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2011年9月25日 (日)

魚と卒中

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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2011年9月23日付けでロイターに載った "Food for thought: can fish lower your stroke risk?"(魚は卒中のリスクを下げるか?)という記事によると、毎週何回か魚を食べている人は、ほとんど、ないしはまったく食べない人よりも卒中のリスクが下がるのだそうです。

同記事によると、これは、魚を食べる頻度を尋ね、その後卒中が起きるかどうかを4年ないし30年間追跡した15件の研究を分析した 結果だとのこと。

ハーバード大学公衆衛生学部(Harvard School of Public Health)の疫学者Dariush Mozaffarian博士によると、「全体的に見れば、魚は本当に有用な栄養素のパッケージだ。とりわけオメガ3系がそうだ。卒中のリスクが下がる理由もこれで説明できる。週に2人前から3人前くらい食べれば十分効果があると示唆している証拠がたくさんある」

米国では年間80万人近くが卒中を発症し、そのうち13万6千人が亡くなっていて、喫煙、飲酒、過体重、高血圧、高コレステロールはどれも卒中のリスク上昇に関係しているそうですが、スウェーデンのストックホルムにあるKarolinska InstitutetのSusanna Larsson博士とNicola Orsini博士がStroke誌に寄せた記事によると、魚のオメガ3脂肪酸は、血圧とコレステロールに対するプラスの効果によって、卒中のリスクが下がる場合があるそうです。

さらに、魚に含まれるビタミンDとセレン、およびある種のタンパク質も卒中に関わる効果がある、とMozaffarian博士は付け加えています。

この研究で分析したデータは40万人近くの30歳から103歳までの被験者で、研究場所は米国、ヨーロッパ、日本、および中国です。それによると、数年ないし数十年の間に、場所はともかく、9400人ほどが卒中を発症しました。そして毎週魚を、もうあと3人前食べていると、卒中のリスクは6パーセント低下していたのだそうです。また各々の研究で、もっとも多く魚を食べた被験者は、摂取量がもっとも少ない被験者よりも卒中を発症する可能性が12パーセント低かったとも報じています。

Mozaffarian博士自身の報告では、食べた魚によって効果を分類しており、当然のことながら、揚げ物やサンドイッチで魚を食べた人には、卒中に対する効果は何も見られなかったそうです。しかしこの研究では、揚げ物以外の魚を食事に増やせば卒中にならないとは証明できず、Mozaffarian博士はこう言っています。「他の面でも健康的な食事をとること、もっと運動することなど、そういったことすべてが卒中のリスクを下げるのだ」

それでも、ほとんどの研究では、できるだけ魚の効果を特定するために、他の健康面や栄養面の要素を考慮しようとしていて、その結果、因果関係が示されているようです。

「魚をほとんど、あるいはまったく食べない人がもっと頻繁に食べるようにすれば、得るものはもっとも多くなる可能性がある。魚をそこそこ食べるようにすれば、かけた金以上のものが得られるのだ。週に数人前といったところだ」とMozaffarian博士は言っています。

脂の多い魚、たとえばサーモンやニシンには、とりわけオメガ3系が豊富です。米国心臓協会では、とりわけ、毎週脂の多い魚を最低でも2人前は食べるよう勧告しています

以上。

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コメント

確かに毎週魚を食べる機会は少ないです。

魚と肉だと外食していても、メニューも魚より肉料理が多い気がします。

しかし、卒中リスクを考えれば気をつけて魚を選ぶ機会を増やしてみようかと思います。今からの季節だとサンマがおいしい季節になりますし、季節の魚を美味しく食べればリスクも苦痛なく増やさずにすみそうですね。

投稿: ten | 2011年9月29日 (木) 14時43分

tenさん、コメントありがとうございます。

そうですよね、魚も含めて旬のものは美味しいです。ただ、私の場合もそうそう毎日魚が食卓にのぼるわけではないので、私は間食で煮干しをポリポリ食べてます。

パッケージの表記を信じれば、可食部100グラム中に、タンパク質 (71.4g)、脂質 (6.8g)、炭水化物 (0.8g)、ナトリウム (540mg)、カルシウム (2700mg)、鉄 (8.8mg)、ナイアシン (21.2mg)、DHA (570.0mg)、EPA (630.0mg) が含まれていることになっています。

1回に手のひらに軽く一杯(実測値でおよそ5g)食べるとすると、計算上は上記数値の20分の1は摂取できることになります。けっこうお手軽な気がします。

投稿: fumixie | 2011年9月29日 (木) 21時08分

晩ご飯のメインをお肉から魚に切り替えた日は翌日の胃もたれや不快感がなくて体が軽くなる気がします。

ただ、手間は圧倒的にお魚の方がかかるのでどうしても時間がない時はお肉に偏ってしまいますね。

旬のものなどは本当においしいので、手早く調理できるようになりたいです。

投稿: パン子 | 2011年10月13日 (木) 15時54分

パン子さん、コメントありがとうございます。

そうですよね、「魚の時は身体が楽」は私も感じます。私の場合は、スーパーマーケットで買ってきた切り身をグリルで焼くだけだし、手をかけるとしても、切り身をフライパンでソテーするだけなので、あとでグリルの網を洗う手間を除けば、大して手間はかかりません。あるいは刺身ですね。

1匹まるごと買ってきて、はらわたを取って、3枚におろして...ということになると、かなり手間ですよね、たぶん。(私はできないけど)

投稿: fumixie | 2011年10月13日 (木) 18時04分

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