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2011年1月 9日 (日)

深い睡眠と成長ホルモン、そして体脂肪

興味深い記事があるのでご紹介します。2008年6月21日付けで Medical News Today に掲載された "Physical Decline Hastened By Too Little Deep Sleep" という記事によると、深い睡眠つまり熟睡している時間が少なすぎると、加齢に伴って体力の衰えが加速することを示唆する初めての証拠をシカゴ大学(University of Chicago)のチームが提示したのだそうです。その論文によると「よく知られていることだが、徐波睡眠の減少と成長ホルモン生成量の低下は、人の一生の中でおおむね同時期に起こる。しかしこの2種類のプロセスを関係づける直接の証拠はまだほとんど無かった」のですが、「徐波睡眠(slow wave sleep)の減少はヒト成長ホルモンの分泌量が減る一因である。そしてこれが、高齢者に見られる筋肉の衰弱と脂肪の増加の要因となっている」とのこと。

研究者らは「睡眠の中でも徐波睡眠を極端に抑えるとどういう影響があるか」を研究しました。被験者は若くて睡眠障害にかかっていない健康な男性9名。

最初に、普通の睡眠を2日間とったあと、24時間にわたって血液サンプルから成長ホルモンの生成量を測定しました。次に3日間にわたって「睡眠中の被験者の脳波を監視した。その間、被験者が深い睡眠つまり徐波睡眠(フェーズ3および4)に入らないよう音を流して刺激しつづけた」のでした。その結果、睡眠時間の合計は変わらないものの、深い睡眠に使われた時間は、平均して一晩あたり90分減少し、24時間のヒト成長ホルモンの平均生成量は、コントロールレベルの 863ng から、徐波睡眠が減少したあとは 668ng に低下したのだそうです。

この研究について、シカゴ大学医学部の Esra Tasali 博士は「これは、徐波睡眠の減少が実際にヒト成長ホルモンの分泌量を低下させる原因になっているという最初の証拠だろうね。それにこのことは、徐波睡眠が減るとヒト成長ホルモンの生成量が減少して、それが体脂肪の増加と除脂肪体重の減少を引き起こすことも示唆している」と語っています。

さらに米国ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の生物心理学者で睡眠と加齢の専門家 Martica Hall 博士は「規模は小さいが非常にエレガントな研究だよ、これは。おまけに研究したのが、この分野では米国でもトップクラスの研究チームだ。これまで徐波睡眠が減少すると生理学的に影響がおよぶのではないかと考えてきたのだが、それが事実だということがこのデータで実際に明らかになったんだ。いや、もう、実にエキサイティングだよ」とのこと。

睡眠、とりわけ深い睡眠と成長ホルモン、そして体脂肪には関わりがあるということですね。

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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コメント

fumixieさん、「ハチミツ冬眠ダイエット」に絡むタイムリーな記事の投稿ありがとうございます。

近々、「ハチミツ冬眠ダイエット」のカテゴリーをまとめますね。

投稿: 屋台ブルー | 2011年1月11日 (火) 18時38分

屋台ブルーさん、コメントありがとうございます。

ネットを検索すると、「冬眠式プラスハチミツダイエット」の他に「冬眠ハチミツダイエット」や「ハチミツ冬眠ダイエット」などという名前で認知されてきているようで、実践なさっている方も増えているようです。訳者としては嬉しい状況です。good

カテゴリーの件、よろしくお願いします。

投稿: fumixie | 2011年1月11日 (火) 19時05分

徐波睡眠を増やすにはどういう方法があるのか関心があります。また、徐波睡眠を増加すると体脂肪が減少してダイエットにつながるのでしょうか。

投稿: まっしー  | 2011年1月13日 (木) 11時07分

まっしーさん、コメントいただき、ありがとうございます。

徐波睡眠を増やす、つまりぐっすりと深く眠るにはどうすればいいかについては専門家にお任せするとして、英国のスポーツ栄養学の専門家で「冬眠式プラスハチミツダイエット」(原書名は The Hibernation Diet)の著者マイク・マッキネス氏によれば、十分な徐波睡眠は「睡眠中に体脂肪を燃やす体内環境」を準備する重要な要素になっています。

コロラド州立大学のこのサイトに載っている情報にも、成長ホルモンの働きについて、"Fat metabolism: Growth hormone enhances the utilization of fat by stimulating triglyceride breakdown and oxidation in adipocytes."(成長ホルモンは、中性脂肪を分解し脂肪細胞を酸化させることによって脂肪の利用率を高める)とあるように、成長ホルモンには、そもそも脂肪を燃やす働きがあるようです。

そして徐波睡眠と成長ホルモンの分泌量には関係があることを示したのが、シカゴ大学の研究チームが行った実験です。

この徐波睡眠と成長ホルモンの働きに着目し、誰もが身体に持っているその働きを、簡単に、実生活の中で、より活用できるノウハウに高めたのが、前述のマッキネス氏が著した「冬眠式プラスハチミツダイエット」(The Hibernation Diet)です。

投稿: fumixie | 2011年1月13日 (木) 11時46分

『徐波睡眠(slow wave sleep)の減少はヒト成長ホルモンの分泌量が減る一因である。』

思い返してみると睡眠時間が平均5,6時間・・・・
平均8時間睡眠を取っている人と比べてどうなんだろう・;・

深刻に考えました。
ここ1年は特に良質の睡眠がとれておらず、肌が老化し乾燥肌になったような気がします。
生理的に睡眠を取る理由は、徐波睡眠で体のメンテナンスをするためなのですね。

今までに増して良質な睡眠確保の興味がわいてきました。
続報があればまたUPお願いします。

投稿: NV-CVM | 2011年1月14日 (金) 21時23分

NV-CVMさん、コメントいただき、ありがとうございます。

たしか、睡眠は時間と質の両方が重要で、時間については多くても少なくても「まずいのでは?」という記事もあったように記憶してます。

いずれにしても、睡眠の質は一人ひとりが追求する価値のあるテーマではないかと思います。その意味では、「目から鱗」とまではいかなくても、理解を新たにできそうな、あるいは実生活で(簡単に?)応用できそうな、などなどいろんな記事を探そうと思います。

枕が合わないと眠れないし、マットレスが柔らかすぎると腰が痛くなって、これまた眠れないし、人工光に当たりすぎると、どうやらメラトニンに影響が出るようだし、安眠・熟睡は難しいですね。

投稿: fumixie | 2011年1月14日 (金) 22時54分

fumixieさん、カテゴリーの件ですが、
「ハチミツダイエット」と「冬眠ダイエット」のどちらかと言えば、
「冬眠ダイエット」がしっくりくるので、
「ハチミツ冬眠ダイエット」にしますね。

投稿: 屋台ブルー | 2011年1月17日 (月) 12時32分

カテゴリというのはユーザーが検索する際のキーワードになるわけですが、このサイトの検索フレーズランキングによると「はちみつ冬眠ダイエット」が5位に入っていますから、カタカナとひらがな(「ハチミツ」と「はちみつ」)の違いに目をつぶれば、それで問題ないと思います。

「その違いに目をつぶって問題が無いのか?」という問題は残りますけど f(^^)

投稿: fumixie | 2011年1月18日 (火) 12時09分

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