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2010年11月30日 (火)

過敏性腸症候群にメラトニンが有効?

年では、"過敏性腸症候群"という呼び名もずいぶんと聞きなれており、その罹患者が多くなっていることがわかります。学生の頃、クラスに数人はテストの日やスピーチをしなくてはいけない日におなかの調子が悪い人がいませんでしたか?夜更かしをし、緊張する場面に出くわしたならば、朝から"腹痛"や"下痢"などの症状におかされてしまうことでしょう。

過敏性腸症候群は難治性の病態として有名なもので、様々な投薬が行われています。しかし、現代社会に生きるものとしてこの病態を招いている生活習慣の人は数多くいるのではないだろうか。完治とまではいかなくても、今回の記事が改善のヒントになるのではないかと思います。

今回の記事はちょっと調べ物をしている中で見たもの。今後の研究課題として提唱しているものだけど、内容としては興味深いものです。引用元はMelatonin and Irritable Bowel SyndromeDynamic Chiropractic – March 12, 2006, Vol. 24, Issue 06となっています。

では、いってみよう。


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ラトニンは睡眠のサイクルの調整、24時間の周期、そして季節性の明暗サイクル変化に関わったものです。一般的にメラトニンは睡眠を誘発することに使われ、一部(しかしそのすべてではない)は時差ボケを起こりにくくするために使われています。

メラトニンは松果体に高い濃度で含まれ、松果体で作られています。これらはメラトニンの胃腸管に与える量が重要であることを学んだときに私は驚きました。メラトニンは胃腸管の運動性の制御を助けることは明らかです。あなたの臨床でみられる特異的な既往歴で気づくと思いますが、幾人かの人々は過敏性腸症候群(IBS)によって苦しめられています。疫学上の研究ではアメリカ、イギリス、中国でおおよそ5人に1人の割合で過敏性腸症候群がみられました。


IBSの正確な原因はわかりません。IBSが症候群と呼ばれるのは便秘と下痢に伴う腸内ガス、腹部膨満、そして痛みなどの広範囲にわたる症状からそう呼ばれています。

過剰なストレス(感情的、肉体的)は再燃する引き金になりますが、悪い食事、ホルモンバランスの変化や活動パターンが変わることなども同様に症状を再燃させる引き金になります。


IBSに加えて過敏な食物もしくは(それに加えて)アレルギーの食物がある人は、男女問わず悪化させるリスクを負った状態になるでしょう。IBSに影響を及ぼす最も一般的な食物は、穀物、アルコール、カフェイン、チョコレート、乳製品そして炭酸飲料などを含みます。しかしながら、いくつかの食物は人によっては症状を引き起こすものではないかもしれない。IBSを持っている幾人かは、単純に食べすぎによってIBSが増悪する引き金になります。

近、シンガポールのドクターがメラトニンと過敏性腸症候群とのかかわりについて2つの記事が書かれました。2000年に過敏性腸症候群の病因を調査した時には、日勤業務に比べて夜勤業務をする人たちでより多く発見されました。これは二重盲検とプラセボ対照によって発見された研究です。

最初の研究では17人の女性を被験者として、二番目では40人の患者(24人の女性と16人の男性)を被験者としました。Lu氏らの研究では、女性には8週間のうち4週間メラトニンを就寝前に摂り、4週間はプラセボ薬を摂取し、薬剤を服用しなかった。Song氏らの研究では、2週間の間、一方のグループに3ミリグラムのメラトニン、一方にプラセボ薬を就寝前に服用し、メラトニンを摂取しない期間も設けた。

両方の研究結果で、メラトニンがIBSの症状を減らすこととなり、特に腹部痛と腹部膨満感が減った。奇妙にも、両方の研究でメラトニンが睡眠の質に影響を与えなかった。これはまた、不安感、憂鬱、便の硬さや頻度に影響を与えなかった。

はいえ、これらの研究にはより大きな規模で、より長期にわたってのガイドが必要であるが、おそらくメラトニンにはIBSを持っており、様々なアプローチで結果が出なかったり満足いかない場合にはトライしてみる価値があるかもしれない。


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高度成長期の頃を境にして深夜に働く仕事は急激に増えました。それと共に過敏性腸症候群に罹患した人たちが数多くみられるようになったかもしれません。あるいは、食生活がその一因にあるかもしれないことを今回の記事で教えてくれています。

メラトニンを摂ることは一つの対症療法的なものでしかないことがこの中でも言われていますが、それ以前に食事性の要因、飲酒などの問題を改善するほうがよっぽど有用であることはこの記事を通して理解できます。


文:Ctom

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コメント

私のお腹の調子は良い方ですが、たまに調子が悪くなったりします。なぜ調子が悪くなるかなんて考えてもみませんでした。まさか睡眠が関係しているとは・・・寝不足が原因で体調が悪くなったりするのはお腹以外でも実はメラトニンが関係しているものもあるかもしれませんね。改めて睡眠の重要性を認識させる記事でした。

投稿: はるうらら | 2010年11月30日 (火) 16時37分

はるうららさん。早速のコメントありがとうございます。

腸にダメージのある3大食物を提唱しているドクターがいますが、それは"砂糖"、"白い小麦粉"、"アルコール"と言っています。実際、継続的にこれらの食物を摂っている人たちは腸の状態が安定しない傾向にあるように思います。

睡眠も腸の状態を変化させる大きな要因ですよね。
健康と睡眠は切っても切り離せない。そう思う記事の一つでした。

投稿: Ctom | 2010年11月30日 (火) 16時53分

私が小学生時代にクラスの中でテストの時間になると毎回トイレに行く子がおり、担任教師から心無い言葉を受けている子がおりました・・
いまではIBSの世間的な認知度は上だいぶ向上してきたと感じています。

投稿: E.F野 | 2010年12月 1日 (水) 22時52分

E.F野さん。コメントありがとうございます。

生活習慣病や先天性疾患、アレルギーなどに対する偏見や差別、子供たちの間ではそういったことはいまだ数多くあることではないだろうかと思っています。

子供のうちからこのような疾患に対する知識を深め、義務教育の一環に入れておけば心ない言葉を投げかける機会も減るのではないかと思います。

教育の中にももっと改善の余地があるという感じがしますね。

投稿: Ctom | 2010年12月 2日 (木) 14時40分

メラトニンの検索でこちらを知りました。
 私はいわゆるIBS に括られる症状が、長年あります。1年以上前に、パン、うどんなどを食べると、決まって酷い下痢になる様になりました。それまでは、腹痛と下痢も便秘の後のお掃除だと思って仕方が無いことだと思っていました。小麦粉が体質的に合わないことがあると知り、除去食を続けています。小麦製品と乳製品を一切やめていますが、下痢は一月に2回ぐらいになり、サプリで便秘も少し良くなっています。しかし大豆を食べると、またガスが止まりません。
不眠も酷いので、ここ最近メラトニンを1日6mg飲むようになりました。
すると、前よりも腸動きが良く、便通がよくなっているように感じます。
セロトニンとの関係でIBSの症状がでる
のか、食物不耐で症状がでるのか、原因が知りたいです

投稿: | 2011年11月26日 (土) 16時31分

コメントありがとうございます。

セロトニンも小麦も両方ともIBSの関係性が深い問題だと思います。コメントいただいた情報が少なく、コメントしずらいところですが、経過からするとアレルギーチェックも終えているところですよね?IgEとIgAの反応や小麦グルテンの影響もよく関係します。
僕もまだまだIBSに関しては情報を集めているところですが、もし興味があれば "The Second Brain: A Groundbreaking New Understanding of Nervous Disorders of the Stomach and Intestine"という本を参照されてみてはいかがでしょうか?詳細にセロトニンの関係性について解説してあります。
メラトニンに関しては記事にもありますが、研究段階でありますのでコメントを控えますが、IBSによって腸内環境はとても敏感になります。乳酸菌バランスにも配慮する必要があります。小麦グルテン、アレルギーに関しても注意を払う必要があるように認識しています。ですが、どのようにIBSの症状と関連をもつのかは人それぞれで大きく異なっています。

参考にしていただければ幸いです。

投稿: Ctom | 2011年11月28日 (月) 14時56分

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