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2010年3月13日 (土)

ビタミンDと転倒防止が関係するという記事

注) ビタミンD:1IU(国際単位)=0.025μg

をとるにつれて、どうしてもつき纏うのが転倒の不安。ちょっとした段差や布団の端でも、つま先を取られると転倒して骨折する危険が高まる。骨折箇所が股関節だったりすると寝たきりになる可能性もある。そうなると認知症の危険さえ出てくる。それを考えると、この記事はひょっとしたら...

イターの "Over 65? Take lots of vitamin D to prevent a fall" (2009年10月3日付け) という記事によると、ビタミンDをせっせと摂取すると転倒防止につながるんだそうだ。

イス、チューリッヒ大学 Center on Aging and Mobility の所長 Heike A. Bischoff-Ferrari 博士によれば、「ビタミンDを一日あたり700 から 1000 国際単位(IU)摂取すること。それ以下では効き目が無い」(元ネタは "Fall prevention with supplemental and active forms of vitamin D: a meta-analysis of randomised controlled trials")

の推奨値の元になっている、2400名を越える65歳以上の成人を対象に行われ、British Medical Journalのオンライン版に掲載された転倒防止とビタミンDの補給を扱った研究の結果によると、ビタミンDの摂取量が700IUを下回ると転倒の危険性は減少しなかったらしい。

Bischoff-Ferrari博士によると、700IUから1000IUのビタミンDを毎日摂取すれば、その効果は数ヶ月後あたりから効き始めて、その効き目はその後何年にもわたって続くし、効き目は年齢とは関係ないし、生活場所が家庭だろうが老人ホームだろうが変わらないのだそうだ。

お、ビタミンD2よりもビタミンD3の方が強力なようなのだが、活性型と謳って市販されているビタミンD3でも、効き目は普通のビタミンDサプリメントと変わらなかったらしい。

て、このIUつまり国際単位とは何か。wikipediaによると「脂溶性ビタミンに対して用いられる、生体への効力を表す単位」で、ビタミンDの場合は 1IU = 0.025μg らしい。ということは700IUになるとその700倍だから、0.025 x 700 = 17.5μg ということになる。例として調べたサプリメントでは、一日1粒で、ビタミンDはその1粒中に3.5μg含まれていることになっている。ということは、一日700IU摂取する場合は 17.5 / 3.5 = 5 となり、一日5粒服用する必要がある。この例のサプリメントは60粒入りで希望小売価格が714円。一日5粒使うと、60粒で12日分。ひと月にこの瓶を大雑把に3本使うとすると、714円 x 3 = 2142円。一年でおよそ25700円。

まあ、計算上はこうなるが、実際にこれだけ服用すべきかどうかとなると、この記事だけでは分からない。ビタミンDは日光に当たっても体内で生成されるものだし、普通に生活していて普通に日光に当たったり食事から摂取していれば、ことさらサプリメントで補う必要は無いという話もある。それに「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉もあることだし、サプリメントで補うかどうかは、おそらくビタミンDが不足しているかどうか検査してから決めた方がいいのだろう。

の記事の背景はスイスであり日本とは生活様式がまったく異なるし、この「転倒」(元記事の "fall" という言葉)がどういう状態を指すのかは、なんとなく想像はできるものの、正確には分からない。また仮にビタミンDが足りてるとしても、布団でけつまづく可能性が無くなるわけではないと思う。それに足りていても転ぶときは転ぶ。とはいえ、どういう意味にせよ転倒は体にとっては嬉しくないことだし、ビタミンDで転倒しにくくなるというのであればありがたいこと。記憶の隅にとどめておく価値はあるのでは?!

文:fumixie <fumixie@gmail.com>

-----2010年3月15日追記:屋台ブルー

非常に興味深い内容でした。実は厚生労働省から「日本人の食事摂取基準」の2010年版が出ているので、私の以前のエントリー「ビタミンD:十分に摂取している?」をチェックしてみるといいだろう。

それによると、ビタミンDの目安量は成人の男女とも5.5μg、耐容上限量は50μgになっている。国際基準で言えば、それぞれ220IUと2000IUってことになる。報告で言われている700IUから1000IUは問題ない摂取量になる。また、この報告は、サプリメントから摂取したビタミンDの検討をしているが、ビタミンDの豊富な食材を知っていますか?ビタミンDは脂溶性ビタミンなので魚類や肉類にも含まれる(ビタミンD3)。また、キノコ類にも多い(ビタミンD2)。しかし、野菜、果物、豆類、芋類、海草にはほとんど含まれていないから肉や魚を摂らない人は摂取不足に注意した方がいいでしょうね。

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コメント

ビタミンDが骨質・骨代謝を改善するというのではなくて、
転倒そのものを予防するというのは驚きました。

骨形成を促進するビタミンKには同じような
転倒予防効果は無いのでしょうか?

骨折も寝たきりになる大きな要因のひとつですから
こういった研究は興味深いですね。

投稿: E.F野 | 2010年3月14日 (日) 09時12分

コメント、ありがとうございます。

ビタミンDがカルシウムの吸収を助けるとか、ビタミンDが不足すると様々な病気になるらしいというのはよく耳にしますが、転倒予防になるというのは今まで聞いたことはなかったです。

親を介護する状況が身近になると、転倒による股関節などの骨折で親が寝たきりになるのではないかという不安が毎日心にのしかかるようになるものですよね。要支援とか要介護1、2くらいならいいのですが、要介護4、5あたりになると在宅介護はかなり辛くなります。かといって第三者の介護に委ねようと思っても、長大な待ち行列ができていたりするのが現状です。それにどこかに入所できたとしても、介護現場は人手不足ですから、介護スタッフの体と心にのしかかる負荷は相当なものです。ですから今のうちから愛情込めて自分の体をメンテナンスする、少なくとも「そういう習慣を心がける」というのは充分意味のあることだと思います。その意味でも、屋台ブルーさんが提唱していらっしゃる「ダイエット・トリニティ」は素晴らしいと思います。

それにビタミンDは、皮膚を直射日光という無料で使い放題の資源にさらすだけで生成される物だそうですし、その効能を考えれば、適切な量の日光浴というのは、日光を浴びるデメリットを考慮しても、安上がりだし見直す価値はありますよね。余談ですが、そうなるとサンルーフ付きの車はいいですよね f(^^)

ビタミンKって、知名度的にはちょっとマイナーが感じを受けませんか。ビタミンKと転倒が関係するかどうか、情報を探してみます。あるかなあ???

投稿: fumixie | 2010年3月14日 (日) 10時02分

fumixieさん、ビタミンKと転倒の関連ではありませんが、骨折との関連を調べた報告はいくつかあるようです。

最近、よく読んでいる「日本人の食事摂取基準(2010年版)」のビタミンKに記載されている箇所を紹介しますね。

一方、大腿骨近位部骨折とビタミンK 摂取量との関連を検討した最近のコホート研究によると、100 μg/日程度(またはそれ以上)を摂取していた群で、それ未満の摂取量の群に比べて発生率の低下が観察されている102,103)。骨におけるビタミンK 作用不足の指標である血液中低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)高値は、骨密度とは独立した骨折の危険因子であり、ucOC を低下させるためには、肝臓で凝固因子の活性化に必要な量以上(おおむね500 μg/日以上)を要することが示されている104,105)。骨折の予防に必要なビタミンK 摂取量は、血漿中非カルボキシル化プロトロンビンを指標とする場合に比べて多い可能性が考えられる。ビタミンK のサプリメント投与による骨折発生率の減少に関するメタ・アナリシスが発表されているが106)、45 mg という多量のメナキノン(*)投与によるものである。以上より、潜在的な欠乏状態を回避できる摂取量(1μg/kg 体重/日程度)を目安量とすることが適当であると考えられる。

102) Feskanich D, Weber P, Willett WC, et al. Vitamin K intake and hip fractures in women: aprospective study. Am J Clin Nutr 1999; 69: 74‒9.

103) Booth SL, Tucker KL, Chen H, et al. Dietary vitamin K intakes are associated with hip fracture but not with bone mineral density in elderly men and women. Am J Clin Nutr 2000; 71: 1201‒8.

104) Binkley NC, Krueger DC, Kawahara TN, et al. A high phylloquinone intake is required to achieve maximal osteocalcin gamma‒carboxylation. Am J Clin Nutr 2002; 76: 1055‒60.

105) Bügel S, Sørensen AD, Hels O, et al. Effect of phylloquinone supplementation on biochemical markers of vitamin K status and bone turnover in postmenopausal women. Br J Nutr 2007; 97: 373‒80.

106) Cockayne S, Adamson J, Lanham‒New S, et.al. Vitamin K and the prevention of fractures:systematic review and meta‒analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med 2006; 166: 1256‒61.

(*)ビタミンKは、フィロキノン、メナキノン類のことである。

投稿: 屋台ブルー | 2010年3月17日 (水) 10時26分

フォローありがとうございます。

簡単にまとめると、

  • 最近のコホート研究では 100μg/日以上
  • ucOCの低下にはおおむね500 μg/日以上
それぞれビタミンKが必要だということで、それを踏まえた厚労省が決めた目安量が 1μg/kg 体重/日ていどということなんですね。

すると僕の場合は68μgくらいか。

このサイトによると納豆100g中にビタミンKは600μg含まれているとあります。今、冷蔵庫にあったスーパーマーケットで買った一組3パックの納豆を調べてみると f(^^)、1パックで納豆が45gだから、それに含まれるビタミンKは計算上270μgとなります。ということは、納豆1パック食べれば、おつりが来るくらい間に合っちゃうことになりますね。

ビタミンKが食いだめできるのなら、僕の場合は、1パックの納豆で 270 / 68 = 約4日分は確保できていることになります。

こういう論理でいいのだろうか (^^;)

投稿: fumixie | 2010年3月17日 (水) 12時26分

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