アルツハイマー病における食欲ホルモン、レプチンの役割
ダイエットをする時、いらない物だと思っている脂肪組織なんだけど、最近、内分泌器官として注目されている。数々のサイトカインやホルモンを分泌することで脂肪組織を中心とした恒常性の維持に働いているのだろう。
脂肪組織だって無駄なものじゃないんだ。生きるために必要なエネルギーを蓄えているわけで、飢餓状態になった時、エネルギー供給源になる。したがって、身体は脂肪組織のバランスを取ろうとするんだろうね。
レプチンは脂肪組織由来のホルモンで、脳にある視床下部に働いて、強い摂食抑制とエネルギー消費亢進をもたらすため、その抗肥満効果はよく知られている。
今日の報告は、レプチンの脳への影響でも、視床下部に対する摂食行動への影響じゃない。記憶力の要である海馬への関わりを示したものだ。まだまだ分からない事が多いアルツハイマー病の病因解明の手がかりになるかもしれない面白い内容だ。これからの研究展開が楽しみだね。
アルツハイマー病における食欲ホルモン、レプチンの役割
Appetite hormone leptin plays role in Alzheimer's
シカゴ(ロイター) - 脂肪細胞で産生される食欲抑制ホルモンの血中濃度が高い人は、高くない人に比べて、アルツハイマー病や認知症の発症が少ないかもしれないという結果が、米国の研究者から15日の火曜日に発表された。
レプチンの血中濃度が高い研究参加者は、低い人に比べて、アルツハイマー病や認知症の発症が少ないという報告をしている。
レプチンの血中濃度が高い人は、研究期間の終了時に脳容積も大きかった。アルツハイマー病、知性を失っていく認知症に罹患する人は、世界中で2600万人以上いる。
「我々の発見は、基準値よりレプチン濃度が高い人は、アルツハイマー病や認知症になるリスクを低下させるということだ」と、ボストン大学のWolfgang Lieb医師、彼の報告がJournal of the American Medical Association(JAMA)に掲載されたけど、電話インタビューで答えてくれた。
1995年にレプチンは発見され、減量を無理なく自然にできるかもしれないという期待感が生まれた。レプチンの欠損した肥満マウスにレプチンを加えると体重は減った。しかし肥満になった人の場合、レプチンで一時的な減量しか認めることができなかった。
Lieb医師のグループは、1948年にマサチューセッツ、フラミンガムで始まった大規模の臨床研究、フラミンガム心臓研究に関わっていた人のデータを抽出した。
彼らのグループは、1990年から1994年の間に認知症の症状を呈していなかった785名の血中レプチン濃度とアルツハイマー病や他の認知症の関連性を調べて行った。
脳容量
この中で200名近い人(198名)は、脳容積を測定していた。平均で8年、長い人では15年間の経過の中で、111名が認知症を発症しており、そのうち89名がアルツハイマー病という診断を受けた。
彼らのチームによると、研究開始時にレプチン濃度の低い人は、アルツハイマー病を発症リスクが25%だったけど、レプチン濃度の高い人は、このリスクがたった6%だった。
脳容積を測定した人の中で、レプチン濃度が高い人は、低い人に比べて、脳内で記憶中枢の鍵になる海馬の容積は多かった。
マウスを使った実験研究から、レプチンは認知機能に重要な役割を担っていることも示唆されていると、Lieb医師は説明した。今回の発見から、レプチンは、人間でも単に食欲を調整しているのではなく、広範な作用がある可能性も示唆されたと彼は説明した。
「アルツハイマー病発症プロセスに関わっている可能性がある生物学的な経路かもしれない」と、Lieb医師は話した。
奇妙なことに、肥満者において、レプチンの血中レベルと認知症には統計学的な関連性は見られなかった、しかし、研究全体から見れば数が小さすぎた。
肥満者はレプチン濃度が高値になる傾向があるけど、肥満者はレプチンの抵抗性が高まっているってのが理由じゃないかと考えている。
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コメント
アルツハイマー、認知症の根本治療薬。
まさに夢のような薬ですよね
この仕事に就いて、日々業務をしていて思います。

早くそんなお薬がでるといいですね
投稿: | 2009年12月25日 (金) 20時15分