« 311 東日本大震災 - 空腹感を少なくする食べ方 | トップページ | 椎間板ヘルニアに将来なってしまうかもしれない? »

2011年3月28日 (月)

笑う門には福来る

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

「テクノロジーなどどうでもいい。静脈性下肢潰瘍患者にとって最良の処方箋は、質の高い看護、そしてお腹の底からよく笑うことだ」

- Professor Andrea Nelson (University of Leeds' School of Healthcare) -

「要は野菜を食べて、運動して、そして腹の底から大笑いすること、これを毎日することだね」

- マイケル・ミラー博士(Dr. Michael Miller)(メリーランド大学医学部教授)-

(笑いと微笑みのパワー)その1

英国リーズ大学の5年間にわたる研究から、下肢潰瘍の治癒プロセスは、これまでの予想とは逆に、超音波療法を使っても促進されないことがわかったそうです。ただし、もっと安上がりでもっと簡単にできる従来の看護方法は効果があるとのこと。


"Laughter really is the best medicine (for leg ulcers)" (8th March 11) によると、この研究を率いたリーズ大学スクール・オブ・ヘルスケアのアンドレア・ネルソン教授は、

「少量の超音波による『治癒エネルギー』で変化が与えられる疾患もあるが、下肢潰瘍にはまったく当てはまらない。この種の患者に対する治療で鍵になるのは、両脚から心臓へ戻る血流を刺激することだ。それには、圧縮包帯とサポート・ストッキングを用いるのが一番だ。魔法の杖じゃない。そして食事のアドバイスと運動を組み合わせるのだ。信じられないかもしれないが、さらに心の底から笑うことも効果があるのだ。なぜかといえば、笑うと横隔膜が動くだろう、それが体内を巡る血流にきわめて重要な役割を果たしているからだ」
と語っています。

ちなみに同記事によると、静脈性下肢潰瘍というは、「静脈瘤や運動障害があって、両脚やふくらはぎの「筋肉ポンプ」がうまく機能せず、血流を心臓になかなか押し上げられない人によく見られる。この種の潰瘍は痛みを伴い外見も悪くなるため、健康と生活の質に重大な悪影響を及ぼす」ものとのこと。

これまで行われてきたいくつかの小規模な研究では、超音波が解決策になりうることが示唆されていたそうですが、リーズ大学のネルソン教授がヨーク大学、ティーズサイド大学、および多くの NHS Trust と共同で行った研究で明らかにしたところによると、実はそうではないとのこと。研究者らが注目したのは半年以上かかっても治らない、治癒が困難な潰瘍です。英国とアイルランドの患者のデータを利用した研究者らは、包帯と圧迫療法を用いる標準的な治療方法に超音波を加えても、治癒速度や潰瘍が再発する可能性には違いがないことを見出しました。しかも超音波を使うと、患者一人当たりの治療費が200ポンド(約26600円)ほど増えてしまったそうです。

「肥満度が高まるということは、下肢潰瘍にかかる人数が増える可能性があるということだ。潰瘍が治らないこういった患者を救う道を探すのが急務だが、我々の研究からわかるのは、超音波ではダメだとういことだ。注力すべきは本当に重要なこと、つまり質の高い看護だ」
と研究者らは語っています。

この研究について、英国BBC では "Laughing 'better than latest technology for leg ulcers'" (10 March 2011) という記事で、

「明るくお腹の底から笑うことは、下肢潰瘍の治癒に役立つ。最新のテクノロジーをよりも、質の高い看護とよく笑う方が身体の治癒を促す効果が高い」
と伝えています。

さらに "Laughter the best remedy for leg ulcers--study" (March 10, 2011) では、

古諺に曰く、なんといっても笑いが最良の薬。これはかなり真実かもしれない。英国の研究者らの新しい研究ではそう主張している。

笑いはストレスや怒り、悲しみ、対立を解消するだけではなく、健康を増進する強力な武器だ、と新しい研究では言っている。

下肢潰瘍患者の治療に際して、笑いが費用のかさむ超音波療法に代わる治療方法の選択肢になることを支持する証拠を英国の研究者らが発見した。

と伝えています。

「5年間の追跡調査で、包帯や加圧療法といった標準的な看護方法に超音波を加えても、回復プロセスと潰瘍の再発生の可能性に有意差が出ないことが明らかになった。それどころか、患者一人当たりの治療費が200ポンドほど増加している。しかし優れたユーモアのセンスと従来の看護は、この疾患に対する効果的な治療法であることがわかった。これについて専門家は、健康的な笑いは横隔膜を刺激する。それが体内を巡る血流を増やし、それによって臓器から毒素を排出してくれるのだ、と理論づけている」
だそうです。

(笑いと微笑みのパワー)その2

さて、子供に野菜を食べさせたいと思っている親御さんは多いのではないかと思いますが、"A Smile Can Increase Children's Fruit & Veggie Consumption" (25 Mar 2011) によると、子供に食べてほしいと思っている物は、それを食べている間、親は笑みを浮かべているといいという研究が Obesity誌に発表されたそうです。

この記事によると、ある特定の食べ物を子供がどれほど食べたいと思うかは、写真に写ったその食べ物を食べている人が表している感情に左右されることがわかったとのこと。つまり子供たちに写真を見せて、その食べ物を食べたくなるかどうかを調べたということらしいです。それによると、

写真に写った人が子供が欲しがる食べ物をおいしそうに食べていると、子供たちはその食べ物をもっと欲しがるし、嫌そうに食べていると、同じ食べ物でも子供たちは結果的にあまり欲しがらなくなった。嫌いな食べ物がある子供に、その食べ物をおいしそうに食べている人を見せると、子供は、その食べ物を食べてみようという気持ちが強まった
そうです。

親がニコニコしながら、幸せそうに、美味しそうに食べている物は子供だって食べたくなる ということですね。

この研究結果の元になっているのは2008年後半 Preventive Medicine誌に発表された研究で、これによると、親自身が果物や野菜をたくさん食べれば、その子供たちも果物や野菜をたくさん食べた、という結果になったそうです。

Produce for Better Health Foundation (PBH) の 会長兼 CEO のエリザベス・ピボンカ博士 (Elizabeth Pivonka, Ph.D.,R.D.) は、

「親は子供が食べる物に多大な影響を与えることは以前からわかっていた。さらにこの2種類の研究から、子供に野菜や果物を食べさせるためのみならず、健康的な食事を楽しむ手本となるうえでも親の影響が及ぶことが実証された」
と語っています。そしてさらに、親は子供の食習慣を形成し、食べ物に対する健全な態度を育成してくれるとしながらも、
「相反するシグナルを送らないよう注意してほしい。子供には朝食を食べろと言っておきながら、自分は朝食を抜くような母親や、野菜は全部食べろと子供には命じながら自分は野菜を食べようとしない父親になってはいけない」
と注意しています。

こういう関係は影響が広範囲に及びます。俳優や運動選手をはじめとする有名人が特定の野菜が嫌いだと匂わすと、それをもっと食べさせようとしている努力に水を差すことになるからです。

同記事の最後に、親御さんに対する次のアドバイスが載っています。

  • 「すっげー、これ美味しい!」とか「見てごらん、きれいでしょ!」といった言葉を口に出して、健康的な食べ物は楽しいものだということを子供に示そう。
  • よい手本となって率先垂範しよう。自分の子供に食べてもらいたいような食べ方をしよう。あらゆる食品グループから健康によいさまざまな食品を選び、適度に食べること(注。「腹八分」のことだと思います)。そして運動を日課に取り入れること。
  • 食べてはいけない食品を決めてはならない。子供たちは、外に出ているとクッキーやポテトチップスをはじめ、いろいろなお菓子を手にする。そのときは、それがどういうものか体験させよう。しかし同時に、身体が何を欲しがっているのかを子供たちに教えること。健康によいさまざまな食事を楽しむことが目標なのだから、大目に見る余裕を持つことだ。
  • 子供たちを台所に入れよう。早いうちから子供たちにも食事の用意をさせること。子供たちはお手伝いが大好きだ。自分も役に立っていると感じたがっている。だから親と一緒に自分もご飯の用意をしたのだと思えば、出来上がった料理にも手を出す可能性が高まる。




(笑いと微笑みのパワー)その3


2011年8月30日付けで Medical News Today に載った Laughter Has A Positive Impact On Vascular Function"(笑いは血管機能に良い影響を与える)という記事は、米国メリーランド州バルチモアのメリーランド大学(University of Maryland)医学部が行った研究を伝えています。それによると、笑える面白い映画やホームコメディを見ることは、血管の機能に好ましい効果をもたらす一方、精神的にストレスとなるような映画を見るとその反対の結果となるそうです。

「精神的ストレスが血管を収縮させる原因となることが研究で明らかになってからというもの、笑いのように前向きな感情を研究しようという考えが出てきている」と言うのは、マイケル・ミラー博士(Dr. Michael Miller)(メリーランド大学医学部教授)

10年以上前に始まったその最初の研究では、心臓疾患の有無に関係なく男女300人に、「状況ユーモア」に関するアンケートに答えてもらいました。たとえば、パーティに行ってみると、自分と同じ服を着ている人がいた場合、この状況に対して自分はどう反応するかを1から5までの5段階(「面白くも何ともない」から「とても愉快」まで)で答えるのです。これによると、心臓疾患を抱える被験者がこういう状況を面白いと思う可能性は40%低かったのだそうです。

これについて同記事では、

日々の生活で巻き起こる状況に対してユーモアを解した反応をすれば心臓疾患が防げるかどうかをこの研究で証明する事はできない(それに、心臓疾患を経験するとそういう反応をしなくなるということも証明できない)のは確かだが、笑いが血管機能の直接影響を与えるかどうかを調べる次の一連の研究に結びついた。
と書いています。

その研究では、被験者には1日ずつ別々の日に、「メリーに首ったけ(There's something about Mary)」のような面白い映画の一部とストレスの多い映画「プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)」の出だしを見てもらいました。

この結果について、同記事では次のように伝えています。

ストレスが多い映画を見た被験者は、血管狭窄と呼ばれる体に害を与える可能性のある反応が血管の内層に現れていた。これはそれまでの研究を裏付けるもので、精神的なストレスと血管の狭小化に関係があることを示唆している。一方面白い映画を見ると、血管の内層は広がった。

全体として300例以上を測定した結果、笑った場合(血管拡張)と精神的ストレスを受けた場合(血管狭窄)では、血管の直径に30%から50%の差が現れた。

「笑ったあと内皮に見られる変化の大きさは一貫しており、有酸素運動やスタチンを使った場合に見られる効果と変わらない」とミラー博士は言う。

内皮はアテローム性動脈硬化の発症にもっとも深く関与している。だから定期的に笑うことを健康的な生活スタイルの一貫として取り入れることは、心疾患予防の役に立つ。要は野菜を食べて、運動して、そして腹の底から大笑いすること、これを毎日することだね」とミラー博士は言う。


そして同記事では、上腕動脈の血流測定の結果からは笑いと血管の健康にはつながりがあるのは確かだ。とはいえ、さらに詳しい研究が必要であるとして、ミラー博士の言葉を伝えています。
「本当は、現在標準となっている治療法に加えて、無作為化臨床試験を行って、前向きな感情が心血管イベントを減らすのかどうか究明する必要がある」

以上。

|
|

« 311 東日本大震災 - 空腹感を少なくする食べ方 | トップページ | 椎間板ヘルニアに将来なってしまうかもしれない? »

コメント

先日福島県にて放射線リスクアドバイザーの方の講演がありました。講演の最後の辺にこういったのです"放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。くよくよしている人にきます。これは明確な動物実験でわかっています"と。笑ったら病気にならないなんてまさか、なんて思っていたけど信じてもいいかなと思い始めています。

投稿: いたこ | 2011年3月28日 (月) 13時57分

前回のブログでもかかれてたように【病は気から】につながるものがあります。前向きな気持ちでなにごとにも楽しく出来れば いい方向に向かうんだと信じているんですが、最近思いっきり笑ったのはいつだったのかも憶えていません。病気も人生もうまくいきませんのは私だけでしょいか
とか、ネガティブにかんがえるのがいけないんですよね。

投稿: メタボマン | 2011年3月28日 (月) 15時38分

いたこさん、コメントいただき、ありがとうございます。

笑いにも「微笑み」、「大笑い」、「苦笑い」、「薄笑い」、「あざ笑い」、「冷笑」などいろいろありますが、肝は「心の底から」なのではないかと感じてます。

投稿: fumixie | 2011年3月28日 (月) 22時23分

メタボマンさん、コメントいただき、ありがとうございます。

以前、ある事情から凹んでいたとき、知人がうまいことを言ってくれました。

「から元気だって元気のうちだよ」

なるほどね、と納得してしまいました。

投稿: fumixie | 2011年3月28日 (月) 22時29分

あらためて『笑い』の重要性を認識できました。以前にホスピス施設に訪問し笑いを届ける集団を追うドキュメント番組があり、医師から宣告された余命より長く生きられた多くの例を紹介していました。まさしく「笑いはストレスや怒り、悲しみ、対立を解消するだけではなく、健康を増進する強力な武器だ」とあるように様々な良い影響を与える可能性があるのでどんどん前向きに健康的な笑いを取り入れていきたいですね!

あと個人的に子供と食事の関係において笑顔が役立つという情報 とてもうれしかったです(・∀・)イイ!
どうもありがとうございました!!

投稿: メリーさん | 2011年3月29日 (火) 14時42分

"メリーさん"さん、コメントいただき、ありがとうございます。

屈託の無い笑い、お腹の底から笑うこと。これはなによりも、気分を明るくしてくれますよね。それにストレスで胃潰瘍になるのなら、その逆もまた真なり、ですね。

幼い子供たちのむじゃきな笑顔を見てこちらが幸せな気分になるのは、その笑顔に、文字どおり「邪気」が「無」いからなのでしょうね、きっと。

投稿: fumixie | 2011年3月29日 (火) 18時23分

はじめまして、ZENです。
笑いは本当に重要だと思います。
意識して笑っていても、いつの間にか本当に笑っている事もよくある話で、笑いの連鎖はあると思います。
また、あまりにも多忙で精神的にも追い詰められていた時、円形脱毛症になってしまい、医院さんに通っていましたが、その原因が解決したときいっきょに毛が生えてきましたが、その時もよく笑っていたのを覚えています。
気になった記事でしたのでついコメントを入れてしまいました。今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: ZEN | 2011年4月 6日 (水) 17時28分

ZENさん、コメントいただき、ありがとうございます。

心の底から湧き上がる、屈託の無い大笑いはとても大切ですよね。それに「意識して笑っていても、いつの間にか本当に笑っている」というのは重要ですね。空元気でも、それをずっと続けていれば、いつの間にか「本当の元気になる」という可能性もあるわけですよね。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

投稿: fumixie | 2011年4月 6日 (水) 19時29分

実際に自己免疫疾患(クローン病や関節リウマチ)を患っておられる患者さんに漫才などを観てもらう治療法があると聞いたことがあります。この記事を読んで笑いは血管系にも好影響を与える可能性がある事を初めて知りました。プラセボ効果という言葉だけでは片付けられない何か有用な作用がきっとあるんでしょうね!興味深く読ませて頂きました。

投稿: yasupon | 2011年9月13日 (火) 16時54分

yasuponさん、コメントありがとうございます。

調べてみたところ www.yobouigaku-kanagawa.or.jp にも、笑いの治療効果に関する記事が載ってますね。

医療の現場でも「笑い」が持つ治療効果は認知されているのでしょうか。

投稿: fumixie | 2011年9月13日 (火) 21時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/117495/51238442

この記事へのトラックバック一覧です: 笑う門には福来る:

« 311 東日本大震災 - 空腹感を少なくする食べ方 | トップページ | 椎間板ヘルニアに将来なってしまうかもしれない? »