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2010年8月10日 (火)

ビール:最新で全くあり得ない健康食品

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さあ今日は久しぶりにアルコール、ビールの話題だよ。

暑いからビール好きは飲む量が増えているんじゃないかな。ビールに関して色々言われているけど、ほどほどにしていないと痛い目に合うよ。Diet Blogを見たら、英国でくだらないキャンペーン運動が始まっているみたいだ。ダイエットをするならビールがお勧めって、眉唾だよね。

「ビール」と「ダイエット」でググってみると、色々な情報に溢れている。でも、どうして日本語のサイトはくだらない業者の宣伝サイトが多いのだろう。まともな情報に辿り着くことのできない日本語リーダーは可哀想ですね。

今日の記事に出てくる「エンプティカロリー」をまともに説明しているサイトも少なかったよ。どうしてだと思う?

実は、ビール(アルコール)の代謝といっても、身体の中でどのように代謝されているのか本当は分かってないですよ。教科書レベルであたかも目の前で起きている現象のように説明されていても、インビトロ(試験管内)の実験で得た知識をインビボ(生体内)の現象として理屈づけているだけ。立派な学者は、分からない現象を既知の現象から推論して最もらしく話できるテクニックに長けているんですよ。でも、本当は分かっていないという事実に何ら変わりはないんですよね。

エンプティカロリー(Empty Calorie)を言葉通りに、カロリーが空、カロリーが無いという説明をしている人も多いけど、そういう人は決まって、アルコールを飲むと放熱されるからカロリーとしてカウントされないという説明をしている。しかし、熱を作り出すということは明らかにカロリーがあるってことになるよね。こんな矛盾した説明をよく平気でしているもんだ。血管拡張による熱産生という理由にも笑ってしまった。

摂取したアルコール、どの位が熱産生に使われるでしょう?もし知っているのなら教えていただきたい。「教科書に書かれているから」なんて笑ってしまうような説明は無しね。

エンプティカロリーが誤訳される原因は、この言葉を作った人のミスでしょう。「Empty calorie means too many calories with too little nutrition.(エンプティカロリーとはカロリー値は高いけど栄養素は少ない)」と私は理解している。ジャンクフードもそうですよね。ね、やっぱりエンプティカロリーって誤解を与えやすい言葉だと思わない?やっぱりエンプティニュートリションと言った方がいいんじゃないかな?

さて、ビールの話をもう少しする。私はいまだにアサヒのフーパードライが好きでよく飲んでいる。喉が渇いている時だったら、500ml缶をあっという間に飲み干してしまうし、同様の人も多いでしょう。でも、ダイエットの事を考えて350ml缶で話をしよう。

スーパードライはアルコールが5%含有されているから、350ml缶には17.5mlのエタノールが含まれている。エタノールの比重は0.8(温度で変化するよ)として、14gのエタノールってことになり、カロリーは98kcalになる。糖質は10.5gなんで42kcalになるけど、原材料の麦芽、米、ポップ、コーン、スターチから推測すると麦芽糖(マルトース)から得られるカロリーだろう。ほら、糖の割合だってハッキリ分からないよね。ビール会社によっても異なるでしょうし、そんなビールの生体内の代謝なんて分かるわけないんじゃない?

それからタンパク質も少し含まれていて、最大で1.4gあるから5.6kcalということになる。これらを足すと、98+42+5.6=145.6kcalになるね。スーパードライの成分表に表示されているエネルギーは147kcalなんで、計算通りだろう(誤差はエタノールの比重かな?)。まあ他の微量成分も全く分かんないけどね。代謝に驚くべき影響があったりしてね(^_-)

ここまでで考えれば、350ml缶のビールを飲んでも、白米をお茶碗一杯分減らせば減量の妨げにならないと思うだろう。でも、身体の反応を考えると、アルコール飲料はダイエッターにとってやっかいな存在になる。

エタノールの中間代謝産物のアセトアルデヒドの弊害については触れないけど、摂取したエタノールの大半は肝臓で代謝を受け、デノボ脂質合成系からVLDL(超低比重リポ蛋白)やFFA(遊離脂肪酸)の産生を増やしてしまうんだよ。内臓脂肪の過多やインスリン抵抗性を高めてしまう。やっかいなのは、エタノールを摂取しても満腹感を感じにくいことだろう。ビールに含まれる麦芽糖やエタノールじゃ血糖値は上がりにくいからだ。てことは、ビールを飲んでも食事量は減らないってことだね。

まあ私の話も重箱の隅をつついたような内容に溢れていて説得力はないけど、それだけ分かってないことが多いんだよ。

そんな理由から、今日のDiet Blogのようなキャンペーン活動でも支持されてしまうのかもよ。

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ビール:最新で全くあり得ない健康食品
Beer: The Latest Unlikely Health Food

英国で、Real Ale(CAMRA:CAMpaign for Real Ale本物のエールビール販売促進活動)の販売キャンペーンがされているけど、最近、彼らは、ワインからビールに切りかえると減量の助けになるという主張をしている。

この主張は希望的観測に過ぎないし、統計を上手く利用している。

ダイエットをしている時にビールが飲めるとなると非常にインパクトはあるけど、真実は - どんなアルコール飲料と同様に - ビールは「エンプティカロリー」源になっているから、飲んでも満腹にならない。そのため、ビールを飲んでも食事が減ることはないだろう(学生の間で言われている都市伝説、ギネス・ビールとバナナを組み合わせるとバランスの取れた食事と言われているけどね...訳注:こういう話をは知りませんでした。皆さん知ってました?)

CAMRAキャンペーンは、ダイエットをしている人にビールがいいと言っているけど、その理由は:

どんなアルコール飲料でもカロリーの大半はアルコールそれ自体であり、ビールはアルコール度数の低い飲み物に分類されているて、カロリーも少ない。

これは真実ではあるが、ビールを飲めば、毎回必ずワインより量が多くなる。もし仮に、グラス一杯のワインを同じサイズのグラスのビールに代えられるなら、カロリーもアルコール摂取量も減る。しかし、どの位の人がそうできるかな?

数々の研究報告から赤ワインの中等度の飲酒なら、身体にいいということが示されている。ワインを取り入れているダイエット法さえあるぐらいだ。ビールにだって、骨を強くする可能性はあり、その健康上の利点は赤ワインでは示されていない。

CAMRAの主張を見れば、自分たちの商品が健康的であるということを主張することが、いかに容易いことか示されている。覚えていて欲しい、ダイエットに関連する話が出来過ぎていると感じれば、当にそうなんだよ。

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コメント

確かにこのような英語独特の言い回しを日本語に直訳するのは困難ですよね。上記のダイエット法は「ワインをたくさん摂取する方が、ワインをビールに取って代わる事ができた場合に減量の手助けになり得る」という理解でよろしいんでしょうか?ビール好きには朗報かもしれませんが、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ですよね!

投稿: yasupon | 2010年8月12日 (木) 15時23分

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