健康的なチョコレート
チョコレート愛好家の人はどれくらいいるだろうか?僕はチョコレートは極力食べないようにしている。砂糖が入っているし、飽和脂肪酸が使われ、なにより水素添加された脂肪も含まれているときたらもう・・・悪い以上に、なぜこのような食べ物があるのかと思ってしまうくらい悪い。
数年前には、ポリフェノールが注目され、チョコレートの株は一気に上がった。ポリフェノールの効果で抗酸化作用があるのではないかと、チョコレートを販売している会社はやっきになって、そのネタを元に商品販売をガンガンすすめていたのが記憶に残っている。
先日読んでいた記事の中で、”ステアリン酸”と言うキーワードが目に付いた。ステアリン酸はココアバターに豊富に含まれ、心臓疾患の予防に効果があると。そこで、今回はステアリン酸について検証している資料を探してみたところ、チョコレートに関するものがいくつか出てきたので紹介します。
はたして、チョコレートは本当に健康に良いのだろうか?
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今回の記事はWebMDよりHealth by ChocolateとEuropean Heart JournalよりChocolate consumption in relation to blood pressure and risk of cardiovascular disease in German adultsの二つの資料をまとめた話を掲載します。
Health by Chocolateの著者によると
チョコレートは細胞の抗酸化フラボノイドとして健康に寄与してくれます。チョコレートは植物のカカオからできており、カカオにはフラボノイド・ファイトケミカルであるフラバノールが非常に豊富に含まれています。(その他には植物の紅茶、葡萄、グレープフルーツやワインにもフラバノールは豊富に含まれています。)簡単なことですが、一部の加工されたチョコレートにはより多くのフラボノイドが含まれています。
ということで、チョコレートそのものがよいというよりも、カカオに含まれる”フラボノイド・ファイトケミカル”がよいとのこと。そのうち、”フラバノール”が効果を示すとのこと。続けてこう述べています。
ココアの実に含まれる脂肪はどんなものでしょう?このココアに含まれる脂肪はいくつかの飽和脂肪です。しかし、この飽和脂肪の大部分はステアリン酸で、研究によると他の脂肪酸と同様に血中コレステロールレベルを上昇させません。ココアバターに含まれるその他の脂肪酸は一価不飽和脂肪(理想的な脂肪と考えられている)とその他の飽和脂肪でパルミチン酸があります。しかしここで、混乱を招くものがあります。チョコレート製品にはその他の種類の脂肪が加えられており、“乳脂肪”や“一部水素添加された植物オイル”とかココナッツオイルやパーム油(両方とも自然界に存在する飽和脂肪酸の油)などがココアバターに加えられています。
”ステアリン酸”は脂肪の一種で、血中コレステロールの低下に関係した栄養素とのことです。しかし、ここでも述べていますが、すべての脂肪が良いわけではなく、飽和脂肪酸、乳脂肪、トランス型脂肪酸、ココナッツオイル、パームオイルと健康にとって悪い油のオンパレードな成分も含まれているわけです。
健康のためのチョコレート摂取の指標#2:チョコレートに含まれる脂肪成分はココアバターの他に、体にとって有害な飽和脂肪やトランス型脂肪が含まれており、むしろステアリン酸よりも多く含まれています。
スプーン一杯のココアバターに含まれる成分は
○8gの飽和脂肪(4.5gがステアリン酸で、3.5gがその他の飽和脂肪酸です)。
○4.5gの一価不飽和脂肪
○0.4gの多価不飽和脂肪(このほとんどがオメガ6脂肪酸)
より多くの研究が必要ですが、最近の研究ではダークチョコレートとココアが4つの健康に寄与してくれると提唱しています。
1.心臓発作の危険性を軽減するだろう。
ジョンホップキン大学医学部の研究者であるDiane Becker, MPH, ScDは、いくつかのケースにおいて一日に数枚のダークチョコレートを食べることは心臓発作による死の危険性をほぼ50%減らすと言っています。Beckerの研究では血小板の凝固がチョコレートを食べていない人々に比べて食べている人々ではより遅いとされています。この重要な点は血小板が凝集することで血管内に固着する凝集体となり、これが心臓発作に導くものとなります。
Beckerはe-mailインタビューの中で「ココア豆に含まれるフラバノールの生化学的な効果は血小板の凝集するのを減らすことですが、アスピリンよりは効果が低い」と答えています。
チョコレートと心臓疾患について構成している136の科学雑誌を検証した結果、ハーバード大学の公衆衛生の研究者たちは短期研究においてココアとチョコレートは下記の関わりで心血管系病変の危険性を減らすだろうと結論づけました。
Lowering blood pressure(血圧を下げる)
Decreasing LDL oxidation(LDLの酸化作用の改善)
Anti-inflammation action(抗炎症作用)
2.血圧の低下とインシュリン過敏性の増加が起こるかもしれません。
最近、イタリアの研究者たちが15人の健康な人々に、3オンスのダークチョコレートか同量のホワイトチョコレート(どちらもフラボノール・ファイトケミカルを含む)を15日間にわたって摂取させました。彼らのインシュリン抵抗性(糖尿病の危険因子)が特にダークチョコレートを食べた群で減尐しました。収縮期血圧(血圧の第一音を読み取る)を毎日計測した際にもダークチョコレートを食べた群で減尐していました。
3.血流改善が起こるかもしれません。
4.慢性疲労症候群の助けになるかもしれません。
上記と同様な内容がChocolate consumption in relation to blood pressure and risk of cardiovascular disease in German adultsにも掲載されていました。
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まとめると、ホワイトチョコレートやミルクチョコレートといった、“砂糖””脂肪”が添加されているものに関しては健康増進の効果は非常に低く、上記に記したような効果は期待できないということです。
チョコレートの中でもダークチョコレートと呼ばれる、カカオ成分を豊富に含んでおり、なおかつ脂肪が添加されていないものが好ましいように思われます。
あるいは、資料の中でも触れていますが、カカオパウダー(無糖、無加工)を日常生活に加えることは、糖尿病予防や心臓疾患の予防のために一躍を買ってくれるように思われます。
パッケージの裏を確認すること、それがとても大切で、ただ単にチョコレートが健康に良いと思うのは間違った認識に他なりません。”カカオ”その成分がどのように用いられているかが大切です。
ちなみに、我が家ではカカオパウダー(無加工、無糖)のものをバナナをつぶしたものに加え、オレンジやリンゴなどの他のフルーツに加えて食べたりしています。ご参考までに。
ちなみにステアリン酸については、コレステロールの改善作用も持ち合わせており、放牧して育てた牛肉の赤身に含まれる脂肪の一つでもあります。このステアリン酸は日本の和牛のように穀物飼料で育てた牛には含まれないということです。
※今回ご紹介したWebMDの資料の後半には、著者の個人的なアドバイスが載っていますが、あまり勧められるような話ではなかったので割愛しました。砂糖を添加している時点でそれではかえって不健康になってしまう可能性が高いからです。
文:Ctom
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コメント
私も市販のチョコレートはほとんど食べません。ダークチョコレートは食べたことありますが、あれは単体では、かなり食べるのはキツいですよね f(^^) うちの冷蔵庫にも入ってますが、なかなか減りません。
トランス脂肪は悪名高いですね。一説によると、その昔、ろうそくのロウの代用品として作られたものだとか。
ですからおっしゃるように、食品パッケージの裏の成分表示を確認することが大切ですが、トランス脂肪にしてもある種の人工甘味料にしても、そのものズバリの名前で出ているとは限らないところが、悩ましいところですね。
投稿: fumixie | 2010年7月 9日 (金) 21時19分
はじめまして。
いつもためになる情報、ありがとうございます。
私も無糖・無加工のココアパウダー派です。最近、オーガニックのものをアメリカから取り寄せていますが、送料を入れても340g入り2缶で22ドルでした。バナナと混ぜる方法、おもしろいですね。試してみたいと思います。
ひとつ質問させていただきたいのですが、「ココア豆に含まれるフラバノールの生化学的な効果は血小板の凝集するのを減らすこと」とあります。
手術前数日は、チョコレート類やココア類を控えた方がいいということでしょうか?
投稿: アメリ | 2010年7月 9日 (金) 21時54分
fumixieさん。コメントありがとうございます。
トランス型脂肪酸はそのようなお話があるのですね。僕も、先日、トランス型脂肪でコーティングされた某ファストフードのポテトを2週間常温で放置していたという個人的な実験レポをみかけることがありました。
普通に、揚げてあるものですが、全く変色せず、虫も寄り付かないというその異常ぶりが書いてありました。
テレビで「ポテト最高」とアメリカ人が言っているのを今朝見ましたが、恐ろしいものですね・・・
そういったことを紛らわす表記がところかしこに見られているのは、とても問題だと僕も思います。
投稿: Ctom | 2010年7月10日 (土) 08時52分
アメリさん。コメントありがとうございます。
こちらこそ読んでくださってありがとうございます。
オーガニックココアはよいですね。22ドルはなかなかいい金額ですねぇ。しかし、そうなってしまうのもわかります。
さて、ご質問いただいた件ですが、はっきりと手術前にチョコレートは食べないほうがよいと記載されたようなものは見たことがないように思いますが、今回の記事のことを考えると、それは十分あり得る話だと思います。
手術前や手術が回復するまではチョコレートの摂取は控えたほうがよいかもしれません。
意外と人の体は些細なことで反応するものですよね
投稿: Ctom | 2010年7月10日 (土) 08時56分
手術前や手術が回復するまでは、チョコレートの摂取は控えたほうがよさそうですね。
小手術を予定しているのですが、しばらくチョコレートやココアはあきらめます…。
お聞きできてよかったです。どうもありがとうございました。
投稿: アメリ | 2010年7月10日 (土) 10時11分
アメリさん。返信ありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、炎症を抑える脂肪といえば、αリノレン酸ですので、魚油などの摂取は回復を早めてくれるかもしれません。
投稿: Ctom | 2010年7月10日 (土) 13時51分
魚油、フラックスオイルなどに多いαリノレン酸が炎症を抑えてくれるのですね。
エールをいただいたようで、知っただけで回復が早まりそうです。
手術後、さっそく実践してみようと思います。ご丁寧に、どうもありがとうございました。
投稿: アメリ | 2010年7月10日 (土) 20時52分
はじめまして。
私はチョコレートが好きでよく食べていたのですが、どうもチョコレートを食べると高頻度で肌にできものが出来ます。
なのでチョコレートを食べるのを控えているのですが…。
これはチョコレートの成分と関係しているのでしょうか?
それとも体質的な問題でしょうか?
内容に対する質問ではなくすみません。
投稿: KUMITYO | 2010年7月12日 (月) 04時27分
KUMITYOさん。コメントありがとうございます。
おそらくは脂肪が関係しているだろうと推測されます。
吹き出物は医学的には細菌の影響によってできるだろうと推測されています。つまり、免疫力の低下がまず示唆されるのですが、チョコレートとの関係性を考慮してみると・・・
アラキドン酸をはじめ、水素添加された油脂にその原因があるのではないかと思われます。それに加え砂糖も問題になりやすいものです。
チョコレート(パウダーを除く)は加工されて販売されているのがほとんどです。板状にする際に、脂肪や砂糖を添加しているのですが、それらが悪い作用を示すものが多くあります。
記事にもありますが、”水素添加された油”や飽和脂肪酸などの油が大量に含まれているのがチョコレートです。これらの脂肪は体内で炎症を起こしやすくし、免疫機能を抑制し、アレルギーが出やすくなり、痛みを感じやすくするうえ、リノール酸やαリノレン酸などの体にとって良い脂肪の代謝を抑制してしまいます。
そのために、肌が荒れやすい状態を作ってしまうのではないかと推測されます。
もうひとつは、糖分に問題があるかもしれません。糖分のアレルギー反応というものが意外と多くあります。炭水化物不耐症を持っていれば、アレルギーが出やすかったり、免疫機能、代謝機能の働きが悪くなってしまいますので、これが原因かもしれません。
しかし、これらが原因でない可能性もあります。
肌のトラブルは胃腸系の問題から起因する場合があるからです。例えば、胃弱、胃の消化不良を起こしてしまえば、お肌のトラブルは意外と多くみられます。
砂糖は胃にとって消化しにくい栄養素と言われています。そのため、タンパク質や食事と一緒に砂糖を摂ってしまうと、胃が消化不良を起こしてしまうケースがよくあります。
まずは、調整されていない(砂糖や脂肪が添加されていない)ココアパウダーを試してみてはどうでしょうか?(この時、甘みは蜂蜜のみ使用可)
ココアパウダーがそのままで摂れれば一番よいのですが、影響の少ない摂り方の一つは”豆乳”でココアを作ってみることです。牛乳では、アラキドン酸を含んでいるので、牛乳ココアはあまり勧められません。
豆乳ココアを数回試してみた後に、肌のトラブルがでなければ、調整されたチョコレートが原因していることは間違いないかと思われます。もしも、このココアに砂糖を加えて、摂取してみたときに、肌のトラブルが出るようでしたら、砂糖が原因しています。
もしも、それでも出てきてしまった場合には、お湯でココアをといてみてもよいです。
それでも出てしまうならば、ココアに含まれる成分に対してアレルギー反応のようなものが出ているかもしれません。
あるいは、砂糖の系列は少々複雑で、○○トースといった精製された砂糖のみにその反応が現れることがあります。上白糖やグラニュー糖(これらの砂糖はあまり健康にとって推奨されませんが)などの砂糖でも出ることはありますが、より精製されている状態でないと出ない場合があります。
長々と説明しましたが、トライしてみるとその原因がはっきりするかと思います。
投稿: Ctom | 2010年7月12日 (月) 11時53分
Ctomさん。すみません詳しく説明して頂いてありがとうございます。
なるほど脂肪、糖分などが関係してくるんですね。
豆乳ココア一度試してみようと思います。
また結果がわかりましたら報告させていただきます。
投稿: KUMITYO | 2010年7月21日 (水) 12時38分
kumityouさん。
よい結果が出るといいですね(^_^)
投稿: Ctom | 2010年7月21日 (水) 13時04分
私も一時期「カカオ○%」のようなチョコレートがはやっていた時、よく食べていました。
チョコレートは疲れた時に良いと聞きますが、良いのはダークチョコレートとココアだったんですね。
Life-LOGを読み始めてから、「とりあえず食べればよい」のではなく、「何を食べるか」をきちんと考えることが必要なんだな。と思うようになりました。
投稿: イロイロパンダ | 2010年7月22日 (木) 09時45分
イロイロパンダさん。コメントありがとうございます。
論文のまとめというところでは、結局のところカカオがよい成分で、そのカカオが多く含まれている食品ということでした。カカオ90%というものは比較的よいものではないでしょうか?と言えますが、板チョコレートになっているものに含まれている脂肪はけっこう悪いものです。
イロイロパンダさんのように”何を食べるのか”というところに気づかれた方は、これから得られる情報次第で食べるべき食べ物と食べるべきでない食べ物などの見分けがつくようになってくると思います。
ただ、きちんとした情報を得られることがネックで、知人に間違った情報が正しいと誤って知識を入れている人がいましたが、その状態になるとよい知識を得ることができにくくなってしまいます。
どうか、今後とも様々な見地からよい知識を得られていけることを。よりよい将来。よりよい人生を歩んでいただきたいです。
投稿: Ctom | 2010年7月22日 (木) 15時28分
はじめまして。
この記事はもうずいぶんと前の記事で
見ていただけているか分からないですが
RAWチョコレートというのを
ご存知ですか?
私も市販のチョコレートは食べません。
白砂糖、乳脂肪たっぷりで
身体に絶対的によくありません。
でもRAWチョコレートは全然違うの
ですよ。
生カカオバター、生カカオパウダー
アガベシロップ
この3つの材料、全てオーガニックのものでつくっています。
味見をけっこうしますが
吹き出物がでることもなく
エネルギー溢れています。
48℃以下でつくるので
RAWチョコレートといわれ
300種類もの栄養素がいきています。
市販のチョコレートは
どんなに高級なものでも
加熱されていて栄養は、ほとんどないし
添加物だらけで
わたはとても食べれません。
----- (20121218) 以下の内容は屋台ブルーの独断と偏見で削除いたしました。
生チョコレート、身体に良さそうですが、どんな報告があるんでしょうね。
300種類の栄養素って何でしょう?何か分からないけどクロマトグラフィーで無数のバンドがあったってことでしょうか?
投稿: yuki | 2012年12月16日 (日) 19時18分
yukiさん。コメントありがとうございます。
興味深い情報をありがとうございました。
残念ながら、このブログは宣伝という形のものは掲載をご遠慮いただいているのです。
RAWチョコレートのリファレンスなどをご提示ください。よろしくお願いします。
申し訳ありませんが、yukiさんよりコメント頂いたものは数日中に対応させていただくかと思います。
投稿: Ctom | 2012年12月17日 (月) 09時41分