タバコ、排気ガス、フライドポテトが高めるアルツハイマー病のリスクとカレー、ワイン、リンゴ連合軍
"Chemicals In Cigarette Smoke, Auto Exhaust And French Fries Accelerate The Development Of Alzheimer's Disease" (18 Nov 2010)という記事によると、タバコや車の排気ガス、それにフライドポテトに含まれる化学物質が、アルツハイマー病など神経疾患発症の可能性を高めるのだそうです。
なんとなれば
タイプ2のアルケン類と呼ばれる一群の化学物質は、吸い込んだ煙草の煙や車の排気ガス、それにフライドポテトにさえ含まれているが、この物質にさらされることよって、アルツハイマー病をはじめ、パーキンソン病など神経学的疾患を発症する可能性が増大するという証拠が増えている。「思考プロセスと記憶の欠如がアルツハイマー病に伴って現れるのは、脳内にある神経末端の機能がきわめて早期に消失するためらしい」と言うのは、アルバート・アインシュタイン医科大学モンテフィオーレ医療センターの麻酔学科の研究責任者Richard M. LoPachin, Ph.D.,。
「2年前に、タイプ2のアルケン類(たとえばアクリルアミドやアクロレイン)が動物の脳内の神経末端に損傷を与える仕組みについて、ピアレビューした論文を発表したが、それ以降、科学界では関心が着実に高まっている。たとえばここ半年だけでも、神経科学系の専門誌には半ダース以上の論文が発表され、アルツハイマー病患者の脳には、アクロレインをはじめとするタイプ2のアルケン類が過剰だということが実証された」とLoPachin博士は言う。
LoPachin博士によると、このように過剰だということは、こういう毒性の強い化学物質が当該疾患の発症過程で神経末端内でも生成されており、おそらくそのためにアルツハイマー病が発症するのだ。喫煙や食事、その他環境要因によってこのような化学物質にさらされる他に、こうして体内でタイプ2のアルケン類が生成されるため、それが原因となって完璧な神経学的乱れが引き起こされる。身体の内外からタイプ2アルケン類が脳の神経末端を攻撃するため、その力は倍加される。
「こうして神経末端がダブルで中毒になることから得た結論は、日常の環境で神経毒性のあるタイプ2アルケン類にさらされると、アルツハイマー病の発症率が増加する可能性があるということだ」と同博士は語る。
タイプ2アルケン類がアルツハイマー病など神経学的疾患に果たす役割を示す証拠が増加していることから、 Dr. LoPachin博士らとIona College 化学科Terrence Gavin博士は、カレーのスパイス(クルクミン)、ワイン(レスベラトロール)、リンゴの皮(フロレチン)に含まれる化合物に由来する有望な解毒剤を発見した。
Journal of Neurochemistry誌に最近発表されたこの研究(タイトルは「β-Dicarbonyl Enolates: A New Class of Neuroprotectants」)では、2-ACPと呼ばれる化合物がタイプ2アルケン類をしっかり掴んでその毒性を中和することにより、培養されている神経細胞をアクロレインが引き起こす損傷から完全に保護することが明らかになった。よって2-ACPはアルツハイマー病やパーキンソン病など神経学的疾患の治療方法になり得る。2-ACPは毒性のない天然の物質から作られたもので、神経保護作用はすでに臨床現場で実証されているので、人間でも安全で効果的に治療できるとLoPachin博士と Gavin博士は考えている。
2-ACPの研究は分子生物学の分野できわめて進んでいるが、それでも動物による研究で確認する必要があるとLoPachin博士は言う。
文:fumixie <fumixie@gmail.com>
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コメント
タバコと排気ガスにフライドポテトが並ぶとは驚きました。
フライドポテトは大好きなので残念です。
リンゴは皮だけで身の方にはフロレチンは含まれてないのでしょうか?
ほとんどリンゴの皮を食べないのでワインやカレーで摂取するしかなさそうですね。
投稿: パン子 | 2010年11月24日 (水) 10時06分
パン子さん、コメントいただきありがとうございます。
研究で出た結果を実生活でどう活かすかは難しい場合がありますよね。リンゴの皮にしても、昔はリンゴなど皮を剝かずにそのままかじっていましたが、今ではそういうことをしなくなりました。それにそもそも皮は「食べるもの」という認識がないですよね。こういう記事を読むと、それももったいないという気になります。
投稿: fumixie | 2010年11月24日 (水) 13時53分
アルツハイマーに適応のある薬剤が薬価ベース処方額が1700億を超え、現在はE社が独占の領域ですが、来年はアルツハイマーに適応のある新薬デビューが目白押しとなります。
創薬はついに『脳の老化現象』をも抑制するフェーズに入ったようです。新薬はどの程度効果があるのか大変興味深いところはではあります。
つい先日、認知症はタバコが原因でリスクが増大するとBLOGにUPされていたことを思い出しました。将来的にタバコは麻薬並みに人体へ害を及ぼす存在に位置付けられる存在になるかも知れませんね。
また、CARRY SPICEやワインの成分がアンチアルツハイマーとの事ですが、天然成分ですので、化学合成のタバコ、排気ガス、フライドポテト【のOIL?】よりも効果が低いかも知れませんね。なので、体に良い成分を摂取するよりも、体に害のある物質を徹底的に排除しなければ、非効率な対策になりかねないと思います。
快感を得るため。便利な移動手段を獲得する為。手軽に安価で美味しいジャンクフード。それらの為に健康を損なう・・・・QOLという面で捉えると、人の為に作り出されたものが、健康維持とは矛盾があり皮肉を感じます。
インフラが少々不便でも、運動量が確保でき、食べ過ぎず、ストレスを大自然で発散できる。人も動物である限りはこのような環境が最も健康的なのではないでしょうか。
とある著名なDrが『人類が誕生してから3万年、がんもDMもHTもここ50年で急激に増加している。』と発表されていたことを思い出さずにいれません。
何かが根本的に間違っているのかも知れませんね。
タイプ2のアルケン類と呼ばれる一群の化学物質は、吸い込んだ煙草の煙や車の排気ガス、それにフライドポテトにさえ含まれているが
投稿: NV-CVM | 2010年11月27日 (土) 21時38分
NV-CVMさん、コメントいただき、ありがとうございます。
★インフラが少々不便でも、運動量が確保でき、食べ過ぎず、ストレスを大自然で発散できる。人も動物である限りはこのような環境が最も健康的なのではないでしょうか。★
このご意見は大賛成です。里山での生活が思い浮かびます。
人のためになるはずのもの(文明?文化?)が、逆に作用していることを分かっている人も大勢いらっしゃるのでしょうが、そこからの脱却がなかなか難しいというのが現状なのかもしれませんね。だから仰るような生活を始めるとニュースになったりするのでしょう。
空気と水をきれいにして、有害物質を遠ざけて、体に良いものを食べるのが基本ですよね。そのためにも、自分と周囲に対するタバコの有害性を知識として知っているだけでは不充分です。「サードハンドスモーク」まで考えれば、タバコは立派な公害かもしれません。
投稿: fumixie | 2010年11月27日 (土) 23時07分