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2012年1月16日 (月)

マラソンで右心室機能不全に陥るかも

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

読者の皆さま、寒中お見舞い申し上げます。新年の挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。今年もよろしくお願い致します。

昨年から私自身のクリニックに変化が始まっており今年も続く予定です。皆さんに報告できる時期がきたらここでもお知らせしますが、当面はブログの定期的な更新を心がけます。

Life-LOG(ライフログ)ではゲストライターとしてfumixieさんとctomさんに記事を投稿していただいていますが私の記事が少なかったので助かりました。この場をかりてお二人に感謝を申し上げます。昨年は本当にありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。実は、昨年から超10プロジェクトの代表の人見さんにも記事投稿をお願いしていたのですが、「地域も学校」というプロジェクトで忙しく、なかなか投稿していただけません。今年は「地域も学校」絡みの内容でもお知らせしていただければと思います。人見さん> よろしくお願いしますね。

さて、その超10プロジェクトですが、私も彼のブログに記事を投稿しています。今年の記事を先日アップしましたが、その内容をここにも掲載します。

では、皆さん、今年も健康生活を邁進しましょう!
2012年1月16日 田井祐爾

趣味はマラソン。中高年になってから走り始める人も多く私もその一人だ。生活習慣の乱れから中高年以降に肥満は増え、その結果、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質代謝異常症)も増えている。この状況を危惧して政府は、「メタボ」という言葉を国民に浸透させ、予防医療への試みの最中で、その対策の柱になっているのが運動だ。これが直接の理由かどうかわからないけど、中高年以降になってからランニングなど持久力競技を始める人は多い。

マラソンをしている中高年なら分かってくれると思うけど、走り始めると記録が気になってくる。最初はフルマラソンを制限時間内に完走することを夢見る。タイムなんか気にしないけど、完走してしまうとタイムを縮めたい欲求が出る。「次は4時間以内で走りたい」、更に「3時間半を切りたい」、そして市民ランナーなら誰もが夢見る「サブスリー」を目指して、しだいに身体活動量は増えていく。

運動習慣は、座っている生活スタイルに比べて、寿命を約7年伸ばす報告があり、適度なエクササイズは死亡リスクを低下させる。しかし、マラソンのような持久競技で記録を狙うアスリートの運動負荷は、冠動脈疾患予防で推奨されている運動量に比べて5〜10倍の強度がある。今までの報告で、心機能の指標として使われている心臓の収縮機能や拡張機能はマラソンランナーでも維持されてる。しかし、マラソンランナーの半数以上で、心筋障害の指標となる血清の心臓トロポニン値が上昇していることが分かっている。

この事実に加え、持久力競技者は、心房細動という不整脈のリスクも高いという報告もあり、マラソンを含め持久力競技が本当に心臓の健康にいいのか疑問が生まれていた。

今日の報告は、この疑問に向けられており私も関心がある内容だ。心臓は血液を全身に送り込む役割の左心室系と肺循環に送り込む右心室系に分けられ、今までの心機能評価の研究では、左心室機能に注目が集まっていた。しかし、強度の高いエクササイズによって、一時的な機能不全に陥るのは右心室ということが新しい研究で明らかになった。持久力競技者にとって右心室機能がアキレス腱になっていると、雑誌European Heart Journalの2011年12月7日に掲載された研究報告(Eur Heart J 2011; DOI:10.1093/eurheartj/ehr397)の主要著者であるAndré La Gerche医師が説明している。

この研究は、よくトレーニングを受けた40名の持久力競技者を対象にしている。彼らの平均年齢は37歳で、90%以上が男性、週に16時間以上のトレーニングをしている。これは一日2時間以上の練習をしていることになり、マラソンで言えば、明らかにサブスリーレベルだ。

血清の心臓性トロポニン値(心筋障害性の指標)とBNP値(心臓負荷の指標)、心エコーによる心機能(心室駆出率)、さらにガドリニウム造影心臓MRI(心筋線維化の指標)を、マラソン、トライアスロン、アルペンスキーなど3時間から11時間の競技直後と1週間後で評価している。

心臓トロポニン値とBNP値の上昇は、右心室駆出率の低下と相関が示されたが、左心室駆出率との相関は無かった。右心室駆出率の低下は、時間が長い競技に参加しているアスリートと最大酸素摂取量が多いアスリートで認めた。それでも一週間後の検査で、右心室機能の評価はすべて正常に戻っていた。さらに、他の被験者よりも競技年数が長かった5人では、右心室近傍の心室中隔に心臓MRIによって心筋線維化が認められた。

La Gerche医師によると、強度の高い持久力競技(マラソンやトライアスロン)の場合、肺動脈圧が全身循環血圧より上昇しており、その圧負荷は右心室に衝撃を耐え続けていることになる。右心室の負荷は増え、3時間、5時間、8時間、10時間と時間が長くなれば、多大な疲労が蓄積して障害を与える可能性があるという。

この報告の論説に述べられているが、米国とヨーロッパでは、年間500以上のマラソンイベントが開催され、その数は増えている。過去30年をみると、エクササイズの欠如による肥満や疾患は増えているけど、逆にウルトラ長距離なイベント(100km以上)に参加するランナーも増えているため、この研究をきっかけとしてより詳細なデータが必要で、持久力競技の長期的な健康への影響を調べていく必要がある。

今のところ、右心室拡張が健康にどんな影響を与えるか分かっていないけど問題になる可能性がある。動物実験をみれば、強度の高いエクササイズで右心室障害は引き起こされ、危険な不整脈のリスクが高まる。しかし、ヒトにおいて、右心室機能障害を前向きに評価した研究報告はない。自転車競技者の心室期外収縮に関する報告があるぐらいだ。

運動をしなければ長生きできないと私も信じているけど、その運動の量をどのくらいにすればいいのかわからない。私も走り始めた頃、かなりアスリートを意識して記録に拘った。フルマラソンでサブスリーを目指そうとした時期もある。記録のベストは3時間17分ですが、ここから1分ずつ縮めるための身体への負担は自覚できた。練習で疲れた日に胸が躍る感覚に襲われたことがある。ほんの数分だったけど、初めて不整脈を自覚した瞬間だった。実は、その後、不整脈を数度経験した。身体のためにしている運動で体調を壊しては意味がない。記録狙いのマラソンが身体に悪いと判断して記録を諦めた。今はゆっくり心臓に負担がかからないペースで長距離走を楽しんでいる。おかげでここ数年は不整脈の症状が出ていない。今日の報告をみて自分の選択は間違っていないなと思えました。

「40歳からのアスリート」というスローガンを掲げて頑張っていたが、「生涯ランニング」というスローガンに切りかえる時期なんでしょうね。

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コメント

こんにちは。

ジョギングを始めたきっかけは、思わず登録してしまったハーフマラソンでした。何度か出続けているうちにやっぱりタイムって気になりました。

ただ、いろんな本を読んでるうちにマラソンは極めすぎると寿命が短くなるとか、老化が早くなったり、妊娠しにくくなるとか聞いてやり過ぎは良くないのかなと思い始めました。もちろん真偽は定かじゃないんですけど、、、(妊娠しにくいっていうのは、やせすぎでって書いてありました)。今回の記事を見て、寿命が縮まるっているのはあながち間違いじゃないのかも、と思った次第です。

ハーフでも2時間20分くらいで制限時間ギリギリですけどこれくらいでちょうどいいかもって思ってます。

おいしいご飯、適度な運動、十分な睡眠を心がけてます。

投稿: いたこ | 2012年1月17日 (火) 09時33分

健康のためにマラソンを始めた人がマラソンにはまって健康を害するとしたら、悲しい話ですね。。。
身体に負荷のかかりすぎない、適度な量にしておくべきなのでしょうか。
とはいえ、私は運動量の欠如という方の人間なので、これから適度に動きます(汗

投稿: @K | 2012年1月19日 (木) 12時22分

心筋の線維化とは怖い話を聞きました。街でもジョギングをする人をよく見掛けますが、健康やダイエット目的の他に最近のマラソンブームがあるのかも知れません。体に肉体的負荷をかけるのが運動ですが、その負荷の程度を知っておくことが課題ですね。闇雲に記録を狙うのは問題がありそうです。やはりインストラクターの指導やホームドクターによる検診が必要だと思われます。無理な運動で健康を害しては意味が無いですよね!

投稿: ojalman | 2012年1月19日 (木) 16時19分

やはりタイムが気になり、ガツガツ練習してます。丸亀ハーフも近いので…。走ると肌がスベスベになる気がしますし、体が若くなる気がするのですが、ちょっと考えさせられますね。
ただ、自分は大会でこれだけのタイムを出したんだ!という自信を持って人生を送ることが出来ると思うと、頑張ることもトータルでは間違ってないとも思うんです。私にとっては難しい問題です(笑)

投稿: kirichan | 2012年1月19日 (木) 17時29分

いたこさん、ojalmanさん, kirichanさん、いつもコメントありがとうございます。

運動は何であれやり過ぎは寿命を縮めると信じています。オリンピック選手が長生きしてるって話じゃないですよね。

適度な運動を続けれる人が健康的に長生きできるんでしょう。いたこさんのようにハーフ2時間20分で十分だと思いますよ。運動していない人は走れませんから(^_-) ブログ拝見させていただきました。素晴らしい食習慣ですね。私もできるだけ、こんな食生活を続けています。

投稿: 屋台ブルー | 2012年1月20日 (金) 21時28分

10年くらい前の話になってしまいますが、高校生の頃は部活だったり学校のマラソン大会で440人中20位以内に入りたくて一生懸命練習したりと、しっかり運動していましたが、今は全く。。です。
やり過ぎもダメだけれど当然やらな過ぎもダメ。程良い運動の習慣を身につけることが、当面の最大課題です!

投稿: まるゆ | 2012年1月24日 (火) 15時53分

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