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2011年7月 3日 (日)

睡眠でスリムでいられる

文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>

昨日の話の続きだ。ちょっと古い2006年のBBCニュースを紹介しておこう「Sleeping may help keep you slim/睡眠でスリムでいられる」というタイトルで、質のいい睡眠は気分を爽快にするだけじゃなく、体型をスリムにとどめるというサブタイトルがついている。

オハイオのケース・ウエスタン・リザーブ大学のSanjay Patel医師らの研究者が70,000人の女性を16年にわたって調査している。

5時間より睡眠時間が短い女性の1/3は、夜ぐっすりと眠る女性に比べて少なくとも15kgは体重が増えてそうだ。

この2006年の頃の話では、睡眠と体重増加の関連性を長期間にわたって調べた最も大きな研究だったそうだ。

浅い眠りの女性は、7時間眠った女性に比べて、15%ほど肥満になりやすかったという事実もある。

ここでいう肥満は、皆さんご存じのように身長に対する体重の指標BMI値(体重kg÷身長m÷身長m)を使っているからね。

摂食行動に理由がある訳じゃない

今回の研究報告で更に分かったことは、浅い眠りの女性がたくさん食べていたり、エクササイズが少なかったという理由じゃないということ。

調査開始時に、5時間より睡眠時間が少ない女性は、7時間睡眠を取る女性に比べて、平均して5.4ポンド重く、10年を経過して更に1.6ポンド以上余分に体重を増やしていた。

たいした体重増加には思えないかもしれないけど、これは平均値であり、ある女性はこれ以上増えている。そして、ちょっとした体重増加は、健康障害、例えば糖尿病や高血圧症のリスクを増加させる。

これまでの研究報告を見れば、数日の睡眠制限をさせると、食欲をコントロールしているホルモンによって空腹感が引き起こされることから、睡眠時間が短ければ食べる量が増えると思われていた。

しかし、実際は食事は少なかった。このことから食欲と食事が、睡眠時間の少ない女性の体重増加の理由にはなっていなかった。

じっとできない

睡眠時間が少ないと休んでいる時の消費カロリーが変化しているのかもしれないとPatel医師は説明している。

代わりに、睡眠時間の少ない女性は、カロリーを消費する落ち着きのない無意識の活動性が失われる傾向があるのではないかと考えている。

2004年に雑誌Sleepに掲載された米国国立精神保健研究所の報告に似たような結果が示されている。

研究者によれば、睡眠不足によってカロリー消費をコントロールするホルモンのバランスが変わることが理由と考えている。

ノッティンガムにいるIan Campbell医師も説明しているが、睡眠不足の人は疲れれば疲れるほど、日中の活動性はどんどん減るからだと考えている。

不十分な睡眠によるストレスに対して自然なホルモン応答によって、代謝率が変化したり、さらに接触行動にも変化が加わるのでしょう。

「はっきりしていることは、一人一人色々な生き方がありそれが健康に影響を与えている」ってことだ。

「体重増加をさせたくないと思っているなら、健康的な食事、活動的なライフスタイル、そして質のいい睡眠以上の事はない。」

「多くの女性が体重が増やさないで食べる量を増やす秘密を知りたかっているけど、悲しいけど、その方法は説明できていない。」

とまあ、睡眠とダイエットの関連性に関する研究はこの頃からかなり進んでいるよね。少しずつ紹介していこう。

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コメント

睡眠時間は5時間程度ですが、ベッドに横になるとすぐに眠れて朝も携帯の目覚ましだけですぐに起きれるので、睡眠の質はかなり良い方だと思っておりました。が、お昼御飯を食べるとものすごい眠気に襲われ、お昼寝が習慣化しております。もしかすると夜の睡眠だけでは足りていないのでしょうか?今回は体重増加についてでしたが、睡眠不足は他にもさまざまな悪影響を及ぼすことが明らかになっているので、気をつけて行きたいと思いました。けれど仕事が遅いとなかなか早くは寝られませんが・・・(泣)

投稿: はるうらら | 2011年7月 4日 (月) 14時25分

初カキコミです。よろしくお願いします。
先日某テレビ局の「た○してガ○テン」という番組で、睡眠時間と脂肪肝の関係について特集されていました。
睡眠中は肝臓に蓄積された脂肪を代謝するとか…。体重にも顕著な差が現れるようです。

どのような理由につけても、充分な睡眠!心掛けたいですね!

投稿: きりちゃん | 2011年7月 7日 (木) 00時34分

きりちゃん、コメントありがとうございます!

すみません、謀テレビ局の番組を観ていないので、コメントできませんが,最近、睡眠が注目されていますよね。

全遺伝子発現の10-25%は、概日リズムによって劇的に変化することが分かっていて、このことは、人の行動も含め、生理学的、生化学的働きが概日リズムによって変化することを意味します。

医科学的専門用語を使えば、短い睡眠時間は、Chronodisruption(CD)(←これは時間軸障害と言ったらいいかな)のことで、数々の病態の原因になっているんです。

疫学研究(私のブログで紹介することが多い)から、このエントリーで紹介した肥満、さらに高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症などメタボとの関連性も分かっています。

さらに、短期間ではあるが睡眠時間を減らした実験をみても、耐糖能、インスリン抵抗性を悪化をさせ体重は増えているし、食欲に関連するホルモン(レプチン/グレリン)に影響も与えて摂食行動の変化、エネルギー消費効率も変化しています。

睡眠不足から肥満になることで脂肪肝になってしまうのか、睡眠不足が直接、脂肪肝の原因になるのか知りませんが(←もしデータがあれば教えて欲しいです)、期日リズムを指揮をしている視床下部の視交叉上核で発現するCLOCK(*)の変異体を発現させたマウスの実験から、過食や肥満が引き起こされ、高レプチン血症、脂質代謝異常、そして脂肪肝、高血糖、低インスリン血症が導かれたという報告はあります。

(*)遺伝子の表記はややこしい。基本的に「Clock」と書けば、遺伝子で、「CLOCK」と書けば遺伝子産物。

私自身、複雑な時間生物学のメカニズムを把握しきれていませんが、CDを引き起こす指標として、睡眠時間じゃなくて「眠気」だよって、メッセージを送りたいんです。

質のいい睡眠を取りましょう!

投稿: 屋台ブルー | 2011年7月 7日 (木) 16時09分

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