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2012年9月18日 (火)

痛み止めの服用が女性の難聴と関係あり!?

<文:Ctom>


長らく間が空いてしまいました。
今年は全然書いていない感じがしているのですが、なんだかすごく忙しい状況です。もっとアップしたいのですが、年内頑張っていきたいです。


さて、今日は先日Medical News Todayで興味のある記事が出ていましたので紹介します。
Pain Drugs Can Cause Hearing Loss in Women 13 SEP 2012 です。

タイトルの通り、鎮痛剤が女性において難聴の原因になりうる。というものですが、鎮痛剤の服用は以前にもまして増加傾向にあるのは周知の事実でしょう。特に、月経前症候群や月経痛がひどい子供たちも増加しており、鎮痛剤の服用は普通なことだと感じている人も少なくはないでしょう。


そんな方々にとって、今回の記事は少しショッキングな内容ですね。
あるいは、ひどい痛みに悩まされ、鎮痛剤頼りになっている状態であるならば、その痛みを解決するために何か他の対策も必要かもしれません。


実際、僕のオフィスに訪れる方々も多く鎮痛剤を服用しています。服用していないと耐えられないというのが理由ですが、改善した後にも「痛みの予防のために服用する」というのは実際にはナンセンスなことかもしれません。


では、そんなに長い記事ではないので、さっくりと見ていきましょう。


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Pain Drugs Can Cause Hearing Loss In Women


鎮痛剤は一時的に疼痛を止めますが、これらの使用は時に女性の聴覚低下につながる原因因子の一つとなりますので、怖い面もあります。


鎮痛剤は様々な問題の治療として用いられていますが、アメリカにおいてはもっとも一般的な薬剤として使用されているものです。鎮痛剤は末梢神経系と中枢神経系とターゲットに作用します。鎮痛剤にはアセトアミノフェン(パラセタモル)、NSAIDsなどのサリチル酸誘導体系やオピオイド(モルヒネ用物質)のようにモルヒネやアヘンを含む物質が含まれています。

Brighamと女性病院(BWH)、American Journal of Epidemiologyから発行された研究では、イブプロフェンもしくはアセトアミノフェン(パラセタモル)を一週間に2回以上使うことで聴覚が低下してしまう危険性が高くなると言及しています。


女性においては頻繁にこれらの鎮痛剤を使うことで、聴覚を大幅に損なう状態になる危険性が高いです。さらに、この鎮痛薬と聴覚の損失の関係は50歳以下の女性において多くみられ、イブプロフェンを一週間に6回以上服用する女性でさらに悪くなります。


この研究者たちは注意点としてアスピリンと聴覚損失の関係性はないと言っています。


この論文中(Nurses’ Health Study 2)、専門家はどうしてしばしば女性においてアセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンと聴覚損失の危険性の相関性があるのか分析しました。

1995年から2009年までの14年間、この研究者たちは31歳から48歳の女性62,261人の追跡調査を行いました。そのうち10,012人の女性で聴覚損失を報告しました。

対照的に、イブプロフェンを週1回以下の摂取群、週2~3回摂取群では13%聴覚を失う可能性が上昇します。週4~5回の摂取群で21%聴覚の問題を生じさせる危険性が上がり、週6回以上の使用者の女性で24%危険性が上昇します。

アセトアミノフェンのみを週1回以下用いた女性群と週2~3回用いた群を比較した際に、11%の聴覚損失の危険性が上昇しますが、週4~5回の摂取群では21%の聴覚損失の危険性が上昇する結果となりました。

最初の研究の著者、BWH Channing Division of Network MedicineのSharon G. Curhan, MDは以下のようにコメントしています。

“おそらくメカニズムとしてNSAIDsが蝸牛(聴覚組織)の血流を低下させ、機能を損なったことが考えられます。アセトアミノフェンは蝸牛にかかるダメージを保護する因子を喪失させるのでしょう。”


彼女は、原因はこれらの種類の鎮痛剤が処方箋なしで簡単に手に入れられ、副作用がわかりにくいため、鎮痛剤を用いる場合には医師に相談すべきだと言っています。

Curhanは次のようにコメントしています。“もしこれらの鎮痛剤を複数回用いる必要があるならば、消費者それぞれの専門医と危険性や健康寄与について相談するとともに、可能ならばその他の統合医療従事者に意見を求めるべきです。”

この研究によると、半分以上の60歳までのアメリカ人が聴覚低下を頻回に経験しています。さらに、3分の2の女性が60代でいくつかのタイプの聴覚低下を経験しており、残りの3分の1の女性は50代です。


WHOは“段階的な疼痛評価(The pain ladder)”を鎮痛剤を用いる際のマネジメントに用いています。この評価表の元はガン性疼痛治療に用いられていたものを発展させたものですが、現在では様々な疼痛の種類で用いることができます。


                                


さて、痛み止めにはその他にも様々な効果があります。アラキドン酸カスケード、α-リノレン酸カスケードにも影響を与えてしまいますので、慢性痛に用いる場合、その慢性痛がさらに長期化するという論文も多々ありますので、いろいろと問題点もあることでしょう。

長期間にわたって、服用し続けることは今回の論文からもリスクがあることがわかります。疼痛を改善させるための何か方策を練る必要もありますね。


ただ、革新的で、確実な治療法というのは存在しないので、一概にも言えないところがもどかしいのですが・・・。


そうそう。イブプロフェンやアセトアミノフェンはごく一般的な市販薬として、日本でも販売されていますので、鎮痛剤の内容をチェックしてみると、どんなものに含有されているのかよくわかるでしょう。

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コメント

私の周りでも鎮痛薬をいつも飲んでいる女性が居ます。
鎮痛薬以外でも風邪薬やらなんやら色々入ってるものがありますもんね。。。
痛みというのは耐え難いだけに、難しい選択になりそうですね。

投稿: @K | 2012年9月19日 (水) 16時16分

興味深い内容でした。服薬量が増えるほどリスクが高いとのことで、やはり影響がありそうですね。しかし痛みを我慢するのも辛い。。リスクも考慮しつつ痛みと上手く付き合うことが大切ですね。しかし安易に市販薬に頼るのではなく診察を受けることが第一ですね!

投稿: anmitsu | 2012年9月19日 (水) 16時32分

びっくりです。全く知りませんでした。
たしかに、手軽に服用できる鎮痛剤。
男性ではどうなのでしょうか?相関はなかったのでしょうか・ちょっと、簡単に服用できませんね。

投稿: tommy | 2012年9月19日 (水) 17時36分

補足というわけではありませんが、基本的な鎮痛剤の機序としてはPG(プロスタグランジン2)の抑制を行うことで、痛みを感じない状態にする作用があります。

PGの体内での生産過程はアラキドン酸カスケード内のことですが、アラキドン酸カスケードの代謝過程やαリノレン酸カスケードにも影響を与えるとされています。

詳しくはまた次の機会にでも。ということになりますが、脂肪酸の代謝過程に影響を与えることから、それに起因する様々な弊害があるとされています。


この記事から注意したい部分としては、安易な使用という点に限るでしょうね。そこに注意喚起していることが伺える記事でした。

ちなみに男性への関係性はないことはないそうですが、女性で顕著だそうです。男性のレポートは関係性の結果が出なかったのでしょうかね?

投稿: Ctom | 2012年9月20日 (木) 14時39分

とてもショッキングなニュースです。私も歯痛などで安易に鎮痛剤に頼ることがあるのですが、連用することには漠然と抵抗がありました。聴覚との関係が明らかになったのであれば、使うべきではないと思います。特に女性は生理があるので男性より使用頻度は高いと思われ、リスクは高くなりますね。歯痛は原因を治療することで改善できますが、様々な痛みの原因治療こそが本来望まれるところです。

投稿: ojalman | 2012年9月20日 (木) 15時32分

読み終えて、怖いなぁと思いました。
その場しのぎでクスリに頼ると、後々もっと痛い代償を支払うことになるんですね。。。
気をつけて、まずは正しい診断を受けに行きます!!

投稿: さくらもち | 2012年9月20日 (木) 17時16分

女性は頭が痛くなると痛み止めをよく飲む傾向がありますもんね。でもそれで難聴になるのはびっくりですね。生活習慣の改善に努めることが大切で薬はその補助に使うべきですよね。

投稿: タケノコ | 2012年9月24日 (月) 16時13分

私の周りでも鎮痛剤を常用している女性がいます。片頭痛持ちのようですが、ここ数年、内耳系の不調を訴えていて辛そうです。もしかすると痛み止めの弊害なのか?と少し心配になりました。とは言え、痛みから解放される術も必要ですし、辛いところです。

投稿: まるゆ | 2012年9月26日 (水) 11時28分

薬ってリスクとベネフィットの加減が非常に難しいですよね。本当に先生の匙加減なんだなぁとつくづく思います。ただ、こうした情報を持っていることで意識はする事が出来ます。こうした情報の発信って貴重です!

投稿: kirichan | 2012年10月 4日 (木) 17時39分

頭痛、生理痛持ちなので鎮痛剤にはお世話になっていますので、この記事にはびっくりです!

だましだまし鎮痛剤を使うのは控えたいところです...

特に生理痛は根本の治療を検討したいのですが、なかなか忙しくて婦人科に足が向かいません...

投稿: | 2013年3月15日 (金) 15時46分

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