気が致しました。

投稿: yasupon | 2012年11月 9日 (金) 16時05分

大変ショックな記事です。私の両親には頭を使うため、孫とトランプやパズルを一緒にさせているのに…
服薬状況には差がなかったのでしょうか?以前、LancetにCa拮抗剤で痴呆を予防するという記事がありましたが…

投稿: sakichan | 2012年11月 9日 (金) 18時08分

yasuponさん、コメントありがとうございます。

行き先が近くなら、わたしも歩くようにしたいと思います。

投稿: fumixie | 2012年11月 9日 (金) 18時14分

sakichanさん、コメントありがとうございます。

わたしの母も、「頭のために」といいながら漢字のパズルに夢中です。

論文の抄録だけでは詳細は不明ですが、研究の結果は結果として尊重するとして、一方で個人的には、この700名近い方々に関してはそうだったのだと解釈し、もっと体を動かすこと「も」役に立つのだと考えようと思います。

投稿: fumixie | 2012年11月 9日 (金) 18時21分

最近、運動というと月に1度くらいしかしなくなってしまいました。仕事は営業なのである程度頭を使って外回りで体を動かしているつもりになってしまいますが、全然だめですね。エスカレーターとかすぐ使っちゃいますがまずは階段を上るとかからやっていかないといけないと思いました。

投稿: はるうらら | 2012年11月12日 (月) 17時41分

はるうららさん、コメントありがとうございます。

でも、外回りということは、それだけでも、すでに体を動かしているのでは?

「運動」というより「体を動かす」と考えれば、少しは気が楽になるかもしれませんね。

投稿: fumixie | 2012年11月13日 (火) 00時23分

私も脳の老化には手と脳を使うのがいいと思って、母親に塗り絵セットを送ったりしてました。運動することは、脳の色々なところを刺激するというか、脳がきちんと働かないと運動は出来ないということなんでしょうか。

投稿: ドキンチャン | 2012年11月13日 (火) 10時49分

ドキンチャンさん、コメントありがとうございます。

というか、脳が健康になる方法にはいくつかあって、「運動」もその一つだということではないでしょうか。私は、そう理解したいと思っています。

投稿: fumixie | 2012年11月13日 (火) 11時24分

興味深く読ませていただきました。
運動が頭に良いことはなんとなく分かっていましたが、脳の健康に良いと思っていたことがあまり意味がないとは…でも食事と一緒で、バランス良く食べる…ように、バランス良く運動も交えながら、若々しく生きる事が大事なんだな~と解釈しました

投稿: mills | 2012年11月14日 (水) 09時09分

匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。

投稿: モンクレール通販 | 2012年11月14日 (水) 19時59分

millsさん、コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりですね。運動「が」効くのではなく、運動「も」効くのだと考えて、バランス良く取り入れればいいと思います。

投稿: fumixie | 2012年11月14日 (水) 23時14分

毎日の犬の散歩と週1のテニスをもう10.年もしていますが、少しは脳に良いのでしょうか?

投稿: アグリ | 2012年11月15日 (木) 17時14分

アグリさん、コメントありがとうございます。

犬の散歩とテニスを10年続けていらっしゃるとのこと、素晴らしいですね。まさに「継続は力なり」。あとは、ご自身が(脳の健康も含めて)体調をどう感じていらっしゃるか、そして健康診断などの客観的な情報を併せて考えてみるといいのではないでしょうか。

私の母を担当しているケアマネージャはよく、「物忘れがあるということを自分でわかっている(意識している)うちは、まったく大丈夫ですよ」と母に言ってますが、それを耳にするたびに、うん、たしかにそのとおりだよなあ、と思っています。

投稿: fumixie | 2012年11月15日 (木) 23時28分

脳の刺激には、運動ですか。「頭を使う」という言葉を誤解してましたね。本日も、勉強になりました。

投稿: tommy | 2012年11月21日 (水) 17時21分

tommyさん、コメントありがとうございます。

運動も脳トレーニングもバランス良く取り入れて、なるべく長い間「介護する側」でいたいものです。

投稿: fumixie | 2012年11月21日 (水) 23時59分

生涯運動することはとても大切なことなんですね。頭の老化防止にも良いとわかり、なおさら運動することの価値が上がりました。この話がもっと普及し身体活動の見直しが実践されれば、国レベルで介護負担軽減につながりそうですね。

投稿: penny | 2012年12月12日 (水) 15時18分

pennyさん、コメントありがとうございます。

日頃のちょっとしたことを「継続していく」ことで、なるべく長い間介護する側でいるよう、私も努力していきます。

投稿: fumixie | 2012年12月12日 (水) 23時22分

膝がいたいから太るのか
太るから膝が痛くなるのか…?というCMを思い出しました。

動けるうちは健康な体に感謝しながら、体を動かし、いろんなものを見て、いろんなことを感じられるようにしたいです。
それが脳にもいいならうれしいことです。

投稿: neco | 2013年1月24日 (木) 15時35分

necoさん、コメントありがとうございます。

「動けるうちは健康な体に感謝しながら、体を動かし、いろんなものを見て、いろんなことを感じられるようにしたい」

このお言葉を、わたしも心に刻んでおきます。

投稿: fumixie | 2013年1月24日 (木) 18時15分

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