禁煙の努力を台無しにするのは、映画の「あのシーン」!
禁煙が難しいのは、どうもニコチンの中毒性ばかりではないようです。映画などで喫煙シーンが出てくると、それを見ている喫煙者の脳はその気になってしまうのだそうです。
The Journal of Neuroscience 誌に発表された "Spontaneous Action Representation in Smokers when Watching Movie Characters Smoke" という研究の研究者は「禁煙しようと頑張っている人は、他の喫煙者に近づいてはいけないとか、身の回りに喫煙用具を置いてはいけないとよく言われるが、映画の喫煙シーンを見ないようにしようなどとは思いもよらないのではないか」と話しています。
この研究を伝える "Imaging Study Supports Evidence That Nicotine Addiction Is Reinforced By Smoking Cues" (19 Jan 2011) によると、映画の喫煙シーンが目に入ると、それを解釈し手の動きを司る脳の部位が活性化されて、自分でもあたかもタバコに火をつけそうになるのだそうです。
喫煙常習者は日に何十回となく同じ手の動きを繰り返すものですが、他の人が喫煙するのを目にしただけで、その単純な反復動作を制御している脳の部位が活性化されるのかどうかを調べたのがこの研究です。そして、ハリウッド映画のワンシーンであっても、喫煙者に馴染みのこの動作を目にすると、脳は、実際にその動作をしようと思っている場合と同じ反応を起こすことがわかりました。
調査対象の被験者(喫煙者と非喫煙者が各々17名)に "Matchstick Men" という映画の最初の30分を見てもらいながら fMRI 撮影しました。これは2003年のアメリカ映画で、監督はリドリー・スコット、そしてニコラス・ケイジとかサム・ロックウェル、アリソン・ローマンなどが出ているそうです。この映画を選んだ理由について研究者は「飲酒や暴力、性的なシーンが無く、喫煙シーンだけが著しく目立っているからだ」と言っています。
喫煙シーンを見た喫煙者の脳では、動きの認識と協調に関係する部位はいうまでもなく、頭頂葉にある頭頂間溝という領域が著しく活性化していることがわかりました。これはタバコを吸うときの手の使い方に対応していました。
「これまでの研究から、喫煙者は、映画を見終わっても、その映画に喫煙シーンがあると痛烈にタバコを吸いたくなる傾向があることがわかっているが、今回の研究はその裏付けになっている」
意思決定に関する神経科学の専門家、デューク大学(Duke University)の Scott Huettel, PhD は「中毒性が強まるのはなにも薬物そのものせいだけではない。そういう薬物にかかわるさまざまなイメージを受けとることも原因になるのだ。今回の研究でその証拠がさらに増えたね」と語っています。
禁煙しようと頑張っている人には、喫煙シーンがありそうな映画やテレビ番組は見せないという配慮も必要かもしれませんね。
文:fumixie <fumixie@gmail.com>
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コメント
非常に納得させられる内容でした。
映画やドラマによる映像の効果を完全に取り除き生活することは大変困難を極めると思います。
やはり禁煙にはよほどの覚悟、理由がないと成功しないのですね。
投稿: E.F野 | 2011年1月25日 (火) 17時05分
E.F野さん、コメントいただき、ありがとうございます。
おっしゃるように、「映画やドラマによる映像の効果を完全に取り除き生活することは大変困難」というのは、そのとおりですね。私もそう思います。
禁煙の辛さにはかなり個人差が出ると思われますが、「巷では禁煙は難しいって言ってるけど、ほんとかよ?なんか嘘っぽいなあ」という目線で気楽にチャレンジする人がいてもいいかな、と思います。自分で体験すれば、意外と楽に禁煙できる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
禁煙を始めるにあたって覚悟も理由もなかった私としては、気楽にトライするのがお勧めです。肩に力を入れて構えちゃうとストレスになりそうだし。あとは、「どうなれば、禁煙成功、と自己判断するか」を自分で考えておくことですね。世間一般の判断基準を自分に取り入れる必要はまったくありません。禁煙成功の判断基準は自分で自分のために自分なりに考えて、いっこうに差し支えないと思います。
投稿: fumixie | 2011年1月25日 (火) 19時22分
喫煙シーンは確かにリラックスした一瞬を甦らせる刺激を持っていると思います。私も何度か禁煙にチャレンジしましたが、上手くいきません。最大の問題は空腹感と体重の増加でした。薬で確かに禁煙はできるのですが、やはりエクササイズとセットでなければ継続は難しいのだと考えています。禁煙前に、気楽なエクササイズの習慣こそが必要なのかも知れません。
投稿: ojalman | 2011年1月26日 (水) 23時04分
ojalmanさん、コメントいただき、ありがとうございます。
なるほど空腹感ですか。やはり禁煙の影響は人によって違いますね。私の場合は、体重の増加は著しかったですが、空腹感もイライラ感もまったく無く、ごく普通に生活しています。体重の方も、ダイエットのおかげで18キログラム前後落ちてます。
禁煙とダイエットを同時並行で進めるのはなかなか難しいのではないでしょうか。"ACS "Guide to Quitting Smoking"(禁煙の手引き) より(その10 最終回)" にも、「禁煙する場合は、まずタバコをなんとかして、しかるのちに体重を減らす策を講じると禁煙が成功する可能性が高まります。禁煙中は体重よりも健康維持を第一に考えるようにしましょう。」と書かれています。そういえば、私の場合も、ダイエットを始めたのは、禁煙がある程度進んでからでした。
投稿: fumixie | 2011年1月27日 (木) 09時45分
私も喫煙を始めた時はたばこLarkのTVCMで渋い外国人がLarkにカッコよく火をつけて「Speak Lark」というセリフで終わるシーンに影響されてセブンスターからラークに変えてたな~と思いだしました。当時、たばこをカッコよく吸うシーンの周囲への影響は大きかったですし、あのLarkのCMがTVで流れていた時から現在に至るまで、CM内容をハッキリと覚えているぐらいの影響があるのだと思います。おっしゃる通り、禁煙しようと頑張っている人には、喫煙シーンがありそうな映画やテレビ番組は見せないという配慮は必要だと思います。
投稿: メリーさん | 2011年1月31日 (月) 15時47分
"メリーさん"さん、コメントいただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、CMの影響は大きいし、映画でもドラマでもCMでも、喫煙シーンはかっこいい場合が多いですからね。私もLarkのスーパーライトでしたが、一日3箱は吸ってました。
禁煙中の人、禁煙しようと考えている人には、優しい配慮をしてあげましょう、皆さん。
投稿: fumixie | 2011年1月31日 (月) 16時26分