魚油は細胞の老化を防ぐ - オメガ3
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アクセス履歴を見れば、未だに「オメガ3」をキーワードにして来る人が最も多いライフログです。もうかれこれ1年ぐらい同じ状態、変化が無いよね。「健康」とか「ダイエット」をキーワードにして来られる人は皆無なんで、ちょっと期待はずれかな。まあ競合するブログが数多にあるから無理もないか。
もっと「健康」や「ダイエット」に興味がある人に訪れてもらえるブログになって欲しいと願いながら、「オメガ3」に興味ある人のフォローをする。まあ、「オメガ3」に興味ある人もある意味健康に関心があるよね。
私も個人的にオメガ3系脂肪酸に興味を持っているので新しい報告があれば紹介している。と言う訳で、新しいニュースがありました。
今日の報告を読んで私はワクワクしたけど皆さんはどうだろう?オメガ3系脂肪酸の新しい作用メカニズムが提唱されたからだ。興味深かったのでJAMAの文献を手に入れて読みました。まあシンプルな内容だけど、オメガ3系脂肪酸の血中濃度が高ければ、生物的な老化速度が遅くなる可能性が示されたんですよね。この研究の今後が面白いだろう。要チェックですね。
オメガ3系脂肪酸の作用メカニズムは、今まで、抗炎症(anti-finflammatory)、抗血小板(antiplatelet)、抗高血圧(anti-hypertensive)、抗不整脈(antiarrhytmic)そして中性脂肪低下(triglyceride-lowering)作用による心血管の予防効果が考えられていた(JAMA.2010;303(3):250-257)。ここに新しい作用メカニズムの可能性が加わったって話たよ。なんかワクワクしない?
私は分子生物学レベルの研究報告に興味がある。今後そういう報告が出れば、文献の全訳を載せるかもね。今回の報告はあくまでも強い相関が認められたというレベル。まだまだ検証が必要だよね。
魚油は細胞の老化を防ぐ - オメガ3
Fish oil protects against cellular aging: study
シカゴ(ロイター) - オメガ3系脂肪酸の豊富な食事をすれば、心疾患患者が持っているDNAのほつれを抑えるだろう、これは、魚油が心筋梗塞後になぜ有益なのか説明になると、米国の研究者は火曜日に報告した。
「循環器専門医は、長い間、オメガ3系脂肪酸が冠動脈疾患を持っている患者さんに有益であると考えていた」、とサンフランシスコ、カルフォルニア大学のRamin Farzaneh-Far医師は話し、彼の報告が、雑誌Journal of the American Medical Associationに掲載された。
「過去20年以上にわたって報告された多くの研究から、心筋梗塞を起こした後、食事やサプリメントから魚油を摂ることで、続発性の心筋梗塞や致死性冠動脈疾患になるリスクを低減させられた」と、Farzaneh-Far医師医師は電話インタビューで答えてくれた。
明らかで無かったかったのは、なぜ魚油が有益なのかだった。
「我々の研究で、オメガ3系脂肪酸の作用に関わる新しいメカニズムを調べていくことだった」と、Farzaneh-Far医師は説明を続けた。
彼らのグループはテロメアの長さ -DNAで構成されている染色体の末端を保護するキャップの長さ、にフォーカスした研究を行った。
この保護キャップが不安定になって短くなると早期老化や癌に繋がって行く、これは加齢の新しい考え方で、Elizabeth Blackburnと他の2人のアメリカ人は、これで2009年のノーベル医科学賞を受賞した。
Farzaneh-Far医師のグループは、608名の心筋梗塞患者の白血球のテロメア長を測定して、オメガ3系脂肪酸(DHA+EPA)の血中レベルとテロメア長の変化を経時的に見て相関があるかどうか調べて行った。
「オメガ3系脂肪酸の血中レベルの増加と生物的老化の低下には、明らかな相関が認められた」と、Farzaneh-Far医師は話す。
オメガ3系脂肪酸レベルが最も高いグループは、最も長いテロメアを持っていたけど、オメガ3系脂肪酸のレベルが低いとテロメアは短かった、と彼は説明する。
サプリメントを与えられた患者はいなく、食事の情報も集めていなかったから、どのくらい魚油を摂取すれば効果があるの分からない。魚油はオメガ3系脂肪酸の主要な供給源になるけど、ウォールナッツ、フラックスオイル、緑黄野菜にも含まれている。
この知見は、なぜ魚油が心疾患の患者に有益なのか生物的説明になる。
オメガ3系脂肪酸は、酸化ストレスによる細胞障害反応によりテロメア長を短くしてしまうのに拮抗的に働くのかもしれない、とFarzaneh-Far医師は話した。
もしくは、魚油はテロメラーゼ - 短くなったテロメアの修復をする酵素 - の産生を増加させるのかもしれない。
「これらのメカニズムは解明していく必要がある」と彼は話す。
Farzaneh-Far医師のグループは、魚油の細胞老化という効果を心疾患の患者でしか見ていない、健常人でも正しいかどうかは明らかにされていない。
「そうじゃないと考える理由はない。ただ我々は知らないだけなんだ」と、彼は説明した。
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コメント
いいですねえ、このニュース。「毎日ほとんど欠かさず」間食に食べている「にぼし」にもEPAやDHAが豊富に入っているようなので安心です。「なぜ?」の部分は専門家に任せるとして、そういう効果があるのなら、身近な食材で補給するのが「吉」ですね。
投稿: fumixie | 2010年1月23日 (土) 12時34分
亜麻仁油やえごま油にはオメガ3が6割入っているということで1000~5000円ほどの油が出回っております。
皆さん美容と健康に朝スプーン1杯飲まれる方が多く、私もつられて飲んでいるのですが、ここを見てちょっと考えてしまいました。オメガ3が含まれているとはいえ、魚油でなければ意味がないような気がしてきました。
今度、機会がありましたら亜麻仁油やえごま油と魚油の違いも解説をお願いします。
投稿: | 2011年3月31日 (木) 18時37分
上記のコメントに対して横からで失礼します。
ご指摘の通りオメガ3系脂肪酸のうち植物由来である亜麻仁、エゴマやルジリサなどのものと青魚に多く含まれる魚油とでは成分が微妙に違います。
エゴマやフラックスシードに多く含まれるオメガ3系脂肪酸はα―リノレン酸です。
一方、魚油に含まれる脂肪酸はドコサヘキサエンサン。つまりDHAやEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれています。
私たちの体にとってオメガ3系脂肪酸は記事にも含まれているような働きをしてくれます。では、植物由来のものと魚由来のものとではどんな違いがあるのか?という話ですが
実はα-リノレン酸(ALA)やEPAは私たちの体内でDHAに変換されて使われています。けれども胎児や乳児にはDHAを産生する能力がまだ未発達のために、母親の体内で作ったDHAを母乳を介して与えるしか方法はありません。
つまり、成人にとってはALAであってもEPAであってもオメガ3系脂肪酸として効果を発揮しますが、乳児などにとってはALAはとってもあまり効果的とは言えません。そういう意味では魚油のほうがよいのですが、ここにも落とし穴が少しあります。詳しくはhttp://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2010/11/post-4e80.html を参照してください。
問題は他にもあります。屋台ブルーさんの記事の中にもありましたが、オメガ3系脂肪とうたったサプリメントの中にもトランスfatが含まれているものがあります。トランスfatはオメガ3系脂肪を体内でDHAを産生する代謝過程を阻害してしまいますので、そういった脂肪を含んでいる製品は摂らないほうがいいでしょう。
僕は上記のような違いがあると認識しています。参考になれば幸いです。
投稿: Ctom | 2011年4月 7日 (木) 14時58分
あ。ちょっと追記です。
ALA=α-リノレン酸
DHA=ドコサヘキサエン酸
EPA=エイコサペンタエン酸
です。
投稿: Ctom | 2011年4月 7日 (木) 14時59分
以前、亜麻仁油やえごま油と魚油の違いの質問をしたものです。ありがとうございました。勉強になりました。
投稿: | 2011年4月12日 (火) 10時45分