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2012年2月 1日 (水)

ビタミンDと眼の健康

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

Medical News Today に載った "Vitamin D Could Help Combat The Effects Of Aging In Eyes"(2012年1月18日) という記事によると、ビタミンDは加齢による眼病に効く簡単で効果的な方法になりそうだという話。

バイオテクノロジー・アンド・バイオロジカル・サイエンス・リサーチ・カウンシル(BBSRC)によると、ビタミンDはマウスの目の加齢による影響を減らし、高齢のマウスの視力を著しく改善したそうです。このことから、ビタミンDを補うことが、加齢性黄班変性(AMD)をはじめ、ヒトの加齢による眼病を治療するうえで簡単かつ効果的な方法になりそうだ、と研究者らは期待しています。

この研究を行なったのは、英国ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College London)の眼科学研究所(LInstitute of Ophthalmology)のチームで、ニューロバイオロジー・オブ・エイジング誌(Neurobiology of Ageing)の直近号に発表されました。

この研究を率いたグレン・ジェフリー教授(Professor Glen Jeffery)によると

「マウスやヒトなど、哺乳類の眼の奥には網膜という組織がある。網膜の細胞は、目に入った光を検知し、脳にメッセージを送る。どのように見えているかというメッセージだ。これは難しいことで、実際、網膜が必要とするエネルギーは、体内の他のどの組織よりも多い。だから網膜には大量の血液を送る必要がある。しかし加齢にともない、大量のエネルギー消費により残骸が生成される。だから通常の動物にも進行性の炎症がある。ヒトの場合、この結果、70歳までに、光を受け取る細胞の数が最高で30パーセント減少する。そのために視力が衰える」

高齢のマウスにきっかり6週間、ビタミンDを与えたところ、炎症が減少し、残骸が部分的に除去された。さらに視力も改善されたそうです。これらのことは、このマウスの眼に起きた2種類の変化で説明できると研究者らは考えています。

  • まず、ビタミンDが与えられたマウスの眼では、マクロファージと呼ばれる損傷を与える可能性のある細胞の数が著しく減少した。マクロファージは、体が歳をとると、その体に脅威となるものと戦う際、損傷と炎症をもたらす場合がある。しかしマウスにビタミンDを与えると、それによってマクロファージの数が減少したのみならず、残ったマクロファージを変質させることとなった。変質後は、炎症を減らし残骸を片付けるうえで積極的な働きをするようになったと研究者らは考えている。
  • 2つめの変化は、加齢とともに溜るアミロイド・ベータという毒性分子の量が減ったこと。ヒトでは、炎症とアミロイド・ベータの蓄積が加齢性黄班変性(AMD)のリスクを高める要因だとわかっている。AMDのリスクがある人にビタミンDを補うことは、この疾患を予防する簡単な方法になりそうだと研究者らは考えている。

ジェフリー教授の話。

「高齢のマウスにビタミンDを与えると、眼の中のアミロイド・ベータの蓄積が減少し、それにともなって視力が改善した。アミロイド・ベータがアルツハイマー病に関連していると聞いたことがあるだろうが、新しい証拠によれば、ビタミンDには、脳内に蓄積するアミロイド・ベータを減らす役割があることがうかがえる。…(後略)…」

ジェフリー教授らのチームは、このマウスの血管の一部を引き続き調べ、ビタミンDを与えたマウスでは、大動脈をはじめとする血管でアミロイド・ベータの蓄積が著しく減っていることを見出しました。これについて同教授は、

「ビタミンDを与えたマウスの血管でアミロイドの蓄積が減少したということは、視力の低下から心臓病に至る加齢性の健康障害を防ぐうえでビタミンDが役に立つ可能性があると思われる」
と語っています。

早い話が、マウスを使って得られた研究結果ではあるものの、ヒトにも当てはまりそうだということのようです。

この記事から言えば、季節によっては、サングラスで眼を保護しながらしかるべき量の日光浴をすれば、加齢性の眼病に効果が期待できるということになりますね。

ビタミンD革命(バベルプレス刊)」という本があります。これはソラム・カルサ博士の著書 "The Vitamin Revolution" の日本語訳で、日本薬科大学教授の新木敏正という方の推薦文や、東京慈恵会医科大学の浦島充佳(准教授、医学博士)という方のビタミンDの効果に関する文章も載っています。

この本によれば、日光浴でビタミンDがどれくらい皮膚で作られるかというと、「夏の真昼にたった12分間、むき出しの腕と脚を日光に当てるだけで、平均的な白人女性なら約3,000IUのビタミンDが皮膚で作られます。そして30分以内に、20,000IUにまで作ることができる」(同書のP43)そうです。

むろんのこと、個人差や地域差、天候などによって左右されるのでしょうから、確定的なことは言えませんよね。

さらに、北緯35度以北に住んでいる場合、おおむね11月から3月にかけては、「どんなに長く日光に当たっても太陽の力でビタミンDを得ることはできない」(同書のP46)とも書かれています。

ということは、冬の間はサプリメントで補うことになりそうですね。

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コメント

いつも興味深く拝見しております。
ビタミンDがアミロイド・ベータの蓄積を減少させる働きをする可能性があるということは驚きました。
大変勉強になりました。

投稿: Y.S@ | 2012年2月 3日 (金) 17時42分

Y.S@さん、コメントありがとうございます。

さすがビタミンDというか、あなどれませんよね、このビタミンは!
(いつも摂っているあのサプリメントじゃ足りないかなあ...)

投稿: fumixie | 2012年2月 3日 (金) 23時22分

ビタミンDがかなり重要だということはよくわかりました。一方で紫外線の問題で日光浴を程度によってした方がよいのか?単純なことではないような気がしますが、あまり目に気を遣っていなかった私自身今後サングラスも新調して適度に日光浴をしていこうと思います。

投稿: Deep | 2012年2月 8日 (水) 11時01分

Deepさん、コメントありがとうございます。

「中庸は徳」ということもありますが、無料で使い放題の日光を利用しない手はありません。ほどほどの日光浴が「吉」かもしれませんね。

投稿: fumixie | 2012年2月 8日 (水) 22時44分

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