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2012年9月 6日 (木)

健康的な生活習慣を送れば高齢者でも寿命が延びる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

健康的な生活をすれば長生きできるって誰もが当然と思っているだろう。しかし、エビデンス(証拠)の話になると当たり前の事でも証明されていないことが多く、高齢者でどうなのか分かっていなかったようだ。

喫煙をしている高齢者に禁煙を勧めても、「老い先短いから今さら辞める気はないね」と聞く耳をもってくれないし、超高齢者で症状の訴えが無い人に禁煙を勧めにくい。受動喫煙の弊害を諭すぐらいしか無かった。いつ辞めても禁煙の効果があるなら説得の手段にもなるだろう。

今日紹介している報告をみると、健康的なライフスタイル、定期的な余暇活動、仲間との付き合いがあれば長生きできるという結果だったので、仲間と一緒にランニングをしている低リスク・プロファイルな私は長生きできるんでしょう。

では。

2012年9月4日 - 健康的な生活習慣を送れば高齢者であっても寿命が延びるという報告が、雑誌British Medical Journal8月30日号に掲載された人口ベースのコホート研究で示された。

スエーデン、ストックホルム大学、カロリンスキー研究所、保健科学協会、神経細胞学、加齢研究所の博士課程の学生、Debora Rizzuto女史によると、「ライフスタイル、社会的な繋がり、そして余暇活動に関して、それぞれ個別に、寿命との関わりを調べた研究が今までにいくつか報告されていて、他の研究ではこれらの要因が相互に関わる事が当然のように捉えて寿命との関連性が評価されていた。数々の因子の組み合わせと寿命の関連性を調べた研究は実は少ない。今までに85歳以上の超高齢者を含んでいる研究報告の中で、追跡期間が10年を超えるものは4つしかない。」

75歳以上の高齢者であっても生活環境を変化させることが寿命に関連するかどうか調べる事がこの研究の目的で、ストックホルムのKungsholmenプロジェクトに登録されてい1810名の高齢者を対象に前向きコホート研究を行っている。1987年から2005年の生体記録を基に、18年間の追跡期間中の死亡年齢の中央値を評価している。

この追跡期間中にほとんどの被験者が亡くなった(1661名; 91.8%)。半分の被験者は90歳以上長生きしていた。喫煙者は非喫煙者に比べて死亡年齢が1.0歳若かった(95% confidence interval [CI], 0.0 - 1.9年)。しかし、禁煙者(以前に喫煙)の生存率と非喫煙者(一度も吸ったことがない)は同等だったことから、中高年になって禁煙することで、喫煙による死亡率を低減させる効果が示されている。

身体活動、例えば、定期的に水泳、ウォーキング、または体操をするなど、余暇活動と長寿には強い相関がある。これらの余暇活動を定期的にしている被験者の死亡年齢の中央値は、していない者に比べて2.0年延びていた(95% CI, 0.7 - 3.3年)。

研究者は、健康的なライフスタイル、1つ以上の余暇活動、そして濃密か中等度の社会的な結びつきを持っていると低リスク・プロファイルとして定義し、不健康なライフスタイル、娯楽活動を全くしていない、そして社会的な結びつきも無いと高リスク・プロファイルと定義した。高リスク・プロファイルの被験者に比べると、低リスク・プロファイルの者の生存年数の中央値は5.4年延びていた。

85歳以上の超高齢者を対象としたサブ解析や慢性疾患を持っている参加者においても、低リスク・プロファイルの被験者は、高リスク・プロファイルの者に比べると死亡年齢の中央値は4年延びていた。

生存率を上昇させる因子は、性別が女性であることと高学歴ということだった。

「たとえ75歳以上になっても、喫煙を止め、身体的活動を続けるライフスタイルを送れば長生きできる可能性はある」と著者は説明する。「低リスク・プロファイルであれば、女性なら5歳、男性なら6歳長生きできる。しかし、85歳を超えて、慢性疾患に罹患すると、この効果は減弱していく。」

この研究の限界点はあり、適者生存、アルコール摂取に関する情報の歪曲、試験開始時のみの評価、食事の質評価や生活の質評価の欠落などがある。

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コメント

なるほど。歳をとってからでも遅くないということですね!
でも慢性疾患にかからんしようにするには今からの努力が必要なんでしょうね。
歳をとってもそれだけしてまで長生きしたいと思えるような人生にしたいものです☆

投稿: @K | 2012年9月 7日 (金) 12時35分

年をとってからでも、行いによって健康に生きれる期間に差が出るんですね。最近運動の習慣がついてきた自分にとってはトレーニングを継続する理由付けになる話です!メタボと慢性疾患に無縁の老人を目指したいですね。

投稿: タケノコ | 2012年9月 7日 (金) 17時44分

@Kさん、タケノコさん、コメントありがとうございます。

当然若いうちからライフスタイルの改善が重要です。カナダ、モントリオールで先月末に開催された Union for International Cancer Control (UICC) World Cancer Congress 2012でも、ライフスタイルの改善をすることで一般的な癌を50%予防することができ、15〜20年寿命を延ばすという報告がありました。私のブログを読んでいる人で喫煙者はいないと思うけど、ライフスタイル改善で最も重要なのは禁煙です。

投稿: 屋台ブルー | 2012年9月 8日 (土) 06時52分

私は喫煙者ではありませんが、ライフスタイルの改善を実行しなければならないと痛感しております。40台半ばにして足、膝にトラブルが発生し、一時仕事が出来ない状況に陥りました。なんとか仕事に復帰しましたが、不規則な生活習慣の改善とウエイトオーバーの是正、待ったなしです。反省。

投稿: 6000344 | 2012年9月11日 (火) 09時25分

6000344さん、コメントありがとう。
中年期にさしかかり身体が悲鳴をあげる事はよくあります。素直に身体の訴えを聞き入れて負担をとってあげましょう。無視して無理を続けると...

投稿: 屋台ブルー | 2012年9月11日 (火) 13時05分

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