ビタミンD高値だと糖尿病発症リスク低下
文:屋台ブルー <ライフログ・オーガナイザー>
話題のビタミンDに関して1つニュースがあるよ。色々伝えたいことはあるけど、なかなか紹介できず申し訳ない。先月末(6/24-6/28)に、米国のサンディエゴで第71回米国糖尿病学会(ADA 71st Scientiic Sessions)が開催された。ここで発表された数々の知見が現在ニュースとして出回っている時期なんですよ。
そんな中、ビタミンDの話題がとり挙げられていたので紹介しよう。
血中のビタミンD値が高値だと糖尿病発症リスクが低下するという報告があった。
ここでいうビタミンD値は25(OH)Dと読み取ってください。
マサチューセッツ州、ボストン、タフツ・ニューイングランド・メディカル・センターの内分泌・糖尿病・代謝部門に所属するAnastassios G. Pittas医師のグループが第71回米国糖尿病学会で報告した内容だ。
Pittas医師によると、ビタミンDがインスリンの分泌や感受性に対して重要な役割を果たしている可能性があるという。「膵臓のβ細胞に好影響を与えるというエビデンスばかりだ。」とMedscape Medical Newsに答えている。
ビタミンD値と糖尿病発症リスクの関連性を調べるために、糖尿病予備群の被験者を強化ライフスタイル改善群、メトフォルミン(糖尿病薬)投与群、そしてプラセボ(偽薬)群の3群に分けて糖尿病発症の危険度を調査をしているDPP(Diabetes Prevention Program)臨床試験のデータを解析している。
このコホート試験に属する2039名の平均追跡期間は3.2年だった。血漿ビタミンD値は毎年測定され、同時に糖尿病発症が評価された。この解析には、強化ライフスタイル改善群とプラセボ(偽薬)群のみ含まれていた。
ビタミンD値が最高三位(平均値、30.1ng/mL)だった被験者グループは、最低三位(平均値12.8ng/mL)のグループと比較すれば、糖尿病発症の相対危険度は0.74(95%, CI, 0.59-0.90)だった。
更に言えることは、ビタミンDの効果は用量依存性で、ビタミンD値が最も高かった群(50ng/mL)は、最も低かった群(平均値12ng/mL以下)と比べると、糖尿病発症の危険度は0.46(95%, CI, 0.23-0.90)たった。
ビタミンD値を3つのグループに分けたサブ解析を見ても、プラセボ(偽薬)群(0.72;95%CI 0.53-0.96)と強化ライフスタイル改善群(0.80;95%CI 0.54-1.14)は同様だった。
Pittas医師によると、「過去の研究報告よりも方法論で優れている点は、調査期間中にビタミンD値を複数回測定しているところで、試験開始時に一度しか調べない過去の研究と比べれば、長期間にわっってビタミンD値の状態を評価していることになる。」
「この研究で、糖尿病の高リスク群という臨床的に意義のある集団を評価しているし、白人以外の人種もかなりの数含んでいるので、統計的にも一般的な状況下で真実の可能性は高いだろう。」と言いながらも、「観察研究なので、完全に交絡因子を排除することはできず、糖尿病を予防するという理由だけでビタミンDを勧めるのは時期尚早だ。」と締めくくっている。
この研究に関わっていないビタミンD研究者、Clifford Rosen医師によると「このプロスペクティブ研究でビタミンD値と糖尿病リスクの関連性は確認されたけど、体重で補正しても、25(OH)Dの絶対的な閾値を見いだせなかった」という。次に必要なのは、2型糖尿病の高リスク群を対象にしたビタミンDと偽薬を使ったランダム化プラセボ比較試験ということだ。
それでも今のところ高リスク群のビタミンD値をモニターすることは重要で、個人的にビタミンD値を20ng/mL以上にしておきたいところ、ってのが大方の意見のようだ。
メタボな人、あなたの25(OH)D値は20ng/mL以上ありますか?
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