ビタミンD不足で子供達は太る
こういう物質を「ビタミン」の範疇においておくと、単なる補酵素のように考えてしまいがちだけど、実体は、もっと高レベルな働きをしていて、生体においてかなり重要な物質なんじゃないかな。だから、不足にならないために生体は皮膚で合成する能力を持っていると考えてもいいかもしれない。しかし、昨今の紫外線予防の行き過ぎた啓蒙、野外活動性の低下が著しい先進国では、ビタミンD不足に陥っている人が多いという話らしい。
実は、日本におけるビタミンDの疫学調査の報告もされている。記憶に新しいのが、昨年7月に報告された長寿医療研の調査。愛知県内の特養や介護老人保健施設、認知量グループホーム計46施設に入所している寝たきりになっていない女性435人、平均年齢は86歳の被験者の血中ビタミンDレベルが調べられた。ビタミンDが不足とされる20ナノグラム未満だった人が8割近くいたそうだ。自宅で生活する70〜80代女性はもう少し高値ではあるが、自宅生活をしていでも外に出ない人はビタミンD不足が懸念されるって内容でした。
実は多忙な生活を送っている病院勤務の医師もビタミンD不足になっているという報告もある。日に当たる機会が極端に少なければ、年齢に関係無いのがこのビタミンD不足問題だろう。
私のクリニックに通院されている患者さんの中にも当然ビタミンDが不足している人がいる。彼らに対して、日光浴の指導をしますが、積極的にビタミンD製剤を処方してますね。当然、日中クリニックに籠もりっぱなしの私もビタミンD不足の危険性がありますが、野外を走っている御陰かどうかわかりませんが、今のところ不足にはなっていませんでした。
ちょっと注意しておかなければならないのが、ビタミンDの合成は、日光の影響を受けているため、北半球に住んでいる我々は、ビタミンDの「北緯35度線」問題に引っかかってくるんだ。冬場になると合成のための十分な日照時間が得られにくいんだ。ビタミンD不足の確認も冬場にする必要があるでしょう。
さて、今日のDiet Blog(ダイエットブログ)の話題はビタミンDと子供達。この研究も疫学調査なので、ビタミンD不足と肥満に直接関連性があるとは言えない。屋内に籠もる子供の消費カロリーは少ないから肥満傾向になりやすいし、外に出ないとビタミンDのレベルは低いからね、文献を読んでいないので交絡因子をどこまで考えているのか分からないけど、ビタミンDと肥満の関連性はあると思うよ。
ビタミンD不足で子供達は太る
Lack of Vitamin D Makes Kids Fat
ビタミンD不足の子供達は、不足していない子供達に比べて、お腹周りの脂肪が多く、体重も増えやすい、と新しい研究で述べられてる。
皮膚は、太陽光線から得られる紫外線をビタミンDに変換する。更に、ホルモン様に働き、カルシウムの吸収を導く。そこで、ビタミンDは、「サンシャイン・ビタミン」と呼ばれることが多い。
貧相な食事、室内で過ごす時間が多いことから、世界的にみて、ビタミンD不足は、特に先進国を中心にまん延している。ビタミンDが不足すると、特に子供ならくる病、骨粗鬆症、多発硬化症、関節炎や認知症との関連性が示されている。
米国疾病対策予防センターの研究者によると、ビタミンD不足は、発癌と2型糖尿病にも関連があるという。
新しい研究、雑誌 American Journal of Clinical Nutritionに掲載されている報告によると、研究者は、2006年、コロンビア州、ボゴータに住む5歳から12歳の479名の学童の観察研究を行った。30ヶ月の追跡調査を行い、血中ビタミンDレベルの解析と同時に、Body Mass Index(BMI)、ウエスト周囲径、そして上腕三頭筋周囲の脂肪測定を実施した。
このデータから示されたことは、ビタミンDの血中レベルが最も低かった子供達は、最も高かった子供達に比べると体重増加のスピードが速かった。さらに女の子では、ビタミンDの低値と身長の伸びに関連性が示されたが、男の子では見られなかった。
この結果からビタミンD摂取の重要性が、特に若い子供達で明確になったと研究者は述べている。国立衛生研究所の栄養補助食品部門によると、子供だろうが大人でも、特に妊婦や授乳中の女性は、健康障害を予防するために、ビタミンD摂取が重要と述べている。
日光浴やビタミンDサプリメントに加え、脂身の多い魚 - サケやサバ、卵に肝、マッシュルームやビタミンやミネラル強化のミルク、ヨーグルト、パン、マーガリン、そして朝食用のシリアルは、ビタミンDのいい供給源になる。
世界保健機関(WHO)は、ビタミンD不足の確認をかかりつけ医にしてもらう事を勧めている。そしてサプリメントが必要かどう調べよう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ビタミンDですか!!
正直、日光とね関連は教科書で習った記憶がありますが、
何に必要かはすぐ出て来ません(反省)
ビタミンC(美容、風邪予防)
ビタミンA(目にいい)
ビタミンB1(疲労回復)
とかの方がイメージが強かったので、改めて
いい勉強になりました。
ありがとうございました!
投稿: まるぴょん | 2011年1月 6日 (木) 16時02分
愛知県内の特養や介護老人保健施設、認知量グループホームの報告、雑誌 American Journal of Clinical Nutritionに掲載されている報告と納得できる内容でした。ただ将来の子供が育っていく環境を想像すると不安になりました。
思い返せば私が幼少の頃、もちろん室内で友達とゲームをする事もありましたが、もっぱら外の炎天下の下で野球や鬼ごっこ・氷鬼・けいどろなど汗をいっぱいかいて夢中で学校のグラウンドや公園、近所の道をかけめぐっていました。つまり自然にビタミンDが摂取できる環境下にあったんだと思います。ところが近所の公園で遊んでいる親子の姿はお母さんお父さんとまだ幼い(2~5歳?)子供ばかりが目立ち、ある程度の年齢以上の子供は・・・室内でおかしをバリバリ食べながらゲームでもしているのでしょうか?
健康のためにも親の務めとして子供が幼い頃から外で遊ぶ楽しさ・友達との集団の中で遊ぶ重要性を責任をもって教えていかなきゃと思いました。
投稿: メリーさん | 2011年1月 6日 (木) 16時09分
ビタミンD不足により身長の伸びに差が出ることはなんとなく予想できましたが、体重増加にも影響を与えるとは全く知りませんでした。
「外で元気よく遊ぶ」大切なことですね。
投稿: E.F野 | 2011年1月 6日 (木) 16時59分
骨粗鬆症患者には活性型ビタミンD 製剤を処方する記憶があります。VDは骨の代謝を主に司っているのでしょうか。
そう考えると、日光浴が気持ちいいのは本能的な感覚なのかも知れませんね。私は日光を浴びないと精神的に参ってしまいます。
社会問題となっているひきこもりやNETカフェは終日暗い環境にあります。日光を浴びない環境で過ごす事は社会順応性を下げる事に繋がっていると思います。
ビタミンD不足の問題を啓発することは、日光を浴びること、つまりはリズムのある生活を啓発することになるのかも知れませんね。
投稿: NV-CVM | 2011年1月 7日 (金) 21時31分
私が注目しているビタミンDの話題にコメントしてくださった方々、ありがとうございます。
古くから保険適応で使われているアルファカルシドールですが、再び脚光を浴びているんじゃないでしょうかね。
投稿: 屋台ブルー | 2011年1月11日 (火) 18時32分
私は日焼けを気にしながらもゴルフに出掛ける人間なのでビタミンDの心配は今のところ無いのですが、この記事の感想としては、ビタミンDと肥満を結び付けるのは少し無理があるかも、生活習慣と肥満を結び付けるのは至極当然だということだと思います。TVゲームなど室内ゲームを考えたメーカーも今後はアウトドアを意識するなど、もっと発想の転換が必要かも!
投稿: ojalman | 2011年1月13日 (木) 00時19分