« 笑う門には福来る | トップページ | COPDの生涯リスクは4人に1人 »

2011年9月15日 (木)

タバコ:日本禁煙学会、養老孟司氏に反論

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

久しぶりにタバコの話をしよう。ここの読者なら私が嫌煙家って知っているよね。今年から日本禁煙学会に入会して禁煙外来にも力を入れている。

隣の人が食生活の乱れから肥満やメタボになっても直接影響はないけど、タバコは副流煙という問題をはらんでおり、隣で吸われるだけで健康障害を引き起こす可能性があるという理由から、私は嫌煙家になっているけど、声高に主張できない大人の事情もある。

野田首相も吸われているって話で、あの東京大学名誉教授の養老孟司先生も愛煙家ですよね。こういう方々が、例えば隣でタバコを吸われ「すまないね」と仰ると「いえいえ、かまいませんよ」と答えてしまうだろう。ここまでお偉方でなくても、自分の上司や目上の人が吸われていても黙認してしまう。

したがって、私の嫌煙家ってのもこのブログに限られた情けない話ではある(^_^;) さて、今日の話題は、先ほど話題に挙げた養老孟司先生のニュースですが、もう既に知っている人もいるかな?私は日本禁煙学会のメールで知ったけど、養老先生がここまで過激な愛煙家だと思わなかった。少し感情的に反論をしてしまう日本禁煙学会の姿勢も納得ですね。次のニュースを読んでみて皆さんはどう思われますか?

NEWSポストセブンで紹介されている記事全文とそれに対する日本禁煙学会の反論を再掲載するよ。愛煙家の皆さん、どう思われますか?

NEWS ポストセブン 9月6日(火)16時5分配信記事

養老孟司氏「命が大事なら禁煙運動より自動車反対運動しろ」

 4年ほど前に劇作家の山崎正和氏と禁煙運動をテーマに対談し、他人に禁煙を強要する社会の異常性を指摘したところ、日本禁煙学会から質問状が届い た。編集部から止められたので返事はしなかったが、本当は「これからもお互いに末長く元気にやりましょう」とエールを送りたかった。禁煙運動は喫煙者がい なければ成り立たない運動だからだ。

 今さら言われなくても、たばこが健康に悪いことなど、昔から誰でも知っている。私が大学に入学した50年ほど前の話だが、通学途中でばったり出会っ た同級生が「昨日たばこを吸って朝起きたら、口の中に嫌な味がまだ残っている。こんなもの健康にいいわけがない」と言い、「オレはやめるから、お前もやめ ろ」と言った。半世紀も前から「健康に悪い」「お前もやめろ」を飽くことなく続けている。

 世界で最初に禁煙運動を始めたのは、ナチスドイツのヒトラーである。ヒトラーは非喫煙者で、国民の健康増進運動の一環でたばこを禁止したが、それが 優生思想に結びついた。精神病患者の安楽死に始まり、最後はユダヤ人の大虐殺に行き着いた。日本でも2002年に健康増進法が施行され、健康増進に努める のが国民の責務とされたが、国が国民生活に踏み込み、習慣を変えさせようとするのは、戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」と同じである。

----- 日本禁煙学会による反論
 世界で初めて禁煙運動を始めた記録は、ナチス以前にあります。

 私は昆虫採集のためにラオスなどの発展途上国に行き、熱帯雨林に入ったりするが、熱帯性マラリアや住血吸虫病にかかる危険もあるし、現地に行くまで の飛行機もオンボロだ。実際に日本の昆虫学者の中にも飛行機事故で亡くなった方は何人かいる。そんな人間にしてみれば、「たばこが健康に悪い? それ で?」である。自分で判断してやめるのはいいが、国が押しつけることではないのだ。

----- 日本禁煙学会による反論
 国は医療費を管理しており、医療費を下げる努力をする必要があります。特に今のように財政状況が逼迫している時には、国の努力は当然です。世界銀行により ますと先進諸国は、医療費の6-15%がタバコによる増加を被っています。逆に言うとタバコを規制することにより将来的には、医療費の6-15%を減らす ことが期待でき、この分を総医療費を増やすことなく、医療が必要とする多くの患者さんの治療に回すことができます。

 副流煙の問題だというかもしれないが、世界で初めて副流煙の害を唱えたのは元国立がんセンター疫学部長の平山雄氏で、彼の疫学調査には多くの疑問が寄せられ、特に副流煙の害については問題外とされている。

----- 日本禁煙学会による反論
 副流煙の研究をしたのは平山だけでなく、もの凄くたくさんの研究があります。それらは副流煙による肺がんの多発を支持しています(すなわち平山研究の結果 を支持しています)。それに副流煙の害は肺がんだけでありません。喘息の悪化、呼吸器感染症の増加、中耳炎の増加、などなどたくさんあります。それらの中 には、平山研究以前から示されているものがあります。そもそもタバコのにおい、催嘔吐物質のニコチンに曝露して吐き気を催すのも害です。

 たばこは健康に悪いかもしれないが、肺がんの主因であるかどうかについては疑問がある。現実に、日本人の喫煙率は下がり続けているのにもかかわらず、肺がんの発症率は上昇する一方である。

----- 日本禁煙学会による反論
 年齢調整すれば肺がんの死亡率は90年代から減少しています。肺がんの発生率が上昇する一方というのは、全くの誤りです。養老氏は、人間のがんの増加と減少を論じる際の基礎的な知識しか持ち合わせない医学部出身者です。

 日本人の寿命が延びたことも理由だが、発がんのメカニズムは複雑で、原因となるものも食生活から大気汚染、ストレスまで無数にある。たまたま肺にがんができたのを肺がんと呼んでいるだけで、でなければ非喫煙者で肺がんになる人が山のようにいることを説明できない。

 がんを発症するかどうかも個人差が大きく、麻雀に例えれば、配牌がいい人は簡単にあがれる(がんになる)が、配牌が悪いとどんなに悪さをしてもあが れない(がんにならない)。酒もたばこもさんざんやりながら80歳でもピンピンしている人もいる。つまり、がんは根本的には遺伝的な病なのだ。

----- 日本禁煙学会による反論
 原因を特定するのにメカニズムの判明は必要条件ではありません。この点、下記の本を書きましたのでご参照ください。もうすぐ発売です。メカニズムの判明を悪用した例としてタバコ会社の画策を取り上げております。
岩波科学ライブラリー 184『医学と仮説 原因と結果の科学を考える』(2011年9月16日 発行予定) 定価 1,260円(本体 1,200円+税5%)、ISBN: 978-4000295840

 あまりにも「たばこで肺がんになる」というキャンペーンをやりすぎたため、逆にたばこをやめれば肺がんにならないかのような幻想が広がっているのもどうかと思う。禁煙に限らず、「メタボだからダイエットする」とか「サプリメントで足りないものを補う」とか、それで健康になり、自分で寿命をコントロー ルできると信じている人が多い。しかし、それも個人差の中に埋没する程度の効果しかない。

----- 日本禁煙学会による反論
 個人差を考慮して一般法則を導き出すのが科学です。養老氏は科学の基本を全く理解していません。

 健康至上主義がはびこる一方で、日本では交通事故で毎年5000人が亡くなり、自殺で3万人が亡くなっている。いくら健康に気をつけていても、明日、クルマに轢かれて死んでしまうこともあるのだ。本当に国民の命が大事だというのなら、禁煙運動より先に自動車反対運動をしたらどうか。自動車だって排 気ガスで大気汚染を引き起こしている。私には石油業界と自動車業界がたばこをスケープゴートにしているようにしか見えない。

----- 日本禁煙学会による反論
 自動車会社は事故の面でも排気ガスの面でも害がなくなるように最大限の努力をしています。排気ガスは将来的に99%以上減らすと公言しています。タバコ会 社はその努力をしていません。すでに害はあるものの、「排気ガス」をなくせるニコチンパッチが開発されているのに、そちらに移れと推奨していません。「正常な使い方をして体にはっきりとした害のある唯一の商品がタバコです」という1990年頃のアメリカCDC長官の言葉が、害もありうる他の商品とタバコと の違いを明確に表現しています。
 タバコの問題に取り組む人の数が多いのは、他の予防可能な死亡数を足し併せてもタバコの死亡数を大きく下回るほど、タバコの被害が甚大であるにも拘わら ず、有効な対策が十分に打たれていないからです。そもそも私などはタバコの害だけでなく自動車排ガスの害の研究もしております。自殺の研究も一部手がけて います。医学研究者を名乗っているのに、タバコの害の研究もせず、自動車排ガスの研究もせず、自殺の研究もせず、タバコ会社の講演を引き受けまくっている 養老氏に「自動車反対運動をしろ」という資格はありません。
 以上、養老氏は、逃げ回らず、公開の場で討論すべきです。情報公開と平等な議論は、科学の基本です。

|
|

« 笑う門には福来る | トップページ | COPDの生涯リスクは4人に1人 »

コメント

喫煙される人とタバコを吸わない人との意見の違いは世の中からタバコが消えない限りなくならない問題ですね。

最近は分煙化が進み、飲食店だけでなくデパートやショッピングセンターでも、店内の入り口や駐車場の片隅に喫煙スペースが設けられています。

煙を気にされる方への配慮なのでしょうが、コンビニ等に置かれている大きな灰皿を見ると、逆に『これだけ喫煙者がいるんだな。体に悪い影響ないのか。』と、喫煙しない立場ですが、尚更気になります。

投稿: ten | 2011年9月15日 (木) 15時51分

まあ、意見の違いはタバコが世の中に存在する限り続くでしょう。

この記事で触れなかったけど、日本禁煙学会は厚生労働省に「タバコ1箱1000円への値上げ要請」を提出していました。

日本は国としてタバコ規制枠組条約(FCTC)を批准しています。条約を批准するということは、国内法を改正し法律を整備し て、条約を誠実に実行すのが一般的だそうです。しかし、日本で事情が異なっており。条約は批准するけど、勝 手な解釈によって国内法は改正せず、法律を整備しない立場をとっているそうだ。

投稿: 屋台ブルー | 2011年9月15日 (木) 18時27分

嫌煙家と愛煙家の議論はどこまで行っても尽きませんが、傍目にはこれほど面白いものはありません。そもそも嫌煙家の存在はオセッカイに過ぎないのですが、副流煙を理由に社会悪にもって行こうとしています。既に分煙は進んでいますし、それを無視する愛煙家も居ないと思います。冬のベランダで蛍族になる親父の気持ちを理解してあげるべきではないでしょうか!養老孟司氏と禁煙学会どちらの意見も説得力に欠けると感じるのは私だけでしょうか?

投稿: ojalman | 2011年9月19日 (月) 19時44分

私も嫌煙人です。
喫煙者の健康が害されるだけなら別に構わないかと思います。
しかし完全な分煙化は、今の日本人のモラルから考えて無理かと思います。そこで完全禁煙運動が起きるんでしょうね。
相手の好きな事を否定する権利はありませんが、それで健康を害される謂れもありません。
結局堂々巡りですね(笑)

投稿: kirichan | 2011年9月20日 (火) 16時32分

がんの原因とか煙草というより
ストレスかなあと思う。
だから、他人にストレスを与える
迷惑喫煙はアウト。
こういう難しい議論は
いらないかもしれないですね。

投稿: | 2012年5月24日 (木) 16時35分

その通り、喫煙の正当性など存在しません。税金うんぬんとぬかす輩と議論もしたくないね。

投稿: 屋台ブルー | 2012年5月24日 (木) 20時32分

>既に分煙は進んでいますし、それを無視する
>愛煙家も居ないと思います。

そこらに山ほど居る件について。。。

投稿: | 2016年11月11日 (金) 18時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/117495/52735491

この記事へのトラックバック一覧です: タバコ:日本禁煙学会、養老孟司氏に反論:

« 笑う門には福来る | トップページ | COPDの生涯リスクは4人に1人 »