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2010年11月13日 (土)

子供の脳の発達にかかわる必須脂肪酸 - オメガ3

ライフログで取りあげたオメガ3系脂肪酸に関する話題
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魚と卒中(12/09/25)
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子供の脳の発達にかかわる必須脂肪酸 - オメガ3(10/11/13)
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オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
女の子は男の子より2倍重要なオメガ3系(08/06/30)
オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)

-----屋台ブルーによる追記(101230)-----

この報告は、私にも興味がある話題だ。不飽和脂肪酸の摂取が胎児期の脳神経の発達に影響を与えるという報告を以前紹介している「女の子は男の子より2倍重要なオメガ3系」が、胎児期のDHA摂取が、その後の胎児のIQと相関が示されているというのは興味深い。これから妊娠を考えていたり妊婦さんはよく考えた方がいいだろう。

しかし、この報告でも指摘されているけど、魚に豊富に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取は、水銀汚染という観点から、我が国でも注意喚起されている。
厚生労働省> 食品安全情報> 汚染物質> 魚介類に含まれる水銀について

妊婦に向けたパンフレット(PDF)> 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(平成22年6月1日改訂)

-----ここまで-----

供の脳が正常な発達をするために気をつけていることってあるだろうか?最近の若い妊婦やお母さんは平気でタバコやアルコールに手を出す傾向にあります。その危険性を知っている人たちからしたら、すごい悪い環境ですよね。先日も、居酒屋に2歳くらいだろうか。そんな子供を連れたファミリー数組を見かけましたが、その中の父親らしき人たちは平気でタバコを吸っていた。ホント頭にきちゃうよね。Life-LOGの読者はそういった人たちは少ないだろうと思いつつ、今日の記事を読んでみましょう。

回の記事は、2008年12月2日付のものなので少し古いのだけど、妊婦をよく診ることがあったので、この記事をチョイスしました。元記事はEssential Fats for Child Brain Developmentから。少し難しい文章の書き方をしているので、かいつまんで、重要な部分だけ紹介したいと思います。

文章がとても長いので、最初に要約をすると・・・

筆者はオメガ3脂肪酸の重要性は胎児~生後3カ月の間にも及ぶと述べています。
胎児の頃からオメガ3脂肪酸であるDHAを高濃度で摂取することで、子供の脳の発達に著しく影響を与えます。そればかりか、研究によるとその期間にオメガ3脂肪酸を十分に摂取することで子供たちのIQが高くなることがわかりました。

オメガ3脂肪とは、主にαーリノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、が当てはまりますが、これらの脂肪酸からDHA(ドコサヘキサエン酸)が体内で合成されます。

DHAは胎児のうちや幼児のうちは体内で合成されず、母乳や胎盤を介してでないと供給できません。そのため、母親が妊娠中や出産後のみならず、妊娠前にDHAを体内に十分に蓄えておくことも重要なことだと指摘しています。

そのために、魚(特に青魚)を1週間に2人前は摂取すること。それに加えてFish Oilのサプリメントや亜麻仁(Flaxseed oil)、ルリジサの種油(Borage seed oil)などのサプリメントを摂取することも推奨しています。しかしながら、タラの肝油などのサプリメントでα―リノレン酸、DHAを摂取することはオススメしません。魚の肝油から抽出される油には水銀などを含む重金属や汚染された物質も集中しているため、それは母親はおろか、胎児にも同様の影響を与えます。そのため、魚の肝油から抽出するサプリメントは避けるべきです。

では、長文ですが、本文にいってみましょう☆

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年の多くの発見の一つがDHA(ドコサヘキサエン酸)として知られるオメガ3脂肪酸が胎児や早期の幼児の頃の脳の発達に最適であり必要な栄養だとわかったことです。

際に、女性がDHAの栄養素が不足した状態であるなら、出生時に脳の発達に傷害のある子供と強く関係し、明らかに生まれつき学習障害の存在する傾向にある。問題の根本に、胎児とお母さんの関係が要因としてあり、お母さんの体にDHAの必要性があるということです。出生後、乳児にも母乳からDHAを母乳より摂り続け、最初の3カ月の間は摂取することで最適な脳の発達が続きます。

科学の見地からは、成長しつつある胎児はいくらかのDHAを不飽和脂肪酸である亜麻仁油に豊富に含まれているα-リノレン酸(ALA)、青魚やフィッシュオイルに豊富に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)から作ることができます。しかしながら、胎児の体や乳児の体(少なくとも出生後最初の3カ月)は十分な量のDHAを合成できないため最適な脳の発達のために満たしておく必要があります。このように、ぜひとも女性にとっては妊娠する前からDHAを摂取し、妊娠中や出生後3カ月の間(母乳で与えることをお勧めするが)は子供たちの脳が理想的な発達と機能を得るために与えてください。

念ながら、多くの女性は十分な量のDHAを摂っておらず、また、この最適な期間を経過してしまっては、これによる影響を代償することはできません。妊娠中や出生してから最初の3カ月の間に子供は脳の発達に影響を与えるほどDHAを摂っていません。

とんどの女性はDHAと脳の発達の間の関係に気づいていません。しかしながら、プライマリーヘルスケア専門家は出産年齢の女性の患者に毎日魚を食べる(1週間に2人前)はもちろんのこと、必須脂肪酸サプリメントを毎日摂る(私はすべてを含んでいるフラックスシード(亜麻仁)、魚とルリジサの種の油を好んでいます)重要性を警告するべきです。

脳の発達とDHAについて何の研究で紹介されているのか

記述べたように、多くの魚にDHAであるオメガ3脂肪酸が含まれており、同様にサプリメントならばフィッシュオイルに含まれています。体ではα―リノレン酸とエイコサペンタエン酸からDAHは合成することができます。様々な研究では高濃度のDHAを胎児や幼児が摂取することで高いIQスコアを生涯得ることができるといっています(だいたい平均して6ポイント高くなります)。加えて、様々な研究で最初に生まれた子供が全体的にそれ以降の子供より高いIQを持っているとしています。これは女性が生涯かけて組織に蓄積したDHAを最初に生まれた子供は得ることができることに要因があり、それに加えて出生後に母乳からDHAを得ることができることも要因です。

とてもしっかりとしたオメガ3脂肪を食事やサプリメントでの摂取プログラムをきちんと実践しない場合、第2子以降の子供たちは第1子のようにDHAを集中して摂取することはできず、第1子のように高いIQと明白な学習障害を減らす傾向にはいたりません。

もDHAが日常的に必要性を生じる時は、胎児の頃では"妊娠第三期"と幼児期では、少なくとも生後3カ月の間です。この間では脳神経シナプスが最も早く形成される時期であり、胎児の酵素を合成するために容量を上回るDHAを要求する頃にあたります。したがって、胎児の発達期間には胎盤からDHAが供給されています。分娩後、幼児は母乳からすぐに得られる十分な量のDHAを当てにして、効率よく脳組織と機能を発達させます。実際には、妊娠第三期では脳の大きさが3倍に大きくなり、この急激な脳の成長期には目に見えてDHAが大量に必要になります。(注目すべきは、DHAはまた視覚にも必要になります。)

出産年齢の女性は何をすべきですか?

もよいアドバイスは大人の女性は1週間に2回は魚を消費するべきです。これを実行することはお母さんの脳と体全体に豊富にDHAがあることで、将来生まれてくる子供の脳の発達の補助となります。最近のいくつかの研究によると、EPAや魚に含まれるオメガ3脂肪の二つの必須脂肪は老年期の脳においてアルツハイマー病やその他の痴呆病変の危険性を減らすことに関係するとされています。もちろん、オメガ3脂肪はまた心臓疾患や癌の危険性も減らす効果があります。

1週間で2人前以上の魚を食べることは賢明とはいえません。それは、魚の消費量と水銀毒素やその他の汚染に関連したものの危険性があるからです。しかし、それでもオメガ3脂肪をさらに摂取し続けることが望ましいです。したがって、私は大人の女性(男性にも)日常サプリメントにフィッシュオイル、亜麻仁油やルリジサ種油を併せて摂ることを推奨します。これらのサプリメントカプセルには400mg程度含まれています。私は包括的な健康維持と病気予防のために1日3粒摂ることを提唱します。

出産適齢期の女性にとっては必須脂肪のサプリメントを摂ることは最も重要なことです。EPA,DHAやALAをサプリメントとして加えることで妊娠前の女性にとって体の組織にDHAを浸透させるとても効率のよい方法であり、妊娠中のDHAを組織に補充する方法でもある。それは彼女らの子供たちにとって最適な脳の発達のためにDHAを利用することになります。今、多くのケースで医者が母乳で育てている期間に必須脂肪サプリメントを摂る教育を行っています。最近まで、多くの医者は妊婦へビタミンとミネラルサプリメントだけを推奨していました。

最適にデザインされた必須脂肪サプリメントを使うことは水銀や汚染物質を含まないことが重要なポイントですが、精製された油のサプリメントには重金属や毒素による健康被害を生じない利点があります。しかしながら、タラの肝油もしくはその他の肝油サプリメントを使うことは賢明ではなく、これらの肝臓には汚染物質やコレステロール、ビタミンAやDが毒素と共に集中して高いレベル保持されている状態で、これを使うことは胎児の体内でも同様のことが起こります。

大量にビタミンAを女性が摂取するとその子供たちは先天奇形を持って生まれやすいことが知られています。このように、私はタラの肝油やそれに似たものよりも、亜麻仁油やフィッシュオイル、ルリジサ種油などを含んでいるサプリメントを推奨しています。

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魚を食べる機会が減っている昨今。魚を食べる習慣を身につけることも大切ですよね。
ただ、妊婦などは臭いなどの影響から今回の記事のような成分が摂りづらいのも現実。サプリメントを活用して、将来の子供たちのために適切な脳の発達をさせてあげたいですね。

文:Ctom

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コメント

妊娠中に酒を飲んだりタバコを吸ったりするということは、母親のお腹の中にいるときから、赤ちゃんは受動喫煙の被害に遭っているということですよね。赤ちゃんにとっては最悪の環境だし、生まれるまでは、その劣悪な環境から逃れられないんですから、辛い環境でもありますね。

投稿: fumixie | 2010年11月13日 (土) 22時13分

fumixieさん。いつもコメントありがとうございます。

女性の喫煙率が増えるとともに、子供に対しても無頓着になってしまっているのでしょうか。

そうでない方もおられる一方で、やはり気になってしまいます。主張できない子供のために、親の知識はとても大切ですよね

投稿: Ctom | 2010年11月15日 (月) 18時03分

脳の神経細胞形成に欠かせないDHAを、サプリメントで補充できるとは知りませんでした。
厚生省が推奨する産前産後のサプリメント摂取という指導箋があれば有用ですね。

DHAは精液や脳 、網膜のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分であり、DHAの摂取は血中の中性脂肪(トリグリセライド)量を減少させ、心臓病の危険を低減。
DHAが不足すると脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告がある。
アルツハイマー型痴呆,やうつ病などの疾病に対してもDHAの摂取は有効であるといわれているらしく、偉大な『善玉』という事になるのですね。

特に日本人が魚類を多く摂取するのは、幸運な事ですし民族遺伝学的にも何か理由があるのかも知れません。

魚類に含まれるDHAは元をたどれば、海中のプランクトンで合成されている。
その昔、人の祖先も海中の生物であったことから、あながちDHAで人体が構成されていても何らの不思議はないと思いました。

明日からは魚類が更に美味しく感じることでしょう。

投稿: NV-CVM | 2010年11月16日 (火) 00時05分

NV-CVMさん。コメントありがとうございます。

DHAのお話をさらに広げていただいて感謝します。プランクトンというところまで考えていなかったので、なるほどと僕も感じさせていただきました。

ありがとうございます。

投稿: Ctom | 2010年11月16日 (火) 09時06分

子供の脳の発達と母乳で育てる母親の食事と密接に関係しているとはとても驚きました。

投稿: E.F野 | 2010年11月17日 (水) 14時58分

オメガ3系を手軽に摂る為に亜麻仁油を買ってあるのに、最近摂取するのを忘れてました。
ちょうど妊娠中ですが、必要性を再確認出来て良かったです。

投稿: M. | 2011年1月26日 (水) 11時31分

M.さん、コメントありがとう。
Ctomさんのこの話題は、妊娠可能時期にある女性に是非読んでもらいたと思っていたので嬉しいですね。
実は、私の相方も現在妊娠中なんで、毎日亜麻仁油を摂取させてますよ。

投稿: 屋台ブルー | 2011年1月26日 (水) 12時57分

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