病は気から
文:fumixie <fumixie@gmail.com>
「これがあなたの家に持ち帰って欲しいメッセージだ。明るく前向きに考えよう。長生きできる可能性が高まるのだ。気分がよくなるのはいうまでもない」
- John Barefoot Ph.D. -
Medical News Today に載っている "Looking On The Bright Side Improves Life Expectancy Of Cardiac Patients" (02 Mar 2011)" という記事によると、米デューク大学 (Duku University) 医療センター (Medical Center) が Archives of Internal Medicine誌 に発表した 研究から、心臓病患者が15年間生存する可能性は、その患者の重篤度を考慮しても、明るく積極的な心構えでいる方がずっと高まることがわかったそうです。
曰く...
患者の病に対する心的態度、つまり心構えには二重の力があることを実証した点で、この研究は類を見ないものだ、と論文の主著者ジョン・ベアフット(John Barefoot)博士は説明している。その二重の力とは、である。
- 普段の生活へ復帰するための後押しをする力
- 長期にわたる健康と生存の可能性を著しく向上させる(つまり患者は長生きできるようになる)力
ベアフットらのチームは、冠動脈造影を施して心臓内の血流を調べたあと、心臓病患者の回復状況を追跡した。これまでの研究でも、患者が病気の回復をどう考えているかが、仕事や運動など、日常活動への取り組み方にどの程度影響を与えるかは評価されていたが、今回の研究では、さらにそれが身体の全般的な健康と長生きにどう影響するかが明らかになった。彼らは、2800名を越す心臓病患者に、病気が治って普段の生活に戻れる見込みを評価してもらった。各々に心理学的なアンケートに答えてもらったのである。その後15年間に亡くなったのは1637名、内885名(54%)は心疾患が原因だった。冠動脈疾患の重篤度や性別、社会経済的な地位、社会からの支援、年齢、および入院時の一般的な能力など、大きな影響を与える要因を考慮しても、依然として死亡リスクは高かったのである。
「うつと死亡率の増加に関連があるのはわかっている。しかし今回の研究で、回復への患者の期待には大きな力があり、それはうつ、そして心理学的ないし社会的要因を上回っていることが実証されたのだ」とベアフット博士は語っている。明るく積極的な考え方の人には支えとなる事柄がいくつかあると論文の著者らは言う。たとえば治療の際の約束事をよく守るし、身体と心の健康にいいことならやってみようという気持ちが強いのだ。悲観的な人、つまり物事を否定的に見る人はストレスや緊張を招く。それが健康を害することがあるという人もいる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
代々口伝や感覚だった「病は気から」もエビデンスとして登場したのですね!
素晴らしい!!
こんな不景気でも手軽に行える健康法ですね。どんな発想や方法や言葉の方がより効果があるのかも、今後解明するんですかね?
投稿: まるぴょん | 2011年3月 7日 (月) 12時37分
まるぴょんさん、コメントいただきありがとうございます。
「明るく、積極的で、前向きな」心構えで過ごすのは、誰でも、どこでも、いつでもできることですよね。人によって違うでしょうが、その人なりの「元気になれる言葉」があるかもしれません。大切な人から贈られた言葉かもしれないし、書物で目にして心に残っている言葉かもしれません。あるいは言葉ではなく、「自分にエネルギーをくれる人間関係があればこそ」という人もいらっしゃるかもしれません。
投稿: fumixie | 2011年3月 7日 (月) 19時36分
癌治療に関しても治療に前向きかそうじゃないかによって、服薬コンプライアンスも上がりますしかなり予後にも関係してきますよね。
病は気から…大事ですね!!
投稿: MK | 2011年3月 8日 (火) 17時40分
MKさん、コメントいただき、ありがとうございます。
まことにそのとおりですね。先人の知恵に感謝です。
投稿: fumixie | 2011年3月 8日 (火) 23時04分
私は薬関係の仕事をしてますが、両親や身の回りの知り合いには、「病は気から」「薬は最後に」とかをよく言うってましたが、エビデンスがでるとは驚きでした。先日さんまの「ほんまでっか」でやってましたが心理学者【女性】が言うには将来の事を考えすぎてネガティブになると早死にするデータがあるそうです。そう考えると日本のことわざで調べてみると面白いと思いました。
投稿: メタボマン | 2011年3月 9日 (水) 17時21分
メタボマンさん、コメントいただき、ありがとうございます。
「薬は最後に」ですか。このブログのテーマにピッタリの言葉ですね。薬を飲む前に、できることはいくらでもある、という意味なのでしょうか。身体が持っている「治癒力」を高めるためでもあるでしょうし、日常生活を改善しようという意味にも解釈できるし、いずれにしても、いい言葉ですね。
投稿: fumixie | 2011年3月 9日 (水) 18時15分
「病は気から」は、昔から言われていることですが、科学的にも検証されてきているのですね。
投稿: まっしー | 2011年3月10日 (木) 17時19分
まっしーさん、コメントいただき、ありがとうございます。
先人の経験則は素晴らしいですね。たとえば「腹八分」もたぶんその範疇でしょうね、きっと。
投稿: fumixie | 2011年3月10日 (木) 17時56分
「病は気から」、よく耳にする言葉ですが、本当だったんですね!
確かにネガティブよりポジティブに生きる方が健康に良さそうですし、何より生活が楽しくなりますよね。健康も楽しい人生をおくれるかどうかも自分次第ということですね。
投稿: タケノコ | 2011年3月16日 (水) 10時47分
タケノコさん、コメントいただき、ありがとうございます。
心の持ちようやストレスのせいで胃がキリキリ痛むなどというのは日常よく経験することだと思います。それから類推しても、やはり「病は気から」というのは、現在にも通用する知恵なのだと思っています。
投稿: fumixie | 2011年3月16日 (水) 18時27分
山岳遭難者が生き延びるか死ぬかの境目に陥った時も、気持ちの持ちようで生き延びる事が出来るという事も良く知られた事象ですね。何事も悲観的に考えることなく、いい意味で楽観的にかまえる事も大切なんですね。
投稿: yasupon | 2011年3月17日 (木) 17時48分
yasuponさん、コメントいただき、ありがとうございます。
おっしゃる山岳遭難者のこともけっこう耳にすることですよね。心が秘めている力は侮れませんね。でも「心」だけに、科学で扱う対象になりにくいのかもしれません。
こういう研究がもっと増えて、心の力が明らかになるといいですよね。
投稿: fumixie | 2011年3月17日 (木) 21時33分
病は気から、有意差あり、なんですね。これは患者さんにも、それを支えるご家族にもいい報告だと思いました。励まし甲斐がありますよね。心臓病だけでなく、他の疾患でもこのようなことが証明されればよいのですが。
投稿: ぴぴん | 2011年3月18日 (金) 15時34分
ぴぴんさん、コメントいただき、ありがとうございます。
「心が持つ力」は、科学の目から見れば、まだまだ未知の領域でしょうから、今後が楽しみです。
それはともかく、明るく前向きな心構えは、身体にとっても、生活や人生にとってもキーポイントですよね。
投稿: fumixie | 2011年3月18日 (金) 22時19分