« え?汚い空気の方が喘息が発生しにくい? | トップページ | 平成23年5月の予定 »

2011年4月24日 (日)

タバコとお腹の赤ちゃんの成長 〜サードハンド・スモーク再び〜

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

妊娠中の女性は、お腹の赤ちゃんを守るために、サードハンド・スモークがありそうな場所には近寄らないようすべきだ。サードハンド・スモークの毒は赤ちゃんの肺の成長にダメージを与える可能性がある
〜Virender Rehan M.D. (LA BioMed の研究責任者で本研究の著者)〜

久々にサードハンド・スモークの記事です。なおサードハンド・スモークに関連する他の記事については、こちらの索引 をご覧ください。

"Study Finds Thirdhand Smoke Poses Danger To Unborn Babies' Lungs" (19 Apr 2011) は、サードハンド・スモークが胎児に及ぼす影響に関する米国のロサンゼルス・バイオメディカル・リサーチ・インスティテュート (Los Angeles Biomedical Research Institute (LA BioMed))の研究を伝えています。これまでサードハンド・スモークで取り上げられていたのはニコチンでしたが、この研究で取り上げられたのは、 1-(N-methyl-N-nitrosamino)-1-(3-pyridinyl)-4-butanal (NNA) と 4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanone (NNK) という2種類の毒物です。

American Journal of Physiology に発表された 新しい研究 によると、戸外でタバコを吸うくらいでは、胎児の肺と命は守れそうもない米国のロサンゼルス・バイオメディカル・リサーチ・インスティテュート (Los Angeles Biomedical Research Institute (LA BioMed)) の研究者らの 研究 から、サードハンド・スモークによる有毒化合物が肺の成長におよぼす影響は、胎児の場合でも出産後の赤ちゃんでもその深刻さは変わりないどころか、前者の方がもっと有害になる可能性がある。サードハンド・スモークは、タバコを吸い終わっても家具や車の中、衣服などの表面に長期間付着する毒物である。

「サードハンド・スモークは見えない毒物だ。家庭やホテルの部屋、クッション、車、など喫煙者が使った物の表面に長期間付着している。子供やお年寄りなど弱い人たちは、それとは知らずにその毒物に晒されるのだ。妊娠中の女性は、お腹の赤ちゃんを守るために、サードハンド・スモークがありそうな場所には近寄らないようすべきだ。サードハンド・スモークの毒は乳児の肺の成長にダメージを与える可能性がある。」と語るのは、LA BioMed の研究責任者で本研究の著者 Virender Rehan 博士。喫煙が肺の成長におよぼす影響を10年以上にわたって研究している同博士によれば、サードハンド・スモークに含まれる物質によるダメージは、副流煙や直接喫煙と同等、場合によってはそれらを上回るほど危険である。「肺の正常な成長を推し進める仕組みを研究した結果から、その仕組みは明らかにサードハンド・スモークによって阻害される。このことから、出産前に肺の成長が阻害されると、喘息など呼吸器系の疾患を引き起こすと言える。そしてそれは一生続くことがあるのだ」

周囲の物の表面に付着すをるサードハンド・スモークを構成するのは高分子量の極超微粒子で、直接喫煙や副流煙よりも喘息を引き起こす危険が高い。この研究は、サードハンド・スモークの危険性を支持する初めての生物学的データである。博士によれば、サードハンド・スモークの毒に晒されるもっとも大きな要因は、

  • サードハンド・スモークで汚染された物の表面を触ること
  • サードハンド・スモークの極超微粒子を含む埃を吸い込むこと
である。

「特にサードハンド・スモークの影響を受けやすいのは、慌しい家庭の子供や妊娠中の母親だ。汚染された物の表面に付着している毒物に触れたり吸い込んだりするからだ。子供たちの場合は大人の倍以上の割合で埃を吸い込む。だから特に赤ちゃんはサードハンド・スモークの影響に弱くなる。」

博士はさらに、禁煙を厳格に守っている家庭に住んでいる子供では、ニコチンレベルは6分の1になっていると指摘している。

「米国以外の多くの国々でも喫煙は広まっている。だからサードハンド・スモークの危険性は世界規模なのだ。さらなる研究は必要だが、この研究データは、サードハンド・スモークが秘める危険性と長期的な悪影響に対する警鐘を鳴らしているのだ」

さらに "Babies Who Sleep With Smoker Parents Exhibit High Nicotine Levels" (29 Mar 2011) によると、タバコを吸う親と一緒の部屋に寝ている赤ちゃんの毛髪からは、別の部屋に寝ている赤ちゃんよりも3倍多いニコチンが検出されたそうです。

「先進国で幼児期の予防可能な死因のトップが受動喫煙だ」と語るのはスペイン、カタロニア自治政府保健省 (Department of Health) Atencio Primaria Sense Fum programme のコーディネータで本研究の主著者 Guadalupe Ortega。

親と同じ部屋で寝ている赤ちゃんは、別の部屋で寝ている赤ちゃんよりもニコチン量が3倍多い。この数字から、このような赤ちゃんはサード・ハンド・スモーク、つまり親の皮膚や衣類、毛髪に染み込んでいる有害物質の被害を受けていることが明らかである。

BIBE (Brief Intervention in Babies. Effectiveness) によれば「本研究で注目すべきは、非常に脆弱な年齢層が、なんの措置もとられていないプライベートな空間で晒されるタバコの煙だ」と Ortega は言う。

BMC Public Health に発表されたこの研究 は現在も進行中だが、カタロニアにある96ヶ所の主要な健康管理センターが参加した。これらの専門家が生後18ヶ月以内の赤ちゃん1123名の親に聞き取り調査した。その親は少なくとも一方が喫煙者である。そして、ニコチン量を測定するため252名の赤ちゃんの毛髪サンプルを分析した。さらに3ヶ月後と半年後に追跡調査を実施した。

親の話は赤ちゃんの毛髪分析から得られた結果と符合した。親の73パーセントは喫煙するか、仮定での喫煙が許されていた。一方分析された赤ちゃんの毛髪の83パーセントは多量のニコチンを示していた。この毛髪のニコチン分析から、親が子供の健康維持のために何かをしていても、タバコの害はなくならないことも明らかになった。寝室で喫煙した後換気しても、窓際で吸っても、赤ちゃんが家にいないとき、あるいは別の部屋にいるときに吸っても、そうなのだ。「部屋からタバコを一掃する唯一の方法は家の外で吸うことだ」

2番目の記事では、「部屋からタバコを一掃する唯一の方法は家の外で吸うことだ」と締めくくっていますが、サードハンド・スモークを考慮すると、これでは不十分な気がしますね。極端なことはいくらでも言えるでしょうが、現実的で、安上がりで、簡単なのは禁煙することですよね。先日久しぶりに会った知人が「禁煙したよ」と言っていたので、「どうだった?」と訊いたら、「メチャメチャ簡単だった」と言ってました。「禁煙は難しい」という先入観は疑ってかかるべきです。一日最低3箱吸っていた私も、医学的なサポートも禁煙グッズも使わずに、数年前きわめて簡単に禁煙できました。おかげで部屋の壁は真っ白のままです。

|
|

« え?汚い空気の方が喘息が発生しにくい? | トップページ | 平成23年5月の予定 »

コメント

この話を読んでいると分煙だけでは不十分に聞こえますね。
吸わなことが一番なのでしょうが。。。
小さい子供が居るご家庭は注意ですね!
私は吸いませんが、周りに吸う人が多いので気をつけたいものです。

投稿: @K | 2011年4月27日 (水) 11時33分

@Kさん、コメントいただき、ありがとうございます。

そうですね。「セカンドハンドスモーク(副流煙)」の危険性までは、おそらく認識している人が多いでしょうが、サードハンドスモークとなると、メディアでも取り上げませんよね。

投稿: fumixie | 2011年4月27日 (水) 20時54分

確かに禁煙は辛い、キツイという思い込みが先行して感じがします。私の友人でも禁煙に成功した者は何人もいます。
是非多くの方々にそういったイメージを振りはらって禁煙に挑戦して欲しいと思います。

投稿: E.F野 | 2011年4月28日 (木) 15時44分

E.F野さん、コメントいただき、ありがとうございます。

おっしゃるとおりです。思い込み、先入観がどうしても先に立ってしまうのだと思います。だから「それ、ほんと?」という質問を自分に対して投げかけてみるのがいいのではないかと思います。「禁煙が辛い」というのは、本当に自分にとって事実なのかどうか、を確かめる姿勢も必要かもしれませんね。

投稿: fumixie | 2011年4月29日 (金) 00時32分

禁煙にはきっかけが必要ですよね。
この記事を読んだ喫煙者の方が一人でも
「きっかけ」をつかんでもらえればいいなぁと思いますね。

しかし、サードハンドスモーク…
子供も、子供を持つ親も喫煙せず、
家から一歩もでないかぎり100%防ぐことは無理ですね。

投稿: ぴぴん | 2011年5月10日 (火) 15時30分

ぴぴんさん、コメントいただき、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、禁煙にはきっかけが大切ですよね。そしてきっかけは、外的要因、たとえばぴぴんさんもおっしゃっているように、この記事もきっかけの一つになるかもしれないし、そうなってほしいと思っています。

また外的要因の他にも、自分の心(の動き)に注意していれば掴める場合もあるでしょう。でも心の言葉はかすかですから、気をつけていないと聞き逃すかもしれません。喫煙していて、心に少しでも痛みを覚えたら、それが「きっかけ」かもしれません。

投稿: fumixie | 2011年5月10日 (火) 18時54分

ホテルの部屋に入った時に感じる「タバコ臭さ」などは害があるものだったんですね。

妊婦さんはそうゆうことも注意しないといけないんですね。
妊婦さんなど、タバコから逃れたい方がサードハンド・スモークの事を考えると大変だと思うので、吸う側の方が気をつけてあげたほうがいいのではないかと感じました。

投稿: パン子 | 2011年5月18日 (水) 10時57分

パン子さん、コメントいただき、ありがとうございます。

サードハンドスモークの影響は人を選びませんから、妊婦さんはもちろん、万人が注意を払うことなのでしょう。でも現状を見ると、100パーセント避けるのは至難ですから、吸う人が気をつけるのはもちろんですが、現実的には「なるべく」というレベルになりそうですね。

投稿: fumixie | 2011年5月18日 (水) 20時00分

香川県の高松市に住んでいます。転勤族で前は三重、埼玉、千葉に住んでいました。今住んでいる香川県は、タバコを吸われる方が非常に多いと思います。香川県で喫煙される方が少なくなるといいのですが。

投稿: まつぼん | 2011年5月19日 (木) 07時55分

たばこは目に見える煙だけでなく、目に見えない物にまで害化させてしまうんですね。正直、怖い事ですよね。
特に子供が生まれてから外出した際の受動喫煙の影響を心配しています。私や妻はたばこを吸いませんが、実家ではヘビースモーカーだった父の痕跡があると思いますのでより心配です。ちなみにヘビースモーカー、ドリンカーだった父は喉頭がんになり声帯を失いました。コミュニケーションをとる手段は現在、筆談のみです。そうならないためにも禁煙する事は生きていくうえでとても重要だと感じています。

投稿: メリーさん | 2011年5月19日 (木) 12時46分

いつも楽しく拝見しています。

確かに喫煙者の子供は間接的にタバコの被害に合っているようなものですね。

最近は分煙化が進んではいますが、子供を持つ喫煙者の方だけではなく、全ての喫煙者がタバコの被害について考える必要がありますね。

投稿: Rie | 2011年5月19日 (木) 13時37分

ごぶさたしております6000344です。私は健康に関連する業界におりますが、相変わらず喫煙率が高いように感じます。さらに最近では女性の喫煙者が増えているように思えます。なかなか難しいとは思いますが、これからこどもを産む機会がある女性には是非とも禁煙頑張ってほしいですね。私は・・・ダイエットですね。

投稿: 6000344 | 2011年5月19日 (木) 17時49分

まつぼんさん、"メリーさん"さん、Rieさん、6000344さん、コメントいただき、ありがとうございます。

先日亡くなった私の近親者は肺ガンでした。タバコが好きでした。「タバコを吸うか吸わないか」だけに注目すれば、それは個人の選択の自由と言えそうですが、サードハンドスモークまで考慮すると、単純に「そうだ」とは言えなくなりそうですね。メディアでもサードハンドスモークの危険性を取り上げてほしいものです。

「禁煙は難しい」というのは、本当に難しい人もいらっしゃるでしょうが、他にもひょっとしたら「そのように思いたい」、「それが真実であってほしい、なぜなら、そうすれば禁煙できない理由になるから」という願望もあるのではないかと、フトそう感じました。禁煙したくなければ、できない理由は自ずと見つかるものでしょうから。

でも禁煙が難しいかどうかは、自分でやってみなければわかりません。私にとっては、禁煙とダイエット :-) は簡単でした。一日最低3箱吸っていましたが、禁煙する際、薬も専門家のカウンセリングも禁煙ツールも一切使いませんでした。禁煙したいけど、周囲(メディアなど)が難しいって言ってるしなあ、と感じている人は、ぜひ自分で一歩踏み出してみることをお勧めします。案外簡単かもしれないし、ダメなら、そのときはドクターの智恵を拝借すればいいのです。

投稿: fumixie | 2011年5月19日 (木) 22時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/117495/51482069

この記事へのトラックバック一覧です: タバコとお腹の赤ちゃんの成長 〜サードハンド・スモーク再び〜:

« え?汚い空気の方が喘息が発生しにくい? | トップページ | 平成23年5月の予定 »