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2010年10月26日 (火)

喫煙と認知症の関係

10月25日、ビジネスウィーク誌に掲載された "Heavy Smoking Linked to Alzheimer's in Study" という記事によると、1日あたり2箱以上喫煙する人は認知症の危険が高まるのだそうです。

曰く、


新たな大規模調査によると、中年期にヘビースモーカーだとアルツハイマー病など認知症を発症するリスクがたかまるらしい。

「今回わかったのは、中年期はヘビースモーカーだと申告した人は、アルツハイマー病と血管性認知症のリスクが100%以上高まるということだ」と言うのは、米国カリフォルニア州オークランドにある Kaiser Permanente の Division of Research にいる研究者 Rachel A. Whitmer。

「喫煙がガンや卒中、循環器系疾患のリスク因子だということはわかっていた。今回の発見で、心臓に良くないものは脳にも良くないという証拠が増えた」

この報告は "Archives of Internal Medicine の10月25日づけオンライン版" に発表されている。

この研究に際して、Whitmer のチームが集めたデータは、1978年から1985年に Kaiser Permanente のヘルスケアシステムで調査対象になった、当時50歳から60歳の21123名にのぼるさまざまな人種の人たちに関するものである。

平均して23年におよぶ追跡期間の間、25.4パーセントが認知症と診断されたことがわかった。そのうちアルツハイマー病が1136名、血管性認知症が416名だった。ちなみに血管性認知症はアルツハイマー病についで2番目に多い認知症で、脳内の動脈の損傷が原因である。

非喫煙者と比較すると、中年期に1日あたり2箱以上タバコを吸う人は、認知症の発症率が「劇的に増加」した。アルツハイマー病の発症リスクは157パーセント以上高まったし、血管性認知症のリスクは172パーセント増加した。

禁煙した人と1日あたりの喫煙量が半箱未満の人には、アルツハイマー病と血管性認知症のリスク増加は現れなかった。

喫煙と認知症の関係は、人種や性別、高血圧、高コレステロール、心臓麻痺、卒中、体重などの要因を調整しても変わらなかった。

アルツハイマー病と喫煙が関係していることは以前からわかっていたが、今回の新しい研究では、中年期に喫煙しているとアルツハイマー病と血管性認知症を発症するというリスクが具体的に特定された。

喫煙が卒中のリスク因子になることは動かないが、それが一因となって血管性認知症を発症する可能性がある。原因は脳内にできる小さな血栓である。さらに喫煙が一因となって酸化ストレスと炎症が起きる。これはアルツハイマー病の発症リスクにつながりかねない。

「脳は喫煙による長期のダメージには免疫がないのだ」と Whitmer は言う。

白人が被験者の大部分を占める2種類の小規模な研究でも、中年期に喫煙していると、アルツハイマー病を発症するリスクが高まることが示唆されている。

「これによって、最近の発見が充分に確認された」(William Thies。アルツハイマー病協会の chief medical and scientific officer)

「この発見は将来有望だね」(Dr. Samuel E. Gandy。ニューヨーク市 Mount Sinai School of Medicine、Alzheimer's Disease Research の教授)

同教授の話によると、「長いこと、アルツハイマー病に内在する環境因子を探し求めてきたが、今までに明らかになったのは頭部外傷だけだった。頭部外傷と違い、タバコの喫煙が関係しているというのはとりわけ重要だよ。だって、このリスクは修正できるんだから」


タバコの価格も上がったことですし、認知症を避ける意味でも禁煙する価値は充分あるのではないでしょうか。
文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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コメント

アルツハイマー病の発症原因ははっきりしないと言われておりましたが、喫煙との因果関係がはっきりしたというのは驚きの結果ですね。原因がわかったからには、今後の研究次第でアルツハイマー病の発症抑制にもつながる報告が出てくる可能性もありますね。

投稿: yasupon | 2010年10月28日 (木) 15時14分

yasuponさん、コメントいただき、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、その可能性は充分ありますよね。それに、禁煙するための強力な動機付けにもなるのではないかと思っています。禁煙して認知症の
リスクが減るのなら、自分のためにも家族のためにも、禁煙する努力はし甲斐があろうというものです。

投稿: fumixie | 2010年10月28日 (木) 18時34分

いつも興味深い話題で自分自身の事だと想いながら読まさせて頂いてます。昨年大病を患いタバコを半年間辞めてましたが、仕事を始めてから知人に勧められて一本すってから3ヶ月、あれよあれよと言う間に今では1日20本から30本。それこそ中年期でヘビースモーカーです。以前は一箱だったのが増えてしまいました脳とタバコのかんけいで面白い話 いや怖い話があれば教えてください。

投稿: ハイリスクマン | 2010年10月29日 (金) 13時21分

ハイリスクマンさん、コメントいただき、ありがとうございます。

私も今から数年前に禁煙を始める、そのまた数年前にひと月ほど禁煙したことがありましたが、飲みに行ったときについ吸ってしまい、それ以後、一日最低60本は吸っていました。そんなある日「いっちょ、禁煙してみるか」という軽いノリで禁煙を始めて今に至っています。禁煙って、意外と簡単ですよ、体験から言えば。私の場合は、禁煙グッズも禁煙治療もいっさい要りませんでした。「要は吸わなきゃいいんだろ?!」の精神です (^^)/

タバコ(と脳の関係)の怪談、じゃなくて怖い話、心がけておきます。いろいろありそうですよ。

投稿: fumixie | 2010年10月29日 (金) 20時21分

今回も興味深いテーマありがとうございます。

喫煙=血管の委縮=血流量の減少ですので、
心・腎・脳、末端の組織機能が低下することは当たり前のことなのですね。

メディカルレビュー社のCardiovascular Frontierにアルブミン尿は血管内皮炎症のサロゲートマーカーであると記載されていました。

脳組織も腎臓と同じく細小血管の集積する部位で、喫煙によるダメージを受けやすく、何らかのサロゲートマーカーがあればCKDのようにアルツハイマーが予知しやすいのではないでしょうか。
【脳組織障害のサロゲートマーカーを御存知でしたら教えてください。】

また、喫煙の害が大きいと認知されてからは、喫煙が関係するネガティブな記事が増える一方です。
しかしニコチンは依存度が高く、喫煙率がなかなか下がらないのが現状です。
Life-Logのように『健康』に対してもっと関心をもつ人口が増えれば、医療費は軽減されるのではないでしょうか。

医療費が高騰する中で、医療の充実だけではなく健康への啓発も重要な要素だと思うこの頃です。

投稿: NV-CVM | 2010年11月 1日 (月) 10時04分

NV-CVMさん、今回もまた、詳細なコメント、ありがとうございます。

専門的な事は識者の方々にお任せするとして、「ニコチンの依存度」については、

周囲から「ニコチンは依存度が強い」とか「禁煙は難しい」と繰り返し聞かされた結果、本人としては実際はさほどでもないのに、そのように「思いこんでしまい」、なかなか禁煙に踏み出せない(一種のサブリミナル効果?)
という人も、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれませんね。

でもおっしゃるとおり、対処するより予防する、普段の生活の中で健康に注意する、方がなにかと簡単なように思いますし、有効な手立てだろうと思います。

投稿: fumixie | 2010年11月 1日 (月) 12時42分

喫煙とAD・脳血管性認知症との因果関係が明らかになれば、禁煙の動機づけとして非常に大きいですね。

認知症の方を介護する方々のご負担などを考えると・・
私の父親にも禁煙を勧めます。

投稿: E.F野 | 2010年11月 3日 (水) 23時05分

E.F野さん、コメントいただき、ありがとうございます。

そうですよね。「認知症」となると、家族の負担は半端じゃありません。それでなくても介護の負担は相当なものです。私も在宅介護をしていたときは、認知症ではなかったのですが、それでも家庭が崩壊するかと思いました。

食生活を含めた、普段のライフスタイルを見直して、改善していくだけでリスクはかなり減るでしょうし、それに要する手間も時間もお金も少なくて済みます。

認知症になってからでは手遅れですよ、皆さん!

そういえば、ビタミンB12の欠乏による症状とADの症状が酷似しているから、本当は前者なのに後者だと診断されている例が多いなんていう記事があったっけ。

投稿: fumixie | 2010年11月 3日 (水) 23時36分

人を脅して禁煙させるって発想は最高
馬鹿にしてるわけではありません(笑

私的観点からすると、喫煙はデメリットばかりではありません。現に痴呆症になってる人の大半は禁煙者と思います。禁煙を施行したことにより、認知症の発症リスクは大幅に上がります。もともとの非喫煙者が喫煙を開始するのはよろしくないと思いますが、適度な喫煙は脳を活性化し非常に良いのです。
そのことを踏まえて禁煙外来という仕事は人の道として正しいと言えるのか疑問です。まして国費を消費してまで行うというのはエゴとしか言えませんね。

例えば、TKOというあまり面白くない漫才師がいます。2人のうちのデブでない方の人のお話です。彼は何年にもわたり喫煙をしていましたが、ある時から禁煙をしました。成功後数年がたち不意にタバコを吸ったそうです。その結果、翌日にアレルギー症状が生じ呼吸困難になりICU行きとなりました。辞めることによりこのような恐ろしいことも起こるということです。
何でもそうですが、一度してしまったらもうだめなのですよ。新規に喫煙をするのを防止する(禁煙運動)はよろしいとも思いますすが、常習者に対して、完全な禁煙を勧めるのは人間の道として間違っているのです。
禁煙をしたい人の大半は金銭的な問題や周りに言われたから、もしくは脅されたというのが動機でしょう。非喫煙者としてはデメリットはないのでウエルカムなわけでしょうが国費を費やしてまで行うものなのかは違和感を感じますね。まあ楽な仕事でよろしいですね、頑張ってぼろもうけしてください。
先生のブログネタは非常によろしいです。このテーマはとくに仕事柄なのでしょうか偏ったところが洗脳的なのでこんなコメントいれときました。あしからず(笑

あ~一服するタバコがうまい
先生のブログ診て私も広告だすのブログ出そうって思いました(まあたぶん面倒だからしないでしょうが)
広告効果絶大ですね 勉強になりました!ありがとうございます

投稿: 世の中のデータは嘘だらけ | 2013年10月 3日 (木) 01時09分

世の中のデータは嘘だらけさん、喫煙者からのコメントありがとうございます。

世の中のデータは嘘だらけ(改ざんは問題外)ではなく、世の中のデータには不確定要素が多く含まれているため断定的に言えないだけです。エビデンスと呼ばれるデータが不足しているため、自分の都合のいい報告だけを取り挙げてものを言う輩が多いということです。喫煙者サイドからの意見と嫌煙家サイドの意見がかみ合わないのは当然でしょう。しかし、喫煙が身体に悪いというエビデンスは積み上げられています。

常習者に対して完全な禁煙を勧めるのは人間の道として間違っていると仰いますが、閉ざされた空間で他人に影響なく吸っているのなら何も言いません。しかし、隣で吸われて副流煙を吸い込まなければならなくなると話は別です。喫煙者の行為こそ人の道からそれていると言えるでしょう。

ブログがいい宣伝になると仰いますが、私の言葉が人を動かせるようになればという思いから続けています。健康的な生活を送ることで世の中がよくなればいいと考えています。日野原重明先生がブロッコリーを食べていると言えばスーパーからブロッコリーが無くなってしまうように、私の生きる道をみて健康生活に目覚める人が増えればいいと願っています。

私の意見に賛同しない人も多いことでしょう。反対意見も聞きますが、中傷する内容は勝手に削除します。またこれからもよろしくお願い致します。

投稿: 屋台ブルー | 2013年10月 8日 (火) 17時18分

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