睡眠の質が悪かったら糖尿病も悪化?
文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>
先日、 睡眠時間の不足で体重が増えるという話をしたけど、最近の睡眠の話題は、睡眠時間から睡眠の質に移っている。
色々な健康障害のリスクと短い睡眠時間の間に相関があるという疫学データは過去に何度も紹介されている。しかし、基本的に人が必要とする睡眠時間には個人差があり。睡眠時間だけで睡眠が不足しているのかどうか判断しにくい。
睡眠時間以外で睡眠不足を評価する方法として眠気を評価しているのだろう。眠気をスケール化して評価する方法もいくつかあるけど、一般的にEpworth Sleepiness Scale(エプワース眠気尺度)がよく使われている。欧米の質問票の項目を一部改定して日本人に合わせた日本語版があるのでそれを紹介しよう。(→ ESS (Epworth Sleepiness Scale) 日本語版 認定NPO法人 健康医療評価研究機構)
8つの状況下で、どのくらいうとうとするか4段階で点数化する方法だ。
全くうとうとしなければ0点、少し可能性があれば1点、半々ぐらいなら2点、かなりの確率でうとうとするのであれば3点という基準で以下のすべての項目に答えてください。
1) すわって何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、種類など)
2) すわってテレビを見ているとき
3) 会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき
4) 乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき
5) 午後に横になって、休息をとっているとき
6) すわって人と話をしているとき
7) 昼食をとった後(飲酒なし)、静かにすわっているとき
8) すわって手紙や種類などを書いているとき
copyright, Murray W. Johns and Shunichi Fukuhara 2006.
この合計点が10点以上だったら眠気が強いということで質のいい睡眠ができていないだろう。
先日、CARDIA研究のサブ解析の結果が雑誌Diabetes Careに掲載された。1985年に18歳から30歳の成人が登録され、糖尿病患者と非糖尿病患者を対象にして睡眠の質をActigraphy(アクティグラフィ)と呼ばれる腕時計型の活動モニターと不眠症の質問票(← 不眠症の評価票はESSの眠気尺度と異なるけど、睡眠時間じゃなく睡眠の質を評価しようとしている)により、睡眠の質を評価している。
この結果で示されたことは、糖尿病が無い人は、血糖のコントロールの悪化は無かったけど、既に2型糖尿病がある患者さんで、不眠症があれば、不眠症の無い糖尿病患者さんに比べて、空腹時血糖が23%増加して、空腹時インスリン値はは48%増加していた。ようするに、不眠症の糖尿病患者さんの血糖コントロールは悪いって話だ。糖代謝と睡眠は密接に関わりあっているんだよ。
メタボな人、糖尿病の危険性がある人、ちゃっと眠れてますか?不眠症だったら糖代謝が悪化して糖尿病を発症させちゃいますよ。ちゃんと寝ましょうね。
それから、最後に一言、不眠症の診断基準に睡眠時間は入っていないよ。不眠症の診断基準には日中の眠気があるからESSでスコアが高い人、要注意でしょう。
明日は、ESSと血糖コントロールの報告をお伝えしましょう。では。
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コメント
睡眠の質、ですか。
最近暑くなってきて夜に目が覚めることも増えてきましたし、睡眠の質が落ちてることは否定できませんね。。。
夏場の睡眠の質は課題になりそうです。
投稿: @k | 2011年7月 5日 (火) 16時03分