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2009年11月10日 (火)

食事量を減らしたいなら、ゆっくり食べる必要があるだろう

糖尿病治療のため、私のような町医者にも新たな武器が加わる。インクレチンと呼ばれる消化管ホルモンをターゲットにした新薬、万有製薬と小野薬品から「ジャヌビア錠」「グラクティブ錠」とう商品名でジダグリプチン(DPP-IV阻害薬)が発売されるからだ。

腸管と膵島の関連性(the enteroinsular axis:腸管膵島軸)に絡む消化管ホルモンをインクレチンと呼ぶけど、小腸に流入した糖質刺激により分泌され、膵島からのインスリン分泌を促進させる。その他、生理活性は色々あるけど、この活性化したインクレチンは、数分で分解されて失活してしまうという。その分解に関わっているのがジペプチジルペプチターゼIV(DPP-IV)という蛋白分解酵素。この酵素を阻害することでインクレチンの活性を保つ事ができるから、DPP-IV阻害薬はインクレチン・エンハンサーと呼ぶ糖尿病薬に分類される。

このインクレチン・エンハンサーによるインスリンの分泌様式は、今までのインスリン分泌促進薬であるSU剤のとは決定的に異なっており、生理的なインスリン分泌を促し、血糖が低いとインスリン分泌は起こらず、低血糖を起こさないという。これこそが、糖尿病薬として非常に重要な側面であり、医療関係者が最も注目しているところだろう。しかし、このインクレチン、他にも色々な作用を持っている。たぶん、すべて分かっているわけじゃないよ。中枢性食欲抑制作用ってのもあって、これは糖尿病患者さんに限らず、肥満の患者さんにも好ましい作用なんじゃないかな。

実は、このインクレチン、薬に頼らなくたって、自分の身体が本来分泌しているホルモンだ。

今日のロイターの記事はそんなインクレチンに関する話題だよ。

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食事量を減らしたいなら、ゆっくり食べる必要があるだろう
To eat less, your body may want you to eat slowly

ニューヨーク(Reuters Health) - 食事中はゆっくり食べなさいという母親の言葉は、結局のところ正しいのだろう:新しい研究によれば、食事を掻き込むことで、食欲の自然な調整機構がブロックされてしまうらしい。

「食事を速く食べると、食べ過ぎるし太ってしまうという話は誰だって聞いたことあるだろう。実際、いくつかの研究でも、この考え方を支持している」、と研究の主任研究者、Alexander Kokkinos医師は文書で述べている。

しかし、分からないところは、食欲をコントロールするのにゆっくり食事することが優れているという生物学的な確証だ、とギリシャのAthens医科大学と英国のインペリアル・カレッジ・ロントンのKokkinos医師のグループは説明した。

この問題を調査するために、健康な男性17名を、2つの異なる条件下で、相当量のアイスクリームを食べてもらって調べた:1つは、量の多いアイスクリームを2回に分けて5分間かけで食べてもらった;もう1つは、小分けにして30分間かけて食べてもらった。

どちらのグループも満腹感や空腹感の感じ方に差は無かったけど、ゆっくり食べた男性にだけ、2つのホルモンの血中レベルが高値を示していた -- ペプチドYY(PPY)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)である -- 食後だいたい3時間後に高値になった。

PYYもGLP-1も消化管から分泌されるホルモンで、「満腹」シグナルを脳に伝え、食欲を減じてカロリー摂取を控えさせる効果がある。

この知見は、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismの最新号に掲載される予定、食事をゆっくり楽しむという昔からの知恵に重要性を与えている。

食事を徹底的に咀嚼して食事を楽しむ時間を取れば、同じ食事でも早食い競争みたいに食べた時より、摂取カロリーは少なくてすむといった研究報告は今までに存在する。

この理由は今まで明らかではなかった、しかし。

「我々の報告から、過食を止めるシグナルを脳に伝える消管ホルモンの分泌量の変化が、食事のスピードによって影響を受けていることが示されて、食事のスピードと過食の関係を説明できるであろう」、とKokkinos医師はこう話した。

今回の結果は、特に、多くの人がファーストフードや急いで食事をする今の時代にこそ妥当性があるだろう、とKokkinos医師は説明する。この研究から、食事の時間にゆっくりする事で食欲のコントロールになり、最終的に体重コントロールの助けになるだろう。

「子供達に”食事をガツガツ食べると太ってしまうよ”って注意しているけど、この説明にもなるだろう」、とKokkinos医師は話してくれた。

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コメント

「ジャヌビア」と「グラクティブ」はテレビで期待の新薬として取り上げられてましたね。メディアが取り上げるぐらいなので相当期待を受けている薬剤なんですね。

投稿: タケノコ | 2009年11月12日 (木) 10時32分

タケノコさんの記事の補足ですが、先月の10月21日にワールドビジネスサテライトで放映されていましたね。
タイトルが「~黒船きたる~」なるもので、一体何のことかと思ったら、米国発の医薬品が日本にも続々と入ってくるという内容でしたね。ヨーロッパの糖尿病学会でもこの薬の情報を求めて製造元のブースには人だかりが出来ていたようです。ちなみに11月11日付けの毎日新聞にもこの薬の記事が掲載されておりました。

投稿: yasupon | 2009年11月16日 (月) 16時54分

タケノコさん、yasuponさん、コメントありがとう。
一般のメディアでも取りあげられているというのは、かなり期待されているという事なのかな。

投稿: 屋台ブルー | 2009年11月17日 (火) 12時10分

日頃すごい速さで食事をとっているので、反省しました。「よく噛みなさい」という意味の大事さがわかりました。確かにゆっくりしっかり噛んでいる祖母たちはスリムでした。食事を流し込むのは控えます。。

投稿: ぶ~ | 2009年11月20日 (金) 10時48分

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