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2010年10月15日 (金)

血中コレステロールを調整しているもう一つの仕組み

"Cholesterol levels controlled by the brain, not merely by diet, researchers discover" (Thursday, October 14, 2010)という記事によると、血中のコレステロールが増減するのは、食べた物、肝臓での合成と分泌の他に、もう一つ原因があるそうです。食べた物でコレステロールが増減するのは素人でもわかりますし、肝臓云々も、うん、まあそうなんだろうなあ、と思いますが、この記事で言っているもう一つの原因については、さて、どう対応すればいいんでしょう?

で、その記事の内容はというと、


米シンシナティ大学の研究者らが行い、Nature Neruoscience誌に発表された研究によると、コレステロールの量は食べた物だけではなく、脳から放出される空腹調整ホルモンにも影響される。

「これまでずっと、コレステロールは、食物の吸収を調整するか、肝臓による合成・分泌を調整する以外ありえないと思っていたが、今回の研究で、コレステロールは、もう一つ、中枢神経系に存在する特定の神経回路によって直接「遠隔制御」されていることが初めて明らかになった」と語るのは主任研究者の Matthias Tschoep。

グレリンというホルモンは摂食調整とエネルギー消費について重要な働きをしていることが分かっているが、さらにこのホルモンによって、実験用マウスの血中コレステロール量が増加することがわかった。血中のコレステロール量が増加するのは、物質の貯蔵を抑えるようグレリンが肝臓に信号を出す必然的な結果だった。

血中コレステロール量が高まると、それに付随してアテローム性動脈硬化のリスクが高まる。この疾患にかかると動脈内にプラークが溜まり、心臓発作や卒中のリスクが高まる。

グレリンは、ある程度脳内のあるレセプタをブロックすることによって作用することがわかっている。このレセプタを他の方法でブロックしたところ、血中コレステロール量が再度上昇することがわかった。

「薬理学的、遺伝子的、あるいは内分泌機構によって脳のメラノコルチン系を抑制すると、血中の HDL コレステロールが増加した。これは食物摂取とも体重とも無関係で、肝臓の吸収量が減少するからだ」

この発見が健康にどう関係するかはまだ不明である。それは HDL コレステロール(善玉コレステロール)が実際に健康に役立つと考えられているからでもある。対照的に LDL コレステロール(悪玉コレステロール)は心臓疾患のリスクを高めると考えられている。

コレステロールは、体内の各種ビタミン、ホルモン、胃酸のきわめて重要な前駆体である。

「これによって、コレステロール量を調整する新しい形態の治療方法が開発される可能性がでてきた。心臓や循環器系の疾患を抱える人たちには、またとないニュースだろう。しかし他方、食事の飽和脂肪量を減らし、定期的に身体を動かすべきだ」とイギリス心臓病支援基金 Fotini Rozakeas は言う。

情報元は、


文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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コメント

グレリンが摂食や成長ホルモンに影響を及ぼしていることは知っていたのですが、血中コレステローまでコントロールしているとは驚きです。一般にグレリンは空腹時に高まるのですが、ダイエットのためにはこの時間帯にコレステロールを消費する何かを考えればいいということでしょうか?動脈硬化のある人には危険な時間帯と考えることも出来ますが!

投稿: ojalman | 2010年10月18日 (月) 00時09分

ojalmanさん、コメントいただき、ありがとうございます。

つまり、この記事によると「グレリンはコレステロールを増やす」し、グレリンが増えるのは空腹時だから、空腹時にコレステロールが消費できることをすれば、コレステロールの増加に起因する障害が防げるのではないか?、というシナリオですね。うーむ、なるほど。

でも、コレステロールって、減りすぎてもまずいんですよね?!ほどほどにコレステロールを使う方法って。。。???

投稿: fumixie | 2010年10月18日 (月) 09時49分

このような血中のコレステロール値の遠隔操作のメカニズムがよりはっきりすれば、従来のスタチンを中心とした脂質管理は大きく変わってくる可能性がありますね。これまでスタチンが使えなかった患者さんには朗報かもしれませんね。

投稿: yasupon | 2010年10月18日 (月) 11時48分

yasuponさん、コメントいただき、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、朗報になってほしいものです。そして一日でも早く、実用的な治療方法が広まってほしいです。

そういえば「スタチンを使っていようがいまいがコレステロールは減る」という記事がロイターに載ってましたね。それを要約したのが 私のブログのこのページ。今思い出しました。

投稿: fumixie | 2010年10月18日 (月) 18時58分

今回も貴重なテーマありがとうございます。

グレリンを調べてみると、人体の恒常性を維持するホルモンである事が理解できました。

グレリンは絶食により血中濃度が上昇し、摂食により血中濃度は低下する。肥満者では血中濃度は低値を示し、やせ状態では血中濃度は高値を示す。
グレリンは下垂体に働きかけ、成長ホルモン分泌を強力に刺激する。この作用は、成長ホルモン放出ホルモン (GHRH) による成長ホルモン分泌と相乗的である。また、視床下部に働きかけ、摂食を刺激する。グレリンの投与により、体重増加、脂肪組織の増大がみられることから、脂肪細胞が産生する抗肥満ホルモンであるレプチンに拮抗するホルモンであると考えられている。

とありますので、すぐに連想したのはグルカゴンとインスリンの関係です。血糖値だけでなくコレステロールもホルモンにより調整されているならば、ホルモンは脳から各臓器に指令を伝えるメッセンジャーと考えてよいでしょうか・・・。

恒常性が関係する箇所は膵臓、肝臓だけではないはずなので、ホルモンを中心に調べてみると、また新たな知見が得れるのではないでしょうか。

投稿: NV-CVM | 2010年10月19日 (火) 20時01分

NV-CVMさん、コメントいただき、ありがとうございます。
そして詳細な追加情報もありがとうございます。

専門的な内容については識者の方々にお任せするとして...

「ホルモンで血中コレステロールの量が調整できる」というこの記事は、やはり画期的な発見なのでしょうね

wikipediaのホルモンの項目には「生体内の特定の器官の働きを調節するための情報伝達を担う物質であり、...」とありますね。

投稿: fumixie | 2010年10月19日 (火) 20時32分

私自身、ここ数年適切な食事、適度な運動は心がけた結果検査の数値も落ち着いてきましたが、ただ下がればいいってものではないんですね。
また1つ勉強になりました。

投稿: MK | 2010年10月20日 (水) 12時21分

MKさん、コメントいただき、ありがとうございます。

結果検査の数値が改善されてよかったですね。私も食事はいつも「腹八分」を目指しています。なかなか成功しないのですが、今日はたまたまうまくいったかな。

投稿: fumixie | 2010年10月20日 (水) 19時51分

研究が進めば、そのうちグレリンをターゲットとした薬剤等も出てきそうですね。
私が脂質異常症になる前に開発されればいいのですが(笑
でも、これを考えると研究というのは終わりのないものなんだと実感させられます。

投稿: @K | 2010年10月21日 (木) 12時49分

@Kさん、コメントいただき、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、人はどこまでも知識を追い求めるものなのですね。「?」を「?」のまま置いておくことができず、どうしても「!」にしたい習性があるのでしょうね。

ホルモンの働きにも、まだまだ秘密がかくされているのかもしれませんね。

投稿: fumixie | 2010年10月21日 (木) 13時08分

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