ビタミン・サプリメントで死亡リスク上昇?
文:屋台ブルー < ライフログオーガナイザー >
とある学会に参加した時、発表スライドでご自分の服用サプリメントを紹介されていた演者の先生がいらして。その種類と数に驚いた事がある。
サプリメントを服用している一般人は多いけど、医療関係者でも多いんだと感じた瞬間だった。
私はサプリメント否定派で、サプリメント無しで健康的な生活を送るための情報提供をしているつもり。私が好きな「内科開業医のお勉強日記」の先生も同意見のようだ。
サプリメントというのは栄養補給食であり、栄養状態の良い人への投与というのはベネフィットよりリスクの方が大きくなる。そして、野菜果物などに代替できるるようなものではない。サプリメントはあくまでも不足している栄養素を補充するものであり、足りない栄養素があるってことは、食習慣の改善余地があることを意味する。特殊な状況でないかぎり安易にサプリメントに頼らないほうがいいと思う。
私は今日のニュースをみて嬉しくなりました。安易にサプリメントを服用すると死亡リスクが上昇するかもしれないってことだ。
ライフログでサプリメントの弊害報告をあまりしてなかったけど、これからとり挙げていこうと思う。サプリメントの弊害をとり挙げて説明しているのが「内科開業医のお勉強日記」である。興味がある人は読んでください。
しかしながら、2つの重要な事を頭に置いてください。
まず、何度も繰り返して説明しているけど、今回の報告は疫学調査、そう観察研究だってこと。因果関係はわからないから、サプリメントの服用が原因で死亡リスクが上昇したかどうかはわからない。あくまでもサプリメント服用と死亡リスク上昇に関連性が示されただけ。だから今日の記事タイトルに「?」を入れている。考えようによっては、調子が悪いからサプリメントを服用しているかもしれない。まあどちらにしても調子が悪くて服用していても効果がないってことにはなりそうだ。
そして、次に重要なことは、サプリメントを服用していても実際は何を摂取しているのかわからないってことだ。サプリメント愛好者は次のライフログのエントリーを必ず読むように。
要するにビタミンを摂っていても有害な物質を摂っている可能性が大いにあるってこと。
私はビタミン剤を長期服用する気は無いですね。食材でも汚染を考えなければならないのにサプリメントの安全性を考えるなんてしたくないね。やっぱり野菜や果物をしっかり食べる方が好きだな。
ビタミン・サプリメントで死亡リスク上昇?
2011年10月10日:55歳から69歳の女性を対象にしたアイオワ女性の健康調査(Iowa Women's Health Study)から、ビタミンとミネラル(特に鉄分)のサプリメント服用と死亡リスク上昇の関連性が報告がされていた。
多くのビタミン剤(サプリメント)と死亡リスク上昇に関連があったわけじゃないけど、いくつかに関連性が示された。それは、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、そしてミネラルとして鉄、マグネシウム、亜鉛に銅だ。
フィンランド、東フィンランド大学の公衆衛生および臨床栄養学センターのヘルスサイエンスのJaakko Mursu医師のグループが雑誌Archives of Internal Medicineに報告した内容だ。
「サプリメントは広く服用されていて、健康への影響を今後も調べていく必要性はある」とMursu医師のグループは述べている。「さらに言えば、マルチビタミン・サプリメントの長期間服用の影響はわかっていないし、服用者数が少ないサプリメント、例えば鉄や他のミネラルの影響もわかっていない。」
今回の調査は、サプリメント服用と全死亡リスクの関連性を調べたもので、アイオワ女性の健康調査(Iowa Women's Health Study)のデータ(99.2%が白人で98.6%が閉経)を使っている。総数38,772名の高齢女性のデータ(16ページにわたる質問票)を解析していて、年齢は55歳から69歳、調査開始年度だった1986年に平均年齢は61.6歳だった。ビタミン・サプリメントに関する自己申告の調査データを1986年、1997年と2004年の3度集めている。
2008年12月31日までに総数15,594名が亡くなったが、調査開始時の約40%にあたる。マルチビタミン・サプリメント服用は、絶対死亡リスクを2.4%上昇と関連があった(ハザード比、1.06; 95% CI, 1.02-1.10)。サプリメント服用の自己申告数は、1986年から2004年にかけて徐々に増えている。さらに言えば、サプリメントを服用する人は、高学歴で、肉体的活動性は高く、エストロゲン補充療法も受けていることが多かった。
ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛に関して言えば、死亡リスクが3%から6%の増加と関連性が見られ、銅は、摂取していない人と比べると総死亡リスク18.0%上昇と関連していた。
これとは対照的に、カルシウムには負の相関があり、死亡リスク減少の関連性がある(ハザード比:0.91 CI 0.88-0.94; 絶対死亡リスク低下, 3.8%) 。
彼らは、鉄とカルシウムだけ短期間ながら詳細な解析をしている(10年、6年、そして4年のフォロー)。その結果は、全期間を通して得られた結果と同じものだった。
「我々の仮定に対して同意が得られるのであれば、今まで報告されているサプリメントに関する研究は、高齢女性に限って言えば、全死亡リスク低下に関係はないだろう」とMursu医師のグループは結論づけている。「それどころか、普通に服用しているビタミンやミネラル・サプリメントのマルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、そして銅は全死亡リスク上昇と関連性が示されてしまった。」
「生活の質(QOL)向上のようなサプリメントの有益な影響を無視することはできないから、この研究から言えることは、サプリメントの長期間服用に対する疑念が生まれたってこと」と著者は付け加えている。
エディトリアルを見ると、ある種の抗酸化サプリメントであるビタミンE、ビタミンA, そしてβ-カロチンも有害な可能性はあるとデンマークの先生がコメントしている。
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コメント
いつもありがとうございます。僕も多いの同意できる内容でした。
僕もサプリメント服用は否定派で、一時的にどうしても必要ということはあっても、基本的に食物補助で十分と考えています。
最近の記事でサプリメントを推奨するような内容を取り扱っているかな・・・とも思って心配と反省することにしました。
投稿: Ctom | 2011年10月21日 (金) 14時06分
Ctomさん、コメントありがとうございます。
各種ビタミンやミネラルをバランスよく摂取する必要がありますよね。不足しているビタミンも食材で摂取できればいいのですが、ビタミンDのように必要量を食材から摂取できないものはサプリメントを考えてもいいんでしょうね(日光暴露もできない状況の場合)。
投稿: 屋台ブルー | 2011年10月22日 (土) 13時21分
初めて投稿させて頂きます。私も同感です。中学性の子供が野球をやっているのですが、その指導者が、突然プロテインを強制するようになってきました。ビタミンとは質が違うかも知れませんが、食事から取るのが一番だと改めて思いました。
投稿: tommy | 2011年10月24日 (月) 11時54分
tommyさん、コメントありがとうございます。
効率よく筋肉を付けるために運動後30分以内にタンパク質を摂るというのが常識的に言われているので、練習後に帰宅して食事を摂っているのではタイミングが遅いとこの指導者は判断して練習後にプロテインを服用させているんだと思います。私も100kmという一般的じゃない状況で分岐鎖アミノ酸を服用しています。
しかし、最近のスポーツ現場では中学生にプロテインを服用させているんですね。驚きです。練習後にバランスのいい食事と摂るように指導するほうが重要だと思いますが...
投稿: 屋台ブルー | 2011年10月25日 (火) 12時45分
サプリメントは時に害になる、自然のものから摂取して運動を常日頃から行うことが1番なんでしょうね。最近ダイエットを始めたので勉強になりました。今後もよろしくお願い致します。
投稿: | 2011年10月25日 (火) 13時05分
最近健康と体型に注意するようになり、運動を再開しようと思っていた自分にとってはありがたい情報です。体にいいもの食べて、しっかり運動をします!
投稿: タケノコ | 2011年10月25日 (火) 13時10分
サプリメントに何の疑いも抱いていなかったので、
驚きとともに大変興味深く読ませて頂きました。
また色々と教えてください。
投稿: 横田 | 2011年10月26日 (水) 11時48分