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2012年2月18日 (土)

摂取カロリーとMCIの関係

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)という言葉があります。これは 2012年2月13日付け "Memory Loss In Seniors Tied To Overeating"(高齢者の記憶消失と過食は関係がある)という記事によると、「加齢に伴う普通の記憶消失/物忘れとアルツハイマー病の初期に見られる記憶消失の中間に位置する状態を表す言葉」だそうです。

この記事が伝えるところによると、今年の4月21日から同月28日まで米国ニューオリンズ開かれる米国神経学会(American Academy of Neurology (AAN))の第64回年次総会で発表されることになっている研究(プレスリリースは こちら)によると

高齢者の過食(食べ過ぎ)は、このMCIのリスクを倍加させる場合がある
とのこと。

米国アリゾナ州スコッツデールにある メイヨー・クリニック のドクター・Yonas E. Gedaらのチームが、同国ミネソタ州オルムステッド郡に住む70歳から89歳までの認知症のない成人1233名(うち163名にMCI有り)を調査したところ、一日当たり2100カロリーから6000カロリー摂取しているとMCIのリスクが倍増することがわかりました。

研究では、集めたデータを一日当たりの摂取カロリー別に、

  • 600 - 1526カロリー
  • 1526 - 2143カロリー
  • 2143 - 6000カロリー
の3グループに分類しました。

その結果、摂取カロリーがもっとも多いグループでは、MCIになる確率は、摂取カロリーがもっとも少ないグループの2倍以上になりました。一方、摂取カロリーがもっとも少ないグループと中間のグループではリスクの有意な差は見られなかったそうです。そして、卒中や糖尿病などの病歴や学歴など、記憶消失を引き起こす他のリスク要因を考慮しても、この結果は変わりませんでした。

これについて、ドクター・Yonas E. Gedaは

「われわれが観察した用量反応のパターンが物語ることはシンプルだよ。一日当たりの摂取カロリーが多くなるほど、MCIのリスクが高まるんだ。カロリーを抑えた健康的な食事を摂ることだ。加齢に伴う記憶消失を予防するには、この方が簡単だろうね」
と言っています。

厚生労働省が出している「平成21年国民健康・栄養調査結果の概要について」の「全体版」に「5.栄養素等摂取量」という情報があります。これは、栄養素等摂取量(1日あたり平均)を性・年齢階級別にまとめた表で、総数、男性、女性と3つあります。

これによると、70歳以上の摂取エネルギーは、

  • 総数では 1714kcal
  • 男性では 1894kcal
  • 女性では 1585kcal
となっています。

これから見ると、一日2000カロリー以上摂取する人のデータが、研究に使えるほど十分集まるアメリカの現状がそもそもすごい、という感じがします。

逆に、ひょっとしたら「和食って、いいね」ということも言えなくもないのかもしれません。(言い過ぎかなあ??)

摂取カロリーに関しては、他にも 摂取カロリーと寿命の関係摂取カロリーと寿命の関係(その2)なんて記事もあるのでご参照ください。

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コメント

アメリカ人も摂取カロリーはすごいですね。。。
このデータからすれば、MIC人口はアメリカの方が多いということも当てはまるのでしょうか?
少なくとも食の欧米化が進んでいる日本では気を付けたいデータですね。

投稿: @K | 2012年2月23日 (木) 17時48分

@Kさん、コメントありがとうございます。

「対岸の火事とは言えない」でしょうから、自分でも気をつけるに越したことはないですよね。

でもどういうことでもそうですが、「習慣付けないと」なかなか難しいかもしれませんね。

投稿: fumixie | 2012年2月24日 (金) 01時13分

MCI 初めて知りました。
日本人が通常の生活で2000kcal 摂取することも難しそうですが、そこまでいかなくても、食生活の変化には注意が必要ですね。

投稿: まる | 2012年2月29日 (水) 17時57分

まるさん、コメントありがとうございます。

はい、なるべく長い間「介護する側」でいるためにも、食生活の質と量には敏感でありたいですね。あとは、無理のない程度の運動ですかね。

投稿: fumixie | 2012年3月 1日 (木) 14時03分

摂取脂質と認知症に相関がありそうだとの話を聴いたことがありますが・・。どうなんでしょうか?私もあれこれと調べてみようと思います。

投稿: kirichan | 2012年3月28日 (水) 14時05分

kirichanさん、コメントありがとうございます。

摂取脂質と認知症の関係ですが、Medical News Today の "Increased Rates Of Cognitive Decline In Older Adults Associated With High-fat, Copper-rich Diets" < http://www.medicalnewstoday.com/releases/49660.php > という記事(脂肪と銅が多い食事は高齢者の認知機能の低下を加速する)(2006年8月16日付け)によると、

Among older adults whose diets are high in saturated and trans fats, a high intake of copper may be associated with an accelerated rate of decline in thinking, learning and memory abilities, according to a report in the August issue of Archives of Neurology
つまり「Archives of Neurology誌によると、飽和脂肪とトランス脂肪が多い食事をとっている高齢者では、銅を多く摂取すると、思考、学習、記憶の能力低下が加速すると考えられそうだ」とのことですね。

一方、"Fat intake at midlife and cognitive impairment later in life: a population-based CAIDE study."(中年期の脂肪摂取と後年の認知障害)というタイトルの論文 < http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18188871 > もありますね。その抄録の結論によると "CONCLUSIONS:
Our data suggests that dietary fat intake at midlife affects cognitive performance and occurrence of MCI later in life."(この研究データからは、中年期の脂肪摂取は後年の認知能力に影響を与え、MCI(軽度の認知障害)を起こすことがうかがえる)とあります。

投稿: fumixie | 2012年3月28日 (水) 21時13分

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