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2009年4月 7日 (火)

ブロッコリー・スプラウトは胃癌予防になるだろう

「生活習慣を改善すると癌の半分は予防できる」という報告がWHOから先日されたんだけど、知っているかな?

脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患は血管内皮細胞の炎症から生じるし、慢性炎症は、発癌に進展していく。「炎症」で身体は傷つくんだ。

現代社会に生きていて、炎症を発生させない生活は送れない。じゃあどうすべきか? 効率的に炎症を鎮めてやればいいんだよね。どうやって? それが生活習慣の改善なんだ。

癌になってから身体に良いことを実践する人も多いけど、できれば健康だと思っている時期から実践して予防すべきだろう。本当に簡単なことなんだけどね。

果物と野菜をたっぷり摂って、玄米や全粒粉を主食にする。肉を極力減らし、汚染されていない魚や豆類を摂る。素材を生かした味付けにする。

毎日30分間以上のエクササイズ(有酸素運動、筋力トレーニング、バランス瞬発力トレーニング)を続ける。

たったこれだけの事。皆さんが実践すれば、問題になっているメタボから進展する疾患は激減するだろう。

でも、現状のままでは、こういう生活を実践するのは難しい。

不健康な食品業界で働いて生計を立てている人が多いからだ。私は香川県に住んでいるけど、ここで「讃岐うどん」を食べちゃ駄目なんて言えないし。讃岐うどんの消費が減ってしまったら地場産業は崩壊して香川県が荒んでしまう。正直、全国から讃岐うどんを食べに来て欲しいと思っている。

本当に、どう指導したらいいのか悩むね。うどん屋で山のようにサラダが食べられるといいんだけど、安さを売りにしている現状では無理だろう。

少しずつ変わっていくしかないか。少なくとも、ここに来ている人は考えてください。

何の話をしているやら、今日は胃癌の話をしよう。

慢性炎症から癌が発生すると言ったけど、胃癌の場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染による慢性炎症から胃癌が発生する。ピロリ菌のいない胃炎から発癌することは無い(1%以下)と断言する専門家もいるぐらいだ。

ようするにピロリ菌のいない人は胃癌にならないってことだ。じゃあ既にピロリ菌がいる人はどうすればいいと思う?

除菌をすればいいんだよ。除菌療法は、保険適応に関わると、現在進行中の問題なので、詳しい話をしないけど、ピロリ菌保菌者なら是非除菌をして欲しい。

40歳を超えると保菌率は、7割以上になると言われている(私は持ってないよ)。気になる人は、ピロリ感染の検査をすればいいだろう。内視鏡、呼気試験、血清や尿中の抗体価、便検査でも調べられるから自分に適した検査法を選択するといいだろう。

さて、今日は、ピロリ菌と食事に関する内容を紹介しよう。以前(2004年)から、ブロッコリー・スプラウト(新芽)を食べるとピロリ菌の数が減少するという予備的な報告はあった。

Oral broccoli sprouts for the treatment of Helicobacter pylori infection: a preliminary report
ヘリコバクター・ピロリ感染症に対する治療としての経口からのブロッコリー・スプラウト:予備報告

予備報告なので、ブロッコリー・スプラウトを一週間食べた被験者はたった9名しかいなかった。食べた後直後の便ピロリ菌抗原試験で陰性だったのが7名。35日目の検査で6名は陰性のままだった。この6名に尿素呼気試験をすると、2名は陰性、2名は陽性、そして2名が中間型だったという結果。ちょっと規模が小さすぎる。確かにブロッコリー・スプラウトでピロリ菌の数は減りそうかなと感じる程度だった。

今日の本題は、これをもう少し発展した報告だ。
Cancer Prevention Research 2, 353, April 1, 2009. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-08-0192

食事からスルフォラファンの豊富なブロッコリー・スプラウトを摂ると、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染したマウスでもヒトでも、コロニー形成を減らして胃炎を改善させる
Dietary Sulforaphane-Rich Broccoli Sprouts Reduce Colonization and Attenuate Gastritis in Helicobacter pylori-Infected Mice and Humans

イソチオシアネート酸スルフォラファン{SF]は、グルコシノレート前駆体(グルコラファニン)として、ブロッコリー・スプラウトに豊富に含まれている。ヘリコバクター・ピロリ菌、これは世界的に広がっている胃癌の発生に密接に関わっているけど、SFは、この菌の強力な殺菌作用を持っている。ヘリコバクター・ピロリ・シドニー株1に感染したC57BL/6雌マウスに経口でSFの豊富なブロッコリー・スプラウト与え、高塩分食(7.5%NaCl)を続けてやると、胃内のヘリコバクター・ピロリ菌のコロニー形成は減り、粘膜上のTNFα(腫瘍壊死因子)やIL-1β(インターロイキン)の発現は弱まり、炎症も全体的に抑えられ、そして、高塩分で誘導される胃体部の萎縮の予防にもなった。この治療的な効果は、nrf2遺伝子が欠損したマウスでは認められなかったことから、Nf2依存性の抗酸化物質と抗炎症性物質がSF依存的に重要な役割があることが強く示唆された。48名のヘリコバクター・ピロリ菌感染者を、無作為にブロッコリー・スプラウト(70g/日; 420μmolのSF前駆体)を8週間食べるグループと、プラセボとしてアルファルファ(SFが全く含まれない)を同じ量食べるグループに振り分けた。ブロッコリー・スプラウトによる介入群は、プラセボで認められなかったけど、尿素呼気試験の尿素レベル、便中ピロリ菌抗原値、血清ペプシノーゲンテストI型及びII型の値の低下をみた。この値の低下は、治療を終えて2ヶ月後に元のレベルに戻ってしまった。スルフォラファンの豊富なブロッコリー・スプラウトを毎日2ヶ月間摂ることで、マウスの菌によるコロニー形成は抑制さる。そして、感染したマウスやヒトにおける炎症の後遺症を改善する。この治療はヘリコバクター・ピロリ菌による酸化ストレスに対して胃粘膜の保護を高めてくれるようだ。

ブロッコリー・スプラウトによって炎症が抑えられる報告だ。しかし、除菌ができる訳ではないので、ピロリ菌を持っている人はきちんと除菌した方がいい。ただ、除菌率を上げるためにブロッコリー・スプラウトを食べるっていうのもいいかもしれない。ブロッコリー・スプラウトを食べて除菌するグループと、アルファルファを食べて除菌するグループを比較すれば答えは出るだろう。ここを読んでいる若い研究者の人、やってみたら?

最近、スーパーでもブロッコリー・スプラウトを購入できるけど、値段が高いから定期的に食べるのは止めてしまった。毎日購入する気にはなれないからね。お金がないと健康にもなれない健康格差が大きくなる世の中だ... 皆さんどう思います?

関連エントリー:さすがブロッコリー

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コメント

ブロッコリー好きなんですよ。

投稿: にこにこ健康塾 塾長 | 2009年4月 7日 (火) 23時44分

塾長さん、
ブロッコリーの新芽には、スルフォラファンが豊富に含まれているけど、
大きくなったブロッコリーには、含まれていないので注意してね。

投稿: 屋台ブルー | 2009年4月 9日 (木) 07時07分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: りれきしょ | 2013年11月 7日 (木) 10時12分

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