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2010年8月18日 (水)

魚油は10代少年のうつ病を緩和させるかも - オメガ3

ライフログで取りあげたオメガ3系脂肪酸に関する話題
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魚油は10代少年のうつ病を緩和させるかも - オメガ3(10/08/18)
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オメガ3系脂肪酸に関する私見(08/11/18)
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オメガ3系:いかに騙されているか(08/06/20)

久しぶりにオメガ3系脂肪酸に関する話題をとり挙げよう。脳神経の発達において、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の摂取時期、そして、摂取比率が重要になるんじゃないかという話を、「魚油は統合失調症の予防になるか? - オメガ3」でしている。

胎児期のアラキドン酸、そしてティーンエイジャーにおけるEPAやDHA摂取の重要性が考えられている。今日の報告をみても、ティーンエイジャーにおけるオメガ3系脂肪酸の重要性は示唆されているけど、今回の報告は、気分障害(うつ病)に関する報告なので、以前に紹介した統合失調症の予防と意味合いは少し異なってくるかもしれない。更に、この報告は、あくまでも観察研究の結果なので因果関係が示された訳じゃない。今後の確認研究が待たれるってことだ。

さて、多価不飽和脂肪酸と脳神経に関しちゃ、東北大学の大隅典子先生が有名なので、日本神経精神薬理学雑誌2010年6月30日号に載っている彼女の研究に関する総説を紹介しよう(日本語の文献だけど、PubMedの英語の要約しかない...)

脂肪酸シグナル、神経新生、そして精神障害
Fatty acid signal, neurogenesis, and psychiatric disorders
脳は、脂質と脂肪酸結合タンパクが非常に多い器官であり、脂肪分子の中でも、多価飽和脂肪酸(PUFAs)、特にドコサヘキサエン酸(DHA)とアラキドン酸(ARA)は、主要な構成要素になっている。しかし、PUFAsの正確な役割は分かっていないし、脳の形成、維持、そしてメンタルな機能におけるシグナル伝達に関して全く分かっていない。神経新生は、脳の発達と維持において鍵になる現象の1つだろう。海馬における神経新生の低下と、統合失調症などの精神障害で必ず現れる表現形の1つのプレパルス抑制(PPI)の障害に存在する興味深い関連性は、いくつかの動物実験で報告されている。今のところ、動物モデルを使った神経新生とPPIの整合性から「神経新生理論」を提案していて、さらに神経新生を操作することでPPIに影響を与えることができる可能性を模索している。また同じように、PUFAsは、細胞膜のFabpのリガンドであり神経幹細胞/前駆細胞に豊富に発現しているので、食事性のPUFAs、ARAにDHA(有り/無し)によって神経新生を引き起こし、PPIを改善することができるかどうか確認した。我々の結果から見れば、出生後の神経新生を増大させることで、神経障害に関わるPPIを改善させる可能性がPUFAsにあることが示唆された。

これは彼女の過去の報告、「不飽和脂肪酸、アラキドン酸で精神疾患の予防効果?」と同じ内容だと思われる。原文を手にいれて確認が必要だろう。

さて、今日の話に戻るけど、今回の報告によると、二大精神疾患の1つ、気分障害にも多価不飽和脂肪酸が関連するかもしれない。しかし、その効果が少年にしか現れないかもしれないというのは興味深い。今後の研究報告が楽しみだ。

魚油は10代少年のうつ病を緩和させるかも - オメガ3
Fish oil may curb depression among teen boys
(ロイター・ヘルス) - イワシ、サケ、そしてブリのような脂っこい魚を多く食べるとティーンエージャーの少年の気分的な落ち込みが改善する可能性が新しい日本の研究で報告されている。

しかし、同様の効果がティーンエイジャーの少女では認められない。

オメガ3系脂肪酸、EPAやDHAは主に脂っこい魚に含まれている。これら栄養素が脳機能で重要な役割を担っていると考えられているので、多くの研究者は摂取量を増やせば、うつ病の危険性を下げるかもしれないと考えていた。しかし、成人を対象にした研究で、この関連性に関して結論は出ていない。

今まで、身体が衰弱させるうつ病になりやすい青年期で、この関連性を研究者は調べていなかったから、東京大学の村上健太郎氏のグループは、12-15歳の6,500名の日本の中学生の食事とうつ病の程度を解析した。

最終的に、少年の23%と少女の31%が、価値が無くなってしまう感覚、絶望感、そして睡眠障害といったうつ病の症状に苦しんていた、と雑誌Pediatricsに報告している。

年齢と両親の教育レベルで補正して食事内容に関する質問票から、全体の摂取量を5段階にわけて、最も量の多い少年グループは、最も少なかったグループに比べて、うつ症状のオズ右が27%低下していた。

同様の差は、魚に含まれるEPAやDHAを個別に見ても認められていた。

一方、少女では、魚油によるうつ病への効果が見られなかった。

少年と少女にある効果の差を説明することは難しいと研究者は考えているけど、女性は男性に比べて、うつ病発症に遺伝的な関連性が強いところに原因の可能性があるかもしれないと考えている。

彼らによると、今回の結果は、魚油がうつ病発症リスクを低下させられるエビデンスになっていないと警告している。

因果関係を確認するため更に研究が必要ではあるが、EPAやDHAの摂取を増やすことで、うつ病発症予防の重要な治療法になりえる可能性はあると結論づけている。

文:屋台ブルー

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コメント

食事がうつ病と関係あるというのは興味深いですね。
最近、食生活がまた乱れ気味なので気をつけたいと思いました。

ところで、私が最近入手したうつ病に関する情報を書きたいと思います。

ある病院の先生がおっしゃっていたのですが、うつ病の方は高血圧であったり糖尿病のような生活習慣病にかかっている頻度が高い傾向にあるとおっしゃっておりました。

うつ病というと以前までは部屋の中でそっと回復を待つというのが主流ですが、あえて運動をさせるようになさったそうです。すると生活習慣病の症状が改善されると同時にうつ症状も改善していったとのことでした。

最近、一週間に一度程ですがジョギングをするようになりました。うつ病にならないようにするためにも食生活・運動は気をつけて行きたいと思いました。

投稿: はるうらら | 2010年8月24日 (火) 22時14分

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