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2010年3月24日 (水)

肥満との戦いに最新兵器登場?

の手の話はよくあることで「またか」とアクビが出そうな気がしないでもないが、日本人にとってはまことに好都合な記事ではある。この記事のキーワードはアルギン酸。これを摂取することによって、体内で脂肪が吸収されにくくなることを英国ニューカッスル大学の研究チームが発見したとのこと。この発見について研究者は、「アルギン酸は肥満との戦いのきわめて現実的な解決策になるのではないかと思う」と自信を覗かせている。

ルギン酸とは、wikipedia によると「褐藻などに含まれる多糖類で、食物繊維の一種である」とある。褐藻はというと、おなじく wikipedia によると「褐藻類は、海産の多細胞藻類を中心とする生物群である。褐色をしていることからその名がある(ワカメは湯通しするまでは褐色)。... 日常生活に最も近い褐藻は、コンブやワカメなどの食用の海藻である」とある。つまりアルギン酸とは、コンブやワカメに含まれる食物繊維ということになる。

の記事では「海草をパンに加えている」。想像するに、ワカメやコンブをそのまま食べる習慣の無い欧米人が編み出した苦肉の策なのではあるまいか。だから味覚テストなどということも行ったのだろう。「効果があるのはいいけど、コンブなんかそのまま食べたことないし、かと言って、パンに練り込んだところで、ほんとに美味しいのかなあ?」といったところではないだろうか。まさかパンに練り込まないと効果が無いなど、ちょっと考えにくい。だとすれば、そのまま食べる習慣のある日本人にはまことに好都合でありがたい記事である。

ーパーマーケットなどの鮮魚コーナーに行けば、千切りにしたパック詰めのコンブが売られている。私がよく買うものは、サラダにすれば2食分はありそうな量で99円と、まことにリーズナブルな価格である。ポン酢で食べれば美味このうえなし。

念ながらこの記事には定量的な記述が無いので、どれだけアルギン酸ないしは海草を摂取すれば、どれだけの脂肪を吸収せずに済むかは分からない。しかしワカメにしろコンブにしろ値の張るものではないので、せっせと食べることにしよう。

国Telegraph紙の記事 Seaweed bread could help fight obesity crisis: scientists(2010年3月22日) ではこんな具合。

英国の科学者らによると、深刻さを増しつつある英国の肥満危機に立ち向かう最新兵器になるのは海草パンかもしれない。

パンやビスケット、ヨーグルトに海草を加えると、体に吸収される脂肪の量が最大75%減らせることをニューカッスル大学のチームが発見した。

秘密はアルギン酸という天然の食物繊維。コンブに含まれており、少量ならすでに増粘剤として食べ物に使われている。手始めの味覚テストからは、量をもっと増やしても問題ないことがうかがわれる。

この発見は米サンフランシスコで行われる American Chemical Society の会議で発表されることになっている。

「普段毎日食べているパンやビスケット、ヨーグルトといった食べ物に天然の食物繊維を加えれば、その食事に含まれる脂肪の最大で四分の三は体を素通りさせることができると思う」とレイン・ブラウンリー博士は言う。

「すでにアルギン酸を加えたパンで最初の味覚テストを行ったが、結果はきわめて有望だった。次は、普通の食事の一環として食べたときにどの程度効果があるかを臨床試験で見極める段階に入る」

海草は、現在店で売られている減量薬よりも効果的かもしれないと博士は言う。

そしてこう言い添えた。「奇跡のごとく体重が落ちるといううたい文句は枚挙に暇が無いが、その根拠となるしっかりした科学的な証拠があるのはごくわずかだ」

「アルギン酸は体重管理の大きな可能性を秘めているうえに、食べ物に加えれば、食物繊維の含有量を引き上げるという利点も出てくる」

「この最初の発見からみて、アルギン酸は肥満との戦いのきわめて現実的な解決策になるのではないかと思う」

らに、Telegraph紙の記事の元ネタと思われる当のニューカッスル大学プレスリリース "Seaweed to tackle rising tide of obesity"(2010年3月22日)はこんな具合。

海草によって脂肪の摂取量が75%以上減ることが分かったところから、海草が肥満の取り組みの鍵を握っている可能性があることが、新しい研究で明らかになった。

現在ニューカッスル大学のチームは海草の食物繊維をパンに加えて、食べれば体重が落ちてくれるような食べ物が開発できるかどうか調べているところである。

レイン・ブラウンリー博士とジェフ・ピアソン教授率いる科学者チームは、商用利用では世界のトップクラスの海草に含まれる食物繊維によって、体に吸収される脂肪量が75%程度減らせることを見出した。

体が脂肪を吸収するのを抑えるには、アルギン酸というコンブに含まれている天然の食物繊維の方が、薬屋で手に入るほとんどの抗肥満薬よりもはるかに優れていることをこの研究チームが発見した。

人工の腸を使い、60種類を越える天然の食物繊維を一つひとつ脂肪に加えてその脂肪が消化吸収される量を測定した。こうしてその食物繊維の効果を調べていった。

次は、ボランティアを募って、研究室のモデルで得られた効果が本物の人で再現できるかどうか、そしてそのような食べ物が普段の食事で本当に受け入れられるかどうかを研究する段階になる、とブラウンリー博士は、この発見を発表したサンフランシスコの American Chemical Society 春季会議の席で語った。

「この研究は、こうして作られたものの真価を問うのが目標だ。そしてまず分かったのは、アルギン酸が脂肪の消化を大幅に減らすということだ」とブラウンリー博士は説明した。

「普段毎日食べているパンやビスケット、ヨーグルトといった食べ物に天然の食物繊維を加えれば、その食事に含まれる脂肪の最大で四分の三は体を素通りさせることができると思う」

「すでにアルギン酸を加えたパンで最初の味覚テストを行ったが、結果はきわめて有望だった。次は、普通の食事の一環として食べたときにどの程度効果があるかを臨床試験で見極める段階に入る」

この研究は、Biotechnology and Biological Sciences Research Council の資金援助を受けている3年間のプロジェクトの一環である。このプロジェクトでは、食べ物のラベルに謳っている健康上の効能については、科学的な証拠にもとづいて立証しなければならないという、European Food Safety Authority が定めた新しい規則に取り組んでいる。

「奇跡のごとく体重が落ちるといううたい文句は枚挙に暇が無いが、その根拠となるしっかりした科学的な証拠があるのはごくわずかだ」とブラウンリー博士は説明する。

アルギン酸は、ごく微量なら増粘剤や安定剤としてすでに多くの食品で普通に使われているし、味覚のブラインド・テストの一環としてパンに混ぜているところだ。ブラウンリー博士によれば、実は普通の白パンよりアルギン酸食パンの方が食感がよくなりコクも増した。

「肥満の問題は悪化の一途で、体重を減らそうとして食事と運動のプランを立てるけど、続けるのは難しいと皆分かっている」と博士は言う。

「アルギン酸は体重管理の大きな可能性を秘めているばかりか、食べ物に加えれば、食物繊維の含有量を引き上げるという利点も出てくる」

繊維とはなにか?

食物繊維は、科学的には、ヒトの腸では消化されない植物由来の炭水化物グループに分類されていることがよくある。

ブラウンリー博士によれば、「実を言えば、繊維については依然かなり混乱している。繊維と言えば、たいていの人は食物繊維を考えるだろうね。便通が規則正しくなり、腸を健康に保つのに欠かせない食物の一部だ。」

「この2点はたしかにその通りだ。だが繊維がどれも同じで、体の中を何の影響も与えずに通り抜けるだけという考えは誤りだ」

繊維は多糖というきわめて多様な分子でできていて、ヒトの腸では消化されないが、数多くの体内作用に直接間接に影響を与えている。

そして博士はこう言い添えた。「この最初の発見からみて、アルギン酸は肥満との戦いのきわめて現実的な解決策になるのではないかと思う」

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

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コメント

私は昆布が好きでよく食べます。そのコンブのアルギン酸が肥満にいいとは・・よかった。さらに意識して食べなくてはいけない。
ところでアメリカでは、ソーダ税の導入をも考えているというニュースをテレビで見ました。(アメリカでは、もっと早い段階から実施すべきことだと思う。)世界中で肥満に対する対策が実施されていますね。

投稿: REDMEN | 2010年3月25日 (木) 10時53分

コメント、ありがとうございます。

こうなると海草サラダの注目度ががぜんアップするかもしれませんね。海草ならお手軽だし、へたな売薬だと副作用が心配だけど海草ならそういうのはないし、安価だし、近所のスーパーマーケットでいくらでも売ってますからね。

ところで「ソーダ税」、やってますね、喧々諤々です。この記事によると、北米コカコーラの会長が「こんなことしたって国の収入源が増えるだけで、肥満は減らない」と息まいているようです。そりゃ立場とすれば、息だって巻きますよね。

中には、炭酸飲料や砂糖たっぷりの飲み物には、酒やタバコみたいに "sin tax"(「悪行税」とか「罪悪税」という意味のようです)をかけて、消費者の購買意欲を削いでしまえ、と言い出す人もいるようです。

投稿: fumixie | 2010年3月25日 (木) 13時09分

海藻を意識して摂取したいと思います。日本食はあらためて太りにくい食事なんだなと感じました。

投稿: SWAN | 2010年3月25日 (木) 17時02分

コメント、ありがとうございます。

私も、まったく同感です。料理は門外漢ですが、日本食の食材そのものもさることながら、その調理法もそのように感じられます。日本食の調理法でまず思い浮かぶのは、「(油で)炒める」とか「揚げる」ではなくて、「煮る」とか「焼く」、「蒸す」、あるいは今回のような「生食」のような気がします。

いずれにしろ、日本食バンザイ!というところですね。

投稿: fumixie | 2010年3月25日 (木) 17時52分

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