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2012年5月13日 (日)

睡眠時間と体重...と遺伝子

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

2012年5月1日付けで Medical News Today に " Plenty Of Sleep Helps Keep You Slimという記事が載りました。タイトルは読んで字のごとく「たくさん寝ればスリムを維持できる」という、何のヒネリも無いそのものズバリです。

そして記事の冒頭はこんな書き出しです。曰く、

睡眠時間が増えれば、遺伝子は体重を検知することが減るし、睡眠時間が減ると、遺伝子の影響が強まる。言い換えると、睡眠時間が減ると体重が増えるし、たくさん寝ればスリムを維持できる。

これを、米国シアトルにある ワシントン大学 メディシン・スリープ・センター の研究者らが Sleep誌に発表 したそうです。

同センターの "In The News" には こういう記事 が出ています。

この研究の特徴は、これまでの睡眠と体重の関係に関する研究ではなく、睡眠が遺伝子に及ぼす影響に焦点を当てている点です。

研究者らは、睡眠時間がBMIに対する遺伝子と環境の影響力をどう変えるかを調べるため、ワシントン大学ツイン・レジストリに登録されている604組の一卵性双生児と484組の二卵性双生児から、自己申告で睡眠のパターン、体重、身長のデータを集めました。このうち66パーセントが女性、平均年齢は36.6歳でした。

研究者らは、一晩の睡眠時間によって、睡眠時間を以下の3種類に分類しました。

短時間睡眠:7時間未満
通常睡眠:7時間から8.9時間
長時間睡眠:9時間以上

被験者は平均して、ひと晩に7.2時間寝ていました。

この研究から、以下のことがわかったそうです。

  • ひと晩の睡眠時間が長い人の方が短い人よりもスリムだった
  • 睡眠の持続時間が短い人は、BMIが大きくなる遺伝的リスクが高かった
  • ひと晩に9時間以上寝る人は、体重変動の約34パーセントは遺伝的因子が占めていた。
  • ひと晩の睡眠時間が7時間未満の人は体重変動の約70パーセントを遺伝的因子が占めていた。
  • ひと晩の睡眠時間が7時間から9時間の人は体重変動の約60パーセントを遺伝的因子が占めていた。

その他に、環境因子もBMIに影響を及ぼすそうです。

この研究者らの説明によれば、BMIと睡眠は遺伝的特性ですが、被験者である双子の体重にバラツキがあるのは睡眠の持続時間が関与しているそうです。

どの遺伝経路が睡眠に影響を与えるかは不明ですが、怪しいのは代謝、脂肪の蓄積、空腹、満腹などをはじめとする生理機能を働かせているものなんだとか。

この研究論文の抄録で、研究者らはこう結論づけています。

睡眠の持続時間が短くなるとBMIが増え、遺伝的影響が強まることからみて、睡眠の持続時間が短くなると、体重を増やす遺伝的リスクの発現が高まると思われる。

同時に睡眠時間が長くなれば、体重に及ぼす遺伝的影響は抑えられる。

単なる睡眠の合計時間だけではなく、睡眠の持続時間も重要なんですね。寝ている途中で頻繁に目が覚めるのは、ダイエットの点でも「よろしくない」ということのようです。

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コメント

はじめてブログを拝見しました。面白そうな内容なのでこれからも見させて頂きます。

投稿: ドキンちゃんの父 | 2012年5月14日 (月) 19時31分

「ドキンちゃんの父」さん、コメントありがとうございます。

いろいろな方が、それぞれの視点から「健康」に関する記事を載せておられます。

これまでにも多数の記事が書かれていますので、さかのぼって読んでみるのもいいのではないかと思います。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: fumixie | 2012年5月14日 (月) 23時06分

私はよく短時間睡眠で、合計したら寝てないこともないのですが、
まったくスリムではなく、6年で5kgも増えてしまいました、、、

睡眠はコマ切れよりも、連続が重要なのですね、
ありがとうございました。

投稿: まるぴょん | 2012年5月15日 (火) 16時07分

まるぴょんさん、コメントありがとうございます。

この記事からも、そのように言えるのではないかと思います。それに細切れだと、寝た気がしませんよね。

睡眠の「深さ」と「持続時間」がキーポイントなのでしょうね。

投稿: fumixie | 2012年5月15日 (火) 16時27分

最近痩せたねと言われるのですが、確かに3キロ程痩せました。けどダイエットしたとかではなく精神的な疲れで痩せたのではないかと思ってます。少し睡眠時間も減ったような気がします。今は疲れはとれてます。短期間でみた場合は精神状態もかなり影響するのでしょうね。寿命の長さと睡眠時間について聞いたことがありますが、体重にも関係するとは驚きました。興味深いですね。

投稿: はるうらら | 2012年5月15日 (火) 22時22分

はるうららさん、コメントありがとうございます。

心と身体って、密接に絡んでますよね。その意味では心の健康も、とても大切ですね。

そして睡眠は奥が深いです。質の良い睡眠を追求することは、それだけの価値のあることではないかと個人的には思います。

投稿: fumixie | 2012年5月15日 (火) 22時55分

最近はほぼ毎日身体を動かすようにしています。
おかげでぐっすりですし、目覚めも良好です。運動→睡眠の流れをしっかり作れば、よりウエイトコントロールがし易くなりますね!

投稿: kirichan | 2012年5月16日 (水) 17時43分

kirichanさん、コメントありがとうございます。

とても健康的なライフスタイルのようですね。すばらしいです。それが習慣になれば、もう怖いものはないですね。

投稿: fumixie | 2012年5月16日 (水) 18時23分

睡眠はしっかりとった方が体に良いということですね。
寝ている間は汗もかくし、代謝もあがるので納得な気もします。
これからは眠りが浅くなる季節なので、注意したいですね。

投稿: @K | 2012年5月18日 (金) 17時42分

@Kさん、コメントありがとうございます。

どうやって質の高い睡眠を確保するかは、ひょっとしたら厳しい節電を強いられるかもしれない今年の夏は、いっそう大切なテーマになるかもしれませんね。熱帯夜だったりしたらどうしよう...考えちゃいます。

投稿: fumixie | 2012年5月19日 (土) 22時06分

毎日5、6時間じゃ少ないんですね。
深い眠りにはついている方だと思いますが、
もう少し睡眠時間を増やして代謝を良くしていきます!
参考になります。

投稿: NONAMEIS | 2012年5月21日 (月) 17時35分

NONAMEISさん、コメントありがとうございます。

睡眠時間を増やすというのは、実生活を考えるとなかなか難しい面がありますけど、その中でも増やす工夫をするのは意味のあることだと思います。

投稿: fumixie | 2012年5月22日 (火) 00時11分

fumixieさん、コメントに対するお返事ありがとうございました。質の良い睡眠ほんと大事ですよね。

ところで先日、あるテレビ番組でダイエットについてではないですが、睡眠と女性の胸の大きさの関連性についてある先生がコメントされていて、なるほどと感心したので睡眠関連のこの記事で記載させていただきます。

結論から述べますと、胸の大きさは思春期の睡眠時間、特に22時から26時の間に睡眠がとれていたかどうかで決まるそうです。医学的には食生活や遺伝的要因は関係ないとのことでした。

22時から26時というと成長ホルモンがより多く分泌される時間帯だったと記憶しております。ただ長い時間寝ればよいわけではなくて、やはり早寝早起きが大事だということかもしれませんね。

拙筆、失礼いたしました。

投稿: はるうらら | 2012年6月 6日 (水) 17時22分

はるうららさん、コメントありがとうございます。

おっしゃるように、成長ホルモンの分泌量と睡眠は深い関係があるようです。

寝ている間にいろいろ身体の役に立つことをしてくれる成長ホルモンが働きやすい体内環境を作るためにも、最適な睡眠の量と質を追求することは、価値のあることだと思います。

投稿: fumixie | 2012年6月 6日 (水) 20時49分

私の平均睡眠時間は5時間程度。どうりでこの体重………(汗)

ダイエットに食事や運動は重要と思っていましたが、睡眠時間や質も大事なんて!

規則正しい生活習慣をみにつけたいですね。勉強になりました!!

投稿: まりおん | 2013年7月 5日 (金) 17時16分

まりおんさん、コメントありがとうございます。

睡眠は、とっても重要なんですね。お時間があるときに、こちらの記事もご覧になってはいかがでしょうか。

投稿: fumixie | 2013年7月 5日 (金) 19時17分

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