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2010年5月13日 (木)

ACS "Guide to Quitting Smoking"(禁煙の手引き) より(その2)

回は「その2」として、「Why should I quit?(どうして禁煙した方がいいのか)」を見ていこうと思います。

こでは、その理由を

  • 自分の健康
  • 金銭面
  • 社会からの支持
  • 周囲の人の健康
  • 率先垂範

という5つの観点から説明しています。これを見ただけでも、内容はなんとなく推測できますよね。

ずは自分の健康について見てみます。

禁煙する理由その1 - 自分の健康 -

もが禁煙する理由でトップに挙げるのが健康への不安です。全喫煙者の半数はタバコに起因する疾患で死亡します。

ガン
タバコが肺ガンの原因になることを知らない人はほとんどいませんが、タバコが原因でガンになる箇所は他にもまだあります。たとえば口、喉頭、咽頭、食道、膀胱、じん臓、すい臓、子宮頸部、胃などにもガンはできますし、一部の白血病もそうです。
肺疾患
タバコが原因の肺疾患には肺炎、肺気腫、慢性気管支炎などがあり、まとめて「慢性閉塞性肺疾患」(COPD) と呼びます。COPD は進行性なので時間が経つにつれて悪化します。肺気腫や慢性気管支炎は40歳そこそこでも見られますが、普通はもっと高齢になってから見つかるもので、その時には症状はずっと悪化していて、命にかかわる場合もあります。喫煙期間が長いと重い COPD を発症する危険が高まります。
心臓麻痺、卒中、血管疾患
喫煙者が心臓麻痺で死亡する確率はタバコを吸わない人の2倍です。それに末梢血管疾患の主な危険因子でもあります。また脳に血液を運ぶ頸動脈の血管壁にも影響を及ぼすため、卒中の原因にもなります。さらに血管疾患によって、男性喫煙者は勃起機能不全を発症する危険も高まります。
失明、その他の障害
喫煙すると、高齢者が視力を失うもっとも一般的な原因となる黄斑変性の危険が高まります。また若いうちから肌にシワができるし、口臭が悪化し、歯や歯茎も悪くなります。それに衣類や毛髪から悪臭が漂うし、指の爪が黄色くなります。
女性と赤ちゃんへの影響
35歳以上で経口避妊薬を使っている場合、心臓発作、卒中、脚の血栓の危険が高くなります。また流産しやすく、赤ちゃんは低体重で生まれる可能性が高まります。
寿命が縮まる
米国疾病対策予防センターが1990年代に収集したデータによると、男性喫煙者は平均13.2年、女性喫煙者は平均14.5年、喫煙が原因で寿命が縮まりました。またタバコが原因の疾患にかかると、死ぬまで長いこと苦しむことになります。それに呼吸も満足にできず、動き回ることもできず、仕事も遊ぶことも困難になります。

どうして「今」なのか

齢も喫煙期間も関係ありません。タバコをやめれば寿命が伸び、健康になるからです。50歳まえに禁煙すれば、その後15年間に死亡する確率は半減します。米国公衆衛生局長官は1990年にこう述べています。

  • 禁煙によって、大きな健康上の効果が年齢にかかわらず男女双方にすぐ現れる。タバコ関連疾患があろうがなかろうが関係ない。
  • 禁煙すれば、喫煙者よりも寿命が伸びる
  • 禁煙すると、肺ガンをはじめとする諸々のガン、心臓麻痺、卒中、慢性肺疾患の危険が下がる。
  • 妊娠前ないしは妊娠後3,4ヶ月以内に禁煙した女性が出産する赤ちゃんが低出生体重児になる危険は、タバコを吸わない女性と同じくらいに下がる。
  • 禁煙による健康上のメリットは、禁煙によるデメリット(少し体重が増えるとか、感情的ないし心理学的な障害など)をはるかに上回る。

たばこをやめるとどういう効果があるか

煙して

20分後
心拍数と血圧が下がる。
(Mahmud A, Feely J. Effect of Smoking on Arterial Stiffness and Pulse Pressure Amplification. Hypertension. 2003;41:183.)
12時間後
血中の一酸化炭素量が正常値に下がる。
(U.S. Surgeon General's Report, 1988, p. 202)
2,3週間後
血行が良くなり、肺機能が向上する。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, pp. 193, 194, 196, 285, 323)
1ヶ月から9ヶ月後
咳や息切れが減る。肺から異物を排出する機能が正常に戻り、感染の危険が減る。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, pp. 285-287, 304)
1年後
冠動脈心疾患の危険が喫煙者の半分に減る。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, p. vi)
5年後
卒中の危険が、5年か15年禁煙している人程度に減る。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, p. vi)
10年後
肺ガンによる死亡率が喫煙者の半分程度に減る。口、喉、食道、膀胱、子宮頸部、すい臓などのガンにかかる危険も減る。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, pp. vi, 131, 148, 152, 155, 164, 166)
15年後
冠動脈心疾患の危険が非喫煙者と同程度になる。
(U.S. Surgeon General's Report, 1990, p. vi)

禁煙してすぐに現れる効果

  • 口臭が改善する
  • 歯の表面のくすみが取れる
  • 衣服や毛髪の嫌な臭いが取れる
  • 指や爪の黄ばみが取れる
  • 食事がおいしく感じられる
  • 嗅覚が正常に戻る
  • 日常生活で息切れしなくなる

禁煙する理由その2 - 金銭面 -

バコを吸うにはお金がかかります。喫煙に費やす金額を正確にはじきだすのは難しくありません。毎日タバコにかけるお金を365倍すれば一年間のコストが出てきます。それにこれまで吸いつづけた年数を掛ければ、気絶すること請け合いです。

バコにかける年間コストを10倍して、これから先10年間でそれだけのお金を他のことにかければ、どれだけのことができるでしょう。考えてみてください。

れに厳密に言えば、喫煙に伴って発生するコストはこれだけではありません。タバコを吸えば生命保険などのコストも上昇するし、健康の維持管理に要する費用も増えるのです。

しかに、タバコにかける年間コストを10倍して、それだけのお金を今後10年間にかけると(投資すると)どれだけのことが達成できるかという視点はまさに目から鱗です。この視点はありませんでした。ためしに私の場合で計算してみます。私が喫煙していたときは一日3箱吸っていました。たしか1箱250円くらいでしたから、一日あたり 250 x 3 = 750円 となります。ですから一年では 750 x 365 = 273750円 となります。ということは10年で約273万円ですね。これだけの金額を自分の成長に投資していたら...と思うと愕然としますね。手引きの原文で "... that amount will probably shock you."(その金額にはきっとショックを受けることでしょう)と書かれているのは、誇張でも何でもありません。

禁煙する理由その3 - 社会からの支持 -

煙は社会から容認されなくなってきています。

煙にルールを設けている職場もあるし、会社は非喫煙者を採用したがります。研究によると、喫煙する従業員の方が病気で休むことが多いので事業コストが上昇します。従業員が病気で休みがちになると、雇用者は高くついても短期の補充要員を入れる必要に迫られるのです。それに雇用者が負担する保険料も高くなります。さらにタバコを吸う人が建物にいると、カーペットやカーテン、他にタバコの煙の残留物が付着して臭いが付かないようにする維持管理費も増加します。

貸住宅などでも、家主は喫煙者には貸し渋ります。それは維持管理費が増えるうえに、喫煙者が居住していると保険料率が上昇するからです。

人だって、家や車ではタバコは吸うなと要求します。不特定多数が集まる建物は、大部分が禁煙になっています。公共の場所はすべて喫煙を制限しています。

れに結婚を含めてロマンチックな関係にも喫煙は影を落とします。なぜなら喫煙者の相手は、人口の21パーセント(訳注。この数字は原文のままです)に満たないその他の喫煙者に限られるからです。

JT の2009年「全国たばこ喫煙者率調査」によると、2009年5月現在の全国の喫煙者率は、男性が 38.9%、女性が 11.9% で、各々 0.6% 減、1.0% 減だそうです。

禁煙する理由その4 - 周囲の人の健康 -

煙者が健康を害するのは喫煙者本人だけではありません。喫煙によって周囲の人たちも健康を害します。"second hand smoke"(いわゆる受動喫煙)によって、毎年数千人の健康な非喫煙者が肺ガンや心臓病などで亡くなっています。

親が、特に妊娠中にタバコを吸うと、その子供が喘息を発症する危険が高まります。またタバコは、乳幼児突然死症候群 (SIDS) や低出生体重児とも関係しています。赤ちゃんや子供がタバコの煙がある家で育つと、耳感染症や風邪、気管支炎をなど肺、呼吸器疾患にかかる可能性が高まります。"second hand smoke"(いわゆる受動喫煙)は目の痒みや頭痛、吐き気、めまいの原因にもなります。

禁煙する理由その5 - 率先垂範 -

供の親なら、自分の子供の良い手本になりたいと思うでしょうし、訊かれればどの喫煙者もほぼ例外なく、子供にはタバコは吸わせたくない、と答えるでしょう。でも親がタバコを吸っていると、子供もタバコを吸い始めるのです。タバコをやめて、自分の子供のすばらしい手本になってください。

--- 続く ---

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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コメント

確かに禁煙していただきたい方は会社にたくさんいます(笑)
一度、吸って良い?と聞かれましたが、やはりダメとは先輩には言えないですよね…。。

女性の35歳以上の経口避妊薬の話は初めて知ったので勉強になりました。ありがとうございました。

投稿: まるびょん | 2010年5月13日 (木) 17時58分

コメントいただき、ありがとうございます。

うーん、やはり、職場でもなんでも、先輩の申し出に「ダメ!」とはなかなか言えないものですよね。分かります。ユーモアを解する先輩なら断りようもあるんでしょうが。辛いところですね。

投稿: fumixe | 2010年5月13日 (木) 19時17分

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