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2010年4月27日 (火)

合わせ技だと脅威は倍増!!


文:fumixie <fumixie@gmail.com>



ういう生活を送っているかがその人の健康に大きく影響することは誰も異論がないと思うのですが、ではどの程度影響するのでしょう。飲酒や喫煙、食事の質、運動不足。これら一つひとつに関しては、「どの程度?」はわかっているのかもしれません。しかしこれらの「合わせ技」はどうでしょう。これらが組み合わさると、こういったことがまったくない人と比べて死亡率はどうなるのでしょう。



かしながら、この結果が出たとしても、「酒はやめられないんだよね」とか「禁煙ってむずかしいじゃないか」などなど、現実問題、生活様式を改善するというのは、人によってはかなりハードルが高い場合もありますが、それはまた別の話ということで...



、今回取り上げるのは、"Archives of Internal Medicine"誌の Vol. 170 No. 8(2010年4月26日)に掲載された "Influence of Individual and Combined Health Behaviors on Total and Cause-Specific Mortality in Men and Women" という研究と、それを元ネタにした "WebMD""What a Bad Lifestyle Does to Your Life Span" という記事。"Smoking, Drinking, Poor Diet, and Lack of Exercise Combined Greatly Increase Risk for Early Death"(喫煙、飲酒、お粗末な食事、運動不足が組み合わされると若死の危険が大幅に増大する)というサブタイトルが付いています。



煙、飲酒、食事の質、運動不足の各々を取り上げて、一つひとつが健康にどう影響するかについては多くの研究がなされているようですが、これらが組み合わされるとどう影響するかについては、ほとんど研究がないそうです。たしかに普段の生活では飲酒と喫煙は付き物だったりするし、カウチポテト族よろしく、寝転がってジャンクフードばかり食べている場合もあり、それぞれを個別に言われてもあまり現実的ではありません。



こで(というわけでもないでしょうが)、ノルウェー、オスロ大学の研究者らは、1984年から1985年にかけて、(どういうわけか)イギリスに住む18歳以上の人を無作為に4886人選びました。そして


  • タバコを吸うか

  • 野菜と果物は、食べても一日にせいぜい2回か

  • 身体を動かすのは週にせいぜい2時間か

  • 酒を飲むか(女性は週に14ユニット以上、男性は週に21ユニット以上)


について聞き取り調査を行い、その後20年間追跡調査しました。



の20年間に1080名が死亡しました。死因は431名が心臓疾患、318名がガン、331名がその他という内訳でした。この観察から、上記の不健康な生活習慣、つまり「喫煙」、「飲酒」、「お粗末な食事」、「運動不足」がまったく無い人と比べた場合の死亡する危険率を計算したところ、この不健康な生活習慣が1つある人は危険率が 1.85、2つある場合は 2.23、3つの場合は 2.76、そして4つ全部あると 3.49 となったそうです。つまり喫煙はするし酒も飲むし、野菜も果物もあまり食べず運動もしないという人は、こういったことがまったく無い人と比べると、その後20年間に死亡する確率が3倍以上に跳ね上がるということですね。



して、この研究の抄録にある "Results" の最後に書かれていることが強烈です。



Those with 4 compared with those with no poor health behaviors had an all-cause mortality risk equivalent to being 12 years older.



この不健康な生活習慣がまったく無い人に比べて、4つもれなく揃っている人の死亡リスクは、死因は別にして、12年分老化した場合に相当する。




のだそうです。しかし "Conclusion" には、



The combined effect of poor health behaviors on mortality was substantial, indicating that modest, but sustained, improvements to diet and lifestyle could have significant public health benefits.



不健康な生活習慣が合わさると死亡率にあたえる影響は甚大だが、多少でいいから食事と生活スタイルをこの先ずっと改めていけば、大衆の健康に与える効果は相当なものだろうということだ。




という希望に溢れた意見が載っています。よかった・・・ f(^^) ただし大切なのは「この先ずっと改めていけば」という点ですね。



なみに「アルコール1ユニット(リンク先にちょっと説明あり)」とは、wikipedia によると、イギリスでは純粋アルコール(エタノール)10ミリリットルと決められているそうです。



ということは濃度4%のビール1パイント(568ミリリットル)は、568 x 0.04 / 10 = 約 2.3 ユニットになります。飲み屋で「んじゃ、とりあえずビール」と注文して出てくるビールの中びん(度数5%、500ミリリットル)1本は、500 x 0.05 / 10 = 2.5 ユニットですね。;-)


屋台ブルーの補足-100428


飲酒量の定義は英国と米国で異なるようだ。「ワインは女性の体重を維持させるかも」で触れているけど、ちょっと見て下さい。

英国のアルコール摂取は、ユニット(UNIT)で評価されることが多い。1ユニットは8gのエタノールに相当するけど、比重から見て10mlのアルコール量になる。じゃあ、アルコール度数が5%のビール350ml缶を飲むと、1.75ユニットのアルコール摂取したことになるんだ。
英国で「少量飲酒(light drinking)」の定義は、1から2ユニット/週になる。これは1週間に1度350ml缶のビール1本って事になるよね。ハッキリ言って少ないわ。

「大量飲酒(heavy drinking)」が1ユニット/日って話なんで、毎日たしなむ人は誰でも大量飲酒者になっちゃうのが英国である。(「ライトな飲酒」は妊娠中でもOK?から抜粋)

今日のニュースは米国からの報告だけど、文面から判断して、「lighat drinker」は15グラム/日以下のようなので、英国の大量飲酒者と同等になってしまう?????


どちらにしろ、日本人にとってアルコール摂取はあまり好ましくない。ほどほどにしなければならないよね。

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コメント

屋台ブルーさん、補足していただき、ありがとうございます。

投稿: fumixie | 2010年4月28日 (水) 09時51分

確かに、合わせ技をしている人たちは明らかに嗜好品を摂らない人たちや生活習慣が「良い」法の人たちに比べて「自分はなぜ不健康なのか」と悩んでいると思います。

この情報はそういった方々にとってよいキッカケになるかもしれないですね。たくさんの人たちに話すところでとても有益ですね。

投稿: Ctom | 2010年4月30日 (金) 16時38分

コメントありがとうございます。

「自分の不健康を悩んでいる人は幸いなるかな。健康はその人のものなればなり」というところでしょうか。悩んでいるということは気づいているということですから、改善の余地は充分にありますよね。気づいていない人、気づいていないふりをしている人は、将来たいへんなことになるやもしれませんね。

Life-Log に限らず、自分の置かれている状態に気づくよう警鐘を鳴らしているところはたくさんあるでしょうから、心を開いて、少なくとも「自分も、ひょっとしたら...」という可能性を受け入れることができれば、健康への第一歩が踏み出せるのではないかと思っています。

投稿: fumixie | 2010年4月30日 (金) 16時52分

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