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2010年8月14日 (土)

糖尿病患者の血圧コントロール - 「血圧は低ければそれでいいの?」へのコメント

fumixieさんのエントリー「血圧は低ければそれでいいの?」は私も考えさせられたので、コメントが遅くなりました。と言っても、今日の内容は医療従事者向けになるな。一般の人は読んでもさっぱり分からないかも。

これの元ネタは、先月JAMAに掲載された「Tight Blood Pressure Control and Cardiovascular Outcomes Among Hypertensive Patients With Diabetes and Coronary Artery Disease(糖尿病と冠動脈疾患を持った高血圧症患者における厳格な血圧コントロールと心血管イベントの関係)」という報告。

実はこの報告、INVESTと呼ばれる大規模臨床試験の二次解析になるので、親元の対象は、高血圧症とCAD(心血管疾患)を持っている患者(22,576名)だった。第一選択薬にカルシウム拮抗薬かβブロッカーが使われていた。カルシウム拮抗薬から始めた場合、2番目にACE阻害薬、そして3番目に利尿剤が追加されていて、βブロッカーから始めた場合、2番目に利尿剤、3番目にACE阻害薬が加わっている。しかし、登録時に糖尿病があれば(6400名)。第一選択薬にACE阻害薬が使用されているようで、その彼らが今回の報告対象となっている。

でも、Methodsの所に、「For patients with diabetes at the time of enrollment, trandolapril was recommended as part of initial therapy, regardless of treatment strategy assignment. 」という記述があるけど、「was recommended」というニュアンスが気になるんですよね。推奨されているけど、実際は使っていないかもしれませんね。試験デザインと同様の処方順序かも...

糖尿病患者で高血圧症になればACE阻害薬かARBが第一選択薬になる。だって、カルシウム拮抗薬にCADの予防効果が無いからだ(今日の本題で説明)。試験デザインの通りに投薬されているとなると、ACE阻害の投与タイミングが遅くなっていてイベント発生に影響があるかも。これは非専門医の浅はかな考えなんだろうか?

血圧コントロールの程度で。厳格コントロール:収縮期血圧129mmHg以下、通常コントロール:収縮期血圧130-139mmHg、コントロール不良:収縮期血圧140mmHg以上の3群に分けられていて、降圧剤の使用状況は、厳格コントロール群で3剤以上、通常コントロールとコントロール不良群で、集団の2/3が3剤以上の併用をしていた。そして、これら3群ともACE阻害薬の投与は75%だったという。素晴らしいよね。だって、ACE阻害薬の副作用って結構多いからだ。何度も言うけど、やっぱりACE阻害薬を内服していた期間が気になる。試験当初から75%の人が内服していたのだろうか?

Result_jama1

でも、この結果にはインパクトがあって、著者が説明するように、CADの既往がある糖尿病患者の場合、BP130/80mmHg以下にコントロールすることに躍起にならないで、他のリスクファクターに注意を向けろっていうのも頷けます。

しかし、ここでも日本人と白人の人種差を考慮しないといけないでしょう。白人に比べて少ないCADの発症、そして何よりも最近注目されている日本人の腎臓病の多さ(日本人のネフロンの数が少ないという話→データを持っていないので出典を教えてください)を考えると、日本人の糖尿病患者の場合、腎臓病予防を考えて、より厳格な血圧コントロールが望まれるんじゃないのかな。この結果だけで、2009年のガイドラインで推奨されているBP130/80mmHg以下の目標値を無視しちゃいけないでしょう。ただ、明らかに心血管疾患を持っている患者さんだったら無理に収縮期血圧を120mmHg以下にまで持って行こうとしなくてもいいかも。しかし、糖尿病性腎症があったらどうしたらいいんでしょうね?専門医の人の意見を聞きたいですね。

さて、私のような一般家庭医が血圧コントロールに迷いが生じた時、偉い先生方の意見を承った方がいいでしょう。ちょうど同時期に雑誌Clinical Diabetesに「Blood Pressure Management in Patients With Diabetes(糖尿病患者の血圧コントロール)」というレビュー記事が掲載されたので知識の整理のために訳文を紹介しておく。

文献の最後に締めた言葉につきると思う。

Further evidence is needed to support treating patients to BP goals lower than current recommendations.

今あるエビデンスでは収縮期120mmHg以下にした方がいいのかどうか分からない。日本人でどうなのかさっぱり分からない。日本人のエビデンスが知りたいよね。

文:屋台ブルー

糖尿病患者の血圧コントロール
Blood Pressure Management in Patients With Diabetes

血圧症は、プライマリーケアが必要な患者の中で最も多い疾患である。Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressureに関する7番目の報告で、高血圧症は、18歳以上の成人なら、収縮期血圧(BP)>=140mmHg、もしくは、拡張期BP>=90mmHgと定義されている。この閾値は、糖尿病や腎疾患があれば、収縮期BP>=130mmHg、もしくは拡張期BP>=80mmHgに下げられている。
 2006年の米国国民調査によると、BPの上昇している人は、7400万人以上と推定されていて、男性でも女性でも罹患率は等しい。アフリカ系アメリカ人の罹患率が最も高く、40%以上の成人が影響を受けている。更に、高血圧症の罹患率は年齢と共に増加して、80歳以上なら75%近くになる。
 糖尿病があればBP上昇のリスクは更に高い。このレビューでは、高血圧症に関する最近のエビデンスと糖尿病を持っている成人から子供の血圧コントロールに関するまとめと、プライマリーケアに従事している人に向けて、臨床的な意義と推奨される治療に関してディスカッションをしている。

糖尿病患者における高血圧症の疫学
成人の糖尿病患者における高血圧症の有病率はおおよそ20-60%で、これは、年齢でマッチした糖尿病の無い集団と比較して、1.5-3倍高い。高血圧症の発症は、1型糖尿病と2型闘病患者で異なる。1型糖尿病の場合、糖尿病性腎症による高血圧症が進行して、患者の30%が徐々に影響を受ける。それとは対照的に、2型糖尿病の場合、糖尿病の診断を受けた時や高血糖状態になる前に高血圧症になっていたかもしれない。2型糖尿病の場合、だいたい加齢や肥満に伴うし、これらは高血圧症のリスクを高めるので、糖尿病が単独手BPの上昇に起因していると説明しにくい。
 糖尿病の患者で高血圧症があれば、心血管疾患(CVD)のリスクは2倍になる。血圧のコントロールをしなければ、収縮期BPの上昇と微小血管および大血管疾患のリスク上昇は正の相関が存在する。だいたい、糖尿病患者の>65%はCVDが原因で亡くなっている。

BPコントロールに関する臨床試験のエビデンス
糖尿病患者のCVDリスクを低下させる1つの重要な方法は、BPをコントロールすること。BPをコントロールすれば、糖尿病性の大血管疾患である心筋梗塞(MI)、脳卒中、そして末梢血管疾患(PVD)のリスクは低下する。でも無くなることはない。BPのコントロールは、微少血管疾患である網膜症、腎症、そして末梢神経症の発症低下と強い相関がある。いくつかの大規模臨床試験を見れば、糖尿病患者のBPコントロールの重要性が示されている(テーブル1:訳注:原文を参照してね、フリーでダウンロードできるよ)。

UKPDS
The U.K. Prospective Diabetes Study(UKPDS)では、糖尿病と新規に診断を受けた5,120名の患者が登録された。1977年から1997年の20年間、23の医療センターで調査が続けられた、血糖値を改善させれば、BPのコントロールがあろうが無かろうが2型糖尿病の合併症が減ることが示された。厳格なBPコントロール(目標値は150/85mmHg以下)、もしくは緩いコントロール(目標値180/105mmHg以下)に患者は無作為に割りふられた。厳格なコントロール群では、ACE阻害剤(カプトプリル)、もしくはβブロッカー(アテノロール)で治療を受け、MI、突然死、脳卒中、そしてPVDのリスクは低下した(すべての心血管疾患、相対リスク[RR]0.66)。微少血管疾患の明らかなリスク低下は認められた。厳格なコントロール群における網膜症の発症(RR 0.63)、しかし、MIに関して予防的な効果は見られなかった。この明らかなリスク低下効果は、臨床試験が終了して10年続かなかった。それは、臨床試験中に受けていた降圧治療と同じ治療を被験者が続けなかったからだ。

HOT trial
The Hypertension Optimal Treatment(HOT)試験は無作為試験で、50-80歳の高血圧患者18,790名が対象だった。この試験によって、目標の拡張期BP値が確立された。第一選択薬に、カルシウム拮抗剤(フェロジピン)が使用され、段階的に他の薬が追加されていく方法だった。最終的に、このHOT試験から、収縮期血圧を140mmHg以下、そして拡張期を85mmHg以下にすることで臨床的な利点が示された。糖尿病を持っている患者さんに関して見れば、拡張期BPを80mmHg以下にすれば、拡張期90mmHgにしたグループと比較して、主要な心血管イベントのリスクが51%低下した(P=0.005)

HOPE trial
The Heart Outcomes Prevention Evaluation(HOPE)試験で、CVDを持っている患者を対象に、ACE阻害薬のBPに対する効果、心血管イベント発生の効果、もしくはCVDリスクファクターへの影響が調べられた。この試験に高リスクの9,297名の患者が登録されて、ラミプリル(日本未承認薬)投与群が4,645名、偽薬群が4,652名、無作為に割りふられた。約40%の患者が糖尿病で。一次アウトカムは、MI、脳卒中、もしくは心血管疾患死の合計だった。
 ラミプリルを投与されていた患者の651名が一次エンドポイントに達し(14.0%)、偽薬を投与されていた患者で826名だった(17.8%)(RR 0.78,95%CI 0.70-0.86 P<0.001)。ラミプリルの投与を受けていた患者で明らかにBP低下を認め、同様に、MIリスクの低下は22%、脳卒中リスクの低下は33%、そして、CVDによる死亡リスクの低下も37%、全ての死亡率は、偽薬に比べて24%低下していた。
 引き継いで続けられた試験は、Microalbuminuria, Cardiovascular, and Renal Outcomes in the Heart Outcomes Prevention Evaluation(MICRO-HOPE)試験と呼ばれ、偽薬群に比べて、ラミプリル投与群で腎症のリスクは22%低下した。

ALLHAT trial
The Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial(ALLHAT)は、無作為、二重盲検の三群比較試験だった。55歳以上の42,418名の登録があり、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、そしてサイアザイド系利尿剤が治療に使用され、CVDリスクファクターのある(糖尿病は36%)高血圧患者への効果を比較検討した。
 一次アウトカムは、致死性、非致死性MIの組み合わせだったが、これらの薬剤間でリスク低下に差は無かった。クロルタルドン(訳注:エビデンスの多い利尿剤。しかし、今日の合剤ブームによるものなのか、ヒドロクロロチアジドの処方は増えているけど、クロルタルドンは日本の市場から消えてしまった(販売中止)。ヒドロクロロチアジドはエビデンスの少なさから初期治療に用いるべきじゃないという話もあるのにね)内服群に比べ、アムロジピン内服群(40%以上)とリシノプリル内服群(15%以上)で心不全リスクが高くなった。認められた結果とクロルタリドン内服によるコスト抑制から、研究者等は、高血圧症の治療にサイアザイド系利尿薬が適切であるという結論を出している。

ABCD trial
The Appropriate Blood Pressure Control in Diabetes(ABCD)研究では、糖尿病患者の微少血管疾患の発症と進行に焦点が向けられた。無作為に470名の糖尿病患者を強化BPコントロール群(目標拡張期75mmHg以下)、もしくは中等度BPコントロール群(目標拡張期<=80-89mmHg)に振り分けた。また、カルシウム拮抗薬(ニソルジピン)とエナラプリルの効果を比較検討した。
 5年間続いた研究の結果を見ると、平均BPは、132/72mmHg(強化コントロール)対138/86mmHg(中等度コントロール)たった。被験者の死亡率は、強化コントロール群は、中等度コントロール群に比べて、約半分に低下した(51%低下)。網膜症の進行と腎症の進行に差は認められなかった。更に、エナラプリル投与群と比較して、ニソルジピン投与群で、致死性・非致死性のMIリスクの明らかな上昇を認めた。

ACCORD BP trial
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD) BP試験の目的は、収縮期BPを120mmHg以下にしてCVDアウトカムにどのような影響を与えるか調べるものだった。HOT試験で、収縮期BPを140mmHg以下することで臨床上利点があることが示された。しかしながら、観察研究を見れば、収縮期BPの低下(120mmHg以下になっていくと)とCVD発症リスク低下の間に相関はある。高血圧症で糖尿病の患者(n=4,733)を無作為に、強化BPコントロール群(収縮期BPを120mmHg以下)、もしくは標準的BPコントロール群(140mmHg以下)に割り振った。
 5年にわたるフォローアップ中、一次アウトカム(非致死性MI、非致死性脳卒中、もしくは心血管疾患死)に関して見れば、強化コントロール群でも標準コントロール群でも差は無かった。数字を見れば、強化コントロール群で心血管疾患イベントの数(n=208)は、標準コントロール群(n=237)に比べて少なかったし、強化コントロール群は、標準コントロール群に比べて、脳卒中の発症も少なかった(36 vs. 62)。強化コントロール群で、しかしながら、非常に悪いイベントの発症があった。それは、標準コントロール群に比べると、異常なBP低下が認められた(77 vs. 30)。
 上記で示した臨床試験から、糖尿病患者のBPをコントロールすべきというエビデンスは強力だ。しかしながら、臨床試験の結果とエビデンスの臨床応用の間には明らかなギャップが存在する。外来診療の場で、BP測定は、だいたい受診毎に行われている(98%以上)。しかし、BPがコントロールされている率はかなり低い(約40%)。1999年から2006年にわたって医療制度を受けた人の国民調査によれば、年齢と性別で補正したBPコントロールの比率は、驚くほど低く、46-56%だった。臨床試験から得られたエビデンスとBP目標値の到達にあるギャップは、効果的な高血圧コントロールの妨げを考える実施研究の対象になる。

効果的なBPコントロール:現実世界での治療
プライマリーケアの現場で、目標値のBPに達するため、いくつかの障壁が存在する。その障壁には、患者の状態(社会的、経済的、心理的、治療に関する因子)、治療提供者の状態(臨床的への慣れ、多剤併用、それに時間的制約)、そして、システム自体の在り方が含まれている。更に言えば、食生活やライフスタイルを変えていくことは、患者にとって困難なことで、血圧のコントロールが悪いことで引き起こされる健康障害に関する知識が欠如していることも治療の妨げになっているだろう。プライマリーケア提供者が治療ガイドラインを実行できていないのかもしれないし、他の治療選択を知らないのかもしれない、もしくはガイドラインに不服があるのかもしれない。また、患者に自己管理の方法を教えられないのかもしれない、それか、BPがコントロール不能になった時、薬剤を強化する時期に気が付いていないのかもしれない。システムに関して言えば - 品質の高い医療制度の提供システムで影響を受ける - 保険の適応範囲、薬剤の自己負担金、クリニックの利便性、自己管理プログラムの存在、そして補償の枠組みなど。更に言えば、患者と医者の間でのコミュニケーションもBPコントロールに影響を与える。協力的に決定をして、時前に連絡を取り合うという方法論と良好な高血圧コントロールの間に相関が見られる。
 かなり多くの研究で、患者集団と多彩な状況下において多因子の絡む介入をしてBPコントロールが調べられている。患者と医療提供者の両方に向けられたこれら介入試験は単独の物ばかりで、それによると、糖尿病患者のBPコントロール改善に関して様々な結果が得られている。しかしながら、システマティックレビューとメタアナライシスから言えることは、患者をグループ単位、もしくは個人単位で教育して、看護師や薬剤師を含めたチーム医療を提供することで、BP低下との相関は得られた。

高血圧症:初期評価
糖尿病患者の場合、クリニック受診時に、キャリブレーション最近している機器を使って、BP測定と記録は取られるべきである。BP測定前に、足を地面に付けて椅子に座り、腕を露出させ心臓の高さに保持して5分間待つ。カフを患者の腕の周径の約80%で締める。もしマニュアルカフを使っているなら、最初のコロトコフ音が聞こえた時が収縮期BP値、音が消えた時が拡張期BP値である。2分間隔で2度測定した平均を記録する。患者には、正常BP値と自分の目標値を知ってもらう必要がある、それは、高血圧症の管理を自覚させる効果がある。
 糖尿病患者の高血圧症の診断は、2回の受診時のBP測定値の平均が、130/80mmHg以上だった時だ。この測定値は、反対側の腕で確認する。高血圧症患者に対する緻密なr理学的診察は、眼底検査;甲状腺検査;心臓及び肺検査;頚部、腹部、そして鼠径部のブルイ聴診;腹部大動脈瘤の触診;遠位脈拍;下肢の浮腫確認;そして神経学的検査が含まれる。高血圧症の初診時の検査には、心電図、尿検査、そして電解質の測定(グルコース、カルシウム、カリウムが含まれる)、クレアチニン、ヘマトクリット、そして脂質のチェックも含まれる。
 自由行動下BP測定と間欠的自宅BP測定は、白衣高血圧症、薬剤を飲めているかどうか疑問のある場合、副作用のチェックに有効である。Banegasのグループによると、高血圧患者では、23-60%が家庭BP測定をしていて、ほとんど正常か正常値に近かった(BP< 130/80mmHg)。外来で測定するBPは、しばしば高かった。実際、最近の2つのコホート研究で、自由行動下BP測定は、外来測定に比べて、心血管疾患イベントの予測に優れていたという結果が示されている。もし、患者が家庭でBPを測定するなら、その機器を外来で使用している機器に合わせてキャリブレーションすべきである。

高血圧症の治療
糖尿病患者の目標BP値は、収縮期<130mmHg以下で拡張期<80mmHg以下である。この目標値に到達するため、収縮期BP130-139mmHgもしくは拡張期BP80-89mmHgの患者なら、ライフスタイル改善による行動変容を3ヶ月までする。もしBPが140/90mmHg以上なら、薬剤とライフスタイル改善を同時に始める。
 血圧はライフスタイの改善で低下させられる。BMI値が25kg/m2以上なら減量(平均収縮期血圧低下5-20mmHg/10kg)、Dietary Approaches to Stop Hypertentsion(DASH)食(8-14mmHgの低下)、塩分摂取減量(2-8mmHg低下)、身体活動の増加(4-9mmHg低下)、中等度のアルコールの摂取(2-4mmHg低下)、禁煙、そしてストレスマネージメントなどがある。DASH食とは、果物、野菜、穀物、そして低脂肪食で飽和脂肪酸、総脂肪、そしてコレステロール摂取の制限で構成されている。ナトリウム総摂取量も1,500-2,300mgが推奨されている。
 BPのコントロールが悪い場合や、ライフスタイル改善も上手く行かない患者には、降圧剤による治療が望ましい。しばしば、降圧剤が必要な糖尿病患者は、目標BP値に達するため、2剤以上の薬剤を必要とする。一般的な薬剤の種類と副作用に関して、下のテーブル2(訳注:原文を見てね。ここにはないよ)で述べている。
 糖尿病患者のBP治療のための投薬パターンにACE阻害薬がARBを加えるべきだろう。どちらの薬剤も耐性は高く、第一選択薬として考えられる。必要ならば、両方とも強力なBP低下のために使用できる。ACE阻害薬もARBも、大血管疾患リスク低下と糖尿病性腎症の進行予防になる。血管性浮腫や両側腎動脈硬化症のある患者はACE阻害薬を使うべきではない。そして、ACE阻害薬で血管性浮腫が惹起された患者でARBを使用するなら注意が必要である。
 利尿薬は糖尿病患者のもう一つの降圧剤になる。軽症の慢性腎臓病(推定糸球体濾過量[eGFR]が30ml/min/1.73m2以上)の場合、サイアザイド系利尿薬を第二選択薬として、ACE阻害薬とARBの後に追加すべきだろう。ACE阻害薬もしくはARBとサイアザイド系利尿薬の組み合わせは、単独に比べて、より効果的だろう。痛風や低ナトリウム血漿の既往があれば、注意深くフォローアップする必要がある。なぜなら、サイアザイド系利尿薬は、これらを悪化させる可能性があるからだ。もし患者のeGFRが30ml/min/1.73m2以下(血清クレアチニン値が2.5-3.0mg/dl)ならば、ループ系利尿薬をBPコントロール付け加えることが望ましい。
 降圧剤のクラスとして、カルシウム拮抗薬(CCBs)は糖尿病患者のBPを低下させるために効果的である。CVDのイベントに関して言えば、CCBsは、ACE阻害薬に比べ、入院の必要な急性MI、脳梗塞、狭心症発作リスクを低下させる効果は無い。そのため、このような集団で、カルシウム拮抗薬はBP治療薬の選択として後になって考えるべきだ。その上、CCBsは腎臓病の進行予防効果も見られない。
 βブロッカーは、利用できるもう1つの降圧剤である。狭心症、冠動脈疾患、MI、もしくは心不全の糖尿病患者であれば、βブロッカーは、二次予防に明らかにいい。しかし、βブロッカーは喘息、気道過敏症、そして、II度、III度の房室ブロックを悪化させる可能性がある。さらに糖尿病患者で重要なことは、βブロッカーは体重を増やしたり、インスリン量を増やしたり、低血糖の症状をマスクしてしまうことだ。
 多剤併用療法の場合、相乗効果があるため、単独両方に比べてBPの低下は大きい。多くの降圧剤を組み合わせると、単独療法に比べ費用がかかるけど、薬剤の種類によって、大手の米国薬局なら、安価な薬剤が利用できる。非ジヒドロピリジン系CCBs(ベラパミル、もしくはジルチアゼム)とβブロッカーの組み合わせは、徐脈発作や心ブロックを引き起こすかもしれないので注意が必要である。
 血圧がコントロールされていない患者は、BPが130/80mmHg以下になるまで、毎月診察すべきである。血清カリウム値とクレアチニンは少なくとも年に二回、サイアザイド系尿薬、ACE阻害薬、ARBsを始めているなら1-2週間後に確認する必要がある。BP値が安定したら、診察は3-6ヶ月に一度にできる。

子供と思春期の高血圧症の話しはパスね(^^;)

結論
高血圧症も糖尿病も一般的な疾患である。加齢、肥満、そして腎機能の悪化が、糖尿病患者の血圧上昇に影響する。肥満の増加、身体活動の低下、人口の加齢と共に、糖尿病と高血圧症は、21世紀の公衆衛生上の脅威になっている。糖尿病患者のBPをコントロールすることで、CVD発症に影響を与えるけど、それはBPとCVD発症リスクの間に、連続的に、強固で、他のリスクから独立した相関があるからである。現在の推奨BP値をさらに下げてコントロールするためにさらにエビデンスが必要であろう。

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コメント

詳細にエビデンスを総括されてて、大変わかり易かったです。糖尿病患者のCVD予防については単に血圧コントロールだけでなく、脂質・血糖コントロールを含めたトータルな全身管理が重要なんですね。おっしゃる通り、これだけエビデンスがそろっていたとしても、やはり日本人にはそっくりそのまま当てはめらないんでしょうね。そもそも海外ではARBよりもACEが多く使われているようですし、ARBもACEと同列に扱ってよいものか議論もありますのでさらに評価が難しいですよね。

投稿: yasupon | 2010年8月30日 (月) 13時57分

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