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2011年11月23日 (水)

大豆食品と肺ガンの関係は RR=0.77 (95% CI: 0.65, 0.92)

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

2011年11月17日付けでロイター"Soy eaters may have lower rates of lung cancer" という記事が載っています。

どういう記事かというと、"(Reuters Health) - People who eat a lot of unfermented soy products like tofu may have a smaller chance of getting lung cancer, a fresh look at past research suggests."、つまり「豆腐のような発酵していない大豆食品をたくさん食べると肺ガン発症リスクが低下する場合がある」ということです。

豆腐で効果があれば、われわれには、それこそ「願ったり叶ったり」の記事です。

元ネタは The American Journal of Clinical Nutrition の "Soy intake is associated with lower lung cancer risk: results from a meta-analysis of epidemiologic studies" という論文です。

この論文に書かれているのは、大豆食品を食べた場合と食べない場合で、肺ガンの発症リスクはどう違うかということですね。

んでもって、抄録に書かれている "Results:"、つまり「結果」の欄を見ると、全体的には RR=0.77 (95% CI: 0.65, 0.92) とあります。

と言われても、私のような素人にはこれだけではわかりません。そこでいろいろ調べてみて、なんとか私がうっすら理解できる程度に噛み砕いて日本語の文章にしてみました。

RRというのは相対危険度(Relative Risk) のことのようです。「相対」ですから「Aの危険度はBの危険度に比べて何倍か?」という意味なんだそうです。この研究で調べているのは、ざっくり言えば、大豆食品を食べたら、食べない場合に比べて肺ガンになる危険度は何倍違うかで、これが0.77。ということは「今回の調査対象では」、大豆食品を食べて肺ガンになる人の割合は、大豆食品を食べずに肺ガンになる人の割合の0.77倍ということ。つまり大豆食品を食べないよりは食べた方が肺ガンになる人の割合が減るという結果。

CIというのは信頼区間(Confidence Interval) のことで、"95% CI: 0.65, 0.92" というのは「同じ人数で100回調査すれば、95回はこの危険率の範囲に入る」ということなのだそうです。

ということは、100回調査して95回は、「大豆を食べて肺ガンになる危険は、食べないで肺ガンになる危険の、悪くても 0.92倍(およそ1割減)、良ければ 0.65倍(およそ3割5分減)」、つまり大豆食品を食べないよりは食べた方が肺ガンのリスクは減ると解釈するのだそうな。

他にも、

  • 品質の高い研究5件に絞れば (RR: 0.70; 95% CI: 0.45, 0.99)
  • サブグループのメタ分析では、
    • 女性 (RR: 0.79; 95% CI: 0.67, 0.93)
    • 非喫煙者 (RR: 0.62; 95% CI: 0.51, 0.76)
    • アジア人 (RR: 0.86; 95% CI: 0.74, 0.98)
という結果が出たそうです。

そして "Conclusions:"によれば、「この発見は、大豆食品の摂取が肺ガンのリスク低下に関わっていることを示している。ただし、大豆摂取の評価方法は研究によって異なるため、大豆摂取を統一的に測定する、よく設計されたコホート研究ないしは介入研究によって、そのような関係を完全に特徴づける必要がある」のだそうです。

この研究について、ロイターの記事ではざっと、

大豆そのものの作用はともかく、大豆に含まれるイソフラボンはガン細胞の成長を遅らせることが研究で示されている。食事と肺ガンの関係を研究しても、大豆に関しては結論が分かれている。そこで中国と米国の科学者が医学文献から全体像を掴むことにした。11件の観察研究があり、そのうち数件は被験者を10年以上にわたって追跡していた。これらの結果をすべて蓄積したところ、食事でもっとも多く大豆を摂取していた被験者は、摂取量がもっとも少ない被験者に比べて、肺ガンのリスクが23パーセント減少していた。
と書かれています。つまり RR=0.77 ですから 1 - 0.77 = 0.23 で 23パーセント減少なんですね。

ただし、中国上海交通大学医学部のWan-Shui Yangらによると、「大豆とガンの結びつきが当てはまるのは、豆腐や豆乳など発酵していない大豆食品についてだけである。さらに言えば、この効果が見られたのは、一度も喫煙していない人、女性、およびアジアの人たちだけ」だそうです。

さらに、研究がこの調査の分析対象になった米国フロリダ州タンパにある Moffitt Cancer Center の研究者 Matthew Schabathは、大豆と肺ガンの関係を引き出すにはもっと詳しい研究が必要だと警告しています。

「大豆だけじゃないかもしれないね。食物に詰まっている他の栄養素群という可能性もある」

「われわれはこの件を数十年研究しているが、観察研究では一貫して、健康的な食事が有益な効果をもたらすことが示されている。これを覆せるような魔法の錠剤を見つけたわけじゃない。これは複雑なんだよ」

「肺ガンのリスクを減らしたければ禁煙しなきゃダメだ。その次は、世の中の情報には慎重になることだ」

いずれにしても、豆腐は日常的によく食べる食品だし、価格も安い。豆乳も、まあ、これは好みもあるでしょうが、イソフラボンが入っているし種類も豊富。ということで、われわれにとっては、ありがたいというか好都合の研究ですね。

納豆が入っていなかったのは、やむを得ないのでしょうね。

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コメント

女性、一度も喫煙なし、アジア人
に当てはまります!

女性ホルモンが増える、と豆腐などの大豆食品に含まれているイソフラボン
発ガンを遅らせるんですね。

これからの季節は湯豆腐や豆乳鍋もいいですね。

投稿: まるぴょん | 2011年11月24日 (木) 01時50分

大豆と肺癌リスク勉強になりました。本来身体にいい感じと思っていました。これから湯豆腐が美味しい時期になりました 精々食べます。

投稿: ももたろう | 2011年11月24日 (木) 06時14分

大豆はヘルシーな食材とのイメージはありましたが、こういった報告があるともう少し摂らなければと思ってしまいます。しかし大豆料理といえば鍋に入れる豆腐くらいしか思いつかないのが残念です。納豆以外に大豆そのものを美味しく食べる料理があればいいのですが?豆腐に限らず日本古来の食材を見直す方が良いのかも知れませんんね!

投稿: ojalman | 2011年11月24日 (木) 15時57分

ダイズと「肺癌」ですか!不思議な組み合わせですね。
豆腐のような健康的な食品では、他の癌に対する論文もありそうですね!
しかし…やはり肺癌の論文のディスカッションは禁煙に行き着くんですね(笑)

投稿: kirichan | 2011年11月24日 (木) 17時38分

納豆は好きなのでぜひ入っていて欲しかったですね。。。。
でも色々な日本食に豆腐は使われていますし、アジアである日本にとってはうれしい報告ではないでしょうか。

投稿: @K | 2011年11月24日 (木) 17時49分

まるぴょんさん、ももたろうさん、ojalmanさん、kirichanさん、@Kさん
みなさん、コメントありがとうございます。

どなたもお書きになっていらっしゃいますが、豆腐をはじめとする和食の「食材」はすばらしいですよね。その豆腐(というかイソフラボンと言うべきか?)の効果が、但し書き付きとはいえ、実証されたのは、日本にとっては本当に嬉しい結果です。他にもすごいパワーを秘めた食材があってもおかしくないですよね。

ひょっとして、「和食の食材+和食の調理法+腹八分」はすごいのかも...

ちなみに一昨日の夕食、私は豆乳鍋でした。

肺ガンの話になると「禁煙」が出てくるのは、もはや「お約束」の域に達しているのかもしれませんね。

投稿: fumixie | 2011年11月24日 (木) 21時47分

女性ホルモン効果?を期待して毎日豆乳フルーツジュースを飲んでいます。が、まさか肺がんにも良いなんて!勉強になりました。豆乳鍋に湯豆腐...美味しく食べられる季節ですから、とても有難いお話です(^^)

投稿: マルユー | 2011年11月25日 (金) 12時58分

マルユーさん、コメントありがとうございます。

われわれにとても身近な食材にこういう効果があるのは、とてもありがたいですよね。刻んだネギと鰹節と生姜を乗せた冷ややっこ、湯豆腐、豆乳鍋、いいですね。

江戸時代には「豆腐百珍」というレシピ本があったらしいですが、どういう内容だったのか、ちょっと興味があります。

投稿: fumixie | 2011年11月25日 (金) 21時17分

納豆入ってないのは残念です。個人的にはソイジョイが気になります。

投稿: 小野 | 2011年11月30日 (水) 14時37分

小野さん、コメントありがとうございます。

納豆が入っていないのは、私も残念です。でも納豆に馴染みがある国は、そうはないですよね。

投稿: fumixie | 2011年11月30日 (水) 16時30分

一度も喫煙したことのないアジア人です。残念ながら女性ではありませんが・・・でも大豆がガンリスクを下げるのは豆腐好きの私には嬉しい話ですね。

投稿: タケノコ | 2011年12月 9日 (金) 13時22分

タケノコさん、コメントありがとうございます。

そうですよね。日常、馴染みの深い(しかも安価な)食材でこういう効果が得られるのは、なんともありがたいことです。

投稿: fumixie | 2011年12月 9日 (金) 23時24分

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