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2012年6月 8日 (金)

摂取カロリーと心臓の健康

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

2012年6月8日、Medical News Today に載った Heart Aging Decreased On Calorie-Restricted Diet"(摂取カロリーを抑えると心臓の老化が抑えられる)という記事によると、摂取カロリーを控えて長生きしようと頑張っている人の心臓は、20歳若い人たちの心臓に近いのだそうです。

この研究は Aging Cell誌に発表されました。

この記事でキーワードになっているのは「心拍変動(heart rate variability)」。論文の主執筆者フィリス・K・スタイン博士(Phyllis K. Stein, PhD)によると

「心拍変動が高いということは、心臓が変化に対してすぐに順応できるということだ。心拍変動は歳とともに低下する。それは心臓血管系の柔軟性が低下するからだ。その結果心拍変動が悪化して、心臓血管系が原因で死亡するリスク上昇に関わってくる」
のだそうです。

研究者らによると、摂取カロリーを平均で7年間抑えてきた人たちの心臓は、身体活動やストレス、睡眠など心拍数に影響を与える要素に順応する能力がさほど落ちていません。

「心拍変動の変化を研究するときは、自律神経系が心臓に影響を与える様子を数多く教えてくれる測定値に注目しているので、この結果は衝撃的だ。それに自律神経系は心臓の機能だけではなく、消化や呼吸数など多くの不随意運動に関与している。心拍変動が優れているということは、こういった他のすべての機能も良好に機能していることを表しているのかもしれない」

研究では、摂取カロリーを通常よりの30パーセント抑えた健康的な食事をとっているカロリー制限実践者22名に携帯用心拍数モニターを取り付けました。平均年齢は51歳以上です。さらに比較のため、同年齢で標準的な西洋式の食事をとっている20名も調査しました。

その結果、カロリー制限している方が心拍数が大幅に低く、心拍変動はきわめて高かったそうです。

「そもそもの着想は、摂取カロリーが制限されている動物の研究同様、摂取カロリーを抑えている人間でも同じような心拍変動の順応が見られるかどうか知ることだった。そしてその答えはイエスだった。さらにさまざまな年代の人たちで、心拍変動の一般的なレベルを調査した。そしてわかったのは、摂取カロリー制限を実践している人たちの心臓は見た目も機能も何歳も若い人たちと変わらないということだった」

別の研究者は「この研究から、摂取カロリーを制限している動物で起きる数多くの代謝面と生理学的な変化が、摂取カロリー制限を実践している人たちにも起きることが分かった。摂取カロリー制限を実践している人たちで心拍変動が優れているということは、単に心臓血管系が柔軟だというだけではなく、全般的な健康状態が向上していることを示唆している」と言っています。

ただ、それだけじゃないのではないか、と研究者は言っています。というのは、心臓血管系が柔軟な理由は、摂取カロリー制限を実践しているからだけとは思えないからだそうで、そういう人たちは生活の他の面でもとても健康的な場合が多いから、「よし、摂取カロリーを抑えて長生きするぞ。でも1日2箱の喫煙は今後も続けるけどね」なんてことはまず言いません。こう言った人たちはモチベーションが高く、「きわめて健康的な行動が非常に多い傾向にある」と研究者は言っています。

それでも、摂取カロリー制限は心拍変動にいい影響を与えているようですね。

摂取カロリーについては、こんな記事こんな記事、それにこんな記事もあります。

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コメント

摂取カロリー制限‥‥まさに私が実践できてないことのひとつです。
確かにカロリー制限できている方は概してスポーツマンで、自分に対してもいい意味で自分を律することができてますもんね!

投稿: まるぴょん | 2012年6月15日 (金) 14時54分

まるぴょんさん、コメントありがとうございます。
食事って、つい食べ過ぎてしまうものですよね。私も「腹八分」を目指していながら、なかなかうまくいきません。
でも、まあ、そのうちには、なんとか...

投稿: fumixie | 2012年6月15日 (金) 18時49分

食事の制限は、人の欲の一つなので、難しです・・。モチベーションを高く保っても、できることなのか。頭で理解できても、目の前にそれがあったら・・・。自信がないです。

投稿: tommy | 2012年6月18日 (月) 12時08分

tommyさん、コメントありがとうございます。

そのお気持は私もよ~くわかります。

習慣づいてしまえば、モチベーションそのものを考える必要が無くなるので、あとは楽なんですけどね。

完全じゃなくても、7割、8割できていたら、それで「よし」とするといった考え方もあるかもしれません。

投稿: fumixie | 2012年6月18日 (月) 16時19分

ブログを拝見している、まさに今もおやつを食べながらでした…「ついつい」で伸びる手も止まる記事ですね。しかし、健康的にカロリーを抑えるというのも、真剣に向き合うと難しい気がします。

投稿: まるゆ | 2012年6月21日 (木) 11時38分

私は体重やウエスト径が今以上に増えないように適度なカロリー制限をしていますが、それが心機能に影響を与えない程度のカロリー制限なのかどうか判断が付きません。運動負荷した際の自覚症状や自律神経の機能異常を示す症候から心臓年齢を判断することは可能でしょうか?

投稿: ojalman | 2012年6月21日 (木) 14時19分

こんにちは。編集者の一人のCtomです。
ojalmanさんのコメントの一助になればとコメントを寄せたいと思います。


随分以前から心拍機能に着目しているドクターがいます。僕は彼の理論が好きで運動のメインにしていますが、今では彼の理論は非常に多くの面で利用され、心拍計を用いるアスリートもしくは一般・学生アスリートは増えてきました。それはマフェトン理論というものです。

彼の理論の中には心臓血管障害の既往がある(狭心症や心筋梗塞)人においても運動をすることは適切であると述べています。但し、心臓にかかる負荷を常にモニターしなくてはいけません。心臓機能のモニターとして用いているのが心拍計になります。

心拍数の変動はある意味では心臓機能を評価することができます。この記事でも同様ですが、心臓機能の評価とは、心臓負荷があった際の対応によって決まります。

心臓は自律神経による神経支配を受けていますので、運動を行う際に自律神経による心臓のコントロールがどれほどできるのか。それが心臓機能を評価する一つの指標となります。

心拍数をモニターできる器具を用いて、運動負荷をかけた際に、どの程度上昇するのかによって有酸素能力を含む心拍機能評価を行っています。自律神経によるコントロールがうまくいっていない=心臓機能のコントロールが悪い=心拍機能・有酸素能力の低下がわかります。


運動負荷を加えた際に、心拍機能がどのように変化するかというと、とにかく少しの運動で素早く上昇します。彼の理論によれば、180-年齢-(5~10)で導き出された数字がその人の有酸素能力の限界となり、それ以上の値の心拍数は無酸素運動となると言っています。これは、心拍計で推奨されている220公式よりも厳格なものです。

その値をその人の運動負荷の上限として、何かしらの運動負荷を加えます。その結果、心拍機能、心臓機能、有酸素能力などの機能低下が起こっている場合には、すぐさまその値を超えてしまいます。それは息切れなどとは一切の関係がなく、走ることはおろか、早歩きすらできない人もいます。

つまり、心拍機能や心臓機能、自律神経機能などの種々の心臓血管系に影響を与えうる問題を持っている場合には、心拍計による計測をしながら運動負荷を加えた際にはすぐさまその人の上限値を超えてしまうということが報告されています。(※男女では最大心拍数の値の上限が異なっていると報告もされています)


それらの心拍機能・有酸素能力の低下では種々の問題を引き起こすことも同時に主張されています。主には次のような反応です。

○副腎機能低下様の症状
○疲労、体脂肪の増加
○朝、起きるのがつらい
○食後に疲労感を感じる
○絶え間のない空腹感、甘い物の欲求
○月経前症候群
○抑うつや不安
○起立性低血圧
○体温の低下
○低い口腔内ph
○少ない肺活量
○低レベルのデヒドロエピアンドロステロンサルフェート

参照:Lehmann 1997, Weidner 1997, Parmenter 1923, Urhausen 1997 p.253


長くなりましたが、上記のような反応を評価することやマフェトン理論で推奨されているMAFテストなどを行うことは心臓年齢の評価の一助になるものと考えています。

投稿: Ctom | 2012年6月21日 (木) 16時50分

まるゆさん、コメントありがとうございます。

あまり真剣になりすぎると、それがかえってプレッシャーになったりしませんか。

その昔、土光敏夫という方が臨時行政調査会(?)の会長を務められたとき(だと思いますが)、メンバーの学者さんたちが、「まだ6割程度の出来なんですが」といって計画を持ってきたとき、「よし、それで行こう」と言って、その計画を6割の出来のまま実行に移したそうです。

完璧じゃなくても、まずは「取りかかる」ことが第一歩になるような気がします。

投稿: fumixie | 2012年6月21日 (木) 18時42分

Ctomさん、詳しくご解説いただきありがとうございます。心拍数の上限を超えないためにも心拍計が必要ですね!

投稿: ojalman | 2012年6月27日 (水) 16時28分

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