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2011年7月 6日 (水)

睡眠時無呼吸じゃないよ、眠気が糖尿病に悪い?

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

昨日の話の続きをしよう。睡眠の質を評価する方法はいくつかあって、どの方法が優れているのかコンセンサスはまだ得られていない。昨日少し話題にしたActigraphy(アクティグラフィ)で測定できるSleep Fragmentation(睡眠断片化指数)や不眠症の質問票も質を評価するものだろう。そして、Epworth Sleepiness Scale(エプワース眠気尺度)も眠気を評価することで睡眠の質をみていると言える。

じゃあ、睡眠時無呼吸症候群の診断に使用される睡眠ポリソムノグラフィで測定されるAHI(Apnea-Hypopnea Index/無呼吸低呼吸指数)はどうだろうか?

AHIとは、睡眠中に10秒間以上の呼吸停止が1時間あたり何回認められるかで表され、正常の人は、AHI<5で、AHI>=15なら明らかに異常で睡眠時無呼吸症候群という診断になる。

じゃあAHIが高値なら睡眠の質が低下している可能性はあるよね。

これに関して考えさせられる報告があったよ。実は先月、SLEEP 2011: Associated Professional Sleep Societies 25th Annual Meetingで発表された内容だ。

MedScapeの記事を紹介しよう。

Sleepiness, Not Sleep Apnea, Linked to Poor Glycemic Control
睡眠時無呼吸じゃないよ、眠気が糖尿病が悪い

ResMedで進行中の多施設共同研究のGLYCOSA臨床研究の研究開始時のデータによれば、睡眠障害と血糖値コントロールの関連性は、かなり複雑な状況になっていることがわかった。

2011年、SLEEPカンファレンスで、メリーランド、ボルチモアのジョン・ホプキンス大学のR. Nisha Aurora医師がデータを発表した。

2型糖尿病で閉塞性睡眠時無呼吸の患者を登録した研究開始時の基本データを解析して得られた驚くべき知見というのは、血糖コントロールと「睡眠時無呼吸の一般的な指標」の間に関連性が無かったということで、この一般的な指標というのは、Apnea-Hypopnea Index/無呼吸低呼吸指数(AHI)、もしくは(*)Oxygen Desaturation/酸素飽和度低下指数(ODI)のことである。

(*) Oxygen Desaturationとは、帯用パルスオキシメータを使って、無呼吸や低呼吸による4%(あるいは3%)以上の飽和酸素低下が1時間に起こった回数で15以上が異常

「さらに驚くべきことは」、血糖値コントロールと眠気(Epworth Sleepiness Scale/エプワース眠気尺度(ESS))との間に関連性があったということ。

CPAPと血糖コントロール

GLYCOSA臨床研究は、閉塞性睡眠時無呼吸で2型糖尿病患者の血糖コントロールにCPAPが効果あるがどうか評価する研究で、患者さんの登録を現在進行形でしているところだ。

531名の被験者(65.5%男性、86%白人)、平均年齢62歳、BMI値32のデータを解析している。

この研究では、3ヶ月以上糖尿病の治療を受けられている(経口血糖降下剤およびHbA1cが6.5-8.5%)患者で、睡眠時無呼吸の診断を新規に受けた人が登録されている。

解析に使った被験者の平均AHIは20で、平均HbA1cは7.1%。

HbAicは、AHIもしくはODIと関連性が全く認められなかったけど、眠気の非常に強い(ESSスコアが12以上)患者は、ESSが7以下に比べて、HbA1c値は高かった(7.3% vs 7.0%; P<.007)。当然のように、年齢、性別、人種、クリニック間、BMI値、そして腹囲など交絡因子を補正した後での話だ。

「非常に臨床的な意味合いが強いと考えられるのは、眠気の強い患者さんは、ある程度HbA1cの値が高めで、」さらに説明しているが、「糖尿病患者に眠気を訊ねるだけで、血糖値のコントロールがいいかどうか見極めることができるかもしれないからだ。」

この知見は本当に興味深い。血糖コントロールに関連する睡眠の指標を分けて考えていかなければならないと、この研究の主任著者であるNaresh Punjabi医師は話す。

「ESSは、いったい何の指標になっているのだろう?」単なる眠気の指標だけじゃなく、健康のある側面を意味しているのかも?たぶん、病態のコンディションを表す何らかの指標になっているんだろう。」質疑応答時に彼はこんな感じで答えている。「医療提供者としてみれば意味深い。単純な質問で、興味深い見解が得られるからね。」

睡眠それとも眠気?

睡眠時無呼吸のマーカーと血糖値コントロールに関連性は無かったという報告に驚いたと、ペンシルベニア州、ピッツバーグのピッツバーグ・メディカルセンター・睡眠センターの副部長で、このセッションの座長を務めたCharles Atwood医師は話す。

「ここで問題なのは、睡眠時無呼吸と血糖値コントロールに関連があるのは本当のところ何なのか、眠気なのか、睡眠なのか?この研究から考えさせられるのは、『眠気』の本質に何かもっと他のものがあることで、そこが驚きに繋がる。」

「睡眠に関わる他の側面を明らかにするために、更にデータの解析が必要になるだろう。色々と考えさせられる研究だ。エプワース眠気尺度は健康を本質的に見極める代理的な指標になっているところが面白い。」

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いやはや、睡眠の質としての眠気の評価、非常に興味深いですね。眠気はだれでも自覚できるし、眠気があるということは、かなり健康面で損をしているって事になる。まともな仕事もできないだろう。そう考えれば、睡眠環境の重要性は当然でしょう。夜中にテレビを点けっぱなしにして寝ているあなた、いつも体調が悪いでしょ。それに太っているんじゃない?

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コメント

ESSスコアは9点でした。
私は、就寝時は真っ暗、無音でないと寝れません。
パートナーが真逆の人だと生活もうまくいきそうでは
ないですね…
ハチミツを飲んで就寝すれば更にGOODでしょうかね!!

投稿: MK | 2011年7月 8日 (金) 09時47分

MKさん、コメントありがとう。

ESSギリギリですね。真っ暗にして寝るのはいいことですが、夜眠くなったら寝てしまうタイミングも重要です。早めに寝て朝早く起きる早朝型の人間になるというのはどうでしょうか?

投稿: 屋台ブルー | 2011年7月 8日 (金) 11時10分

私は眠気の強い週とそうでもない週があります。強い週はESS8~9でしょうか。週末に仕事が入り充分な休養が取れない翌週か、仕事上のストレスがあり睡眠の質が低下している週が眠気が強い様です。血糖値とはあまり関係はなさそうですが、睡眠の質を高める工夫が必要ですね。

投稿: ojalman | 2011年7月11日 (月) 00時51分

私の場合はESS=5前後でしたが、それも条件があって、「すわって」のところで、使う椅子がデスクワークなどで使う椅子の場合です。椅子が「リクライニングチェア」の場合で、なおかつ背もたれを少し後ろに倒した状態で読書をしたりすると、けっこう眠くなります。

「3) 会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき」の「静かにすわっている」というのは、会議にしろ映画にしろ、内容がつまらないという意味なんでしょうか?もしそうなら、効果てきめんですよね。興味があったり気分が高揚するような内容なら、静かにすわってはいられませんよね。

投稿: fumixie | 2011年7月11日 (月) 15時27分

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