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2011年12月11日 (日)

減量じゃない、体力をつければ死亡率は下がる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

ブログのアップが遅くなってしまった。申し訳ない。

さて、今日は久しぶりにエクササイズの話題をとり挙げよう。健康的でいるために食習慣と運動習慣のどちららが大事?なんて話題を目にすることもあるけど、この2つを切り離して論じるのはナンセンスだ。健康を考えれば自明なことで、食事で身体をつくりエクセサイズで機能を高める。この両者は相即不離な関係で成り立っている。

ダイエット希望で私のところに受診される患者さんがいますが、彼らの目的は「減量」である。体重を減らしたいと思っている人は多く、運動をしないで痩せたいと切望している。「減量」はそのまま「健康」に繋がらないことを強調するけど、一般クリニックという性格上、運動療法に力を入れられない。更に報告をみれば運動のみで減量も期待できない。減量を目的にすれば、単独で効果のある食事療法が中心になってしまう。しかし、体重が減っても決して健康になっているとは言えないため私自身は複雑な思いだ。

今日は雑誌Circulationの2011年12月6日の記事、「Long-Term Effects of Changes in Cardiorespiratory Fitness and Body Mass Index on All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality in Men/心肺機能レベルとBMI値の長期的な変化が男性の全死亡と心血管疾患死亡へ与える影響」を紹介しよう。

この研究は疫学調査なので、因果関係ではなく関連性が示されているとうことを最初に強調しておく(注:リンク先のアンダーライン部分参照)が、心肺トレーニングレベルとBMI値の長期的な変化が、全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクに影響があるかどうか調べた報告だ。

Aerobics Center Longitudinal Study(エアロビセンター縦断試験)に登録している14,345名(平均年齢44歳)、少なくとも医学的な評価を2回している男性のデータを解析している。フィットネスレベルは、最大負荷のトレッドミルテストから評価してメッツ(METs)(*注1)で算出。BMI値(*注2)は当然、体重と身長から計算したものだ。フィットネスレベルとBMI値の変化は、試験開始時と少なくとも6年以上経過した値から評価して、「低下」、「不変』、「増加」に区分した。全体の追跡期間は11.4年にわたっていて、この間の全死亡は914名、心血管疾患による死亡は300名だった。全死亡と心血管疾患死亡リスクは、フィットネスレベルが「低下」したグループに比べて、「不変」グループでそれぞれ30%と27%低下、「増加」グループで39%と42%低下していた。当然、BMI値を含むいくつかの危険因子で補正されている結果なので、体重が増えていても減っていてもリスク低下を認めたことになる、更に計算すると、1メッツ改善すれば、全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクはそれぞれ15%と19%低下することになる。

これとは対照的に、BMI値の変化は、フィットネスレベルで補正をすると全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクに影響を与えなかった。

著者であるサウスカロライナ大学のDuck-chul Lee医師も述べているが、「今は、人々の関心が減量に向いているけど、フィットネスレベルを上げることが、早死にを減らすという意味で減量以上に重要なことに思える。フィットネスレベルの維持もしくは向上させる対策に関心を向ける必要がある。」

日本でも過度のダイエット志向が見られ、肥満よりも痩せている方が健康にいいと思っている人が多い。ちょうど朝日新聞(12月9日)に今年度の学校保健統計調査の結果が載っていた。5〜17歳の全年齢で女子の平均体重が減っていて、高2、3年生の「やせすぎ」の女子の割合は5年前の約1.5倍になっている。全年齢で女子の平均体重が減少したのは1900年度の調査開始以来始めてで、男子でもほとんどの年齢で減っている。しかし、男女とも身長に目立った変化はなかったという。肥満傾向の女子は5年前から減少傾向というのは喜ばしいことかもしれないが、今日紹介した報告から考えると、体重の変化にあまり囚われず、フィットネスレベルを向上させることに目を向ける必要があるだろう。皆さん、身体を動かして運動をしましょう。

(*注1):厚生労働省ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康医療 > 健康 > 運動施策の推進 > 健康づくりのための運動指針2006 PDF
(*注2):BMI = 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

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コメント

こんにちは。お久しぶりです。
私も以前は運動せずに食事コントロールだけで体重を減らそうと考えていたのですが、体調が悪くなるばっかりで健康にはなりませんでした。体重が減る=健康って公式ばっかり頭の中にあったのを覚えてます。今は体重でみると肥満で脂肪もたっぷりあるんですけど、ジョギングを始めてから体調がすっごくよくなってます。健康診断も引っかかるのは体重だけ…。複雑だけどこれでいいのかなと。先日雑誌で見たのですが、現代っ子の低栄養化が進んでいるそうで。ダイエット信仰、変わってくれるといいなと思ってます。

投稿: いたこ | 2011年12月11日 (日) 10時43分

はじめまして、noruと言います!初コメントさせてもらいます。
私はとりあえず食事コントロールの方が運動療法にくらべ
楽で体重も落とせばいい、運動療法はなかなかつづけにくいので避けてきましたが、やはり運動療法は必須ですね!ウォーキングから始めてみます!

投稿: noru | 2011年12月13日 (火) 16時56分

痩せやすい身体になるためには筋肉をつけて代謝をあげればいいと言いますが、それに関連することのように感じますね。
数字が目に見えて減っていくのは実感できて嬉しいかもしれませんが、それだけではないということも知っておくべきだと思います。
バランスよく食べて運動で消費することが一番ということしょうか。

投稿: @K | 2011年12月14日 (水) 17時46分

いたこさん、コメントありがとうございます!
私は現在走っているので、「走って痩せたんでしょ」って思われているけど、本当は食事療法だけで25kg痩せました。いたこさんのように痩せて体力不足を実感して走り出したんです。走り出して少し体重は増えてますよ(笑)。太っている人が運動をする時に注意しなければならないのは、身体を支える筋力を徐々につけながら始めないと関節や骨に負担がかかり過ぎてしまうってことです。何もしていない人にとってウォーキングも立派な筋力トレーニングになりますよね。

noruさん、コメントありがとうございます!運動を長く続けるコツは、仲間を作ることです。同じ運動をしている仲間と色々なイベントを企画すればさらに楽しくなりますよ。ウォーキングでも「まちかどウォーキング」なんてイベントで地元を歩くってのも楽しいですよ。

@Kさん、コメントありがとうございます!確かに数字が好きな人は多いですよね。最大酸素摂取量も体重計に載るように分かればいいのですが。

投稿: 屋台ブルー | 2011年12月16日 (金) 18時01分

食事や薬でやせた人と運動でやせた人の写真を見せて頂いたのですが、明らかに体型が違いました。前者が何となくしぼんだ感じに思えたのに対し、後者は明確なウエストラインがあり、体も締まっていました。筋肉の違いがその様に感じさせたのでしょう。BMIで見ればそれほど大きな違いは無いのでしょうが、きっと多くの人が求めているのは後者だと思います。ダイエットは運動を主体にし、食事や薬は補助と考えるべきかもしれません。リバウンドの面からも!

投稿: ojalman | 2011年12月18日 (日) 23時27分

本日健康診断で体脂肪が24%になってました。ただでさえ、基礎代謝が落ちているのに・・。食生活の改善と、やはり、無理のない運動。これが大事なんですね。
年明けからはじめます。

投稿: tommy | 2011年12月21日 (水) 16時26分

仕事に慣れず帰宅が遅くなり、夕食が遅い時間になるため、目に見えて太ってきています。且つ運動不足です。やはり夜に自分の時間をしっかり確保することは大切なんだなぁと実感する毎日です。

投稿: kirichan | 2011年12月26日 (月) 17時03分

減量=健康ではないということがよくわかりました。バランスよく食べて、適度に運動して、睡眠をしっかりとるという規則正しい生活がこんなにも難しいなんて・・・と社会人になってからよく考えます。このままだと、数年後の自分の姿が恐ろしいっと思い、年明けから運動を始めました!

投稿: さくらもち | 2012年1月12日 (木) 14時10分

皆さん、昨年は色々コメント有りがとうございました!
新しい年になったので何か1つ身体にいいことを始めましょう。
今年もよろしくお願い致します。

投稿: 屋台ブルー | 2012年1月18日 (水) 09時22分

ご無沙汰しております6000344です。私も今年は体にいい事をひとつはやらねば、と思いながらはやひと月が経過してしまいました。私の業界のコメントを読ませて頂くと、何かしら運動に取組んでいるようですが、普段からしてないものにいきなり出来る訳がないと実感させられております。私の出来る「何か」を早く見つけないと・・・。

投稿: 6000344 | 2012年2月 9日 (木) 12時52分

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