エクササイズと免疫
ちょと今日はDiet Blog(ダイエットブログ)から離れて、久しぶりに「内科開業医のお勉強日記」の話から入る。
昨日のエントリー「トライアスロン心臓リスクはマラソンの倍」は、当然と言えば当然の結果に思えるけど、こういう情報は限られているから知っておいて損はないだろう。
やはり水泳のパートは、心臓への負担が大きいだろうし、水泳で競技が始まるというのにも原因があるかもしれない。バイクの後で水泳をする方がいいかも?関係ないかな?当然データは無い。
私の関心を惹いたのは、関連リンクで示されている「アスリートは激しい運動で感染症増加(open windows theory)・趣味程度なら心配いらない」だ。「Open Window Theory」という言葉を知らなかった。これは知っていないと、スポーツドクター(現在資格取得中)として恥ずかしい。Devid Nieman先生の文献をゲットするぞ。
先々週の私はまさに、練習のやり過ぎ(62km/3日間)をした後に、飲み過ぎをして風邪を引き、その状態で練習(20km/2日)をしたから高熱が出てしまった...
これはハッキリ言って私の管理不足が原因だ。今日は戒めとして、about.comの次の記事を紹介しておく。運動をされている皆さん、体調管理には十分気をつけてください。
エクササイズと免疫
Exercise and Immunity
エクササイズをし過ぎると病気になる?
平均的な成人なら、年に2、3度の上気道の感染症になるだろう。私たちは、年中ウイルスに曝されている。しかし、風邪やインフルエンザにかかりやすい人は確かにいる。次の因子はすべて、免疫能の低下に関連があり、風邪を引く危険性を高めている。
- 高齢
- 喫煙
- ストレス
- 栄養不足
- 疲労と睡眠不足
- オーバートレーニング
一般的な中等度のエクササイズは免疫系を高める
風邪を予防すると思われるものはいくつかあり、一つは、中等度の続けるエクササイズである。中等度の規則的なエクササイズと免疫機能強化の関連性をを示した研究は次々に報告されている。
初期の研究をみると、楽しんでエクササイズをしている人は、ランニングを始めると風邪を引く回数が減ったという報告がある。中等度のエクササイズによって、ポジティブな免疫反応は、バクテリアを攻撃する細胞、マクロファージの一時的な産生増加に関連性を示した。規則的に続けるエクササイズは、長期間にわたって免疫系を健康的にさせ、多大な好影響を与えることになる。
より最近の研究によると、エクササイズに対応して、免疫システムは、生理的な変化をすることが示されている。中等度のエクササイズにより、免疫系の細胞は、体中を素早く循環することができ、進入したバクテリアやウイルスを除去する。エクササイズを終えると、免疫系は数時間かけ、徐々に正常の状態に戻る。しかし、規則的なエクササイズを続けると、この変化は徐々に長く続くように考えられる。
Appalachian State大学のDavid Nieman医師によれば、毎日規則的なエクササイズを繰り返すことで、累積した効果により、長期的な免疫反応を引き起こすことになる。彼の研究によれば、毎日VO2Maxの70〜75%のペースで40分間歩く人は、エクササイズを全くしない人に較べて、風邪を引いたり喉の痛みを感じる日は半分になるらしい。
エクササイズのし過ぎにより免疫の低下
しかしながら、エクササイズをし過ぎると免疫を低下させるエビデンスも存在する。90分以上の強い強度の持久力エクササイズをすると、エクササイズを終えて72時間まで病気になりやすいという結果が示されている。これは、マラソンやトライアスロンなど長時間のイベントをする人々は知っておかなければならない重要な情報である。
強い強度のエクササイズは、免疫系を一時的に弱めるようだ。強い強度の活動をしていると、身体は、ある種のホルモンを産生し一時的に免疫系を低下させる。
コルチゾールとアドレナリンは、ストレスホルモンとして知られており、血圧やコレステロールのレベルを上げて、免疫機能を抑制する。この効果は、過度なエクササイズ(マラソンの距離を走ったりトライアスロンの練習)を終えた後に、持久系のアスリートが病気になりやすいことと関連がある。
もしあなたが長距離の練習をしているなら、トレーニングのメニューに十分な休息と回復の日を組み込んで、免疫系を回復させる時間を取るべきである。疲れていると感じたり、オーバートレーニング症候群の症状 --- 安静時心拍数の増加、心拍数の回復の遅れ、イライラや強い倦怠感 --- を感じているなら、ワークアウトのレベルを落としてやる必要がある。
もし既に体調が悪いなら、エクササイズが強くなりすぎないように注意しなければならない。あなたの免疫は、既に感染症と闘ったことで負担がかかっているし、更にストレスを負荷すると、回復が遅れる可能性がある。一般的に、ちょっとした風邪の症状があり発熱が無ければ、軽い、もしくは中等度のエクササイズをすれば、気分は良くなるし、免疫系を本当に強化するだろう。でも、強い強度のエクササイズは状況を悪化させ病気を進行させてしまうだろう。
心理的なストレスも免疫を減弱させる
コルチゾールやアドレナリンの分泌を増やすのは身体的なストレスだけでない。心理的なストレスでも免疫不全の状態を引き起こし、風邪やインフルエンザの感染リスクを増やしてしまう。
オハイオ州の研究者によると、アルツハイマー型認知症のパートナーの介護をしている人は、介護をしていない人に較べて、風邪を引いた経験が2倍高いという事を示している。こういう人々には、明らかに中等度のエクササイズをすることで身体への好影響を与えられるだろう。
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コメント
非常に勉強になりました。すべてのエキササイズはいいことだと思っていました。適度なエキササイズ、楽しみながら実施することが重要なのですね。
投稿: REDMEN | 2009年4月 1日 (水) 08時43分
運動はオーバーロード(過負荷)とリカバリ(回復)の繰り返しが重要だと思っているよ。
適度な運動だけじゃ駄目だと思っているからね。
当然、何もしないより、楽しんでできる適度のエクササイズを
したほうがいいだろう。
でも、更に上のレベルの健康に向かうなら、
「オーバーロード&リカバリー」が基本になるだろう
できるだけ進歩していかなければね。
投稿: 屋台ブルー | 2009年4月 1日 (水) 18時38分
中等度のエクササイズは免疫系を高める、しかもそれにホルモンが関係しているというのは興味深い事ですね。エクササイズによって呼吸器系や循環器系の働きが活発になり体が丈夫になるという思いこみがありましたが、免疫系にまで好影響を与えているとは知りませんでした。やはり適度な運動は必要なんだなと改めて感じました。
投稿: yasupon | 2009年5月13日 (水) 16時54分
私は適度な運動じゃなくて中等度以上の運動が
必要だと思っているよ。
投稿: 屋台ブルー | 2009年5月14日 (木) 19時00分
始めまして!非常に勉強になりました。
激しい運動は免疫系を抑制するんですね。
そこで質問なんですけど、
>コルチゾールとアドレナリンは、ストレスホルモンとして知られており、血圧やコレステロールのレベルを上げて、免疫機能を抑制する
とありますが、これはコルチゾールやアドレナリンにより、免疫系や消化管(特に小腸)に本来使用される血液やコレステロールが筋肉や心臓に使用される為に免疫力が低下するのでしょうか?
それとも、ストレスホルモンが直接的に免疫系のT細胞等の受容体に結合し抑制するのでしょうか?
ご教授よろしくお願いします。
投稿: ココナッツ | 2016年1月10日 (日) 01時06分